16 / 23
神の子セシェンテル
しおりを挟む
慈悲の神イニアを崇める宗派の総本山、カラドリエ寺院は高い山の上にあり、空気が薄い。
よくもこんな高所にこれほどの建築物を造ったものと思う。感心するより、呆れる。
ユナ・ルーもゼルバルトも丈夫で、高山病には罹らなかった。
ただし、ユナ・ルーのほうは別の理由で倒れてしまったが。
「あ……う、ぅ……」
登山に適した竜馬の背に凭れ、胸元を掴んで苦しんでいる。
今までもだいぶ我慢していたようだが、ここへきてついに……というところだ。
それにしても、数々の痛みをものとものせぬユナ・ルーが耐えられない痛みとは、一体どのようなものだろう。
見ていると此方まで辛く、同じように胸が痛んだ。
寺院に着くとすぐに尼僧や僧侶がやってきて、ユナ・ルーを「急患だ!」と抱えていってしまった。
「こちらで少々お待ちください」
そう言われてベッドのある……おそらく病室で待たされ、現れたのが絶世の美少女だった。
(うっわ)
なんという、花のような娘。
少しくせっ毛の髪、豊かな睫毛は薄く桃色ががった銀髪であり、目の色も優しい色。
僧服を纏った姿は可憐な白い鳥のようで、一目でゼルバルトは彼女に心奪われた。
「イニアの神の子、セシェンテルでございます」
礼もそこそこにユナ・ルーの容態を見始める。
「これは……わたしの力では抑えきれません。体の中がアニムに侵食されているみたい」
「どうにかならないのか」
「苦痛を和らげることは出来ます。でも、あとは秘宝が割れないことを祈るばかりですね」
悲しそうに眉を寄せ、緩く握った拳を口元に寄せる仕草の、可憐なことはない。
ユナ・ルーのことが心配なのは確かなのに、彼女のなよやかな一挙一投足から目が離せなかった。
「秘宝が割れる条件は……」
「残念ながら、わたしには分からないのです」
申し訳ありません、と泣かれそうになると、花がしおれるようで、ゼルバルトは慌てて「貴方のせいじゃない」と否定した。
「けれど、ここにユナ・ルー様を傷つける者はおりません。
この地はイニア神に馴染むアニムが濃厚で、アチェンラ神ですらおいそれと近づけませんから。他の神様方が襲撃に来ることも不可能です。
もし、来たとしても、ここにはイニア様がいらっしゃいますから、どうぞ安心してご滞在ください」
「だが、秘宝の真相が分からないことには……」
「シエゼ=デ様もクレナノルク様もご存知ではないのです」
セシェンテルは祈るように手を組んだ。
その動作はぐさっと胸に刺さるほどゼルバルトのつぼを突いた。なんだこの娘。可愛すぎるにも程があるだろう……
彼女の治療を受け、うなされていたユナ・ルーの表情が穏やかになり、ゼルバルトの心痛も和らいだ。
「お苦しいのでしょうね……」
「何が起こっているか、分かるか?」
「体がアニムに作り変えられているのです。けれどもそれは、我々普通の神の子のようにではなく、人の身のまま少しずつ変わっています。それは想像を絶する苦痛かと」
アニムによる代謝とやらがどのようなものかイメージが湧かず、どのような苦しみかも図りかねる。
セシェンテルは遣り切れぬ面持ちで首を左右に振る。
「普通は、ただアニムに変ずるだけです。痛みなど伴いません。
けれどもユナ・ルー様は、体の中から少しずつアニムへ変じ、そのアニムが消失した部分に具現化して、そうして変わっていくのです。
ですから体の中が削られているのです。具現化によって補正されますけれど。痛みは相当なものかと」
「止めることは出来ないのか。和らげるんじゃなくて」
「わたしにはなんとも……ただ、この代謝活動は、秘宝と連結しています。秘宝とは、ユナ・ルー様の魂なのです」
「これが?」
今となっては忌々しいだけの石くれに過ぎなかったが、ユナ・ルーの魂だったとは。
そう思うと、急にいとおしいような感情が湧いた。
「正確には魂など存在しません。アチェンラ神はアニムをユナ・ルー様の精神と連結させ、その繋がったアニムを宝石として具現化なさいました。それがこの秘宝です。
ユナ・ルーさまが精神的苦痛を覚えるたびに、秘宝は崩壊し、そして代謝も進むのです」
「精神的苦痛……?」
共にいた間は、何もなかったはずだ。
せいぜい、ラハトで強姦されたくらいだろう。あとは、空間凍結のアニムノイズに敗北した時に落ち込んでいた。
だが、あれから大分経っている。
ユナディロからイニアへの旅路では、何事も起きなかった……はず。
「この地で安静になさっておられれば、現状を維持できる可能性は十分にあります」
力づけるように、セシェンテルは微笑んだ。
そうか。それならまだ……
「ゼルバルト様?」
