恋愛詐欺師は愛を知る

村雨

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その1.ついに出会えたたった1人

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「おはよう、れん
「おはよーまこと
「昨日はよく眠れたか? シャワーとかは好きに
使っていいから」
「あ、ありがと……」

俺の名前は日暮ひぐれ憐。18歳だが高校は中退した。
後、もう少しで卒業だったけども。
両親の借金が発覚した挙句、金貸しのヤクザ達
にとっ捕まっては通ってなどいられなかった。
しかも父親も母親も俺を置いて国外逃亡。
普通の人生だと思ってた。
普通に両親に愛されて普通に小・中・高と卒業
し。
大学まで行って会社へ通い両親から巣立つ。
しかし、愛されていたはずの両親からは見捨て
られ。
高校は結局卒業もしてないし。
ヤクザ達や親分は俺に同情したのか、金さえ用
意すれば俺を自由にする事を約束した。
最初はバイトを考えたが、地道に稼ぐだけでは
いつ金が返せるか分からない。
両親の残した借金はそれだけ莫大だった。
かといって、ホストや金貸しの紹介するヤバイ
商売は後が怖い。
そこで、若造のヤクザ(あの中では一番若い)
からとあるやり口を聞いた。
その名は、『恋愛詐欺師』という物だった。
結婚までは行かないが、男から男へと渡り歩き。
嘘で同情を引き、金をせびったりこっそり盗んだ
りして金を稼ぐ事になった俺。
何度かそれを繰り返した折、出会ったのが今現在
俺を世話してくれている芹沢誠だった。
正直、優しすぎて胸がずきずきと痛む。

(――こんな最低なヤツ、優しくする価値なんて
ないのに)

自分を自分でけなし、俺は小さくため息をつく。
誠も誠だ。なんで、見ず知らずのヤツを助ける?
だまされるとか金盗まれるとか、全く考えないワケ?
なんで、こんなヤツ信じちゃうんだよ。
っていうか、騙してて利用している俺が言える事
なんかじゃない。
でもでも、なんかここまで騙されやすいとかなり
心配になるんだよ。
――まあ、シャワーはありがたく借りるけども。
シャンプーやボディソープも使わせてもらい、汗も
流してすっきりして出てくると。
真新しい下着や服が籠の中に置いてあった。
至れり尽くせりすぎる……どんだけお人よしなん
だよ、こいつ。
しかも、トマト風味のチーズをたっぷりかけたリゾ
ットなんて物まで作ってくれた。
お母さんかお父さんのように、少しでも腹に入
れておけとか水分を取れとかうるさい。
さすがに無碍むげにするのも申し訳なく、ありがとう
とお礼を言い言われた通りにした。

「冷蔵庫にスポーツドリンク入ってるし、ゼリーと
かプリンもあるから良かったら食べて」
「うん……そうさせてもらう。悪いね……」
「甘い物嫌いだし、別にいい。親戚とかから貰う
から、持て余してたんだ」
「そ、そっか……」

実は高校生(中退してるけど)って事は話してい
ない。
大学生で訳あって休学してる、って言ってある。
お人よしな誠は事情を詳しく聞かなかった。
好きなだけここにいていい、と優しく語り掛け。
飲み物や食べ物やおやつまで提供してくれる。
最初は家事をやる、と言った俺だけれど。
初めてやる掃除も洗濯も料理も何もかもが
上手くいなかった。
いてくれるだけでいいよ、って微笑まれては
もう余計な事は出来ない。
という訳で、掃除も洗濯もしてもらいつつ
ただ食事とおやつを与えられるだけのニート
――自宅警備員のような生活が与えられた。
本当に、誠は気づいていないんだろうか。
俺はこっそりと毎日、財布にぎっしりと詰まっ
た札の中から少しずつ抜いている。
追い出してくれればいいのに。
警察に突き出してくれればいいのに。
そうすれば、彼との関係も終わるのに。

(ってか、あいつ何者なんだろう……。
普通の学生が、あんなに金持ってる……?)

