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第79話 竜殺しの勇者
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地響きとともに大地が割れ、巨大な深紅の巨躯が姿を現す。凶暴な赤竜《レッドドラゴン》であった。
赤竜は爬虫類を思わせる獰猛そうな頭部をもち、口には鋭い牙が並ぶ。全身を堅牢な鱗で固め、鱗は日の光を受けて輝いていた。背には巨大な翼があり、それをはためかせて宙に浮き、金色の目で地上のアルベクたちを睥睨する。
『グォォォォォォォォォォォォォォォォォ!』
そして、耳をつんざく咆哮を上げ、赤竜は地上に向けて火球を放つ。
「クソ、避けろ!」
紫の鎧殻装を纏ったライゼルは声を張り上げる。アルベクたちはかろうじてその火球を躱す。
赤竜はその様子を意外そうに眺めていた。
『ほう、人間ごときが我が炎を躱すか……』
威厳のある声で、赤竜は言い放つ。
「赤竜よ! 我々はあなたと敵対するつもりはない!」
ライゼルは赤竜に呼びかけるが、それを赤竜はせせら笑う。
『小賢しい人間ども! 我はこの世界から貴様らを一掃してくれるわ』
そう言うと、さらに火球を放つ。
「聞く耳持たずか! 仕方ない。戦うぞ!」
ライゼルは手にした銃剣型の波動武装の引き金を引き、紫の光弾を竜に放つ。しかし、竜はその場から姿を消す。
「転移の魔術か!」
アルベクは驚愕する。たしか、竜は体内に竜玉という魔力の結晶を持っていて、魔術を使うことが出来たことを思い出す。
そして、赤竜はアルベクたちの近くに姿を現すと、巨大な尾で薙ぎ払わんとする。
「くっ!」
アルベクはその攻撃を躱すが、何人かの鎧殻装兵は攻撃に巻き込まれ、吹き飛ばされる。とんでもない威力だった。
(対話は無理か…… ならば)
アルベクは胸の核玉を深紅に輝かせるとともに、黒い稲妻を放出させる。鎧殻装はより濃い赤になり、黒い稲妻の文様が刻み込まれ、第三形態へと変貌する。
いつものように黒い闇が意識を飲み込まんとするが、それに負けないように精神を集中させる。
(もう俺は闇には囚われない! 第三形態を制御して見せる!)
アルベクが強い意志を持って心に這い寄ってきた闇を払う。心が澄きり、第三形態の力を完全にコントロールすることに成功した。
「行くぞ!」
アルベクは核玉の力で飛翔すると、深紅の長剣《ログソード》で赤竜に斬りかかる。
『グォォォォ!』
腹に傷を受け、赤竜は怒りの咆哮をあげる。そして、恐ろしい形相でアルベクを睨みつける。
『人間め! よくも我が身体を傷つけたな!』
赤竜は巨大な火球をアルベクめがけて放つが、転移の術を使ってそれを避けると、赤竜の頭に至り、その脳天を貫かんとする。
しかし、赤竜は額を守る鱗を発光させて自らの強度を上げ、アルベクの長剣は弾かれる。
「何っ!?」
『無駄だ、小さき人間め……』
そう言うと頭を揺らしてアルベクを振り落とすと、巨大な牙で彼を嚙み砕かんとする。
「くっ!」
またしてもアルベクは転移すると地上に降り立つ。
『小さき人間め……ちょこまかと……』
赤竜は苛立ちながら、いくつもの火球をぶつける。
アルベクとセフィーネは核玉の出力を上げ、結界を張って皆を守る。
「どうする! やつの鱗は強固だぞ」
「セフィーネ。魔法陣で竜に隙を作れるか?」
「少しだけならね」
彼女は頷く。
「よし、その隙に皆で翼を狙ってくれ。その隙に俺が全力で斬りつける」
「分かった。皆、奴の翼を狙え!」
「「「はっ!」」」
ライゼルとその部下の鎧殻装兵は銃剣を構える。
『無駄だ!』
赤竜は転移の魔術を使おうとするが、そこにセフィーネが赤竜の目の付近に魔法陣を展開し、それを爆発させる。
『グァァァァァァ!』
いきなり目を狙われて、赤竜の身体が揺らめく。
「今だ、撃て!」
ライゼルの掛け声とともに、いくつもの閃光が空中の竜を狙う。
翼は竜の鱗で覆われておらず、赤竜の翼は打ち抜かれる。
『……おのれ……人間どもめ!』
空中でバランスを崩した赤竜が地上に落下していく。その隙にアルベクは長剣に赤い光刃を纏わせる。その長さはもとの剣の十倍程の長さまで達する。
そして、跳躍すると、光刃を纏った長剣を振りかぶる。
「くらええええええ!」
そして、赤竜目掛けて、力いっぱい剣を降りぬく。
『グァァァァァァァァァァ』
赤い光の刃が頭部を、胴体を切断し、真っ二つになった赤竜は巨大な肉塊となって地面に激突する。
