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17.シャウワ・ハウベスキーに問われて
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「分からない?」
「はい、分からないです」
シャウワは繰り返し訊ねた。
もちろん本当に分かっていない訳じゃない。
けれどアダバナは躊躇ってしまうと、「分からない」以外何も言えなかった。
「「……」」
沈黙が流れた。
ヤバい、消えたい、死にたいと、アダバナは抽象的なことを思う。
あまりにも気まずい空気が流れると、ドクンドクンと胸が打つ。
「分からないは困ります!」
「そうですよ、アダバナさん。真面目に答えてください」
シャウワとカモミールに問い詰められた。
何故か怒られてしまい、アダバナは一歩退いた。
タジタジになってしまうと、本当に困っていた。
「そうは言われても、その……カモミール教授は、サティウス准教授と、同じ学校の卒業生ですよね?」
「は、はい?」
「だから、関わりがないとは言い切れないじゃないです、か?」
アダバナの言うことは間違っていなかった。
だけど一つだけ間違っていることがある。
そもそもの話、話の論点がズレていた。
「そ、そうですね。一応……」
「私もその点で言えば被害者のサティウスさんとは先輩後輩の関係ですが?」
「で、ですよね?」
アダバナも少しだけ論点が違っていると思っていた。
やはり違っていた様子で、ちょっとしたプチパニックに陥っていた。
「少し落ち着いてください、アダバナさん」
「は、はい」
「今回の論点は、私がサティウスさんを襲うような動機があったか否かです」
なるほど、そこが論点だったのか。
ようやくアダバナは気が付かされると、ピコンと答えがパッと出た。
カモミールにサティウスを襲うような動機は無い。
「無いと思います!」
「ハッキリと言いますね」
「ハッキリ言います。カモミール教授が、サティウス教授に対して、なにか因縁を持つようなことは無いからです!」
アダバナは含みも何も無く、ただ思ったことを口にした。
カモミールにサティウスを襲う理由はない。
そんな動機があるとすれば、どんな因縁が掛かっていたのだろうか?
「そもそも、サティウス准教授がカモミール教授に薬品を頼んでいたんですよ。それが動機になったら、この世はお終いです!」
アダバナはカモミールがサティウスから頼まれていたことを知っていた。
育毛剤の研究をしていたようで、それが原因で襲撃に繋がったとは思いたくない。
そんな小さな理由が大きな出来事に発展するようなら、この世界はお終いだ。
「……どうやら、本人の証言と一致していますね」
「えっ?」
アダバナは試されていたらしい。シャウワは事前にカモミールに話を伺っていた。
サティウスがカモミールに薬品=育毛剤を頼んでいたこと。
カモミール自身が、育毛剤の研究のため、徹夜で研究室で作業をしていた事実を聞き比べた。
「証言と一致って……あれ?」
「どうやらカモミールさんは、容疑者から外れるようですね」
「そう言うことです。実際、私はサティウスさんが襲われた際、ここにいましたよ。アダバナさんの証言と、警備員の方と会釈をしたので充分だと思います」
如何やら自然と容疑は晴れたみたいだ。
何故だろう? あまり納得は行かない様子のアダバナ。
シャウワ自身も腑に落ちない顔をしているが、とりあえず証人としての役目は果たせたらしい。
「あの、私の役目ってお終いですか?」
「……そのようですね」
「よかったぁ」
ホッと胸を撫で下ろした。
とりあえず容疑は完全に晴れた訳じゃないけど、ほぼほぼ無実ってことになる。
それじゃあここに居る理由もない。本当は大学も休校なので、速やかに帰宅しようとする。
「ありがとうございました、アダバナさん」
「い、いえ、お役に立てたみたいでよかったです。あの、私、帰りますね」
そそくさと応接室を後にしようとした。
しかしそんなアダバナを引き留めるシャウワ。
まだ何かあるようで、ピクンと背筋が伸びる。
「ダメですよ、貴女にはまだやって貰うことがあります」
「ええっ!?」
そそくさと、応接室から退散しようとしたのに失敗に終わってしまう。
腕をパッと掴まれると、シャウワに捕まってしまった。
緊張で硬直してしまうと、ドクンドクンと心臓の鼓動が速まる。
「私にやって貰うことってなんですか!?」
「それはこれからお話しします。ご協力、お願いしますね、アダバナさん」
「えっ、その、どうしたら、えっと、その、あっ……えっ?」
アダバナは頼られてしまった。
任意なのは分かるのだが、正直困る。
この手のことになると、てんでダメで、アダバナは困ってしまった。
頭の中が真っ白になると、唾も飲み込めなくなった。
「そう緊張しなくても大丈夫ですよ、アダバナさん」
「そうです。あくまでも証人ですから……アダバナさん?」
「立会人でさえなくなった……」
寧ろ言葉が出なくなってしまった。
プルプル震える小動物の気分で、カモミールは面白がっている。
クスクス笑う姿がシャウワは鼻に付くものの、アダバナにはそんなことまで目を向ける余裕はなかった。
戻って来るまで時間が掛かる。
しばしの時間を空けると、ようやくアダバナの意識は帰って来た。
まるで時間が止まっていたみたいな感覚で、途切れた言葉から再開された。
「はい、分からないです」
シャウワは繰り返し訊ねた。
もちろん本当に分かっていない訳じゃない。
けれどアダバナは躊躇ってしまうと、「分からない」以外何も言えなかった。
「「……」」
沈黙が流れた。
ヤバい、消えたい、死にたいと、アダバナは抽象的なことを思う。
あまりにも気まずい空気が流れると、ドクンドクンと胸が打つ。
「分からないは困ります!」
「そうですよ、アダバナさん。真面目に答えてください」
シャウワとカモミールに問い詰められた。
何故か怒られてしまい、アダバナは一歩退いた。
タジタジになってしまうと、本当に困っていた。
「そうは言われても、その……カモミール教授は、サティウス准教授と、同じ学校の卒業生ですよね?」
「は、はい?」
「だから、関わりがないとは言い切れないじゃないです、か?」
アダバナの言うことは間違っていなかった。
だけど一つだけ間違っていることがある。
そもそもの話、話の論点がズレていた。
「そ、そうですね。一応……」
「私もその点で言えば被害者のサティウスさんとは先輩後輩の関係ですが?」
「で、ですよね?」
アダバナも少しだけ論点が違っていると思っていた。
やはり違っていた様子で、ちょっとしたプチパニックに陥っていた。
「少し落ち着いてください、アダバナさん」
「は、はい」
「今回の論点は、私がサティウスさんを襲うような動機があったか否かです」
なるほど、そこが論点だったのか。
ようやくアダバナは気が付かされると、ピコンと答えがパッと出た。
カモミールにサティウスを襲うような動機は無い。
「無いと思います!」
「ハッキリと言いますね」
「ハッキリ言います。カモミール教授が、サティウス教授に対して、なにか因縁を持つようなことは無いからです!」
アダバナは含みも何も無く、ただ思ったことを口にした。
カモミールにサティウスを襲う理由はない。
そんな動機があるとすれば、どんな因縁が掛かっていたのだろうか?
「そもそも、サティウス准教授がカモミール教授に薬品を頼んでいたんですよ。それが動機になったら、この世はお終いです!」
アダバナはカモミールがサティウスから頼まれていたことを知っていた。
育毛剤の研究をしていたようで、それが原因で襲撃に繋がったとは思いたくない。
そんな小さな理由が大きな出来事に発展するようなら、この世界はお終いだ。
「……どうやら、本人の証言と一致していますね」
「えっ?」
アダバナは試されていたらしい。シャウワは事前にカモミールに話を伺っていた。
サティウスがカモミールに薬品=育毛剤を頼んでいたこと。
カモミール自身が、育毛剤の研究のため、徹夜で研究室で作業をしていた事実を聞き比べた。
「証言と一致って……あれ?」
「どうやらカモミールさんは、容疑者から外れるようですね」
「そう言うことです。実際、私はサティウスさんが襲われた際、ここにいましたよ。アダバナさんの証言と、警備員の方と会釈をしたので充分だと思います」
如何やら自然と容疑は晴れたみたいだ。
何故だろう? あまり納得は行かない様子のアダバナ。
シャウワ自身も腑に落ちない顔をしているが、とりあえず証人としての役目は果たせたらしい。
「あの、私の役目ってお終いですか?」
「……そのようですね」
「よかったぁ」
ホッと胸を撫で下ろした。
とりあえず容疑は完全に晴れた訳じゃないけど、ほぼほぼ無実ってことになる。
それじゃあここに居る理由もない。本当は大学も休校なので、速やかに帰宅しようとする。
「ありがとうございました、アダバナさん」
「い、いえ、お役に立てたみたいでよかったです。あの、私、帰りますね」
そそくさと応接室を後にしようとした。
しかしそんなアダバナを引き留めるシャウワ。
まだ何かあるようで、ピクンと背筋が伸びる。
「ダメですよ、貴女にはまだやって貰うことがあります」
「ええっ!?」
そそくさと、応接室から退散しようとしたのに失敗に終わってしまう。
腕をパッと掴まれると、シャウワに捕まってしまった。
緊張で硬直してしまうと、ドクンドクンと心臓の鼓動が速まる。
「私にやって貰うことってなんですか!?」
「それはこれからお話しします。ご協力、お願いしますね、アダバナさん」
「えっ、その、どうしたら、えっと、その、あっ……えっ?」
アダバナは頼られてしまった。
任意なのは分かるのだが、正直困る。
この手のことになると、てんでダメで、アダバナは困ってしまった。
頭の中が真っ白になると、唾も飲み込めなくなった。
「そう緊張しなくても大丈夫ですよ、アダバナさん」
「そうです。あくまでも証人ですから……アダバナさん?」
「立会人でさえなくなった……」
寧ろ言葉が出なくなってしまった。
プルプル震える小動物の気分で、カモミールは面白がっている。
クスクス笑う姿がシャウワは鼻に付くものの、アダバナにはそんなことまで目を向ける余裕はなかった。
戻って来るまで時間が掛かる。
しばしの時間を空けると、ようやくアダバナの意識は帰って来た。
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