誠は彼の言葉を信じるなら、大学生らしい。
そんなに遅くならずに帰って来るから、多分
バイトはしていない。
いい子にしてるんだよ、と兄のような父のよう
な言葉を残し。
俺の頭を軽く撫でてから、彼は通学して行った。
今日もやる事がないため、2枚ほど1万円札
を抜いてヤクザ達に渡しに行く。
微々たる物なのですぐに借金が返せる額では
ないが、ボロが出ないためと嘘をつくとヤクザ
達は大人しく受け取った。
あながち嘘ではない。
一気にごっそり抜いたりしたら、さすがの誠で
も騙されていた事に気づくだろう。
訴えられたら困るのはヤクザ達も同じだ。

「ただいま、憐……いい子にしてた?」
「う、うん……」
「本当かな? それにしちゃ声震えてるけど」
「……ぁっ! ちょっ、やめ……やーーっ!
きゃははははっ! ほ、本当にそれ弱いんだっ
て……あはっ、やああっ!」
「だって、憐の反応が可愛いからね」
「はぁはぁ……っ。うぅ……ひどい」
「ごめんごめん……憐の事それだけ好きって
思って」
「あ、会ったばかりじゃん!」
「恋愛に会ったばかりも何もないよ」
「そう、かもしれないけどさ」

子供扱いしているのか、それとも拾って来た
ペットを面倒見ているつもりなのか。
誠はいつも帰宅すると、俺がいい子にしてい
たか聞いて来る。
彼が帰って来る前に財布から金を抜いていた
りするので、いい子と問われると曖昧に頷くし
かない。
人の財布に手を出す奴は泥棒だし、悪い子の
部類だろう。
でも、そんな事を誠に伝えたら追い出されるか
もしれないし。
ここで放り出されたら、どうしていいか分からな
い。
その迷いを見抜かれたのかのかもしれない。
誠はいきなり俺に手を伸ばして来ると、弱点であ
る首の後ろ側をこちょこちょとくすぐった。
ひぃっ、とオレの口から悲鳴じみた声が出る。
大声で笑ってじたばた暴れるも、体格差があるの
で誠には勝てない。
しばらくしてくすぐるのを止めた誠は、くすくすと
おかしそうに笑っていた。
好き、とか簡単に言うなよ。
騙されてるって気づいていない癖に。

(でも、騙してる俺が1番悪い……。
もう、こんな生活駄目だ……!)

誠の事は多分好きだ。
でも、ずっとしてもらってばかりの生活はどこか苦
しい。
ぬるま湯にずっと使っていると、抜け出せなくなり
そうだ。
誠との生活は楽しい。
ご飯も美味しいし家事も何もする事はない。
誠は俺に何も求めない。
ただ可愛がりいろいろな物を与える。
食事も物も愛さえも。
だから、いけないんだ。
俺は誠の事をずっと騙しているし、金だって財布か
ら抜き続けていたんだから。
ある日、誠が大学に行った隙に俺はマンションを出
てヤクザ達に会いに行った。
今度は、金も何も持たずに。

「もう……恋愛詐欺師は辞める」
「はぁ!? お前……自分が何言ってるのか、分かっ
てんのか!?」
「自分の立場分かってないなら、分からせてやっても
いいんだぞ?」
「憐! てめぇ裏切るのか!」
「――おい、止めろてめぇら」

どうなっても、何されてもいい。
売り払われたって構わない。
その覚悟で、オレはヤクザ達に挑んだ。
一応は良くしてくれた分、出向いたヤクザ達3人は
激高した。
怖いくらいに凄まれ、さすがに体が震えてしまう。
一際大きい怒声が響き渡り、その場はしんとなった。
親分が声を張り上げたのである。
おい憐よ、と言い聞かせるように親分は言った。
ごくん、と唾を呑み込んで傷のある老人を俺は見
る。
急に怖くなって来て、足ががくがくして来た。
知らないところに売り払われるなんて嫌だった。
自分の借金でもないのに。
だからいろんな男達を騙して来た。
でも、誠の事はもう騙したくない。
誠ともう一緒になんかいられない。

「おめぇの借金はチャラにはならねぇ。
その訳が分かってるな? 本当に、覚悟が出来て
んだな?」
「は、はい……」
「本当に、いいんだな?」
「もちろんです……どこへ何とも売り払ってしまっ
てください」
「――分かった。おめぇの意思を尊重してやろう。
乗りかかった船だ」

本当は凄く怖い。
誰に売られるかなんて、分からない。
酷く残虐ざんぎゃくなヤツに売られてしまうかもしれない。
変態趣味のヤツかも。
きっとアングラなヤツには絶対に違いない。
だって、ヤクザに売られるんだから。
でも誠はいいヤツなんだ。
俺に騙され搾取さくしゅされてていいヤツなんかじゃない。
自由にしてやらなきゃ。
もっと、いい人見つけて幸せになれよな誠。
俺なんかみたいなクズじゃなくて。
――って思ってたのに。