ふらついたゼルバルトの背に手を添え、心配そうに覗きこんでくるセシェンテル。
「すまない。ちょっと疲れてたみてぇだ」
「無理もありませんわ。それに、ここは高所です。ユナ・ルー様はわたしが診ておりますから、お休みください」
お言葉に甘えさせてもらうことにする。
ユナ・ルーに関する問題で、これほど心強い味方を得たことに、ゼルバルトは脱力する思いだった。
本当に心労が溜まっていたのか、高所のためなのか、丈夫なだけが取り柄のゼルバルトが寝込んでしまった。
数日もすると、ユナ・ルーのほうが見舞いに来て、部屋に薬香を焚いてくれた。
もうすっかり彼の薬香も体に馴染む。
(癒される……)
ユナ・ルーはなんとか安定しているし、自分がつきっきりでなくとも世話をしてくれる人間もいる。病人と僧ばかりのここで、抵抗できない彼に不埒な真似をする輩もいなかろう。
それに、セシェンテルは可愛い。
ユナ・ルーには悪いとは思うが、やはり好いた惚れたは理屈ではない。
ようやく熱が引き、汗で汚れた体を寺院の浴場で清めた後、改めてセシェンテルに礼を言いに赴こうと思った。
何か気の利いたプレゼントでもあればいいのだが、ここには商店もないし、どうしたものか。
「薬香、作ってみる?」
悩むゼルバルトに提案してくれたのが、ユナ・ルーだ。
「俺でも作れんの」
「匂いに関するものは人の好き嫌いが左右して、難しいけれど、俺は彼女の好みを把握しているから」
プロの薬香師監督の元で調合するなら、問題ないと。
まず、基礎となる薬草はユナ・ルーが揃えてくれた。ありきたりに、疲労回復の効能。
「こういうのが、一番使い勝手がいい」
毎日焚くものだしな、と納得する。
そしてその薬草に合う香りの材料を、小皿に入れて並べてくれた。
「この中のものなら、好きに入れていい。どれを混ぜても良い香りになる。それに、ほんの少しの比率が香りの違いを生む。ゼルが調合した、この世でたったひとつの薬香が出来る」
素人はそれでいいが、プロの薬香師は相手が同じものを所望した時のため、レシピを記録しておくという。これをユナ・ルーはカルテと呼んでいるらしい。
乳鉢に入れてゴリゴリしていると、それだけで香りが立つ。
彼女に似合うふんわり甘ずっぱい香り。さすがプロ。わかってらっしゃる。
「けっこう楽しいな」
笑って言うと、ユナ・ルーも頷いた。
ユナ・ルーの薬香と煙香は、さっそく寺院内の僧たちや患者、信者の人気を呼び、毎日依頼が絶えないという。
「一日にこなす分量は、セシェンテルに決められている。体に障ると怒られた」
あの愛らしい少女がぷんぷんユナ・ルーを叱る姿を想像すると、胸がきゅんきゅんした。俺も、叱られたい。
平和だなあ、と顔が綻ぶのを止められない。
ゼルバルト自身、かなり長く戦場にいたし、終戦直後からはユナ・ルーのことで頭を悩ませていた。
セシェンテル及び寺院の者からは、ぜひ一生でもここに居て貰いたいと言ってくれている。ゼルバルトには寺院警護団の団長になってほしいと、切実に請われた。
ユナ・ルーもここでなら薬香師として存分に腕をふるえる。
癒しの力を持つセシェンテルがいるので、アニム化進行もひとまず安心だ。精神的苦痛が進行の理由なら、なおのこと、ここにいるほうがいい。
手製のプレゼント持参で部屋に訪ねてゆくと、セシェンテルは「きゃあ」と言って喜んだ。
「嬉しいです。さっそく使ってみてもよろしいです?」
「どうぞどうぞ」
男は、喜ぶ反応が素敵な女性に弱い。
可愛い小物や本が多いこちゃこちゃしたセシェンテルの部屋で、花香茶を飲んだ。こちらはユナ・ルー先生の力作。
「おいしい……です!」
ぷるぷる震えて溜めて溜めてにこっと笑う。もう、正直たまらん。
「今度、わたしもユナ・ルー様に調合を教わろうかしら」
「やってみたら結構楽しかったよ」
「ですよね? きっとそうですよね!? わくわくしてきちゃった」
口元を両手で覆って髪をふりふり。もう、以下略。
「お二人がいらしてから、毎日が楽しいです」
「いやこっちも。こんなに気が休まったのは数年ぶりで」
「ふふ。きっとここでは平和ぼけなさいますよ。大きな事件も滅多にはありませんから。強いて言えば、お二人がいらっしゃったことですね」
心から二人の訪問が嬉しいというように笑うセシェンテル。
けれども、ふと俯いた。
「ん、どうかしたか?」
「あ……あの」
「へ?」
「突然で、きっと驚かれると思うんですけど」
かあっと花びらのように頬を染め、セシェンテルは胸元で拳を握った。
「はじめてお会いした時から……ひと目で、ゼルバルト様のことが」
まじでか。
まさかの両一目惚れ? いやまあ、こんな山の中じゃ滅多にいないほど見た目は良いと自負しているが。
「お返事はすぐでなくてよいのです。
でも、わたしもこんな立場ですから……お付き合いとなると結婚が前提でないと許されません。ゼルバルトさま、ゆっくりでよいので、考えて頂けませんか?」
正直かなり嬉しい。
結婚と言われると少し気後れはするが、ゼルバルトとて適齢期の男。興味がなくはない。しかも、こんな花の精のような癒しの神の子と。
が……
ユナ・ルーのことが気がかりでもあった。
罪悪感まで覚えたが、そういえば「ゼルは結婚して幸せになって」とまで言われたことがあるような。それに、あいつもゼルバルトが好きと言いながら、他の男と寝ようともする。けっこう、お互い様だ。
それに、ユナ・ルーと離れる訳ではない。
たとえばセシェンテルと結婚するならユナ・ルーと離れる必要がある、というなら即お断りするが、この寺院で共に暮らすのだ。何があっても駆けつけられる距離である。
しかし、一応話はつけるべきだろう。
結婚のような一生に一度のことでもある、きちんと考えたい。
その日のところは部屋を辞して、ゼルバルトは寺院の空中庭園を散策した後、ユナ・ルーの部屋を訪ねた。
ユナ・ルーの部屋はすっかり薬草庫、作業場と化している。
彼がそれを望んだというより、依頼者の要望に応える内に、そうなってしまったという風情。
「邪魔するぜ」
もはや気心知れた仲。適当に入って、適当な場所でくつろぐ。
「どうだよ、調子は」
「なんともない」
ユナ・ルーも振り向かぬまま、カルテを覗いて作業に没頭している。
大事な話があるのだが……大事な話なだけに、忙しいようだし後にすべきか。
精神的苦痛が進行を促すという状況である、告白は慎重にいきたい。
「ゼルの顔色もいい。俺も少し安心した」
お互いがお互いに気遣いすぎて、心痛を増やしてもいたようだ。
「ここでさ、ずっと暮らさねえか」
「ゼルが言うなら」
「そうじゃなくて、お前自身の意思を聞いてんの。ジプシーは旅を住処にする人種だろ」
「もともとは定住する民族の出身だ。ジプシーとして旅をしたのも、年数はたったの六年で、あとは戦場だった。旅をしなければ死んでしまう本当のジプシーとは違う」
泳ぎ続けないと死ぬ魚のような人種だったのか、ジプシー。突き抜け過ぎだろう。
「ここにいるとゼルが幸せそうだから、俺もいたい」
ゼルバルトは苦く笑む。
本当にどこまでもゼルバルトを基準にものを考える。どれほど深く愛されているのか、分かる。
その愛を、重いと感じないでもない。
重いけれど押し付けてはこないから、息は詰まらないが。
「ひとつ聞いてもいいか?」
「なに」
「お前ってさ、俺のこと好きだろ。俺に好きになってほしくはないの」
「ないって、前にも言った」
「その理由を教えてくれないか。大事な話なんだ」
真剣に頼み込む。
ユナ・ルーは首を傾げながら、考えては作業し、考えては作業し、手が止まってしまう。
作業を諦めたのか、中断してゼルバルトの隣に腰を下ろした。
「人魚……」
「はえ?」
「人魚姫」
人面魚か何かだろうか。怖い。
だが、聞いたところ、それはユナ・ルーの故郷の世界のお伽話で、人面魚ではなく此方で言う水龍の足を持つ美しい女人とのこと。それなら美しいと分かる。
「人魚姫は一人の男を好きになって、彼に会うために人間の足を得て陸に上った。男と結ばれなければ彼女は死ぬけれど、男には好きな人がいた。人魚姫は黙って身を引き、泡になって消える」
「…………………………お前、泡になる気なの」
「俺は石鹸じゃない」
「石鹸てお前」
「俺はずっとゼルの側にいるって、指きりした。消えたり死んだりしない」
いやあ。
もちろんユナ・ルーはセシェンテルとのことを知らないが、こちらに疚しい事情があるせいか、やけにあてつけがましく聞こえてしまう。
ゼルバルトの自意識過剰だと、分かってはいるが。
「ゼルはどうして、彼女が泡になったと思う?」
「そりゃ、好きな男の幸せを願って、だろ。お前もそのタイプじゃん」
「ちがう。幸せを願うのは、そうだけど」
ユナ・ルーは様々な薬草を吊った天井を見上げる。何かものを考えるとき、いつも彼はこの仕草をした。星でも見るような仕草だ。
「彼女が泡になったのは、他にすることがなかったからだと思う」
「え? ……いやそう、か。そう、だけど。え」
本質ではあるが、斜め上のぶっとんだ回答。さすがのユナ・ルーである。
「俺も他にすることがないだけ。ゼルの幸せを願い、望みを叶える以外、俺には何もないから」
だからゼルの好きにして、と言う。
よくよく考えなくても物凄い状況だよなあ、と現実感なく腕を組む。
ユナ・ルーは各神の子に敬われるほど特別な神の子で、彼に選ばれると世界の王になると言われていて、実際彼に選ばれて。
