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第68話 光刃
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「良いだろう。思う存分楽しもうぞ」
鬼王《オグルク》も大太刀を構える。
「いざ、参らん!」
二人の戦士はお互いに向かって駆けると、武器と武器を交差させる。
「くっ!」
「ぬぅ……」
勢いを乗せた武器のぶつかる衝撃が、両者の腕に伝わる。それでもお互いの動きは止まらず、激しい武器の打ち合いが始まる。両者、互角の攻防を繰り広げた。
アルベクは連続攻撃を仕掛けるが、鬼王《オグルク》はそれを巧みにガードすると同時にカウンターを繰り出してくる。
(強い…… ここまでの剣の技量を持つ相手は初めてかもしれない)
アルベクは第三形態になり、膂力も脚力も格段に向上していたはずだが、鬼王《オグルク》はそんなアルベクの攻撃に余裕で付いてくる。底知れない力があった。
「はは、楽しいなアルベク殿」
鬼王《オグルク》は笑いながら、確実にアルベクの急所を狙ってくる。
しかし、アルベクも負けてはいない。冷静に攻撃を捌くと反撃の機会を虎視眈々と狙う。
(落ち着け…… 焦って隙を見せたらこの勝負は負けだ……)
しかし、鬼王《オグルク》も相当の修羅場をくぐってきたきたようで、その剣に一切の隙は無かった。
「某《それがし》の隙を狙う算段であろうが、無駄なことよ」
そう言って彼は後方に転移し、大太刀を黒く光らせる。
アルベクも長剣《ロングソード》に核玉《コア》のエネルギーを集める。
黒と赤、両者の波動斬撃同士がぶつかり、対消滅する。しかし、そのエネルギーの余波はすさまじく。お互い、後方に吹き飛ばさられる。
「アルベク様!」
ジュナは自分の足元近くに飛ばされたアルベクを心配して声を駆ける。
「……大丈夫です」
そう言って、すぐに立ち上がる。それは鬼王《オグルク》も同じだった。
「やるな……アルベク殿。しかし、今の衝撃でひとつ思い出したぞ。どうやら、某も昔は人間だったようだ……」
オグルクの言葉にアルベクは戸惑う。
「……人間? 鬼じゃないのか?」
「鬼というのは、ここの者たちが勝手にそう呼んだまで。某が自ら鬼を名乗った記憶はござらん」
「じゃあ、その姿、あんたは鎧魔導士かなんかなのか?」
「否……鎧殻鬼兵、いや、鎧殻装兵であった。もう人の姿には戻れぬが…… そして、この黒い核玉《コア》は人間だった時のもの……」
鬼王《オグルク》は胸を黒く光らせる。それは核玉の輝きであった
「ジュナ殿、某が将国に与えた緑の核玉は某の友のものだ…… 懐かしいことよ」
かつて人間の鎧殻装兵として友と一緒に戦ったことを、鬼王《オグルク》は思い出していた。その友の核玉をもとに、バシュヌ将国では大量の核玉を生産したのだ。
「人間がなぜそのような姿になったんだ?」
アルベクの問いに鬼王《オグルク》は笑う。
「千年先の世でのことだ。某は死にとうないと強く願うた…… そうしたとき、我が姿は冥府の悪魔と同じになったのよ。御辺《ごへん》も気を付けることだ…… 核玉の力の根源は悪魔の力…… 力を使いすぎれば御辺も某のようになるぞ」
「そんな馬鹿な……」
「現に御辺の今の姿のなんと禍々しきことか…… いずれ人に戻れなくなる日が来るやもしれぬぞ?」
その言葉にアルベクは動揺する。しかし、今は戦いに集中しなければ。無理やり、心を静めんとする。
(このことはセフィーネを探し出して聞けばいい。今は落ち着け)
「なるほど……忠告痛み入る。なら俺の身体を労わって、戦いを止めてくれるか?」
「はは、それは無理な願い。戦いこそが某の全てなのだ…… つまらん話をした。続きを始めよう」
そう言って大太刀を構えなおす。
「アルベク様…… お身体は大丈夫ですか?」
「大丈夫です。必ず勝って、戦争を防いで見せます」