「おお、やったな!」
ライゼルは嬉しそうに言う。
アルベクは地面に降り立つと、自らが殺した竜の亡骸を見る。
(凶暴な生き物とはいえ、竜を殺すというのは良い気分ではないな……)
すると、セフィーネがアルベクに近づいてきて、魔術で竜の亡骸から竜玉を取り出す。
「これで、あなたは竜殺しの勇者ね」
そう言うと、竜玉が赤く輝く。そこから光が放出され、アルベクの胸の核玉に光が吸い込まれていく。
「これは?」
「言ったでしょう。竜を倒した者には力が与えられるって。これであなたはもっと強くなるわ」
たしかに、身体が熱くなり、胸の核玉からさらなる力が湧き上がってくるの感じる。
「なるほど…… これが赤竜の力……」
こうして、アルベクはステムセン王国の危機を救うとともに、新たなる力を手にしたのであった。
一方、竜玉を抜き出された竜の亡骸は炎に包まれて消滅する。
「せっかく生き残っていた竜を殺してしまったのは心苦しいな……」
「しょうがないさ。僕にとっては国民の命の方が大事だ」
ライゼルはそう言うと、アルベクの肩を叩く。
「それで、君はこれからどうするんだ? 皇帝アリスティアの許に行くのか?」
「とりあえず陛下を説得してみるよ……」
「説得は無駄だと思うわよ。陛下の意志は固いわ」
現に親衛隊員から命を狙われているセフィーネはアルベクの考えに否定的だった。
「じゃあどうするんだ?」
「力ずくで禁断の核玉を奪うしかないわね。まあ、すでに封印を解かれているかもしれないけれど、それでも急いだほうがいいわ」
「なんにせよ、俺は陛下とちゃんと話してみたい。駄目だったら……その時はその時だ」
「行き当たりばったりね…… まあいいわ。そこまで言うならやってみなさい」
呆れたようにセフィーネは言うが、それでもアルベクのやり方を承認してくれた。
「どちらにせよあなただけが頼りよ。ただ、危険になったらすぐ逃げる事ね」
「そのつもりさ。そういう訳で、ライゼル。俺はこれからセフィーネと将国に戻って竜を倒した報告をしてから、すぐにヴァレスレンに行こうと思う」
「やれやれ……せっかく会えたと思ったのに、もう行くのか……」
残念そうにライゼルは言う。
「すまない。まあ、また必ず会いに来るよ」
「そうだな……名残惜しいが仕方ない。くれぐれもアリスティア帝には気をつけるんだぞ」
アルベクとライゼルは抱擁を交わす。それは、三カ月前と同じだった。
「じゃあ、行ってくる」
そう言ってアルベクはライゼルの身体から手を放す。
「ああ、またな!」
ライゼルはそう言ってアルベクを見送った。
赤竜は爬虫類を思わせる獰猛そうな頭部をもち、口には鋭い牙が並ぶ。全身を堅牢な鱗で固め、鱗は日の光を受けて輝いていた。背には巨大な翼があり、それをはためかせて宙に浮き、金色の目で地上のアルベクたちを睥睨する。
『グォォォォォォォォォォォォォォォォォ!』
そして、耳をつんざく咆哮を上げ、赤竜は地上に向けて火球を放つ。
「クソ、避けろ!」
紫の鎧殻装を纏ったライゼルは声を張り上げる。アルベクたちはかろうじてその火球を躱す。
赤竜はその様子を意外そうに眺めていた。
『ほう、人間ごときが我が炎を躱すか……』
威厳のある声で、赤竜は言い放つ。
「赤竜よ! 我々はあなたと敵対するつもりはない!」
ライゼルは赤竜に呼びかけるが、それを赤竜はせせら笑う。
『小賢しい人間ども! 我はこの世界から貴様らを一掃してくれるわ』
そう言うと、さらに火球を放つ。
「聞く耳持たずか! 仕方ない。戦うぞ!」
ライゼルは手にした銃剣型の波動武装の引き金を引き、紫の光弾を竜に放つ。しかし、竜はその場から姿を消す。
「転移の魔術か!」
アルベクは驚愕する。たしか、竜は体内に竜玉という魔力の結晶を持っていて、魔術を使うことが出来たことを思い出す。
そして、赤竜はアルベクたちの近くに姿を現すと、巨大な尾で薙ぎ払わんとする。
「くっ!」
アルベクはその攻撃を躱すが、何人かの鎧殻装兵は攻撃に巻き込まれ、吹き飛ばされる。とんでもない威力だった。
(対話は無理か…… ならば)
アルベクは胸の核玉を深紅に輝かせるとともに、黒い稲妻を放出させる。鎧殻装はより濃い赤になり、黒い稲妻の文様が刻み込まれ、第三形態へと変貌する。
いつものように黒い闇が意識を飲み込まんとするが、それに負けないように精神を集中させる。
(もう俺は闇には囚われない! 第三形態を制御して見せる!)
アルベクが強い意志を持って心に這い寄ってきた闇を払う。心が澄きり、第三形態の力を完全にコントロールすることに成功した。
「行くぞ!」
アルベクは核玉の力で飛翔すると、深紅の長剣《ログソード》で赤竜に斬りかかる。
『グォォォォ!』
腹に傷を受け、赤竜は怒りの咆哮をあげる。そして、恐ろしい形相でアルベクを睨みつける。
『人間め! よくも我が身体を傷つけたな!』
赤竜は巨大な火球をアルベクめがけて放つが、転移の術を使ってそれを避けると、赤竜の頭に至り、その脳天を貫かんとする。
しかし、赤竜は額を守る鱗を発光させて自らの強度を上げ、アルベクの長剣は弾かれる。
「何っ!?」
『無駄だ、小さき人間め……』
そう言うと頭を揺らしてアルベクを振り落とすと、巨大な牙で彼を嚙み砕かんとする。
「くっ!」
またしてもアルベクは転移すると地上に降り立つ。
『小さき人間め……ちょこまかと……』
赤竜は苛立ちながら、いくつもの火球をぶつける。
アルベクとセフィーネは核玉の出力を上げ、結界を張って皆を守る。
「どうする! やつの鱗は強固だぞ」
「セフィーネ。魔法陣で竜に隙を作れるか?」
「少しだけならね」
彼女は頷く。
「よし、その隙に皆で翼を狙ってくれ。その隙に俺が全力で斬りつける」
「分かった。皆、奴の翼を狙え!」
「「「はっ!」」」
ライゼルとその部下の鎧殻装兵は銃剣を構える。
『無駄だ!』
赤竜は転移の魔術を使おうとするが、そこにセフィーネが赤竜の目の付近に魔法陣を展開し、それを爆発させる。
『グァァァァァァ!』
いきなり目を狙われて、赤竜の身体が揺らめく。
「今だ、撃て!」
ライゼルの掛け声とともに、いくつもの閃光が空中の竜を狙う。
翼は竜の鱗で覆われておらず、赤竜の翼は打ち抜かれる。
『……おのれ……人間どもめ!』
空中でバランスを崩した赤竜が地上に落下していく。その隙にアルベクは長剣に赤い光刃を纏わせる。その長さはもとの剣の十倍程の長さまで達する。
そして、跳躍すると、光刃を纏った長剣を振りかぶる。
「くらええええええ!」
そして、赤竜目掛けて、力いっぱい剣を降りぬく。
『グァァァァァァァァァァ』
赤い光の刃が頭部を、胴体を切断し、真っ二つになった赤竜は巨大な肉塊となって地面に激突する。
「おお、やったな!」
ライゼルは嬉しそうに言う。
アルベクは地面に降り立つと、自らが殺した竜の亡骸を見る。
(凶暴な生き物とはいえ、竜を殺すというのは良い気分ではないな……)
すると、セフィーネがアルベクに近づいてきて、魔術で竜の亡骸から竜玉を取り出す。
「これで、あなたは竜殺しの勇者ね」
そう言うと、竜玉が赤く輝く。そこから光が放出され、アルベクの胸の核玉に光が吸い込まれていく。
「これは?」
「言ったでしょう。竜を倒した者には力が与えられるって。これであなたはもっと強くなるわ」
たしかに、身体が熱くなり、胸の核玉からさらなる力が湧き上がってくるの感じる。
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こうして、アルベクはステムセン王国の危機を救うとともに、新たなる力を手にしたのであった。
一方、竜玉を抜き出された竜の亡骸は炎に包まれて消滅する。
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「とりあえず陛下を説得してみるよ……」
「説得は無駄だと思うわよ。陛下の意志は固いわ」
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「じゃあどうするんだ?」
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呆れたようにセフィーネは言うが、それでもアルベクのやり方を承認してくれた。
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「そのつもりさ。そういう訳で、ライゼル。俺はこれからセフィーネと将国に戻って竜を倒した報告をしてから、すぐにヴァレスレンに行こうと思う」
「やれやれ……せっかく会えたと思ったのに、もう行くのか……」
残念そうにライゼルは言う。
「すまない。まあ、また必ず会いに来るよ」
「そうだな……名残惜しいが仕方ない。くれぐれもアリスティア帝には気をつけるんだぞ」
アルベクとライゼルは抱擁を交わす。それは、三カ月前と同じだった。
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