百合JKの異世界転移〜女の子だけのパーティで最強目指します!〜

綾瀬 猫

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皇女との邂逅の章

158.実力者たちの密会

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 マクスウェル辺境伯の屋敷に泊まって一夜明けた今日、帝都へ向けて出発する為に屋敷の庭に集まったクローバーの五人。


「まさかみんなで行くとは思って無かったよ」


 帝都に向かうのはクローバー以外に、アルディオとクレバー、妻のリアーナ、長男フィリッツと長女メルティーナ。


「ふふふ、皇女様の成人の儀ですもの、帝国中の貴族とそのご子息、ご令嬢達が集まるわ」


 つまりこの街に住む他の貴族達も帝都に向かうという事だ。一時的に街から貴族が居なくなる。


「へ~、凄いのね……」


 元々あまり貴族が好きではないサフィーは、貴族の習わしについてはよく知らない。とは言え、エストとその家族達については昨日一日でかなり距離が縮まっていた。特に一緒に風呂に入った母のリアーナとエストの姉のメルティーナとは、もう普通に話すほどの仲にまで発展していた。


「そう言えばミクさんに聞いたのだけど、サフィーさんは貴族をあまり快くは思っていないのよね……?」


 メルティーナが少しだけ悲しそうな表情を浮かべながら、サフィーに話し掛けて来る。


「ミ~~ク~~!あんたは余計な事を………!」
「あっははは!でもほら、エストの家族の事は好きになったって昨日の夜言ってたじゃん!」
「ーーーッ!!」


 未来にいきなりバラされて、思わず赤面するサフィー。と言うか、他言しないようにと釘を刺しておく事を忘れたのが致命的だった。

 昨夜、クローバーの五人は大部屋に案内されて皆で一つの部屋で眠りについた。寝る前に皆でお喋りをしていた時に、サフィーがそんな事を言ったのである。
 ちなみに、流石にエストの実家でエッチするのもどうかという雰囲気に一度はなったのだが、あまり激しくなければ大丈夫じゃない?と未来が言い出したので、結局は控えめにエッチをしてから眠った五人。


(うう………自分の家で………)


 朝目覚めた時に自責の念に駆られたエスト。声を押し殺し、唇を唇で塞がれながらも何度も絶頂してしまった。家族に知られてしまったらと思えば思うほど、緊張で心臓が爆発しそうだったが、それが逆に快感となって全身を駆け巡った。
 唯一の救いは、誰もいつもほど激しい行為に至らなかったので、シーツなどは汚さずに済んだ事だろう。未来も愛莉もリーシャもサフィーも、変な言い方だが節度を持って行為に及んでいた。

 そして今朝、昨日母に言われた通りアンダーヘアを手入れする道具一式を渡されたエスト、メルティーナ、そして未来たち。渡された時は全員恥ずかしそうに頬を染めていた事は言うまでもない。


「そ、そうなの……?わたし達の事は……気に入ってくださったの?」
「えっと………まあその……みんないい人達だから………」
「まあ嬉しい!これからも仲良くしましょうねサフィーさん!」


 そう言ってサフィーの手を握るメルティーナ。物凄く照れながらも返事を返すサフィーを、リーシャ達が微笑ましそうに見つめていた。


「よし、じゃあ出発だ。留守を頼むぞ!」


 クレバーが屋敷の使用人たちに留守を任せる旨を伝えると、使用人たちは全員一礼をしながら「おまかせ下さいませ旦那様」と、恭しく返事をする。その光景を満足そうに見届けたクレバーが、馬車へと乗り込む。すぐにリアーナも同じ馬車に乗り込み、フィリッツとメルティーナは別の馬車に二人で乗り込む。


「よし、我々も出発しよう」


 寄り親であるマクスウェル家の者達が馬車に乗るのを見届けてから、アルディオも馬車へと乗り込む。最後に先頭を走るクローバーの馬車に五人が乗り込んだ所で、馬車がゆっくりと進み始めた。

 ここから帝都までは、盗賊の類はほとんど出ない。このバレントスの街の冒険者や、帝都の冒険者たちが目を光らせているので、帝都にほど近いこの辺りでは盗賊たちは活動出来ないのだ。なので、クローバーは全員同じ馬車に乗って移動する。


