78 / 101
77話
しおりを挟む「心配しなくてもマコト様に任せっきりにはしません。だから安心して出発してください」
「いや違うから!! そもそも俺が行くことになってることがおかしいんだって!!」
「・・・わかってます。そう言って、本当はお1人で行くつもりだったんですよね。みんなを危険な目に合わせない為に・・・」
「勝手にカッコ良く曲解してんじゃねえよ!! 文字通りの意味で行きたくねえって――」
「では、マコト様はお姫様がどうなっても良いって言うんですか?」
「は? い、いや誰もそんなこと言ってないだろ? お、俺はただ・・・」
別に姫さんがどうなっても良いなんて思ってないし、助けられるもの助けたい。
けど、いくら命の危険はない戦いだって言っても、やっぱり俺には――。
「かっこいいとこ、見たかったな~・・・」
「!?」
・・・ふと思い出したそれは、俺が天上世界に行く時に言ってた姫さんの言葉。
こんな時に思い出すなんて、自分で自分の首絞めるようなもんなのに、なんで・・・。
「魔王の本拠地に潜入する危険な任務だ。無理強いするつもりはない。どうしても嫌だと言うのなら、マコトはここに残っても――」
「・・・はぁ。わかったよ。俺も行くよ」
「!?。ああ! お前ならそう言うと思ってたぞ!」
ポン太は一瞬驚いた後、嬉しそうにそう言い、他の人たちも嬉しそうに俺を見ている。
「ったく。何も出来なくても文句言うなよな」
「役立たずとしか言わんから心配するな」
「一番キツイわ!! 暗い部屋の隅っこで膝抱えるぞ!!」
「ふっ。冗談だ」
「タチの悪い冗談言うなっ!! それで!? 姫さんは何処にいるんだ!?」
「それなら、ほれ、ここブル」
若干キレ気味に聞くと、ブルドッグ神官長が室内の壁に貼り付けられた、地図の前で俺を手招きしている。
そして指差した場所。
そこは、ここと川を隔てた対岸のすぐそばだった。
「ドラ○エかよ!? 竜○の城かよ!?」
「この国こそ諸悪の根源であり、魔王の居城が存在する国。その名もアカテン魔国ブル!」
「恐ろしい! まさに魔国! なんて恐ろしい名前だ!」
俺はアカテンという響きに、思わず頭を抱えてうずくまってしまっていた。
「そして、おそらく姫様がおられると思われる場所がここブル。アカテン魔国の首都・・・・「ボッチ」ブル!!」
「いやああああ!!!」
「ボッチ怖いボッチは嫌だボッチは悲しい!!!」
その名を聞いた途端、絶叫を上げ発狂する者。失神する者。虚空に視線を彷徨わせる者で室内はカオスと化した。
俺も危うく発狂しそうになったけど、その瞬間、ポン太とシャルローネさんが抱きしめてくれたお陰で、何とか発狂せずに済んだのだった。
「くっ・・・あ、ありがとなポン太。シャルローネさん。助かった。もし今のを1人で聞いていたら、どうなっていたか・・・」
「気にするな」
「あ、ご、ごめん!! つい!! ・・・で、でも、ついでだからもうちょっとだけ・・・」
「ぐ、ぐるじいですイザヨイざん・・・」
「あ、す、すまない!! 大丈夫かモモタロー?」
しかし、さすが魔国というだけのことはある。
その名を聞いただけで、ここまでダメージを与えるとは・・・なんて恐ろしい国なんだ・・・。
それから何とか落ち着きを取り戻し、俺。ポン太。イザヨイさん。ケンジャ。そしてシャルローネさんとモモタローが一緒に行くことに決まった。
いくらなんでもシャルローネさんとモモタローは止めた方がいいと心配して言ったら、仲間外れは良くないと、俺が責められることになったのは非常に不本意だけどな。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
チート魅了スキルで始まる、美少女たちとの異世界ハーレム生活
仙道
ファンタジー
ごく普通の会社員だった佐々木健太は、異世界へ転移してして、あらゆる女性を無条件に魅了するチート能力を手にする。
彼はこの能力で、女騎士セシリア、ギルド受付嬢リリア、幼女ルナ、踊り子エリスといった魅力的な女性たちと出会い、絆を深めていく。
【一時完結】スキル調味料は最強⁉︎ 外れスキルと笑われた少年は、スキル調味料で無双します‼︎
アノマロカリス
ファンタジー
調味料…それは、料理の味付けに使う為のスパイスである。
この世界では、10歳の子供達には神殿に行き…神託の儀を受ける義務がある。
ただし、特別な理由があれば、断る事も出来る。
少年テッドが神託の儀を受けると、神から与えられたスキルは【調味料】だった。
更にどんなに料理の練習をしても上達しないという追加の神託も授かったのだ。
そんな話を聞いた周りの子供達からは大爆笑され…一緒に付き添っていた大人達も一緒に笑っていた。
少年テッドには、両親を亡くしていて妹達の面倒を見なければならない。
どんな仕事に着きたくて、頭を下げて頼んでいるのに「調味料には必要ない!」と言って断られる始末。
少年テッドの最後に取った行動は、冒険者になる事だった。
冒険者になってから、薬草採取の仕事をこなしていってったある時、魔物に襲われて咄嗟に調味料を魔物に放った。
すると、意外な効果があり…その後テッドはスキル調味料の可能性に気付く…
果たして、その可能性とは⁉
HOTランキングは、最高は2位でした。
皆様、ありがとうございます.°(ಗдಗ。)°.
でも、欲を言えば、1位になりたかった(⌒-⌒; )
少し冷めた村人少年の冒険記
mizuno sei
ファンタジー
辺境の村に生まれた少年トーマ。実は日本でシステムエンジニアとして働き、過労死した三十前の男の生まれ変わりだった。
トーマの家は貧しい農家で、神から授かった能力も、村の人たちからは「はずれギフト」とさげすまれるわけの分からないものだった。
優しい家族のために、自分の食い扶持を減らそうと家を出る決心をしたトーマは、唯一無二の相棒、「心の声」である〈ナビ〉とともに、未知の世界へと旅立つのであった。
男女比1:15の貞操逆転世界で高校生活(婚活)
大寒波
恋愛
日本で生活していた前世の記憶を持つ主人公、七瀬達也が日本によく似た貞操逆転世界に転生し、高校生活を楽しみながら婚活を頑張るお話。
この世界の法律では、男性は二十歳までに5人と結婚をしなければならない。(高校卒業時点は3人)
そんな法律があるなら、もういっそのこと高校在学中に5人と結婚しよう!となるのが今作の主人公である達也だ!
この世界の経済は基本的に女性のみで回っており、男性に求められることといえば子種、遺伝子だ。
前世の影響かはわからないが、日本屈指のHENTAIである達也は運よく遺伝子も最高ランクになった。
顔もイケメン!遺伝子も優秀!貴重な男!…と、驕らずに自分と関わった女性には少しでも幸せな気持ちを分かち合えるように努力しようと決意する。
どうせなら、WIN-WINの関係でありたいよね!
そうして、別居婚が主流なこの世界では珍しいみんなと同居することを、いや。ハーレムを目標に個性豊かなヒロイン達と織り成す学園ラブコメディがいま始まる!
主人公の通う学校では、少し貞操逆転の要素薄いかもです。男女比に寄っています。
外はその限りではありません。
カクヨムでも投稿しております。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる