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美女と野獣スニーフ
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ニロニロが捕獲した旅の少年を、Mが強奪してお菓子の家にかくまったのを見ていた者がいた。大きな耳に尖った鼻をつけ身体じゅうを茶色の毛皮で覆われた大男。発達した後肢はまるでカンガルーの様だ。妖精の村の住人で例えるならばスニーフといったところだろうか。それにしては少々大柄が過ぎるかも知れないが、この森のあやかしは、皆そんな風にどこかがオリジナルと違っているようだ。
「Mのやつが長の獲物を横取りしたってことは、相当のイケメンってことなんだろうな」
スニーフの呟きに、ニロニロの大群の中でも一回り大きな個体が、身体を曲げてウンウンと頷いた。
「そんな上物ならMの独り占めは許せんな」
スニーフは人型の妖精や人間なら男も女も両刀使いだった。Mとはセフレ関係だなんていう噂もある。いつぞやはMと二人で旅の美少年を正体不明にしてしまったこともあった。長Kが男には興味が薄いが故に不問に終わっているが、そもそもこの森で旅人を捕獲した場合には、長に生贄として届けるのが掟であった。
「長はMに甘すぎる」
という不満もよく聞いた。Mが気に入られているのは長と身体の関係があるからだというのがもっぱらの噂だった。Mは決して器量よしではないが夜のテクニックは神レベルといわれ、その意味ではスニーフにしても完全に尻に敷かれているというのが森の通説だった。
Mは生来の男好きだが、女をもその技で手籠めにする性魔女であった。更にこのお菓子の家のお菓子には強力な媚薬が塗り込まれていて、この小屋の中のSEXは一度体験したら二度と離れらないと言う。長がこのお菓子の家にM以外の女人の立ち入りも禁じたのも、長が無類の嫉妬体質でMの浮気(女限定)を絶対に許容しないという戒めもあるが、それだけ長がMにのめり込んでいる証だろう。
お菓子の家の周りを取り囲んでいるニロニロたちにしても、あまり長時間ここで時間を費やすわけにはいかない。長のMへの傾倒を考えると、Mの所業を長に申告するのはかなりの冒険でもあった。長の機嫌を損ねない為にはむしろ別の獲物を探した方が安全策かも知れない。ニロニロたちがソワソワし始めたそんな折に、家の中から女の喘ぎ声が漏れ出した。Mの声だ。
「おいおい、もう辛抱たまらんぞ」
スニーフはお菓子の家の窓に張り付いていたニロニロを取り払って中を覗き込んだ。レースのカーテン越しに蠢く二つの影が見える。胸をはだけたMが後ろから責められている図のようだ。
Sは背後からMの着ていた山吹色のノースリーブのワンピースを肩から落とした。意外に細く白い背中がSの目の前に広がる。小柄なMの背中におずおずとSが舌を這わせると、じれったいとばかりにMは振り向きSの服を脱がそうと手を掛けた。ふいを突かれたMは「やめてくれ」と身体を捩ったが、Mはそれを許さない。するりと上着を剥されたSは「ああっ、やめろ」と言ってその場にうずくまった。
「あ、あんた……。」
絶句したMの足元には、真っ白な胸にさらしを巻いた女がいた。
「レアものの可愛い子だとは思ったけど、あんた、まさか女だったとはね......。」
Mは窓外のスニーフが慌てふためいている様を見て首を振った。
「これはちょっと面倒なことになったね。ここだけの話なら、あたしのいい子になってくれれば見逃してやっても良かったんだけど、スニーフに見られちまったらもう隠しようがないよ。何しろあいつは口から生まれてきたような男だからね。悪いけどあたしだって長は怖い。あんたの身柄はあいつに預けるよ」
そういってMは扉を開き、Sの上着と荷物を外に放り出した。
「さあ、出ていきな。いいかい。あんたとは金輪際あったことはない。口を滑らせでもしたら承知しないからね」
そして続けてMはスニーフに向かってこう言いつけた。
「スニーフ。この女のことはあんたに任せるよ。あんたの好きにしな。だけどこれだけは肝に銘じておいた方がいいよ。これだけの美形だ、その辺のニロニロが万が一にでも長に口を滑らせたら、あんた半殺しじゃすまないからね」
「うるさい女だ。そんなこたあ、わかってるさ。まったく忌々しい長め......。お、おおおぉ、しかしこりゃ大した上玉じゃねえか。ほれほれ、こっちへおいでお嬢ちゃん」
言ってるそばから、もう。Mはまったくスニーフにはお手上げだとばかりに両手を挙げると、お菓子の部屋に戻っていった。まるで美女と野獣だな。だが。それでも長の生贄にするよりはよっぽどましだろう。あんなネンネ、長の手に掛かったら死ぬか狂うかのどちらかしかあるまい。うまいこと長に見つからずにこの森から出られるといいが。MはSの行く末を案じ、胸の前で十字を切った。
(続く)
「Mのやつが長の獲物を横取りしたってことは、相当のイケメンってことなんだろうな」
スニーフの呟きに、ニロニロの大群の中でも一回り大きな個体が、身体を曲げてウンウンと頷いた。
「そんな上物ならMの独り占めは許せんな」
スニーフは人型の妖精や人間なら男も女も両刀使いだった。Mとはセフレ関係だなんていう噂もある。いつぞやはMと二人で旅の美少年を正体不明にしてしまったこともあった。長Kが男には興味が薄いが故に不問に終わっているが、そもそもこの森で旅人を捕獲した場合には、長に生贄として届けるのが掟であった。
「長はMに甘すぎる」
という不満もよく聞いた。Mが気に入られているのは長と身体の関係があるからだというのがもっぱらの噂だった。Mは決して器量よしではないが夜のテクニックは神レベルといわれ、その意味ではスニーフにしても完全に尻に敷かれているというのが森の通説だった。
Mは生来の男好きだが、女をもその技で手籠めにする性魔女であった。更にこのお菓子の家のお菓子には強力な媚薬が塗り込まれていて、この小屋の中のSEXは一度体験したら二度と離れらないと言う。長がこのお菓子の家にM以外の女人の立ち入りも禁じたのも、長が無類の嫉妬体質でMの浮気(女限定)を絶対に許容しないという戒めもあるが、それだけ長がMにのめり込んでいる証だろう。
お菓子の家の周りを取り囲んでいるニロニロたちにしても、あまり長時間ここで時間を費やすわけにはいかない。長のMへの傾倒を考えると、Mの所業を長に申告するのはかなりの冒険でもあった。長の機嫌を損ねない為にはむしろ別の獲物を探した方が安全策かも知れない。ニロニロたちがソワソワし始めたそんな折に、家の中から女の喘ぎ声が漏れ出した。Mの声だ。
「おいおい、もう辛抱たまらんぞ」
スニーフはお菓子の家の窓に張り付いていたニロニロを取り払って中を覗き込んだ。レースのカーテン越しに蠢く二つの影が見える。胸をはだけたMが後ろから責められている図のようだ。
Sは背後からMの着ていた山吹色のノースリーブのワンピースを肩から落とした。意外に細く白い背中がSの目の前に広がる。小柄なMの背中におずおずとSが舌を這わせると、じれったいとばかりにMは振り向きSの服を脱がそうと手を掛けた。ふいを突かれたMは「やめてくれ」と身体を捩ったが、Mはそれを許さない。するりと上着を剥されたSは「ああっ、やめろ」と言ってその場にうずくまった。
「あ、あんた……。」
絶句したMの足元には、真っ白な胸にさらしを巻いた女がいた。
「レアものの可愛い子だとは思ったけど、あんた、まさか女だったとはね......。」
Mは窓外のスニーフが慌てふためいている様を見て首を振った。
「これはちょっと面倒なことになったね。ここだけの話なら、あたしのいい子になってくれれば見逃してやっても良かったんだけど、スニーフに見られちまったらもう隠しようがないよ。何しろあいつは口から生まれてきたような男だからね。悪いけどあたしだって長は怖い。あんたの身柄はあいつに預けるよ」
そういってMは扉を開き、Sの上着と荷物を外に放り出した。
「さあ、出ていきな。いいかい。あんたとは金輪際あったことはない。口を滑らせでもしたら承知しないからね」
そして続けてMはスニーフに向かってこう言いつけた。
「スニーフ。この女のことはあんたに任せるよ。あんたの好きにしな。だけどこれだけは肝に銘じておいた方がいいよ。これだけの美形だ、その辺のニロニロが万が一にでも長に口を滑らせたら、あんた半殺しじゃすまないからね」
「うるさい女だ。そんなこたあ、わかってるさ。まったく忌々しい長め......。お、おおおぉ、しかしこりゃ大した上玉じゃねえか。ほれほれ、こっちへおいでお嬢ちゃん」
言ってるそばから、もう。Mはまったくスニーフにはお手上げだとばかりに両手を挙げると、お菓子の部屋に戻っていった。まるで美女と野獣だな。だが。それでも長の生贄にするよりはよっぽどましだろう。あんなネンネ、長の手に掛かったら死ぬか狂うかのどちらかしかあるまい。うまいこと長に見つからずにこの森から出られるといいが。MはSの行く末を案じ、胸の前で十字を切った。
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