百合JKの異世界転移〜女の子だけのパーティで最強目指します!〜

綾瀬 猫

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帝国激震の章

239.集結

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「飛翔斬!!」
「月閃刃!」
爆発エクスプロジオン!!」


 未来、愛莉、サフィーの三人による怒涛の攻撃が続いていた。
 先ほどから三人が狙うのは、事前に未来とサフィーの攻撃で深く抉られた黒き竜の胸の部分。その体内には、死霊王が埋め込んだ『核』が必ず存在する筈で、その核を破壊しない限り、いくらダメージを与えても倒す事は叶わない。

 それはかつて、カルズバール迷宮にて同じく死霊王の傀儡と化したリザードキングと戦った未来達なら、当然知っている事。
 核を破壊しない限り、ダメージを負わせた身体は再生してしまう。事実、リズが与えた背中の傷は、徐々にだが塞がりつつあった。


「身体デッカいからめっちゃ大変!!」


 そう、一口に核を破壊と言っても、何せこの巨体である。先ずは見つけるだけでも相当な苦労を強いられるのだが、彼女達にとって幸いなのは黒き竜の攻撃は単調で、先ほどのような竜魔法は使用して来ず、ブレスとサフィーに向けて放って来た高エネルギー砲のみ。
 もちろん、高エネルギー砲【滅光灰燼閃】は当たれば塵も残らない程の威力であるが、両目を未来と愛莉に奪われ相手の位置を正確に把握出来ない今の黒き竜では、何処を狙えば良いのかも分からない。
 なので黒き竜は、先ほど使用した竜魔法【黒死翼】や【隕石落下メテオ】などの、広範囲殲滅攻撃を放つ必要があるのだが、先ほどから一向に竜魔法を使用する気配は無い。


「さっきのあのヤバい攻撃して来ないから助かるわね!でも次撃たれたら流石にこっちがヤバいわよね」


 何故か沈黙している今のうちに、何とか倒しきってしまいたいとはサフィーの素直な気持ちだ。またいつ竜魔法が来るのかと、心の中は決して穏やかではない。だが、そんな不安を抱えるサフィーに、愛莉が確信を持って言い放つ。


「して来ないんじゃなくて、もう撃てないんだよ」


 ーーーと。


 そう、愛莉の鑑定眼には全て映り込んでいた。



『黒き竜(死霊系モンスター)Lv130
 SP:2857/45876 MP457/36891』


 黒き竜の残りMPが457しか無い。もちろんこの数字は人間であれば、まだまだ中級魔法を何発も撃てる残量である。
 しかし強力な竜魔法は、消費MPも莫大である。クローバー、ツヴァイフェッターの両パーティに放った【黒死翼】は消費1200MP。あの【隕石落下メテオ】は、何と消費3000MPである。

 だが、黒き竜の最大MPは16891。その程度で枯渇する筈など無いのだが、その理由は黒き竜が既に生命活動を終えていると言う点である。
 MPやSPが自然回復するのは、あくまでである。つまり死霊王に殺され、その肉体を傀儡として操られている黒き竜の場合、命を失った時のMPが最大値であり、その後失ったMPが回復する事は無い。

 死霊王との熾烈な戦いで大量のMPを消費し、十五年前にはプリュフォール相手にもMPを消費している。
 そして今日、ツヴァイフェッターに竜魔法【黒死翼】、クローバーに【隕石落下メテオ】と【黒死翼】を放ち、黒き竜の膨大なMPは遂に枯渇してしまった。

 そう、先ほど皇帝アルベルトは挑むだけ無駄だったと言ったが、そんな事は無かったのだ。
 十五年前に、プリュフォールが黒き竜に竜魔法を使用させたから、先ほどツヴァイフェッターが黒き竜に竜魔法を使用させたから、その膨大なMPが底を突いたのだ。
 どの戦いも無駄では無かった。意味が無い事など無かった。先人が、先達が、大きな代償を払って今のこの状況を作った。
 人間には不可能である筈の黒き竜の討伐、だがクローバーが黒き竜に勝てるかもしれない今の状況を作った道程に、間違い無くプリュフォールもツヴァイフェッターも存在しているのである。


「つまりMP切れって事?」
「うん。SPはまだ残ってるからブレスとか、あのメ○フレアみたいなレーザー攻撃はして来ると思うけど、さっきの竜魔法はもう撃てない筈だよ」
「メガフ○ア?」


 愛莉の言った単語の意味が分からないサフィーだが、今はそれどころでは無い。
 しかしもう、あの強烈過ぎる竜魔法が来ないのであれば、後は削るだけだ。そう楽観的な思考に移ると同時に、黒き竜が尾を地面に抉るように叩きつける。
 抉られた地面は無数の砕岩を発生させ、それは少し離れた愛莉とサフィーを襲う。


「えーーーー」


 突然目の前に迫る複数の巨岩。完全に油断していたのか、愛莉もサフィーも全く反応出来ない。しかも未来は、自分に襲い掛かって来た巨岩を咄嗟に短距離転移ショートワープで躱すのに精一杯で、愛莉とサフィーを連れて逃げるタイミングを失ってしまった。


「ぁ……………」


 もう魔法も間に合わない。愛莉の円月輪も間に合わない。
 二人の頭を過ぎったのは、レベル70のこの身体で、あの巨岩にどの程度耐えられるだろうかという思い。流石に死ぬ事は無いと思いたいが、耐えられたとしても五体満足ではいられない。
 

(未来……ごめん……)


 目の前に迫る巨岩を呆然と見つめながら、愛莉が心の中で未来に詫びる。ここで自分とサフィーが離脱するという事は、この先は未来が一人で戦わなくてはならない。
 もちろん未来ならば、最終的には何とかしてくれると信じている。信じているが、未来一人に負担を掛けるのは当然だが愛莉の本意ではない。なのにーーーー


「岩砕槍!」


 巨岩が愛莉とサフィーに接触する直前で、巨岩が突然粉々に砕け散った。砕けた破片が二人の身体に当たるが、ダメージはほとんど無い。
 そんな二人の前に颯爽と現れたのは、神々しい竜の化身へと姿を変えた帝国一の美少女。白く輝く槍を構え、後ろの二人に声を掛ける。


「二人とも平気?遅れてごめんなさい」
「リズ……」
「ちょ……大丈夫なのリズ!?」


 先ほどまでMPが枯渇して動けなくなっていたリズが、再び戦闘へと舞い戻って来た。マジックポーションを飲んで少しMPが回復したらしく、MP枯渇による脱力感はだいぶ治まったらしい。
 

「うん。MPが無くなるとあんな状態になるんだね」


 普段はMPなどあまり使う機会の無いリズは、MPが完全に枯渇したのは今回が生まれて初めての経験だった。しかし少し回復すれば症状は治まるし、元々SPも体力もまだまだ残っているので戦闘継続は可能だった。
 
 その時、黒き竜が再びその強靭な尾で地面を穿つ。すると再び、大小様々な大きさの石や岩が、まるで散弾銃のように愛莉達に襲い掛かる。目が見えないのに、ある程度正確に攻撃して来るのは、愛莉達の声を拾っているからだ。視力は失っても聴力は生きている。


「はあぁぁ!!」


 愛莉とサフィーを護るように槍を振るうリズだが、岩礫の数が多い。一人では対処し切れないと焦る気持ちを抱いた時ーーーーー


魔光射サジタリウス!」


 エストの弓スキル【魔光射サジタリウス】が、岩礫を破壊してゆく。どうやらエストも、マジックポーションを飲んでMP枯渇症状が和らいだらしく、弓を番えて参戦である。さらにーーーーー


鎌鼬カマイタチ


 リーシャの召喚獣『風鼬キュウ』が、風のスキルで岩礫を切り刻む。リーシャのMP残量も残りが少ないので、エクストラスキルの『召喚獣神化』は使用出来ない。なので風鼬キュウの攻撃では黒き竜にダメージを与えられないが、飛んで来る岩礫を切り刻むぐらいは訳ない。
 そこへ、未来が短距離転移ショートワープで戻って来る。


「みんな揃ったね!」
「うん。頼もしいよね」
「ふふ、やっぱりみんな凄いわよね~」
「リーシャもでしょ」
「うん。全員が凄いと思う」
「そうね、誰一人欠けても駄目だと思うわ」


 目の前には、まるで山のような大きさにすら感じる威圧感を放つ、伝説の黒き竜。だがそんな伝説の存在が相手でも、今の少女達にはもはや脅威では無い。


「完全に勝ちパターンでしょ」
「そう思うよ」
「それじゃあ……一気に決めるわよみんな!!」


 そして少女達は駆ける。黒き竜の魂を死霊王の呪縛から解き放つ為に。

 そして、帝都を護る為にーーーーー


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