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皇女との邂逅の章
173.アリアットの思い
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あまりにも唐突に、帝国第一皇女のリズリットがクローバーへ加入する事が決まった。
「おめでとうリズ!こんなに素敵なパーティに決まって良かった!」
心から喜ぶのは、リズリットの兄である皇太子ファレナス。本来ならば白き竜の力を継承するのは自分の筈だったのに、その役目が妹のリズリットだと知った時から、長い間リズリットに負い目を感じていた。
ならばせめて、妹が楽しく冒険出来る素敵なパーティが見つかって欲しいと、リズリットの成人が近づく毎に強く願っていた。そしてたった今、才能に満ち溢れた美少女達が集まった素晴らしいパーティへの加入が決まった。兄として、これほど嬉しい事は無かった。
「あ、ありがとうございますお兄様。ですけどお父様、今さらですけどツヴァイフェッターの方々は良かったのでしょうか……?」
常日頃から父には、加入するパーティはAランクの強いパーティにしなさいと言われ続けて来た。強いパーティと言えば、その最たるが現在帝国で最強のパーティであるツヴァイフェッターだ。当然父も、ツヴァイフェッターに入る事を望んでいると思っていたのだがーーーーー
「私はツヴァイフェッターに入りなさいとは一言も言っていない。Aランクの強いパーティと言ったのは、もちろんリズが苦労しないが為の言であったのだが……これだけ運命をまざまざと見せつけられてはな」
とは言え、クローバーも既にAランクパーティだ。流石にこじつけ過ぎかもしれないが、今の時点でクローバーがAランクパーティなのも運命の一貫なのかもしれないと、アルベルトは思う。
「確かにツヴァイフェッターは強い。あの強さはかつての我ら、プリュフォールに比肩し得るかもしれん。其方達クローバーの実力を見た事は無いが、感じる威圧感だけで語らせて貰えばツヴァイフェッターの方がずっと上だろう」
アルベルトの言葉に、悔しさを滲ませる者は誰も居なかった。この広い帝国で、自分達よりも強い者など大勢居るだろう事を理解しているからだ。オルガノフ然り、マディアス然り、そして目の前のアルベルト然り。
「だが強さだけでは死霊王には勝てぬ。互いに信頼し合い、心を通わせ、一つの目標に全員で突き進む意志が無ければ死霊王打倒は叶わぬ。それに如何にツヴァイフェッターが強かろうと、彼らに『アルテナの加護』は施されておらん」
ガタッと椅子を引き、同時に立ち上がる未来と愛莉。アルテナの加護とは、死霊王の攻撃を無効化してくれた謎の光の名前。おそらくこの世界に連れて来られた際に、アルテナに直接付与された力。
「何処でその名前を!?」
「ふむ、これも事実なのか。アルテナの加護についても旧暦封書に記されている。其方達がこれから死霊王討伐に向かう上で、差し当たって成すべき事はSランクへとランクアップする事だ。旧暦封書の内容を其方達に直接語る事は出来ぬ。ならばその目で実際に読み、何をするべきかを六人で決める事こそが、死霊王へと至る道の足掛かりとなろう」
沈黙するクローバーの六人。Sランクへ上がる為の条件とは、六ツ星モンスターを五体討伐するか、『災厄』と呼ばれる七ツ星モンスターを一体討伐する事。どちらも言うが易し行うが難しである。
だがアルベルトの言う通り、おそらくそれが最短の道。どれぐらいの時間が掛かるのかは想像も出来ないが、やるしか無いのが現状だ。
「さて、我らはそろそろ退席しよう。新たなメンバーが加わった新生クローバー、六人で積もる話もあろう」
「お父様?」
「リズよ、今日はもう祝宴には戻らなくて良い。こちらで何とか貴族達を宥めよう」
そう言うなり、アルベルトが立ち上がる。と同時に皇后エリーシア、皇太子ファレナス、そして最後に第二皇女アリアットが渋々立ち上がる。その表情は如何にも仏頂面で、不機嫌そうな視線をクローバーに向ける。その中で、白い髪の少女の所で視線が止まった。
「エスト様、少々お時間宜しいでしょうか?」
「あ、は、はいアリアット殿下!」
「アリア?エストお姉様に何をーーー」
「うふふ、すこーしだけエスト様をお借りしますねお姉様」
顔は笑っているが、目は笑っていない。エストは戦々恐々としながらも、黙ってアリアットの後に着いて部屋を出た。
部屋に残されたのは、未来、愛莉、リーシャ、サフィー、そしてリズリット。リズリットにしてみれば、今日初対面の少女達の中に、一人だけ取り残された状況だ。
「えっと………」
緊張した面持ちで、何とか口を開こうとするリズリットだった。
■■■
部屋を出たエストとアリアット。時を同じくして部屋を出たアルベルトとエリーシア、ファレナスの三人は一言二言エストに声を掛け、やがて祝宴の場へと戻って行った。つまり現在は二人きりである。
「えっと……アリアット殿下、何かお話がーーー」
「率直に言って、わたしは貴女が嫌いです」
「………え………ええ!?」
何と言う事だろう。開口一番、はっきり「嫌い」だと言われてしまった。
思わず狼狽えてしまうエスト。何故?何故嫌われているの?何かアリアット殿下に嫌われるような言動をしてしまっただろうか?そんな考えが頭の中を駆け巡る。
「で、殿下!?わ、わたし何か粗相でもーーー」
「貴女ばっかりお姉様に好かれて………わたしはお姉様の事が大好きなのに……」
「え……?」
「知ってますか?まあ知らないでしょうけど。お姉様ったら毎日毎日、来る日も来る日も貴女の話ばかりするんですよ?」
それはもちろん初耳だった。だが何故だろう。何故リズリットはエストの話ばかりするのだろう。エスト本人にはその理由が分からない。
「しかも同じ話ばかりですよ!?もう耳にタコが出来るくらい聞かされてます!わたしだけじゃなくて、お父様にもお母様にもお兄様にも!あまつさえメイドや兵士にまでもですよ!?」
何ということでしょう。あの聡明で麗しいリズリットが、何やら奇怪な行動を取っているのです。
アリアットからそんな事実を聞かされたエストは思わず頬を染める。何故?何故そんなにもわたしの話を!?と言うか、一体どんな内容の話なのかが物凄く気になる。
「あの……差し支え無ければお話の内容をお聞きしても………」
「嫌です。そんなの……直接本人から聞いてください」
「うぅ…………」
ピシャリと断られて項垂れるエスト。どうやらこの様子だと、本当に嫌われているらしい。
「とにかく、お姉様の貴女への愛情は物凄いんですよ!」
「あ、愛情!?」
ボッと顔が真っ赤に染まるエスト。違う、そんな筈はない。あの超絶美少女のリズリットに限って、こんな地味な女に愛情を抱くなど有り得ない。と言うより、リズリットが同姓愛者だとも思えない。
「あの……それは愛情ではなく友情なのでは……」
皇女相手に友人というのも恐れ多いが、考えられるとしたらそちらの可能性だ。年も近かったし、幼い頃から仲良くさせて貰っていたからだ。だがエストの発言に対してアリアットはぶんぶんと首を横に振る。
「絶対に違います!友人の事を話すのに、あんなにうっとりした表情を浮かべますか!?浮かべませんよ普通!」
うっとりした表情を浮かべているらしい。これはもう何て言うか………そういう事なのかもしれない。
「貴女はどうなんですか!?お慕いしている殿方とか居るんですか!?」
「な、ななな……い、居ません!!」
強く憧れて、密かに想っている女性なら四人ほど居るが、決まった者は居ない。そもそも殿方に対して今さらそういう感情は抱けない。もはや自分は完全に同姓愛者なのだから。
「だったら……!だったら………」
今までの勢いは何処へ行ったのか、急に力無く立ち尽くすアリアット。そしてそのままエストの胸に、自分の額をポスッとくっつけた。
「アリアット殿下………?」