「いやー、あの荷物馬車から開放されたのは嬉しいよね!」
「うん。暑いもんねあの馬車」
「ふふ、でも貴重な体験だったわよね~」
「そう?あたしは二度とごめんよ」
「あはは……わたしも………」


 楽しく談笑しながら、馬車はいよいよ帝都を目指す。



■■■



ーー帝都アルフォリアーー



 帝国の中心に位置するこの巨大都市は、人口十万人を超える帝国一の大都市。十万人と聞くとそれほど多く聞こえないかもしれないが、この世界で十万人はかなり多い。未来と愛莉の故郷のように、世界中に何十億人と人口が居る訳ではないのだ。

 そんな帝都の更に中心、皇帝の一族が住む大宮殿の一室に、二人の男が向かい合わせに座っていた。
 一人はこの帝国の皇帝。そしてもう一人は、冒険者ギルド本部のグランドマスター。冒険者の頂点に立つ男と、この国の皇帝が小さな一室で言葉を交わす、奇妙な場面だった。


「ほう、面白そうな冒険者が現れたな」
「ええ。まだ全員十六歳。この年齢でAランクに到達したのは、冒険者ギルドの歴史を紐解いても前例がありません」


 どちらも五十代前後の壮年男性。だがグランドマスターの方は年齢よりもかなり若く見える。


「それで?わざわざ会いに来たのはその冒険者たちの事を知らせる為にか?確かに興味深い話ではあるが」
「まあ、言ってしまえばその通りなんですが………話はそれだけじゃない」
「ふむ……聞こうか」


 皇帝という身分は、決して暇では無い。それが分かっていながら自らの元を訪れたグランドマスターの要件が、凄い冒険者が現れた程度の話で終わる筈が無いのは、皇帝自らが分かっていた。


「実は……その冒険者たちは先日、とある迷宮に潜ったそうです。そしてそこで…………」


 グランドマスターが語った事実を聞き、皇帝の目が見開く。


「それは……本当の話か……?」
「現地のギルドマスター直々の手紙です。まず間違い無いでしょう」


 グランドマスターの話を聞き終えると、ふぅ……と短く息を吐く皇帝。


「ならばその者たち、一度帝都に呼ばないといかんな」


 その言葉を聞き、口端を緩めるグランドマスター。


「実はこちらに向かっているようです。名目はエルブンス伯爵の護衛。おそらくバレントスからはマクスウェル辺境伯の護衛も務めるのでしょう」
「エルブンス伯爵……というとファルディナの街の冒険者か」


 ほうっと感嘆の息を吐くグランドマスター。皇帝という激務の身でありながら、よく小さな街の領主の家名まで覚えているものだと。


「昔を思い出しますね。貴方が、その記憶力には何度も助けられた」
「古い話だ。必要な事以外は覚えておらん」


 つまり皇帝にとって、どんなに小さな街の領主でも家名を覚えているのは必要な事らしい。
 

「ははは、私なんて必要な事すら忘れてしまいますよ。その記憶力、少し分けて貰いたいものだ」
「そんな事より、いつまで敬語で話をするつもりだ?そんな間柄ではあるまい」
「いやいや、誰が聞いているか分からないですからね。皇帝に無礼な口調で話していたなんて知られたら、どんな噂をされるものか」


 わざとらしく『やれやれ』のポーズを取るグランドマスター。そんなグランドマスターを見て口端を緩める皇帝。

 かつて同じパーティを組んでいたこの二人。当時最強と呼ばれたパーティの中でも中核を担っていた二人の仲は、立場が変われど当時と何も変わらない。


「ゆっくりと酒でも飲んで昔話でもしたいところだな」
「それは貴方が皇太子殿下に皇帝の座を譲ってからでしょうね。しかしまさか……今代でを継承したのが皇太子では無かったとは……今でも驚きますね」
「まあな……こればかりは我々が決められる事では無い」


 そう言った時の皇帝の表情は、何処か辛そうな表情だった。そしてその表情の意味を知るグランドマスターもまた、やるせない気持ちで天井を見上げたのだったーーーーー

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