そして今は癒しの神の子に求愛されている。
シエゼ=デも言っていたが、世界一幸運な男というのは的外れではない。ユナ・ルーの不幸のことさえ抜かせば、であるが。
なんにせよ、この分なら大丈夫そうだな、と思った。
ただ、返事は急がなくていいと言われているし、ユナ・ルーの体が安定したとはっきり実感するまで、彼に告げるのは待つ。もちろんその間に結婚などしない。
「もうひとつさ、指切りしねえか」
「あまり多いと一つ一つの効力が薄れる」
「危ない時は逃げる、俺もお前も含めた幸せだろ? 忘れたりしねえよ。特に二番目は死んでも忘れてやらねえ。
違うんだ。三番目は、俺が勝手にお前に約束してえの」
「?」
「何があっても、俺はお前を守る。約束というより、誓いみたいなもんだな」
ユナ・ルーの瞳が不安定に揺れた。
「でも……」
「でもじゃねえよ。お前だって似たようなこと約束してたじゃん。だから指切りさせろ。ほら」
「あ」
まごつくユナ・ルーの勝手に手をとって、指を絡ませた。
「歌、なんてんだっけ?」
「………」
「ユイーエルマン、嘘ついたら……ものすげえ制約ついてたよな。なんだっけ、剣まるのみ?」
「針千本」
「そうそれ。どんだけだよ千本って」
茶化すけれども、ユナ・ルーの顔は浮かない。
その様子にどきっとした。
案の定というべきか、ユナ・ルーは胸を押さえて苦しみだした。
「あ……あ、」
「誰か! セシェンテルを呼んで来てくれ!!」
やはり、まだまだ無理だ。
セシェンテルに治療を受ける、苦しみ喘ぐユナ・ルーの姿に、ゼルバルトは目元を押さえる。
なんだ。誓いがまずかったのか。
ゼルバルトがユナ・ルーを守るということは、ゼルバルトの身が危険に晒されることでもある。
ユナ・ルーはそれが怖くなったのだろう。
これは自分が悪かった、と反省する。
守る守らないなど、相手に言えば押し付けがましいではないか。誓いなど胸の内で勝手に立てて、勝手に遂行すればいい。
もし、クレナノルクの「この世で最も恐ろしいこと」が訪れたとしても……
(絶対俺も一緒にその恐ろしい事とやらを受けてやる)
それさえ乗り越えれば、ずっと側にいるとユナ・ルーは約束した。
避けられないなら、せめて半分背負ってやりたい。
それほどに、ゼルバルトにとってユナ・ルーは大切な存在だった。異性として惹かれるセシェンテルよりも。
よくもこんな高所にこれほどの建築物を造ったものと思う。感心するより、呆れる。
ユナ・ルーもゼルバルトも丈夫で、高山病には罹らなかった。
ただし、ユナ・ルーのほうは別の理由で倒れてしまったが。
「あ……う、ぅ……」
登山に適した竜馬の背に凭れ、胸元を掴んで苦しんでいる。
今までもだいぶ我慢していたようだが、ここへきてついに……というところだ。
それにしても、数々の痛みをものとものせぬユナ・ルーが耐えられない痛みとは、一体どのようなものだろう。
見ていると此方まで辛く、同じように胸が痛んだ。
寺院に着くとすぐに尼僧や僧侶がやってきて、ユナ・ルーを「急患だ!」と抱えていってしまった。
「こちらで少々お待ちください」
そう言われてベッドのある……おそらく病室で待たされ、現れたのが絶世の美少女だった。
(うっわ)
なんという、花のような娘。
少しくせっ毛の髪、豊かな睫毛は薄く桃色ががった銀髪であり、目の色も優しい色。
僧服を纏った姿は可憐な白い鳥のようで、一目でゼルバルトは彼女に心奪われた。
「イニアの神の子、セシェンテルでございます」
礼もそこそこにユナ・ルーの容態を見始める。
「これは……わたしの力では抑えきれません。体の中がアニムに侵食されているみたい」
「どうにかならないのか」
「苦痛を和らげることは出来ます。でも、あとは秘宝が割れないことを祈るばかりですね」
悲しそうに眉を寄せ、緩く握った拳を口元に寄せる仕草の、可憐なことはない。
ユナ・ルーのことが心配なのは確かなのに、彼女のなよやかな一挙一投足から目が離せなかった。
「秘宝が割れる条件は……」
「残念ながら、わたしには分からないのです」
申し訳ありません、と泣かれそうになると、花がしおれるようで、ゼルバルトは慌てて「貴方のせいじゃない」と否定した。
「けれど、ここにユナ・ルー様を傷つける者はおりません。
この地はイニア神に馴染むアニムが濃厚で、アチェンラ神ですらおいそれと近づけませんから。他の神様方が襲撃に来ることも不可能です。
もし、来たとしても、ここにはイニア様がいらっしゃいますから、どうぞ安心してご滞在ください」
「だが、秘宝の真相が分からないことには……」
「シエゼ=デ様もクレナノルク様もご存知ではないのです」