「憐!!」
「ま、誠……?」

怒鳴るような声に驚き、振り向くとそこにいたのは
息を切らせた様子の誠だった。
今にも泣きそうな辛そうな顔をしている。
きっと、俺も似たような顔をしているのかもしれな
い。
でも、どうして誠がここに?
ここの事も借金の事もヤクザ達の事も。
自分の境遇きょうぐうさえ俺は彼に話していない。
なのに、なんでここにいるんだよ。
誠まで売られてしまったらどうする。
っていうか、大学は!? バイトは!?
俺はぐるぐる頭が回って思考が安定しなかった。

「無事でよかった……憐」
「どう、して……?」
「大学行く振りして、お前の事尾行てた」
「す、ストーカー!?」
「お前が隠し事してるからだろ? それより、話は
聞かせてもらった。――こいつ、いくらですか?
いい値を払いますし何なら借金ごと引き受けるの
で憐を僕にください」
「な、なんだおめぇ! 憐の客か!?」
「僕の名前は芹沢誠。芹沢コーポレーションの会長
の孫です」
「ひぇ!?」

誠にいきなり抱きしめられた。
心配、してくれてたんだろうか。
ぎゅっと痛いくらいに腰に回された腕に力が籠る。
尾行されてたなんて全く気が付かなかった。
っていうかストーカーじゃん!
その事を指摘してきすると、誠はむっとして俺を睨みつけ
る。
びくっとして何も言えなくなる俺。
そんな俺を一端離して誠は俺を指で示し、俺の値
段をヤクザ達に聞いていた。
いい値払うとか借金ごと引き受けるとか……。
俺は花魁かよ。
まあ、借金で売られそうってところは同じだが。
さすがに親分もぎょっとしているようだった。
俺の恋愛詐欺師の分を入れても多額の借金は
まだそんなに減っていない。
それを一括で引き受ける、なんて懐が深すぎる。
というか払いきれるのか、と思ったらなんとこい
つの正体は芹沢コーポレーションの会長の孫だっ
た。
芹沢、なんて珍しい名前じゃないから分からなか
った。
俺でも知っている大企業である。
当然、その孫である彼も金持ちだろう。
あれよあれよという間に、俺は借金ごとヤクザか
ら誠に買い取られてしまった。
実質、俺は誠の物で。
飼い主も雇い主も誠という事だ。
まあ、変な裏界隈に売られるよりはマシだったけ
ども。

「……憐」
「な、何……?」
「さっきのヤクザ達に、何もされなかった?
どこも触れられてない?」
「ちょっ、どこ触って……やんっ!
く、くすぐったいって……誠ぉ、やだぁ!」
「我慢しろ……今、調べてる」
「し、調べなくても指1本触られてないから……」
「本当だな? ご主人様に嘘ついたらたっぷりお仕
置きだぞ」
「ひぇ!?」
「まあ、返事も出来ない悪い子はちゃんと躾けしな
いとな? 覚悟しておけよ、憐。今日から」
「は、はい……!」
「よし、その調子だ。いい子になろうな?」

道すがら、誠がぴたっと立ち止った。
怖い顔で見られ、怒られるんじゃないかとびくびく
する。
誠は今日から俺のご主人様も同然。
どんな無体な事をしても許される。
だって、現時点では俺に支払い能力はなく。
とても借金を返す事など出来ないのだから。
誠に肩をがっ、と掴まれて動転していると。
でも、彼は俺の事を心配しているのだと分かった。
外だというのに、ペタペタと体中を触って来る。
いたわるような気遣うような触り方がこそばゆい。
やだ、と言ってみるも返事は我慢しろ。
ヤクザ達に何かされていないか心配らしい。
指1本触れられていない事を口にするも、別段証
明が出来る訳じゃない。
嘘ついたらお仕置き、って言われてどきっとした。
なんで、俺はご主人様とか誠が言うとどきどきして
しまうんだろう。
しつけとか悪い子とか言われるとさらに、きゅんっと胸
うずいてしまってこら、と軽く頬をつねられた。

「――憐、おいで……」
「は、はい……」
「本当は怖かったんだろう? 震えてる……」
「うん……こわ、かった……でも、誠の事もう騙したく
なくて……!」
「いい子だな、憐。これからは僕がずっとお前を守る。
だから、もう怖がって生きなくていいんだ」
「誠……! ――うぅ……」
「よしよし、憐。もういいんだ……」

ふっ、と誠の声が柔らかく優しくなった。
びくっとなって俺の背が伸びるも、ぎゅっと抱きしめら
れて涙が出そうになる。
甘やかされるように背中が撫でられ、堪え切れない
涙がぽろぽろと零れた。
ぎゅっとさらに抱きしめられ、俺は本音を吐露する。
本当は凄く凄く怖かった。
でも誠をもう騙したくなかった。
守る、って誠は言ってくれた。
これからは僕が憐を守るって。
子供みたいに俺は誠にすがって泣いた。
誠はいつまでも、俺が泣き止むまで背中をさすっ
てくれていた。

