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最終章
285.助けて
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気が付くと、目の前が真っ暗だった。
それはどれくらいの時間そうだったのか、まだほんの一瞬なのか、もう何年もそうなのか、時間の感覚が酷く曖昧だった。
身体の感覚は何となくある。手のひらには槍を握っている感覚もあるし、何かしらの手応えみたいなのも残っている。
そうだ、わたしは遂に、死霊王に一撃食らわせる事が出来たんだ。この手応えみたいな感触は、きっとその時のもの。
でも、それはどれくらい前だったのだろうか。ほんの少し前の事だったのか、それともずっと以前の事だったのか、何故か時間の感覚だけが覚束ない。
そもそも、今のわたしはどういう状況?そしてここは何処?何故こんな何も見えない暗闇の中に置かれているの?死霊王はどうなったの?
死霊王……死霊王!そうだ、わたしはこんな事をしている暇なんて無い!死霊王を、もう少しで倒せそうなのに、こんな場所でーーーーー
身体が……動かない。何故……?身体の感覚はあるのに、手も足も首も腰も、指先ですら僅かに動かす事も出来ない。
どうして……動かないの?行かないといけないのに、動かさないといけないのに!
動け動け動け動け動け動け動け動け動け!!
お願い、動いてわたしの身体!!早く行かないといけないの!いつまでもこんな所に居る訳にはーーーーー
「死ねよ」
「殺してやる」
「消えちまえ」
「やめて!」
「お願い……助け……」
「憎い憎い憎い……」
「イヤァァァーーッ!!」
「あっ……んあっ!!」
「ぎゃあぁぁぁぁぁーーーーッ!!」
突如としてわたしの耳に届く、怖気の立つような不快な声。
怨み、妬み、蔑み、叫び、喘ぎ、慟哭、断末魔。
それはどんどん膨れ上がって、この暗闇全体に溢れてゆく。まるでこの暗闇全体が声であるかのように、わたしの耳に、全身に突き刺さって来る。わたしの脳に次々に入り込んで来る。
駄目!この声を聞いていては駄目!早く耳を塞がないと!
なのに、わたしの身体はピクリとも動かない。早く耳を塞がないといけないのに。
「お前が悪いんだ!」
「もうやめて……助けて」
「はぁはぁ……気持ちいいだろ?」
「い……やぁ……もう許して……」
「お父さんやめて!来ないで!」
「腹が減ったんだ……もうお前を■して■うしか……」
「痛い痛い痛い痛い!!」
「どう……して……ごふっ……」
「イヤァァァーーーーッ!!」
「ゲラゲラゲラゲラゲラ!!」
「やめ……ほんとに死………」
「ひゅ~………ひゅ~………」
嗚呼……もうやめて……こんなの聞かせないで………こんなの聞きたくない。
これは本当に人間の声なの?どうしてこんなにも酷い事が出来るの?自分の友達を………恋人を………子供を…………家族を…………
わたしの心がすり減ってゆく。わたしの頭の中が歪んでゆく。自然と涙が込み上げて来る。胃の中の物までこみ上げて来る。
何が悲しいのか、何が怖いのか、何が辛いのかも分からずに、まるで赤子のように泣き続ける。
「ゴキッ!ドゴッ!!」
「や……め………」
「たく……無い……死に………たく」
「グチャ!ビシャ!!」
「ゲラゲラゲラゲラゲラ!!」
駄目ーーーーもう狂う。狂ってしまう。わたしの魂が穢されてゆく。
狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う
誰か助けてーーーーわたしを此処から出してーーーーこの声を止めてーーーーお願い誰かーーーーー
「も……■して……」
「お■い……■の■を■べなーー」
「ぎーーーーー」
「ーーーーーッ」
「ーーーー」
「ーー」
やがて、声が遠くなってゆく。ああ良かった、誰かが止めてくれたんだ。
ううん、違う。わたしの意識の方が遠くなってるんだ。意識が遠のいて、わたしの存在自体が消えかかっているのが分かる。
そうか……わたし死ぬんだ。このまま意識を手放した先に、死という終着が待っているんだ。
もう少しだったのに。もう少しでわたしの目的が………………目的って何だっただろうか。
わたしは誰?わたしは何の為に産まれて来たの?何の為に生きていたの?
分からない。もう何も分からない。でも、もういい。だって、もう消えてしまうのだから。元々存在しなかった状態に戻るのだから。
でも……最後に一目だけでも………ううん、声だけでもいいから…………聞きたかっ…………た……………………
「リザレクション!」
■■■
それは時間にしてほんの一、二秒ほど。常に二組の戦闘を冷静に見ていたエストは、リズが死霊王の放った【怨嗟影牢】に飲み込まれたのを見た次の瞬間には、エクストラスキルの『身体回生』を発動していた。
既にリーシャに、口移しによる『MP譲渡』で大量のMPを分け与えていた為、エストが使用出来る『身体回生』は、これが最初で最後。愛莉に短期決戦と聞かされていた時から、どんな場面でもMPの出し惜しみはしないと決めていた。
しかしその甲斐あって、リーシャとサフィーの二人だけで、邪竜の胸を大きく抉り、邪竜の心臓部である『核』を露出させる事に成功する。
だがこの『核』、黒き竜に埋め込まれていた物と同じだとしたら、魔法による攻撃はほとんど効かない。リーシャのMPも再び枯渇してしまった為、召喚獣による攻撃も出来ない。
壊すには物理攻撃しかないのだが、死霊王と戦っている未来とリズに頼む訳にもいかない。なので二人が選択したのはーーーーー
「「アイリお願い!!」」
物理攻撃が出来る三人目の少女、愛莉に頼る他無かった。そして愛莉自身も未来とリズの戦闘を見つめる一方で、リーシャとサフィーの戦闘にも目を配っていた。なので既に円月輪は邪竜に向かって飛んで行っている。
「月閃刃!」
吸い込まれるように邪竜の『核』へと消えてゆく愛莉の円月輪。この円月輪、現在の素材はミスリル製である。元々はリズの持つ『聖騎士の槍』に使用されていたミスリルだが、現在のリズの槍はオリハルコン製。なので作り変えた際に手に入れたミスリルで、自分の円月輪を作ったのだ。
前回の黒き竜との戦いでは、愛莉のガルム製の円月輪では全く歯が立たず、未来の渾身の一撃で大きなヒビを発生させ、リズの一撃で粉々に破壊した巨大な『核』。しかし今回の円月輪はあの時のリズの槍と同じミスリル製、更に高速回転する【月閃刃】は、一点に対する攻撃ならば、未来やリズの攻撃力にも決して引けを取らない。そんな愛莉の攻撃が、邪竜の『核』に吸い込まれてゆく。
その一方では、誰であっても完全に亡き者に出来る筈の必殺の術からリズが生還し、思わず浮足立つ死霊王。
「グッ……回復魔法ダト!?コレモアルテナカラ授ケラレシ『力』ナノカ!?」
術を放つ度に今の回復魔法で何度も復活されては面倒だと、自分の頭蓋に突き刺さっているリズの槍から身を離し、一度リズから距離を取る死霊王。リズは『身体回生』で回復した余韻からか、まだ意識が覚束ない様子だ。それを見たエストが急いでリズの元へと駆け寄る。
「マズハ邪魔ナ回復魔法ヲ使ウ、アノ女ヲ始末シナケレバ………」
リズに駆け寄るエストを見て、エストに攻撃を仕掛けようとする死霊王。もはやエストにはほとんどMPなど残っていないのに、次々に予想外の事が起きて冷静さを欠いているのか、その事に気付かない。更には、もう一人の存在の事も完全に頭から抜けていた。
「リズっちが命掛けで作ったチャンス、絶対に無駄にしない!」
短距離転移で死霊王の後方に転移した未来が、愛莉特性『真・未来の剣』を振るう。
後ろの気配に気付いた死霊王だが、振り返る間もなくーーーーー
「シマッーーーー」
「だぁりゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
未来の渾身の一撃が、死霊王の身体を上下に斬り離す。
「ガッ………ガァァァァァ!!!!」
人間の身体の位置で言えば腰の少し上。その胴体を斬られ、真っ二つに分かれた身体はそのまま床にガシャン!と、乾いた音を響かせて倒れる。そしてピクリとも動かなくなった。
「はぁはぁはぁはぁ………や、やった………」
「リズちゃん!」
一方でエストがリズの身体を揺する。するとリズの目に焦点が戻り、真っ直ぐにエストを見つめ返した。その瞳からは、大量の涙が溢れている。
「聞こえた………」
「………え?」
「暗闇の中で……消えていく意識の中で……最後に大好きな人の声が聞きたいって願ったら………エストの声が聞こえて来たの……」
そしてエストに抱きつくリズ。そのままエストの首に顔をうずめる。
「ありがとう……助けてくれてありがとう」
「リズちゃん………うん……助けられて良かった………」
そしてエストもまた涙を溢す。リズを救えた安堵と、死の瞬間まで自分の事を想ってくれたリズの心に。そして聞こえて来るのは、未来の嬉しそうな叫び声。
「よっしゃーーーッ!!倒したぁぁぁーーッ!!勝ったぁぁぁーーーーッ!!!!」
顔を上げるエストとリズ。そして喜んでいる未来と、胴体を切り離されて床に転がっている死霊王を見て、様々な喜びの感情が湧き上がる。
「勝った……勝ったんだ………」
「う……ん………夢……じゃないのよね……?」
そう言いながら互いに顔を見合わせ、次第に破顔してゆく二人。
「未来ーーーッ!!早くトドメ刺して!!死霊王の『核』を破壊してぇぇぇ!!!!」
突然聞こえて来る愛莉の焦ったような叫び声。それを聞いた未来が「え?」と漏らしながら死霊王を見ると、死霊王の倒れている床がいつの間にか二つに分かれていた。
それは死霊王が作り出した異空間。死霊王には似つかわしくないピンクや水色、紫などを混ぜ合わせたマーブル色の空間。
その異空間に、死霊王の身体は消えて行ったーーーーー
それはどれくらいの時間そうだったのか、まだほんの一瞬なのか、もう何年もそうなのか、時間の感覚が酷く曖昧だった。
身体の感覚は何となくある。手のひらには槍を握っている感覚もあるし、何かしらの手応えみたいなのも残っている。
そうだ、わたしは遂に、死霊王に一撃食らわせる事が出来たんだ。この手応えみたいな感触は、きっとその時のもの。
でも、それはどれくらい前だったのだろうか。ほんの少し前の事だったのか、それともずっと以前の事だったのか、何故か時間の感覚だけが覚束ない。
そもそも、今のわたしはどういう状況?そしてここは何処?何故こんな何も見えない暗闇の中に置かれているの?死霊王はどうなったの?
死霊王……死霊王!そうだ、わたしはこんな事をしている暇なんて無い!死霊王を、もう少しで倒せそうなのに、こんな場所でーーーーー
身体が……動かない。何故……?身体の感覚はあるのに、手も足も首も腰も、指先ですら僅かに動かす事も出来ない。
どうして……動かないの?行かないといけないのに、動かさないといけないのに!
動け動け動け動け動け動け動け動け動け!!
お願い、動いてわたしの身体!!早く行かないといけないの!いつまでもこんな所に居る訳にはーーーーー
「死ねよ」
「殺してやる」
「消えちまえ」
「やめて!」
「お願い……助け……」
「憎い憎い憎い……」
「イヤァァァーーッ!!」
「あっ……んあっ!!」
「ぎゃあぁぁぁぁぁーーーーッ!!」
突如としてわたしの耳に届く、怖気の立つような不快な声。
怨み、妬み、蔑み、叫び、喘ぎ、慟哭、断末魔。
それはどんどん膨れ上がって、この暗闇全体に溢れてゆく。まるでこの暗闇全体が声であるかのように、わたしの耳に、全身に突き刺さって来る。わたしの脳に次々に入り込んで来る。
駄目!この声を聞いていては駄目!早く耳を塞がないと!
なのに、わたしの身体はピクリとも動かない。早く耳を塞がないといけないのに。
「お前が悪いんだ!」
「もうやめて……助けて」
「はぁはぁ……気持ちいいだろ?」
「い……やぁ……もう許して……」
「お父さんやめて!来ないで!」
「腹が減ったんだ……もうお前を■して■うしか……」
「痛い痛い痛い痛い!!」
「どう……して……ごふっ……」
「イヤァァァーーーーッ!!」
「ゲラゲラゲラゲラゲラ!!」
「やめ……ほんとに死………」
「ひゅ~………ひゅ~………」
嗚呼……もうやめて……こんなの聞かせないで………こんなの聞きたくない。
これは本当に人間の声なの?どうしてこんなにも酷い事が出来るの?自分の友達を………恋人を………子供を…………家族を…………
わたしの心がすり減ってゆく。わたしの頭の中が歪んでゆく。自然と涙が込み上げて来る。胃の中の物までこみ上げて来る。
何が悲しいのか、何が怖いのか、何が辛いのかも分からずに、まるで赤子のように泣き続ける。
「ゴキッ!ドゴッ!!」
「や……め………」
「たく……無い……死に………たく」
「グチャ!ビシャ!!」
「ゲラゲラゲラゲラゲラ!!」
駄目ーーーーもう狂う。狂ってしまう。わたしの魂が穢されてゆく。
狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う狂う
誰か助けてーーーーわたしを此処から出してーーーーこの声を止めてーーーーお願い誰かーーーーー
「も……■して……」
「お■い……■の■を■べなーー」
「ぎーーーーー」
「ーーーーーッ」
「ーーーー」
「ーー」
やがて、声が遠くなってゆく。ああ良かった、誰かが止めてくれたんだ。
ううん、違う。わたしの意識の方が遠くなってるんだ。意識が遠のいて、わたしの存在自体が消えかかっているのが分かる。
そうか……わたし死ぬんだ。このまま意識を手放した先に、死という終着が待っているんだ。
もう少しだったのに。もう少しでわたしの目的が………………目的って何だっただろうか。
わたしは誰?わたしは何の為に産まれて来たの?何の為に生きていたの?
分からない。もう何も分からない。でも、もういい。だって、もう消えてしまうのだから。元々存在しなかった状態に戻るのだから。
でも……最後に一目だけでも………ううん、声だけでもいいから…………聞きたかっ…………た……………………
「リザレクション!」
■■■
それは時間にしてほんの一、二秒ほど。常に二組の戦闘を冷静に見ていたエストは、リズが死霊王の放った【怨嗟影牢】に飲み込まれたのを見た次の瞬間には、エクストラスキルの『身体回生』を発動していた。
既にリーシャに、口移しによる『MP譲渡』で大量のMPを分け与えていた為、エストが使用出来る『身体回生』は、これが最初で最後。愛莉に短期決戦と聞かされていた時から、どんな場面でもMPの出し惜しみはしないと決めていた。
しかしその甲斐あって、リーシャとサフィーの二人だけで、邪竜の胸を大きく抉り、邪竜の心臓部である『核』を露出させる事に成功する。
だがこの『核』、黒き竜に埋め込まれていた物と同じだとしたら、魔法による攻撃はほとんど効かない。リーシャのMPも再び枯渇してしまった為、召喚獣による攻撃も出来ない。
壊すには物理攻撃しかないのだが、死霊王と戦っている未来とリズに頼む訳にもいかない。なので二人が選択したのはーーーーー
「「アイリお願い!!」」
物理攻撃が出来る三人目の少女、愛莉に頼る他無かった。そして愛莉自身も未来とリズの戦闘を見つめる一方で、リーシャとサフィーの戦闘にも目を配っていた。なので既に円月輪は邪竜に向かって飛んで行っている。
「月閃刃!」
吸い込まれるように邪竜の『核』へと消えてゆく愛莉の円月輪。この円月輪、現在の素材はミスリル製である。元々はリズの持つ『聖騎士の槍』に使用されていたミスリルだが、現在のリズの槍はオリハルコン製。なので作り変えた際に手に入れたミスリルで、自分の円月輪を作ったのだ。
前回の黒き竜との戦いでは、愛莉のガルム製の円月輪では全く歯が立たず、未来の渾身の一撃で大きなヒビを発生させ、リズの一撃で粉々に破壊した巨大な『核』。しかし今回の円月輪はあの時のリズの槍と同じミスリル製、更に高速回転する【月閃刃】は、一点に対する攻撃ならば、未来やリズの攻撃力にも決して引けを取らない。そんな愛莉の攻撃が、邪竜の『核』に吸い込まれてゆく。
その一方では、誰であっても完全に亡き者に出来る筈の必殺の術からリズが生還し、思わず浮足立つ死霊王。
「グッ……回復魔法ダト!?コレモアルテナカラ授ケラレシ『力』ナノカ!?」
術を放つ度に今の回復魔法で何度も復活されては面倒だと、自分の頭蓋に突き刺さっているリズの槍から身を離し、一度リズから距離を取る死霊王。リズは『身体回生』で回復した余韻からか、まだ意識が覚束ない様子だ。それを見たエストが急いでリズの元へと駆け寄る。
「マズハ邪魔ナ回復魔法ヲ使ウ、アノ女ヲ始末シナケレバ………」
リズに駆け寄るエストを見て、エストに攻撃を仕掛けようとする死霊王。もはやエストにはほとんどMPなど残っていないのに、次々に予想外の事が起きて冷静さを欠いているのか、その事に気付かない。更には、もう一人の存在の事も完全に頭から抜けていた。
「リズっちが命掛けで作ったチャンス、絶対に無駄にしない!」
短距離転移で死霊王の後方に転移した未来が、愛莉特性『真・未来の剣』を振るう。
後ろの気配に気付いた死霊王だが、振り返る間もなくーーーーー
「シマッーーーー」
「だぁりゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
未来の渾身の一撃が、死霊王の身体を上下に斬り離す。
「ガッ………ガァァァァァ!!!!」
人間の身体の位置で言えば腰の少し上。その胴体を斬られ、真っ二つに分かれた身体はそのまま床にガシャン!と、乾いた音を響かせて倒れる。そしてピクリとも動かなくなった。
「はぁはぁはぁはぁ………や、やった………」
「リズちゃん!」
一方でエストがリズの身体を揺する。するとリズの目に焦点が戻り、真っ直ぐにエストを見つめ返した。その瞳からは、大量の涙が溢れている。
「聞こえた………」
「………え?」
「暗闇の中で……消えていく意識の中で……最後に大好きな人の声が聞きたいって願ったら………エストの声が聞こえて来たの……」
そしてエストに抱きつくリズ。そのままエストの首に顔をうずめる。
「ありがとう……助けてくれてありがとう」
「リズちゃん………うん……助けられて良かった………」
そしてエストもまた涙を溢す。リズを救えた安堵と、死の瞬間まで自分の事を想ってくれたリズの心に。そして聞こえて来るのは、未来の嬉しそうな叫び声。
「よっしゃーーーッ!!倒したぁぁぁーーッ!!勝ったぁぁぁーーーーッ!!!!」
顔を上げるエストとリズ。そして喜んでいる未来と、胴体を切り離されて床に転がっている死霊王を見て、様々な喜びの感情が湧き上がる。
「勝った……勝ったんだ………」
「う……ん………夢……じゃないのよね……?」
そう言いながら互いに顔を見合わせ、次第に破顔してゆく二人。
「未来ーーーッ!!早くトドメ刺して!!死霊王の『核』を破壊してぇぇぇ!!!!」
突然聞こえて来る愛莉の焦ったような叫び声。それを聞いた未来が「え?」と漏らしながら死霊王を見ると、死霊王の倒れている床がいつの間にか二つに分かれていた。
それは死霊王が作り出した異空間。死霊王には似つかわしくないピンクや水色、紫などを混ぜ合わせたマーブル色の空間。
その異空間に、死霊王の身体は消えて行ったーーーーー
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