「正直……殿方の居るパーティよりも……女性しか居ない貴女達のパーティに入ってくれた方が安心出来ます……長い年月冒険者活動するんですから……ま、間違いが無いとも言い切れませんし……」
確かアリアットはまだ十二歳だった筈。それなのにもうそういう知識があるのだなと、何だか少し複雑になるエスト。
「でも……それは逆にこれからずっと貴女とお姉様は一緒って事………ッ!そんなの……お姉様はもっともっと貴女に好意を抱いてしまうじゃない………そしたらわたしは……わたしの事なんて忘れて………うぅ……」
アリアットの小さな身体が、小刻みに震えている。そんなアリアットを見て、エストはようやく彼女の本心に気付いた。
心配なのだ、大好きな姉を誰かに取られてしまうかもしれない、それが堪らなく寂しくて怖いのだ。
「アリアット殿下………」
小さな身体を包み込むように、エストはアリアットを優しく抱きしめる。そして出来るだけ優しい声で、アリアットを諭すように言葉を紡いだ。
「大丈夫ですよアリアット殿下。仮に殿下の仰っしゃる通り、リズリット殿下が……その……わたしの事を想っていても、アリアット殿下に対するリズリット殿下の気持ちは一切変わりませんから」
ゆっくりと、泣き腫らした大きな目でエストを見上げるアリアット。こうして見ると、幼い頃のリズリットに瓜二つだ。
「リズリット殿下は誰よりもアリアット殿下の事を愛しています。アリアット殿下がお産まれになった時の、とても嬉しそうなリズリット殿下の顔を……わたしは生涯忘れません」
「……本当に?お姉様……そんなに嬉しそうな顔をしていたの?」
「はい。それに、アリアット殿下がお産まれになってからは、リズリット殿下にお会いする度にアリアット殿下の話をたくさんされました。それこそ……耳にタコが出来るくらい」
一瞬呆けた表情を浮かべるアリアットだが、次の瞬間にはクスクスと笑い出した。釣られてエストも肩を震わせる。
そんなエストに、今度はアリアットが両手をいっぱいに広げて抱きつく。母と姉以外で誰かに抱きついたのは、これが初めてだった。
「お姉様の事………宜しくお願いします」
抱きついて来たアリアットの頭に自分の頬を乗せ、エストは「はい」と答えたのだったーーーーーー
「おめでとうリズ!こんなに素敵なパーティに決まって良かった!」
心から喜ぶのは、リズリットの兄である皇太子ファレナス。本来ならば白き竜の力を継承するのは自分の筈だったのに、その役目が妹のリズリットだと知った時から、長い間リズリットに負い目を感じていた。
ならばせめて、妹が楽しく冒険出来る素敵なパーティが見つかって欲しいと、リズリットの成人が近づく毎に強く願っていた。そしてたった今、才能に満ち溢れた美少女達が集まった素晴らしいパーティへの加入が決まった。兄として、これほど嬉しい事は無かった。
「あ、ありがとうございますお兄様。ですけどお父様、今さらですけどツヴァイフェッターの方々は良かったのでしょうか……?」
常日頃から父には、加入するパーティはAランクの強いパーティにしなさいと言われ続けて来た。強いパーティと言えば、その最たるが現在帝国で最強のパーティであるツヴァイフェッターだ。当然父も、ツヴァイフェッターに入る事を望んでいると思っていたのだがーーーーー
「私はツヴァイフェッターに入りなさいとは一言も言っていない。Aランクの強いパーティと言ったのは、もちろんリズが苦労しないが為の言であったのだが……これだけ運命をまざまざと見せつけられてはな」
とは言え、クローバーも既にAランクパーティだ。流石にこじつけ過ぎかもしれないが、今の時点でクローバーがAランクパーティなのも運命の一貫なのかもしれないと、アルベルトは思う。
「確かにツヴァイフェッターは強い。あの強さはかつての我ら、プリュフォールに比肩し得るかもしれん。其方達クローバーの実力を見た事は無いが、感じる威圧感だけで語らせて貰えばツヴァイフェッターの方がずっと上だろう」
アルベルトの言葉に、悔しさを滲ませる者は誰も居なかった。この広い帝国で、自分達よりも強い者など大勢居るだろう事を理解しているからだ。オルガノフ然り、マディアス然り、そして目の前のアルベルト然り。
「だが強さだけでは死霊王には勝てぬ。互いに信頼し合い、心を通わせ、一つの目標に全員で突き進む意志が無ければ死霊王打倒は叶わぬ。それに如何にツヴァイフェッターが強かろうと、彼らに『アルテナの加護』は施されておらん」
ガタッと椅子を引き、同時に立ち上がる未来と愛莉。アルテナの加護とは、死霊王の攻撃を無効化してくれた謎の光の名前。おそらくこの世界に連れて来られた際に、アルテナに直接付与された力。
「何処でその名前を!?」
「ふむ、これも事実なのか。アルテナの加護についても旧暦封書に記されている。其方達がこれから死霊王討伐に向かう上で、差し当たって成すべき事はSランクへとランクアップする事だ。旧暦封書の内容を其方達に直接語る事は出来ぬ。ならばその目で実際に読み、何をするべきかを六人で決める事こそが、死霊王へと至る道の足掛かりとなろう」
沈黙するクローバーの六人。Sランクへ上がる為の条件とは、六ツ星モンスターを五体討伐するか、『災厄』と呼ばれる七ツ星モンスターを一体討伐する事。どちらも言うが易し行うが難しである。
だがアルベルトの言う通り、おそらくそれが最短の道。どれぐらいの時間が掛かるのかは想像も出来ないが、やるしか無いのが現状だ。
「さて、我らはそろそろ退席しよう。新たなメンバーが加わった新生クローバー、六人で積もる話もあろう」
「お父様?」
「リズよ、今日はもう祝宴には戻らなくて良い。こちらで何とか貴族達を宥めよう」
そう言うなり、アルベルトが立ち上がる。と同時に皇后エリーシア、皇太子ファレナス、そして最後に第二皇女アリアットが渋々立ち上がる。その表情は如何にも仏頂面で、不機嫌そうな視線をクローバーに向ける。その中で、白い髪の少女の所で視線が止まった。
「エスト様、少々お時間宜しいでしょうか?」
「あ、は、はいアリアット殿下!」
「アリア?エストお姉様に何をーーー」
「うふふ、すこーしだけエスト様をお借りしますねお姉様」
顔は笑っているが、目は笑っていない。エストは戦々恐々としながらも、黙ってアリアットの後に着いて部屋を出た。
部屋に残されたのは、未来、愛莉、リーシャ、サフィー、そしてリズリット。リズリットにしてみれば、今日初対面の少女達の中に、一人だけ取り残された状況だ。
「えっと………」
緊張した面持ちで、何とか口を開こうとするリズリットだった。
■■■
部屋を出たエストとアリアット。時を同じくして部屋を出たアルベルトとエリーシア、ファレナスの三人は一言二言エストに声を掛け、やがて祝宴の場へと戻って行った。つまり現在は二人きりである。
「えっと……アリアット殿下、何かお話がーーー」
「率直に言って、わたしは貴女が嫌いです」
「………え………ええ!?」
何と言う事だろう。開口一番、はっきり「嫌い」だと言われてしまった。
思わず狼狽えてしまうエスト。何故?何故嫌われているの?何かアリアット殿下に嫌われるような言動をしてしまっただろうか?そんな考えが頭の中を駆け巡る。
「で、殿下!?わ、わたし何か粗相でもーーー」
「貴女ばっかりお姉様に好かれて………わたしはお姉様の事が大好きなのに……」
「え……?」
「知ってますか?まあ知らないでしょうけど。お姉様ったら毎日毎日、来る日も来る日も貴女の話ばかりするんですよ?」
それはもちろん初耳だった。だが何故だろう。何故リズリットはエストの話ばかりするのだろう。エスト本人にはその理由が分からない。
「しかも同じ話ばかりですよ!?もう耳にタコが出来るくらい聞かされてます!わたしだけじゃなくて、お父様にもお母様にもお兄様にも!あまつさえメイドや兵士にまでもですよ!?」
何ということでしょう。あの聡明で麗しいリズリットが、何やら奇怪な行動を取っているのです。