「――シャワーでも浴びて来たら? 僕は『準備』が
あるから」
「じゅ、準備……!? えと……は、はい……」

なんか、怖いな……。
いや、聞くのも怖いから俺は慌てて浴室に消えた。
誠はお風呂のお湯を溜める習慣はないらしい。
立派な白いバスタブがあるのにもったいない。
でも、時間をかけすぎるのも突入されそうで怖い。
誠愛用の花の香のシャンプーやボディソープやコン
ディショナーを多用し、がしがしと洗って素早く出た。
ふかふかのタオルを誠が用意してくれていて、ほっ
として体を拭こうとしてぎくっとなる。
――服も下着も一切なくなっていた。
ゴウンゴウン、と洗濯機の回る音が聞こえる。
マジか……。
まっぱだかで出ろってか、誠さんよぉ。

「ま、誠……あの……。僕の服……」
「ああ、洗濯したよ……? これからたっぷりお仕置
きするんだから服なんていらないだろう?
僕から逃げたりしたらどうなるのか体に教え込まな
いとね? それに騙してたお仕置きの分もある」
「ひ、ひぇ……!?」
「ちょっとくすぐったいが我慢してもらおうか。
ほら、おいで憐。中へ入りなさい」
「……はい」

濡れたタオルしかなかったので、手で前を隠しながら
そろそろとリビングを覗く。
しかし、誠は涼しい顔で洗濯した事とお仕置きだから
服はいらない、とか言い放った。
恥ずかしくて嫌なはずなのに。
なんでか、誠に言われるとどきどきしてしまう。
何されるんだろう、って。
お仕置きなのに。罰なのに。
どうしても体が疼いて胸がきゅうっ、と締め付けられる。
が、中へ入った俺は愕然とした。
コンナノキイッテナイッス……。
背中とお尻の部分に穴の開いた椅子。
それを囲むようにふさふさした羽が取りつけられていた。
ま、まさかこれでくすぐる気、じゃないよな?

「ほら、そこに座りなさい。お仕置きだ」
「や、やっぱりいぃ!?」
「憐。ちゃんとお仕置きが受けられないか?」
「……う、受けられ、マス……」
「いい子だ……おいで」
「ん……」
「返事は『はい』だろ?」
「ひゃ……っ! あ……っんんん……っ。
は、はいぃ……!!」

そのまさか、だった。
羽に取り囲まれた椅子に座れ、って指で示される。
なかなか怖くて座れないでいると、じろりと誠に睨まれる。
きゅんっ、としてしまってもじもじと体を揺らす俺。
お仕置きをちゃんと受けられないのかと聞いて来るので、
思わずおずおずと受けられると答える。
いい子、だとか子供を褒めるみたいに誠が言うから。
ついこくんと小さく頷いては、お仕置きとしてお尻をこちょ
こちょとやられてしまった。
あんっ、蕾のところくすぐられないでぇ。
くすぐったいような甘く痺れるような感覚に、翻弄される
ようにびくびくしながら返事をする。
と、くすぐる手が止まってすっと離れて少し残念になった。
ぽたぽたと足の間から雫が零れているのが分かる。
恥ずかしくて恥ずかしくて。
前を隠したくなったけど、またお仕置きされそうだから
なんとか耐えて椅子に座った。

「スイッチオン!」
「ふ、ふえ……? や……っ、そ、そんな一編に動か……
やあああああーーっ!」
「可愛いよ、憐。もっと君の可愛い笑い声を聞かせてくれ」
「やっははははは! きゃっはははは! あんっ、そこやだ
ぁ! あーーっ!!」

誠がポチッと手にした小型のリモコンを操作した。
すると、羽が動作を始めて生き物のように俺めがけて殺
到し。
こちょこちょと全身をくすぐり始めた。
脇の下、足の裏、脇腹、おへそ、膝裏、膝、内股、足、手、
腕、お尻、足の間、胸の蕾やお尻の蕾、首筋、お腹。
ふわふわした羽で甘いくすぐり方で焦らされる。
普通なら感じるかもしれないが、全部の弱点をくすぐられ
ているためそんな余裕なんてない。
嬌声なんだか悲鳴なんだか泣き声なんだか、自分でもよく
分からない声を上げながら俺は泣き喚いた。
たくさん笑いながらやだやだと首を振るのに、誠はちっとも
止めてくれない。
時折、反応している胸の蕾や足の間のそれを手でいじったり。
くすぐられてるのに反応するなんていやらしい子だ、と言葉
攻めまで入る。
いや、敏感なところもくすぐられてるから当たり前じゃん!
あっ、くすぐるスピード上げんな!
やだやだやだやだぁ!
ゆ、許してもう許して……ひぎゃーーっ!!