アルベクも長剣を構え、鬼王《オグルク》の許まで転移する。そして、姿を現したのと同時に斬りつける。が、そんな攻撃は鬼王《オグルク》の予想の範囲内であり、軽々と大太刀で防がれる。
しかし、アルベクは手首を返して、裏刃での次の一撃を繰り出す。鬼王《オグルク》はそれも防ぐと、反撃の攻撃を繰り出す。アルベクも防御し、同時に突きを繰り出すが、それを鬼王《オグルク》は大太刀の反りを使って反らして、逆に突いて来る……
このように、カウンターの応酬となり、なかなか決着が付かなかった。
「やるな、アルベク殿!」
鬼王《オグルク》はさらに核玉の出力を上げる。
すると、大太刀の刀身が核玉のエネルギーで出来た巨大な黒い光の刃に包まれる。その全長は、元の刀身の倍ほどの長さになる。
「なっ!?」
鬼王《オグルク》はそれをアルベクめがけて横に薙ぐ。アルベクも核玉のエネルギーを上げて防御せんとするが、その威力の前に押し込まれ、光刃が脇腹を抉る……
「ぐ……ああ……」
アルベクはよろめきながら、何とか後方に転移するが、斬られた脇腹からは大量に出血していた。
それを見て、ジュナは口を手で覆う。
「アルベク様、傷の手当てを……」
「ジュナ様、お下がりください! 」
そこに転移した鬼王《オグルク》が光刃を纏った大太刀を振り下ろしてきた。アルベクは必死に剣でガードするものの、鬼王《オグルク》の力の前に今にも押しつぶされそうだった。
「終わりぞ!」
「くっ……」
押し込まれる、アルベクがそう思った瞬間。ジュナがアルベクの身体に触る。
「私の鬼力をあなたに……」
ジュナの手が触れた部分から、身体にが温かい光が流れ込むのを感じる。これが、鬼力のエネルギーなのだろうか……
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
アルベクは雄たけびを上げ、長剣の刃に核玉とジュナの鬼力のエネルギーを付与する。すると、刀身は赤く光る巨大な剣の刃を纏う。
「何っ!?」
アルベクは鬼王《オグルク》の大太刀を押し上げ、がら空きとなった胴に光刃を叩きこむ。
「ちっ!」
鬼王《オグルク》は転移の術を使ったが、完全に回避できず、右脇腹あたりを負傷していた。
「まさか、御辺も似たような技を使えるとは…… まあ、我らの力は同源…… おかしな話ではないか……」
「鬼王《オグルク》、決着をつけよう」
「……よかろう」
その言葉とともに、赤と黒の光刃同士がぶつかり、干渉する。この技は核玉のエネルギーを大きく消耗する。お互いエネルギーをかなり使い、身体に傷を負っているので転移の術ももう使えない。決着は近かった。
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
「ふははははははははは!」
アルベクは叫び、鬼王《オグルク》は笑いながら、攻撃を繰り出す。激しい打ち合いに、この空間自体が揺れているようだった。
「やはり戦いは楽しい。そうは思わんかアルベク殿?」
「これが試合だったら、楽しかったとは思うよ。ただ、殺し合いはどこまでも虚しいだけだ!」
お互い、全力で攻撃を繰り出す。そして、光刃同士が交差し、力が拮抗して、動きが硬直する。
オグルクは自らの力をもって、刃を押し込もうとする。その胸の核玉が黒く光り、さらなる力をオグルクに与えた。
「どうした、御辺の力はこんなものか!」
「くっ……」
(このままでは押し込まれる…… ならば……)
アルベクは力で対抗するのではなく、冷静に赤い光刃を解除する。
「なっ!?」
鬼王《オグルク》の黒い刃は打ち合う対象を無くし、斜めに逸れる。
「まさか!」
その瞬間をアルベクは見逃さなかった。跳躍し、長剣で鬼王《オグルク》を右肩から一刀のもとに斬りかかる。
「止《とど》めだ!」
鋭い斬撃がオグルクの身体を裂き、斜めに両断する。
「お、おおお……」
そして、切り伏せられた鬼王《オグルク》の上半身が地面に落ちる。
