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58話
しおりを挟む「とりあえず今日はこの村に一泊だな。イザヨイとシャルにも伝えないと」
「今日泊まる場所はもう決まってるのかい?」
「これから探すつもりだが、何処か良いところはあるか?」
「それならここに泊まっていくと良いよ。空いてる部屋もいくつかあるからね」
「良いのか?」
「もちろんだよ。キミたちは僕の大切なお客さんだからね」
・・・こいつがこういう演技じみた言い方をする時は必ず裏がある。
主にこいつの欲望関係の。
「まさか、泊めるのはイザヨイさんとシャルローネさんだけってことはないだろうな?」
「いやだなぁ。いくら僕でもそんなことしないよ。あ、でも困ったな。部屋はあってもベットが足りないなぁ。これはしょうがないから、イザヨイたん・・・は、別の部屋で寝てもらって、シャルローネたんは僕と一緒に寝てもらわなきゃなぁ」
どうやらイザヨイさんが言ってた寝相の悪さを思い出し、シャルローネさんだけに的を絞ったらしい。
「っていうかウサギ野郎。最初からそれが目的だな?」
「さあ? 何のことかわからないね」
「ねえ。これからどうするの?」
頭を冷やすと言って外に出ていたシャルローネさんとイザヨイさんが戻って来た。
「モモタローが異世界に関する伝説や伝承を集めた文献を見つけてくれたんだが、その解読に少し時間がかかりそうでな。今日はこの村で一泊することになった」
「も、モモタローが見つけてくれたのか? な、な、なんて賢くて礼儀正しくて健気なハァハァ!!」
「戻って来て早速興奮すんなっ!!」
「あうっ!?」
速攻でポン太の体当たりを受け、イザヨイさんは自己嫌悪でガックリと肩を落とした。
「と、とにかく今日は一泊するのね? じゃあこれから宿を探すの?」
「その必要はないよ。この家には使ってない部屋があるから、そこを自由に使ってくれて良い。ただ残念ながらベットが足りなくてね。だからシャルローネたんは僕と一緒に――」
「そういえばお師匠様。確かにベットは足りないですけど、お座敷にお布団を敷けば問題ないんじゃないんですか?」
「モモ! 余計なこと言っちゃダメ!」
モモタローの口を慌てて肉球で塞ぐウサギだったが・・・。
「では私とシャルローネはそこで寝かせてもらおうか」
「い、いやでも、ベットの方がフカフカだし、寝心地も――」
「気にしないで。部屋と寝具を貸してくれるだけで十分よ。それに元々そんな良いベットでは寝てないから硬いのには慣れてるし。あ、か、硬いと言っても別に変な意味じゃなくて、で、でもやわらかいよりはやっぱり硬い方が――」
「何の話しになってんだよ!! つか経験ないんだろあんた!?」
どんな話しからでも下ネタに持っていけるっていうのも、何かだんだん凄いことのように思えてきた・・・。
「・・・仕方ないね。じゃあ布団を敷こうか」
さすがにこれ以上は言っても無駄だと悟ったのか、ウサギは残念そうに・・・と思いきや。
「・・・まあ一度寝れば中々目が覚めないって言うし、一度寝させてさえしまえばこっちのものさ・・・ふふふ」
「おい変態ウサギ。心の声が口から漏れてるぞ」
「はっ!? なんというミステイク!」
「・・・お前、もしかして、それ流行らそうとか思ってる?」
その後「料理が出来るオスはモテる!」と意気揚々と夕食をご馳走してくれたウサギなんだけど、出してくれた料理はウサギの好物のせいなのか、メインがニンジンだらけだったのがちょっとだけ勘弁してくれって感じだった。
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