百合JKの異世界転移〜女の子だけのパーティで最強目指します!〜

綾瀬 猫

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駆け出し冒険者の章

25.武器

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 未来と愛莉が揃って部屋を出ると、ちょうど隣の部屋の住人であるリーシャとサフィーも部屋から出て来た所だった。

 目が合う未来、愛莉とリーシャ、サフィーの四人。未来と愛莉は微笑みながら朝の挨拶を口にする。


「「おはよー」」


 それに対しリーシャとサフィーは、二人の顔を見た瞬間に頬を真っ赤に染めた。そして躊躇いがちに挨拶を返す。


「お、おはようミク……アイリ………」
「ひうっ!……お、おはよう………」


 二人の挨拶を見て首を傾げる未来と愛莉。何だろう、何処か様子がおかしい。何故こちらに視線を合わせないようにしながら挨拶をするのだろうか。何故そんなにも顔を真っ赤に染めているのだろうか。
 

(あ、そっか。昨日みたいに今日も部屋の中でーーーー)


 昨日の夕食時に二人の部屋を訪ねた時の事を思い出す未来と愛莉。昨日もリーシャとサフィーは頬を紅く染めて恥ずかしそうにしていた。それはきっと、直前まで部屋の中でキスでもしていたからだと、未来も愛莉もそう確信している。つまり今も昨日と同じようにーーーー

 しかしその予想は大きく外れていた。今、リーシャとサフィーが顔を真っ赤に染めて視線すら合わせて来ないのは全く別の理由だ。
 それは昨夜、壁伝いに聞こえて来た二人の嬌声によるもの。こんなに普通の、まだあどけなさすら残る二人の美少女の口から、あんなにも淫らに乱れた声が生まれていた。その本人達を目の前にして、どうしても想像せずにはいられないリーシャとサフィー。一体どんな風にすれば、あれほど気持ち良さそうな声を上げる事が出来るのか。ただ単に、二人とも人一倍感じやすい身体なのか、それとも自分達の行為とは違うやり方で快感を得ているのか。


「えっと……朝ごはん行くんだよね?」


 視線も合わさずにモジモジとしているリーシャとサフィーを見かねて、とりあえず話を進める愛莉。


「そ、そうね……あ、うん。そうよね、朝ごはん行きましょうか……」
「んー……二人とも、そんなに気にしなくてもあたしも愛莉も平気だよ?」
「「!!?」」


 思わず飛び出した未来の言葉に衝撃を受けるリーシャとサフィー。平気とは、自分達の行為の最中の声を聞かれても平気だという意味だろうかと解釈するリーシャとサフィー。しかし未来の言う平気とはそういう意味ではなく、『恋人同士なんだからキスしててもわたしも愛莉も驚かないよ』という意味の平気だ。


「へ……平気……なの?」
「平気だよ?ね、愛莉」
「うん。恋人同士なんだから当たり前の事だと思うよ」
「「あ、当たり前!?」」


 何という大胆な発言だろうか。恋人同士なんだから、そういう行為をするのも嬌声を上げるのも、そしてその声を誰かに聞かれる事すら当たり前だと言ったのだと、そう解釈するリーシャとサフィー。
 結局、それ以上何も言えなくなってしまった二人は、朝食が終わるまで頬を染めながら恥ずかしそうにしていたのだった。



■■■



「あー、やっと新しい下着買えたぁ」
「思ってたより種類も多かったし安かったね」


 朝食後、リーシャとサフィーに案内して貰い、下着を数枚、服をとりあえず一着だけ買った未来と愛莉。下着は元の世界ほどのクオリティーは流石に無かったが、布製のショーツとしては申し分ない。この世界にゴムとかあるのかなぁと心配していた未来と愛莉だが、どうやら普通に存在するらしく、ショーツにはちゃんとゴムが使用されているのでずり落ちて来る事も無い。
 ブラジャーも、流石にカップ別とはいかないが、それなりにサイズが有り、ちゃんとワイヤーも使われているし、留め具ホックも使用されている。どうやら服飾関係だけを見れば、元の世界とそれほど文明差は無いらしい。
 つまり、生活の基本となる衣食住に関しては特に不満が無い。それだけでもこの世界での暮らしが随分と楽になるので、二人は内心で胸を撫で下ろした。


「えっと、自分達用の鞄も買ったし、魔法鞄マジックバッグ用の鞄も買ったから、これで全部かな?」


 あらかじめ買うべき物をリストアップしておいたので、買い忘れは無い筈。未来と愛莉の両手は、下着や服、鞄などが入った買い物袋で塞がっていた。そんな二人にサフィーが話し掛ける。


「それはそうと、二人とも武器はどうするの?」


 それは意外な一言。はっきり言って頭の片隅にすら無かった『武器』というキーワードだが、これから冒険者を生業とするのであれば必要になるのは必然だ。


「えっと……投擲じゃ駄目かな?」
「駄目じゃないけど……投擲ってスキルでしょ?いちいちSPを消費して戦うと、いざって時にSP空っぽで何も出来なくなるわよ」
「そうよねぇ。ミクは剣のスキルも持っているのよね?いざという時の為に攻撃手段を増やしておくのは悪い事ではないわ」