「はぁはぁ……終わりだ、鬼王《オグルク》!」
アルベクは息を切らしながらも宣言する。
鬼王《オグルク》も大太刀を構える。
「いざ、参らん!」
二人の戦士はお互いに向かって駆けると、武器と武器を交差させる。
「くっ!」
「ぬぅ……」
勢いを乗せた武器のぶつかる衝撃が、両者の腕に伝わる。それでもお互いの動きは止まらず、激しい武器の打ち合いが始まる。両者、互角の攻防を繰り広げた。
アルベクは連続攻撃を仕掛けるが、鬼王《オグルク》はそれを巧みにガードすると同時にカウンターを繰り出してくる。
(強い…… ここまでの剣の技量を持つ相手は初めてかもしれない)
アルベクは第三形態になり、膂力も脚力も格段に向上していたはずだが、鬼王《オグルク》はそんなアルベクの攻撃に余裕で付いてくる。底知れない力があった。
「はは、楽しいなアルベク殿」
鬼王《オグルク》は笑いながら、確実にアルベクの急所を狙ってくる。
しかし、アルベクも負けてはいない。冷静に攻撃を捌くと反撃の機会を虎視眈々と狙う。
(落ち着け…… 焦って隙を見せたらこの勝負は負けだ……)
しかし、鬼王《オグルク》も相当の修羅場をくぐってきたきたようで、その剣に一切の隙は無かった。
「某《それがし》の隙を狙う算段であろうが、無駄なことよ」
そう言って彼は後方に転移し、大太刀を黒く光らせる。
アルベクも長剣《ロングソード》に核玉《コア》のエネルギーを集める。
黒と赤、両者の波動斬撃同士がぶつかり、対消滅する。しかし、そのエネルギーの余波はすさまじく。お互い、後方に吹き飛ばさられる。
「アルベク様!」
ジュナは自分の足元近くに飛ばされたアルベクを心配して声を駆ける。
「……大丈夫です」
そう言って、すぐに立ち上がる。それは鬼王《オグルク》も同じだった。
「やるな……アルベク殿。しかし、今の衝撃でひとつ思い出したぞ。どうやら、某も昔は人間だったようだ……」
オグルクの言葉にアルベクは戸惑う。
「……人間? 鬼じゃないのか?」
「鬼というのは、ここの者たちが勝手にそう呼んだまで。某が自ら鬼を名乗った記憶はござらん」
「じゃあ、その姿、あんたは鎧魔導士かなんかなのか?」
「否……鎧殻鬼兵、いや、鎧殻装兵であった。もう人の姿には戻れぬが…… そして、この黒い核玉《コア》は人間だった時のもの……」
鬼王《オグルク》は胸を黒く光らせる。それは核玉の輝きであった
「ジュナ殿、某が将国に与えた緑の核玉は某の友のものだ…… 懐かしいことよ」
かつて人間の鎧殻装兵として友と一緒に戦ったことを、鬼王《オグルク》は思い出していた。その友の核玉をもとに、バシュヌ将国では大量の核玉を生産したのだ。
「人間がなぜそのような姿になったんだ?」
アルベクの問いに鬼王《オグルク》は笑う。
「千年先の世でのことだ。某は死にとうないと強く願うた…… そうしたとき、我が姿は冥府の悪魔と同じになったのよ。御辺《ごへん》も気を付けることだ…… 核玉の力の根源は悪魔の力…… 力を使いすぎれば御辺も某のようになるぞ」
「そんな馬鹿な……」
「現に御辺の今の姿のなんと禍々しきことか…… いずれ人に戻れなくなる日が来るやもしれぬぞ?」
その言葉にアルベクは動揺する。しかし、今は戦いに集中しなければ。無理やり、心を静めんとする。
(このことはセフィーネを探し出して聞けばいい。今は落ち着け)
「なるほど……忠告痛み入る。なら俺の身体を労わって、戦いを止めてくれるか?」
「はは、それは無理な願い。戦いこそが某の全てなのだ…… つまらん話をした。続きを始めよう」
そう言って大太刀を構えなおす。
「アルベク様…… お身体は大丈夫ですか?」
「大丈夫です。必ず勝って、戦争を防いで見せます」
アルベクも長剣を構え、鬼王《オグルク》の許まで転移する。そして、姿を現したのと同時に斬りつける。が、そんな攻撃は鬼王《オグルク》の予想の範囲内であり、軽々と大太刀で防がれる。