「……ぅ。はぁ……はぁ……うぅ」
「よしよし、お仕置きは終わり。可愛かったぞ、憐」
「……は、いぃ……」
「ははっ。折角シャワー浴びたのに無駄になっちゃ
ったな。一緒に入るかい? 憐」
「あ、えっと……お願いします」
「いい子だ……おいで」
「まことぉ」

お仕置きが終わる頃には、俺は大分ぐったりしてい
た。
誠がリモコンを操作すると、ぴたっと羽の動きが止ま
る。
ふらふらしながら椅子から降りると、誠にそっと抱き
しめられて背中を撫でられた。
その動きだけでも、びくっとなってしまう俺だ。
でも、嫌ではない。
誠が一緒にシャワー浴びるか、って言うのでこくんと
頷いた。
足の間のそれがじんじんと痺れたように反応してしま
う。
いや、痛くはないんだけどもどかしい。
じれったくて、早くいじって欲しい。
おいで、ってもっと深く抱きしめられて誠のそれと俺の
それが擦れてあっ、と声が漏れる。
――誠も、反応してくれてたんだ。
俺の痴態をじっと見ていたから、なのかな。
そのまま服を脱がされ、抱き上げられて。
裸になった誠と共に俺は浴室に入った。

「んっ!? ふぁ……っ!?」
「ここ、たっぷり洗ってやるよ。びしょびしょになっちゃった
しな」
「だ、誰のせいで……!」

「ん~? 勝手に反応したのは憐だろ?」
「きゃははっ! 今、くすぐらないでぇっ!」
「くすぐってない。洗ってるだけ」
「絶対くすぐってるうぅ!!」
「くすぐってない。念入りに洗ってるだけだ」
(う、嘘つきーーっ!! 誠の馬鹿ぁっ)

誠の家にはスポンジ的な物がない。
自分で洗う時は感じたりなんてしないのに。
誠に足の間をくすぐられるように洗われると、つい
体が反応して自身が立ち上がってしまう。
言葉攻めのようにびしょびしょだからとか言って来る
けど、俺が反応しちゃってるのも感じてるのも。
全部全部誠のせいだ。
手つきが優しすぎてくすぐったい。
笑ってしまいながらも首を振るのに、誠は止めてく
れなかった。
くすぐってない、とか言いきるけど嘘だぁ。
でもでも、くすぐったいはずなのにもう駄目。
指だけじゃ足りない。誠が欲しくなる。
焦らすようにそこだけくすぐるなよ。
誠……誠ぉ。

「おしおき、もやだぁ……誠がいい!
誠が欲しいよぉ……っ」
「仕方のないヤツだな……」
「――あっ」
「可愛い可愛い憐の願いを叶えてやるとするか」
「まことぉ……」
「おいで……たくさんイカせてやろう」
「ひゃうっ!? あーーっ!!」
「憐、愛してる……」
「ふえっ!? そ、そんな……俺なんかを……」
「なんか、っていうの禁止。憐だから好きなんだ
よ……」
「誠……誠ぉ! 俺も好き……っ!!」
「憐……っ。憐……!」
「あーーっ、誠ぉーーっ!!」

焦らされるのも愛撫されるのももじもじして嫌だ。
体が疼いて疼いてたまらず、俺は誠についねだる
ように声を上げていた。
苦笑しつつも誠が手を止める。
ちゅっ、と額にキスをしつつ俺を引き寄せた。
抱きしめられ、壁に手を突かされてお尻が憐の方
へ突き出される。
大分、焦らされたからだろうか。
初めてなのにそこはすぐに誠のそれを受け入れる。
かなり大きいそれは多少痛くはあったが、それ以上
にきゅんと中があったかい感じがして心地いい。
喘ぐように声を張り上げる俺。
たくさん突きながら誠は俺へ愛を囁いた。
これが本当の愛、なのかもしれない。
俺が今まで貰えなかった物。
貰えたと思っていたけれど両親は俺よりも保身を
選んだ。
でも、誠は私財を投げうってでも俺を買い取って
くれた。
それでも、ついつい俺は卑下するような事を言っ
てしまう。
お仕置きのように軽くだけぺしっ、と尻を叩いて
俺だから好きだって言ってくれた。
これからも、俺はそんな憐に応えて行きたい。
ずっと、俺のそばにいて。誠……。
ごめんなさい、大好き。
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