セシェンテルは祈るように手を組んだ。
その動作はぐさっと胸に刺さるほどゼルバルトのつぼを突いた。なんだこの娘。可愛すぎるにも程があるだろう……
彼女の治療を受け、うなされていたユナ・ルーの表情が穏やかになり、ゼルバルトの心痛も和らいだ。
「お苦しいのでしょうね……」
「何が起こっているか、分かるか?」
「体がアニムに作り変えられているのです。けれどもそれは、我々普通の神の子のようにではなく、人の身のまま少しずつ変わっています。それは想像を絶する苦痛かと」
アニムによる代謝とやらがどのようなものかイメージが湧かず、どのような苦しみかも図りかねる。
セシェンテルは遣り切れぬ面持ちで首を左右に振る。
「普通は、ただアニムに変ずるだけです。痛みなど伴いません。
けれどもユナ・ルー様は、体の中から少しずつアニムへ変じ、そのアニムが消失した部分に具現化して、そうして変わっていくのです。
ですから体の中が削られているのです。具現化によって補正されますけれど。痛みは相当なものかと」
「止めることは出来ないのか。和らげるんじゃなくて」
「わたしにはなんとも……ただ、この代謝活動は、秘宝と連結しています。秘宝とは、ユナ・ルー様の魂なのです」
「これが?」
今となっては忌々しいだけの石くれに過ぎなかったが、ユナ・ルーの魂だったとは。
そう思うと、急にいとおしいような感情が湧いた。
「正確には魂など存在しません。アチェンラ神はアニムをユナ・ルー様の精神と連結させ、その繋がったアニムを宝石として具現化なさいました。それがこの秘宝です。
ユナ・ルーさまが精神的苦痛を覚えるたびに、秘宝は崩壊し、そして代謝も進むのです」
「精神的苦痛……?」
共にいた間は、何もなかったはずだ。
せいぜい、ラハトで強姦されたくらいだろう。あとは、空間凍結のアニムノイズに敗北した時に落ち込んでいた。
だが、あれから大分経っている。
ユナディロからイニアへの旅路では、何事も起きなかった……はず。
「この地で安静になさっておられれば、現状を維持できる可能性は十分にあります」
力づけるように、セシェンテルは微笑んだ。
そうか。それならまだ……
「ゼルバルト様?」
ふらついたゼルバルトの背に手を添え、心配そうに覗きこんでくるセシェンテル。
「すまない。ちょっと疲れてたみてぇだ」
「無理もありませんわ。それに、ここは高所です。ユナ・ルー様はわたしが診ておりますから、お休みください」
お言葉に甘えさせてもらうことにする。
ユナ・ルーに関する問題で、これほど心強い味方を得たことに、ゼルバルトは脱力する思いだった。
本当に心労が溜まっていたのか、高所のためなのか、丈夫なだけが取り柄のゼルバルトが寝込んでしまった。
数日もすると、ユナ・ルーのほうが見舞いに来て、部屋に薬香を焚いてくれた。
もうすっかり彼の薬香も体に馴染む。
(癒される……)
ユナ・ルーはなんとか安定しているし、自分がつきっきりでなくとも世話をしてくれる人間もいる。病人と僧ばかりのここで、抵抗できない彼に不埒な真似をする輩もいなかろう。
それに、セシェンテルは可愛い。
ユナ・ルーには悪いとは思うが、やはり好いた惚れたは理屈ではない。
ようやく熱が引き、汗で汚れた体を寺院の浴場で清めた後、改めてセシェンテルに礼を言いに赴こうと思った。
何か気の利いたプレゼントでもあればいいのだが、ここには商店もないし、どうしたものか。
「薬香、作ってみる?」
悩むゼルバルトに提案してくれたのが、ユナ・ルーだ。
「俺でも作れんの」
「匂いに関するものは人の好き嫌いが左右して、難しいけれど、俺は彼女の好みを把握しているから」
プロの薬香師監督の元で調合するなら、問題ないと。
まず、基礎となる薬草はユナ・ルーが揃えてくれた。ありきたりに、疲労回復の効能。
「こういうのが、一番使い勝手がいい」
毎日焚くものだしな、と納得する。
そしてその薬草に合う香りの材料を、小皿に入れて並べてくれた。
「この中のものなら、好きに入れていい。どれを混ぜても良い香りになる。それに、ほんの少しの比率が香りの違いを生む。ゼルが調合した、この世でたったひとつの薬香が出来る」
素人はそれでいいが、プロの薬香師は相手が同じものを所望した時のため、レシピを記録しておくという。これをユナ・ルーはカルテと呼んでいるらしい。
乳鉢に入れてゴリゴリしていると、それだけで香りが立つ。
彼女に似合うふんわり甘ずっぱい香り。さすがプロ。わかってらっしゃる。
「けっこう楽しいな」
笑って言うと、ユナ・ルーも頷いた。
ユナ・ルーの薬香と煙香は、さっそく寺院内の僧たちや患者、信者の人気を呼び、毎日依頼が絶えないという。
