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次の日。五十嵐青年は再びフェンス越しに山羊小屋を眺めていた。
山本の姿は見られず、小屋の中で山羊が過ごしているのが小さく見えるだけだ。
足跡が近づき、五十嵐青年は足音がする方を向く。
曲がり角から、山本が歩いてくる姿が見えた。
山本からも五十嵐青年の姿が見えたようで、山本はこちらに向かって走り出した。
「ごめん遅れた!」
五十嵐青年の近くまで走ってきた山本だが、大きく息を切らすことはない。
「いや俺も思ったより早く着いたから――大丈夫です」
山本の口調に釣られ、砕けそうになった言葉を敬語に戻す。
「もしかして、買い物楽しみにしてくれてた?」
五十嵐青年の心境を知ってか知らずか、山本は無邪気に目を輝かせる。
前回の出来事など、一切気にしていない様子だ。
「いや、別に」
「えー、楽しみ過ぎて早く来たんじゃないの」
山本は、頬を膨らませ、肩を落とす。
「偶然です、偶然」
そんなだから、実年齢より幼く見られるんだろ。
昨日の会話を思い出しながら、五十嵐青年は苦笑いを浮かべた。
「何買うんですか?」
軽い足取りで1歩先を歩く山本に、五十嵐青年は訊ねる。
山本の荷物は、小さめのショルダーバッグを1つ、肩にかけただけの軽装だ。
五十嵐青年を呼ぶくらいだから、重いものやかさ張るものを購入すると思い込んでいた五十嵐は拍子抜けしていた。
「んー、夢?」
「夢?」
「それは冗談だけど」
五十嵐青年が返答に困っていると、山本は前を向いたまま、話を続ける。
「嬉しいものではあるかな。少なくとも、誰かを傷つけるようなものじゃない」
「全く分からないんですが」
「まあまあ、任せてよ」
多少の不安を感じるが、五十嵐青年に出来ることは、山本の後ろを歩くことだけだった。
住宅街をしばらく歩き、到着したのは大型の公園だった。
五十嵐青年の活動範囲とは離れていたが、有名バンドの音楽フェスティバルが開催される会場でもあり、知名度は高い公園だ。
五十嵐青年も以前、好きなバンドが出演するため、訪れたことがあった。
今は音楽フェスが開催されていないこともあり、人の姿は少ない。
「ここ!」
看板を指さし、山本は胸を張る。
「ここが目的地です!」
自信満々に五十嵐青年を振り返る山本とは対照的に、五十嵐青年の頭上には疑問符が浮かぶばかりだ。
「フェスの時に来たことあるけど、何かあるんですか」
「素敵なものがあります!」
はぐらかしたいのか、それとも無意識なのか、具体的な訪問場所は教えてくれないようだ。
五十嵐青年はただ、後ろを着いていくだけであった。
「たまには運動もいいでしょ」
「まぁ、確かに。最近身体動かしてなかったし」
話をするのは楽しいし、細かいことはいいか。
山本の話に相槌を打ちながら、意識せず、五十嵐青年の口角が上がった。
山本の姿は見られず、小屋の中で山羊が過ごしているのが小さく見えるだけだ。
足跡が近づき、五十嵐青年は足音がする方を向く。
曲がり角から、山本が歩いてくる姿が見えた。
山本からも五十嵐青年の姿が見えたようで、山本はこちらに向かって走り出した。
「ごめん遅れた!」
五十嵐青年の近くまで走ってきた山本だが、大きく息を切らすことはない。
「いや俺も思ったより早く着いたから――大丈夫です」
山本の口調に釣られ、砕けそうになった言葉を敬語に戻す。
「もしかして、買い物楽しみにしてくれてた?」
五十嵐青年の心境を知ってか知らずか、山本は無邪気に目を輝かせる。
前回の出来事など、一切気にしていない様子だ。
「いや、別に」
「えー、楽しみ過ぎて早く来たんじゃないの」
山本は、頬を膨らませ、肩を落とす。
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「んー、夢?」
「夢?」
「それは冗談だけど」
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「全く分からないんですが」
「まあまあ、任せてよ」
多少の不安を感じるが、五十嵐青年に出来ることは、山本の後ろを歩くことだけだった。
住宅街をしばらく歩き、到着したのは大型の公園だった。
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五十嵐青年はただ、後ろを着いていくだけであった。
「たまには運動もいいでしょ」
「まぁ、確かに。最近身体動かしてなかったし」
話をするのは楽しいし、細かいことはいいか。
山本の話に相槌を打ちながら、意識せず、五十嵐青年の口角が上がった。
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