 リーシャは召喚士、サフィーは魔道士、そして愛莉は錬金術士。誰も接近戦を出来る者が居ないので、『瞬剣』という剣のスキルを持つ未来が剣を持ち、剣技をある程度会得する事はこの先を見通す上では必要不可欠だ。
 そして愛莉にとっても他人事では無い。サフィーは魔法という攻撃手段を持っているし、リーシャも攻撃系の召喚獣と契約出来れば攻撃の手段を得る事になる。そんな中で、自分一人だけ何の攻撃手段も無いとなると、確実に皆の足手まといになってしまう。遅かれ早かれ、愛莉は愛莉で何かしらの攻撃手段を会得する必要があるのだ。


「武器かぁ……やっぱりあたしは剣だよね」
「わたしは……どうすればいいんだろう……」


 未来のように運動神経がずば抜けて良い訳では無い愛莉は、自分に何が出来るだろうかと考えてみる。考えてみるが、全く何も浮かばない。


「何なら武器屋を覗いてみる?何かいい武器見つかるかもしれないし」


 サフィーの言葉に頷く未来と愛莉は、一度宿屋に戻り買った物を部屋に置き、ついでに下着と服を買った物に着替えて外に出た。
 未来の服装は白い半袖のブラウスにベージュ色のベスト、そして赤いチェックのショートパンツにナチュラルブラウンのブーツ。
 愛莉は太もも丈の春色ワンピースに薄紅色の上着、黒いハイニーソとブーツは未来とお揃いでナチュラルブラウンのブーツ。本人曰く、錬金術士っぽくゆるふわコーデにしたとの事だが、錬金術士とゆるふわがどう結びつくのか未来には分からなかった。分からなかったが、いかにもファンタジーっぽい愛莉のその服装に、胸の鼓動が激しくなる。

 そしてそのままサフィーとリーシャに案内されて武器屋へと赴く。そこには、一般的な剣や槍といった武器から、あまり見た事が無い武器まで幅広く売っていた。そのうちの一つ、一般的なロングソードを手に取る未来。


「うわぁ、本物の剣だ!思ってたより長いんだね!」
「本当だ。未来には少し大きいかも」


 ちなみにお値段は銀貨八枚。未来と愛莉の持ち金を全てかき集めても買えない。文字はまだ覚えていないが、リーシャとサフィーに教わりながら何とか数字と金の単位だけは分かるようになった。それが分からなくては買い物もろくに出来ないからだ。


「うーん……結構高いんだね」


 武器の相場など全く分からない未来と愛莉は、自分達では買えないその値段を見て肩を落とす。リーシャとサフィーも武器屋に来るのは初めてなので、剣の値段など今日初めて知ったらしい。その値段を見て顔を引き攣らせていた。
 

「何だ嬢ちゃん達、もしかして冒険者か?」


 未来と愛莉ががっくりと肩を落としていると、店の主らしき男がカウンターの奥から現れた。体格が良く、鼻の下に髭を生やした角刈りの男だった。


「うん。剣欲しかったんだけどお金足りなかった」
「ああその剣か。やめとけ、どっちにしても嬢ちゃんには長すぎて扱いづれぇよ」
「そうなの?あたしだとどれくらいの長さがいいの?」


 未来が店主に訊ねると、店主は顎に手を当てながら未来の全身を見る。そして壁に掛かっている剣を取ると、それを未来に渡した。


「ふむ、まあこんなもんか」
「あ、この剣さっきのより全然軽いね!」
「それはエストックを少し短く加工した剣だ。切れ味は悪くねぇ」
「そうなんだね。えっとお値段は………」
「それだと銀貨二枚でいいぜ」


 銀貨二枚。微妙な表情を浮かべる未来と愛莉に、リーシャが声を掛ける。


「二人とも、手持ちってどれくらいあるの?」
「大銅貨七枚……」
「同じく……」


 二人合わせて銀貨一枚と大銅貨四枚にしかならない。その答えを聞いてサフィーが「お、お金貸そっか?」と言ってくれたが、未来は「うーん……」と唸る。
 人に借りてまで、今日どうしても必要だろうか?それこそ、もっと稼いでから改めて買いに来ても問題ないのでは?そんな事を考えていた。そして愛莉にどうしようかと訊ねようとすると、愛莉は店の隅に置かれた樽をじっと見つめていた。樽には、大小様々な剣が無造作に入れられている。


「あの、あっちにあるのは何ですか?」
「ああ、ありゃあ中古の剣だ。中には刃こぼれしてたり、剣身が歪んでたり、切れ味が悪くなったりと、まあほとんど売り物にならねぇ剣だ」


 売り物にならない剣。しかし店主の言葉とは裏腹に、愛莉にはその樽の中身が宝の山に見えていたのだった。
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