「一日にこなす分量は、セシェンテルに決められている。体に障ると怒られた」
あの愛らしい少女がぷんぷんユナ・ルーを叱る姿を想像すると、胸がきゅんきゅんした。俺も、叱られたい。
平和だなあ、と顔が綻ぶのを止められない。
ゼルバルト自身、かなり長く戦場にいたし、終戦直後からはユナ・ルーのことで頭を悩ませていた。
セシェンテル及び寺院の者からは、ぜひ一生でもここに居て貰いたいと言ってくれている。ゼルバルトには寺院警護団の団長になってほしいと、切実に請われた。
ユナ・ルーもここでなら薬香師として存分に腕をふるえる。
癒しの力を持つセシェンテルがいるので、アニム化進行もひとまず安心だ。精神的苦痛が進行の理由なら、なおのこと、ここにいるほうがいい。
手製のプレゼント持参で部屋に訪ねてゆくと、セシェンテルは「きゃあ」と言って喜んだ。
「嬉しいです。さっそく使ってみてもよろしいです?」
「どうぞどうぞ」
男は、喜ぶ反応が素敵な女性に弱い。
可愛い小物や本が多いこちゃこちゃしたセシェンテルの部屋で、花香茶を飲んだ。こちらはユナ・ルー先生の力作。
「おいしい……です!」
ぷるぷる震えて溜めて溜めてにこっと笑う。もう、正直たまらん。
「今度、わたしもユナ・ルー様に調合を教わろうかしら」
「やってみたら結構楽しかったよ」
「ですよね? きっとそうですよね!? わくわくしてきちゃった」
口元を両手で覆って髪をふりふり。もう、以下略。
「お二人がいらしてから、毎日が楽しいです」
「いやこっちも。こんなに気が休まったのは数年ぶりで」
「ふふ。きっとここでは平和ぼけなさいますよ。大きな事件も滅多にはありませんから。強いて言えば、お二人がいらっしゃったことですね」
心から二人の訪問が嬉しいというように笑うセシェンテル。
けれども、ふと俯いた。
「ん、どうかしたか?」
「あ……あの」
「へ?」
「突然で、きっと驚かれると思うんですけど」
かあっと花びらのように頬を染め、セシェンテルは胸元で拳を握った。
「はじめてお会いした時から……ひと目で、ゼルバルト様のことが」
まじでか。
まさかの両一目惚れ? いやまあ、こんな山の中じゃ滅多にいないほど見た目は良いと自負しているが。
「お返事はすぐでなくてよいのです。
でも、わたしもこんな立場ですから……お付き合いとなると結婚が前提でないと許されません。ゼルバルトさま、ゆっくりでよいので、考えて頂けませんか?」
正直かなり嬉しい。
結婚と言われると少し気後れはするが、ゼルバルトとて適齢期の男。興味がなくはない。しかも、こんな花の精のような癒しの神の子と。
が……
ユナ・ルーのことが気がかりでもあった。
罪悪感まで覚えたが、そういえば「ゼルは結婚して幸せになって」とまで言われたことがあるような。それに、あいつもゼルバルトが好きと言いながら、他の男と寝ようともする。けっこう、お互い様だ。
それに、ユナ・ルーと離れる訳ではない。
たとえばセシェンテルと結婚するならユナ・ルーと離れる必要がある、というなら即お断りするが、この寺院で共に暮らすのだ。何があっても駆けつけられる距離である。
しかし、一応話はつけるべきだろう。
結婚のような一生に一度のことでもある、きちんと考えたい。
その日のところは部屋を辞して、ゼルバルトは寺院の空中庭園を散策した後、ユナ・ルーの部屋を訪ねた。
ユナ・ルーの部屋はすっかり薬草庫、作業場と化している。
彼がそれを望んだというより、依頼者の要望に応える内に、そうなってしまったという風情。
「邪魔するぜ」
もはや気心知れた仲。適当に入って、適当な場所でくつろぐ。
「どうだよ、調子は」
「なんともない」
ユナ・ルーも振り向かぬまま、カルテを覗いて作業に没頭している。
大事な話があるのだが……大事な話なだけに、忙しいようだし後にすべきか。
精神的苦痛が進行を促すという状況である、告白は慎重にいきたい。
「ゼルの顔色もいい。俺も少し安心した」
お互いがお互いに気遣いすぎて、心痛を増やしてもいたようだ。
「ここでさ、ずっと暮らさねえか」
「ゼルが言うなら」
「そうじゃなくて、お前自身の意思を聞いてんの。ジプシーは旅を住処にする人種だろ」
「もともとは定住する民族の出身だ。ジプシーとして旅をしたのも、年数はたったの六年で、あとは戦場だった。旅をしなければ死んでしまう本当のジプシーとは違う」
泳ぎ続けないと死ぬ魚のような人種だったのか、ジプシー。突き抜け過ぎだろう。
「ここにいるとゼルが幸せそうだから、俺もいたい」
ゼルバルトは苦く笑む。
本当にどこまでもゼルバルトを基準にものを考える。どれほど深く愛されているのか、分かる。