アリアットからそんな事実を聞かされたエストは思わず頬を染める。何故?何故そんなにもわたしの話を!?と言うか、一体どんな内容の話なのかが物凄く気になる。
「あの……差し支え無ければお話の内容をお聞きしても………」
「嫌です。そんなの……直接本人から聞いてください」
「うぅ…………」
ピシャリと断られて項垂れるエスト。どうやらこの様子だと、本当に嫌われているらしい。
「とにかく、お姉様の貴女への愛情は物凄いんですよ!」
「あ、愛情!?」
ボッと顔が真っ赤に染まるエスト。違う、そんな筈はない。あの超絶美少女のリズリットに限って、こんな地味な女に愛情を抱くなど有り得ない。と言うより、リズリットが同姓愛者だとも思えない。
「あの……それは愛情ではなく友情なのでは……」
皇女相手に友人というのも恐れ多いが、考えられるとしたらそちらの可能性だ。年も近かったし、幼い頃から仲良くさせて貰っていたからだ。だがエストの発言に対してアリアットはぶんぶんと首を横に振る。
「絶対に違います!友人の事を話すのに、あんなにうっとりした表情を浮かべますか!?浮かべませんよ普通!」
うっとりした表情を浮かべているらしい。これはもう何て言うか………そういう事なのかもしれない。
「貴女はどうなんですか!?お慕いしている殿方とか居るんですか!?」
「な、ななな……い、居ません!!」
強く憧れて、密かに想っている女性なら四人ほど居るが、決まった者は居ない。そもそも殿方に対して今さらそういう感情は抱けない。もはや自分は完全に同姓愛者なのだから。
「だったら……!だったら………」
今までの勢いは何処へ行ったのか、急に力無く立ち尽くすアリアット。そしてそのままエストの胸に、自分の額をポスッとくっつけた。
「アリアット殿下………?」
「正直……殿方の居るパーティよりも……女性しか居ない貴女達のパーティに入ってくれた方が安心出来ます……長い年月冒険者活動するんですから……ま、間違いが無いとも言い切れませんし……」
確かアリアットはまだ十二歳だった筈。それなのにもうそういう知識があるのだなと、何だか少し複雑になるエスト。
「でも……それは逆にこれからずっと貴女とお姉様は一緒って事………ッ!そんなの……お姉様はもっともっと貴女に好意を抱いてしまうじゃない………そしたらわたしは……わたしの事なんて忘れて………うぅ……」
アリアットの小さな身体が、小刻みに震えている。そんなアリアットを見て、エストはようやく彼女の本心に気付いた。
心配なのだ、大好きな姉を誰かに取られてしまうかもしれない、それが堪らなく寂しくて怖いのだ。
「アリアット殿下………」
小さな身体を包み込むように、エストはアリアットを優しく抱きしめる。そして出来るだけ優しい声で、アリアットを諭すように言葉を紡いだ。
「大丈夫ですよアリアット殿下。仮に殿下の仰っしゃる通り、リズリット殿下が……その……わたしの事を想っていても、アリアット殿下に対するリズリット殿下の気持ちは一切変わりませんから」
ゆっくりと、泣き腫らした大きな目でエストを見上げるアリアット。こうして見ると、幼い頃のリズリットに瓜二つだ。
「リズリット殿下は誰よりもアリアット殿下の事を愛しています。アリアット殿下がお産まれになった時の、とても嬉しそうなリズリット殿下の顔を……わたしは生涯忘れません」
「……本当に?お姉様……そんなに嬉しそうな顔をしていたの?」
「はい。それに、アリアット殿下がお産まれになってからは、リズリット殿下にお会いする度にアリアット殿下の話をたくさんされました。それこそ……耳にタコが出来るくらい」
一瞬呆けた表情を浮かべるアリアットだが、次の瞬間にはクスクスと笑い出した。釣られてエストも肩を震わせる。
そんなエストに、今度はアリアットが両手をいっぱいに広げて抱きつく。母と姉以外で誰かに抱きついたのは、これが初めてだった。
「お姉様の事………宜しくお願いします」
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