しかし、アルベクは手首を返して、裏刃での次の一撃を繰り出す。鬼王《オグルク》はそれも防ぐと、反撃の攻撃を繰り出す。アルベクも防御し、同時に突きを繰り出すが、それを鬼王《オグルク》は大太刀の反りを使って反らして、逆に突いて来る……
このように、カウンターの応酬となり、なかなか決着が付かなかった。
「やるな、アルベク殿!」
鬼王《オグルク》はさらに核玉の出力を上げる。
すると、大太刀の刀身が核玉のエネルギーで出来た巨大な黒い光の刃に包まれる。その全長は、元の刀身の倍ほどの長さになる。
「なっ!?」
鬼王《オグルク》はそれをアルベクめがけて横に薙ぐ。アルベクも核玉のエネルギーを上げて防御せんとするが、その威力の前に押し込まれ、光刃が脇腹を抉る……
「ぐ……ああ……」
アルベクはよろめきながら、何とか後方に転移するが、斬られた脇腹からは大量に出血していた。
それを見て、ジュナは口を手で覆う。
「アルベク様、傷の手当てを……」
「ジュナ様、お下がりください! 」
そこに転移した鬼王《オグルク》が光刃を纏った大太刀を振り下ろしてきた。アルベクは必死に剣でガードするものの、鬼王《オグルク》の力の前に今にも押しつぶされそうだった。
「終わりぞ!」
「くっ……」
押し込まれる、アルベクがそう思った瞬間。ジュナがアルベクの身体に触る。
「私の鬼力をあなたに……」
ジュナの手が触れた部分から、身体にが温かい光が流れ込むのを感じる。これが、鬼力のエネルギーなのだろうか……
「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
アルベクは雄たけびを上げ、長剣の刃に核玉とジュナの鬼力のエネルギーを付与する。すると、刀身は赤く光る巨大な剣の刃を纏う。
「何っ!?」
アルベクは鬼王《オグルク》の大太刀を押し上げ、がら空きとなった胴に光刃を叩きこむ。
「ちっ!」
鬼王《オグルク》は転移の術を使ったが、完全に回避できず、右脇腹あたりを負傷していた。
「まさか、御辺も似たような技を使えるとは…… まあ、我らの力は同源…… おかしな話ではないか……」
「鬼王《オグルク》、決着をつけよう」
「……よかろう」
その言葉とともに、赤と黒の光刃同士がぶつかり、干渉する。この技は核玉のエネルギーを大きく消耗する。お互いエネルギーをかなり使い、身体に傷を負っているので転移の術ももう使えない。決着は近かった。
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
「ふははははははははは!」
アルベクは叫び、鬼王《オグルク》は笑いながら、攻撃を繰り出す。激しい打ち合いに、この空間自体が揺れているようだった。
「やはり戦いは楽しい。そうは思わんかアルベク殿?」
「これが試合だったら、楽しかったとは思うよ。ただ、殺し合いはどこまでも虚しいだけだ!」
お互い、全力で攻撃を繰り出す。そして、光刃同士が交差し、力が拮抗して、動きが硬直する。
オグルクは自らの力をもって、刃を押し込もうとする。その胸の核玉が黒く光り、さらなる力をオグルクに与えた。
「どうした、御辺の力はこんなものか!」
「くっ……」
(このままでは押し込まれる…… ならば……)
アルベクは力で対抗するのではなく、冷静に赤い光刃を解除する。
「なっ!?」
鬼王《オグルク》の黒い刃は打ち合う対象を無くし、斜めに逸れる。
「まさか!」
その瞬間をアルベクは見逃さなかった。跳躍し、長剣で鬼王《オグルク》を右肩から一刀のもとに斬りかかる。
「止《とど》めだ!」
鋭い斬撃がオグルクの身体を裂き、斜めに両断する。
「お、おおお……」
そして、切り伏せられた鬼王《オグルク》の上半身が地面に落ちる。
「はぁはぁ……終わりだ、鬼王《オグルク》!」
アルベクは息を切らしながらも宣言する。
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