その愛を、重いと感じないでもない。
重いけれど押し付けてはこないから、息は詰まらないが。
「ひとつ聞いてもいいか?」
「なに」
「お前ってさ、俺のこと好きだろ。俺に好きになってほしくはないの」
「ないって、前にも言った」
「その理由を教えてくれないか。大事な話なんだ」
真剣に頼み込む。
ユナ・ルーは首を傾げながら、考えては作業し、考えては作業し、手が止まってしまう。
作業を諦めたのか、中断してゼルバルトの隣に腰を下ろした。
「人魚……」
「はえ?」
「人魚姫」
人面魚か何かだろうか。怖い。
だが、聞いたところ、それはユナ・ルーの故郷の世界のお伽話で、人面魚ではなく此方で言う水龍の足を持つ美しい女人とのこと。それなら美しいと分かる。
「人魚姫は一人の男を好きになって、彼に会うために人間の足を得て陸に上った。男と結ばれなければ彼女は死ぬけれど、男には好きな人がいた。人魚姫は黙って身を引き、泡になって消える」
「…………………………お前、泡になる気なの」
「俺は石鹸じゃない」
「石鹸てお前」
「俺はずっとゼルの側にいるって、指きりした。消えたり死んだりしない」
いやあ。
もちろんユナ・ルーはセシェンテルとのことを知らないが、こちらに疚しい事情があるせいか、やけにあてつけがましく聞こえてしまう。
ゼルバルトの自意識過剰だと、分かってはいるが。
「ゼルはどうして、彼女が泡になったと思う?」
「そりゃ、好きな男の幸せを願って、だろ。お前もそのタイプじゃん」
「ちがう。幸せを願うのは、そうだけど」
ユナ・ルーは様々な薬草を吊った天井を見上げる。何かものを考えるとき、いつも彼はこの仕草をした。星でも見るような仕草だ。
「彼女が泡になったのは、他にすることがなかったからだと思う」
「え? ……いやそう、か。そう、だけど。え」
本質ではあるが、斜め上のぶっとんだ回答。さすがのユナ・ルーである。
「俺も他にすることがないだけ。ゼルの幸せを願い、望みを叶える以外、俺には何もないから」
だからゼルの好きにして、と言う。
よくよく考えなくても物凄い状況だよなあ、と現実感なく腕を組む。
ユナ・ルーは各神の子に敬われるほど特別な神の子で、彼に選ばれると世界の王になると言われていて、実際彼に選ばれて。
そして今は癒しの神の子に求愛されている。
シエゼ=デも言っていたが、世界一幸運な男というのは的外れではない。ユナ・ルーの不幸のことさえ抜かせば、であるが。
なんにせよ、この分なら大丈夫そうだな、と思った。
ただ、返事は急がなくていいと言われているし、ユナ・ルーの体が安定したとはっきり実感するまで、彼に告げるのは待つ。もちろんその間に結婚などしない。
「もうひとつさ、指切りしねえか」
「あまり多いと一つ一つの効力が薄れる」
「危ない時は逃げる、俺もお前も含めた幸せだろ? 忘れたりしねえよ。特に二番目は死んでも忘れてやらねえ。
違うんだ。三番目は、俺が勝手にお前に約束してえの」
「?」
「何があっても、俺はお前を守る。約束というより、誓いみたいなもんだな」
ユナ・ルーの瞳が不安定に揺れた。
「でも……」
「でもじゃねえよ。お前だって似たようなこと約束してたじゃん。だから指切りさせろ。ほら」
「あ」
まごつくユナ・ルーの勝手に手をとって、指を絡ませた。
「歌、なんてんだっけ?」
「………」
「ユイーエルマン、嘘ついたら……ものすげえ制約ついてたよな。なんだっけ、剣まるのみ?」
「針千本」
「そうそれ。どんだけだよ千本って」
茶化すけれども、ユナ・ルーの顔は浮かない。
その様子にどきっとした。
案の定というべきか、ユナ・ルーは胸を押さえて苦しみだした。
「あ……あ、」
「誰か! セシェンテルを呼んで来てくれ!!」
やはり、まだまだ無理だ。
セシェンテルに治療を受ける、苦しみ喘ぐユナ・ルーの姿に、ゼルバルトは目元を押さえる。
なんだ。誓いがまずかったのか。
ゼルバルトがユナ・ルーを守るということは、ゼルバルトの身が危険に晒されることでもある。
ユナ・ルーはそれが怖くなったのだろう。
これは自分が悪かった、と反省する。
守る守らないなど、相手に言えば押し付けがましいではないか。誓いなど胸の内で勝手に立てて、勝手に遂行すればいい。
もし、クレナノルクの「この世で最も恐ろしいこと」が訪れたとしても……
(絶対俺も一緒にその恐ろしい事とやらを受けてやる)
それさえ乗り越えれば、ずっと側にいるとユナ・ルーは約束した。
避けられないなら、せめて半分背負ってやりたい。
それほどに、ゼルバルトにとってユナ・ルーは大切な存在だった。異性として惹かれるセシェンテルよりも。
11
あなたにおすすめの小説
クールな義兄の愛が重すぎる ~有能なおにいさまに次期当主の座を譲ったら、求婚されてしまいました~
槿 資紀
BL
イェント公爵令息のリエル・シャイデンは、生まれたときから虚弱体質を抱えていた。
公爵家の当主を継ぐ日まで生きていられるか分からないと、どの医師も口を揃えて言うほどだった。
そのため、リエルの代わりに当主を継ぐべく、分家筋から養子をとることになった。そうしてリエルの前に表れたのがアウレールだった。
アウレールはリエルに献身的に寄り添い、懸命の看病にあたった。
その甲斐あって、リエルは奇跡の回復を果たした。
そして、リエルは、誰よりも自分の生存を諦めなかった義兄の虜になった。
義兄は容姿も能力も完全無欠で、公爵家の次期当主として文句のつけようがない逸材だった。
そんな義兄に憧れ、その後を追って、難関の王立学院に合格を果たしたリエルだったが、入学直前のある日、現公爵の父に「跡継ぎをアウレールからお前に戻す」と告げられ――――。
完璧な義兄×虚弱受け すれ違いラブロマンス
転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした
リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。
仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!
原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!
だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。
「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」
死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?
原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に!
見どころ
・転生
・主従
・推しである原作悪役に溺愛される
・前世の経験と知識を活かす
・政治的な駆け引きとバトル要素(少し)
・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程)
・黒猫もふもふ
番外編では。
・もふもふ獣人化
・切ない裏側
・少年時代
などなど
最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
バイト先に元カレがいるんだが、どうすりゃいい?
cheeery
BL
サークルに一人暮らしと、完璧なキャンパスライフが始まった俺……広瀬 陽(ひろせ あき)
ひとつ問題があるとすれば金欠であるということだけ。
「そうだ、バイトをしよう!」
一人暮らしをしている近くのカフェでバイトをすることが決まり、初めてのバイトの日。
教育係として現れたのは……なんと高二の冬に俺を振った元カレ、三上 隼人(みかみ はやと)だった!
なんで元カレがここにいるんだよ!
俺の気持ちを弄んでフッた最低な元カレだったのに……。
「あんまり隙見せない方がいいよ。遠慮なくつけこむから」
「ねぇ、今どっちにドキドキしてる?」
なんか、俺……ずっと心臓が落ち着かねぇ!
もう一度期待したら、また傷つく?
あの時、俺たちが別れた本当の理由は──?
「そろそろ我慢の限界かも」
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
異世界転移した元コンビニ店長は、獣人騎士様に嫁入りする夢は……見ない!
めがねあざらし
BL
過労死→異世界転移→体液ヒーラー⁈
社畜すぎて魂が擦り減っていたコンビニ店長・蓮は、女神の凡ミスで異世界送りに。
もらった能力は“全言語理解”と“回復力”!
……ただし、回復スキルの発動条件は「体液経由」です⁈
キスで癒す? 舐めて治す? そんなの変態じゃん!
出会ったのは、狼耳の超絶無骨な騎士・ロナルドと、豹耳騎士・ルース。
最初は“保護対象”だったのに、気づけば戦場の最前線⁈
攻めも受けも騒がしい異世界で、蓮の安眠と尊厳は守れるのか⁉
--------------------
※現在同時掲載中の「捨てられΩ、癒しの異能で獣人将軍に囲われてます!?」の元ネタです。出しちゃった!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる