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42.黒い箱の中身?
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「それで、この箱は?」
「開けてみましょうか?」
「ですね。アダバナさん、開けて貰えますか!?」
「わ、私がですか、な、な、な、なんで、なんで、なんで、なんでぇぇぇぇぇ!!!」
黒い箱を手にしているアダバナ。
開けるとは思っていたものの、アダバナが開けるのは違う。
上蓋に触れると、指が震えてしまった。
「あ、あ、あ、あ、開けますよ?」
「気を付けてください、アダバナさん」
「は、はいッ!?」
既に緊張状態だ。
精神を取り留める細い糸が切れそうになる。
不安が助長させられると、アダバナはユックリと上蓋を開けた。
「えっと……えいっ!」
上蓋を開けたアダバナは、中身を確認した。
するとまた箱が入っている。マトリョーシカかな?
次の蓋をユックリと開けると、また更に箱が入っている。
「箱、箱、箱……ですね」
「サティウスさんは慎重かつ真面目な人ですからね」
「はい。ですけどこれは……」
カモミールとシャウワは違和感を覚えた。
確かにサティウスは慎重かつ真面目な性格をしている。
そのため、二重箱や三重箱を使うのは、デトロメキシアンの危険性を分かっているからこそだろう。
「あ、あの……」
「どうしましたか、アダバナさん?」
余計な詮索かもしれない。恐る恐るアダバナは声を出す。
か細くなった声には不安があり、カモミールは耳を傾けた。
「この箱、試験管が丁度一本入るサイズですよね?」
「そうですね。試験管一本分です」
「でも、箱がドンドン小さくなっていて、薬品って液体じゃないんですか?」
デトロメキシアンを含んだ薬品を、どのような形で押収したのかは分からない。
けれどはこのサイズ感を見るに、試験管には入っていない。
可能性を考えると、“液体”ではないのかもしれない。
「そうですね。液体ではないとすると、固体でしょうか?」
「待ってください。確か資料によると……」
「シャウワの言う通りです」
アダバナの分からない次元で会話が進行される。
デトロメキシアンを含んだ薬品。その毒性は気化してこそ本領を発揮する。
まさしく魔術兵器であり、気化させる場合、液体の方が好都合だ。
「デトロメキシアンを含んだ薬品であれば、液体であることが自然です。ですが仮にソレが固形化していた場合は?」
「待ってください。そんなこと、資料には何処にも……」
如何やら研究資料には一切の記載が無いらしい。
サティウスが書き忘れるような真似、果たしてあるのだろうか?
そうでないとすれば、まだ研究資料は作成段階である可能性が高い。
現に高価な紙ではなく、比較的に安価な紙にインクが載っていた。
「書かれていませんね」
「書かれていないんですか!?」
「そうですね。実際、この目で確認してみましょうか?」
細心の注意を払い、箱の蓋を一つ一つ開いた。
箱はドンドン小さくなっていき、少なくとも試験管は入らない。
ましてや小瓶さえ納まるか怪しいサイズにまで縮小していた。
「あの、このサイズだと、瓶すら入りませんよね?」
完全に手の中に納まってしまうサイズだった。
もはや中身が無いのではないだろうかと、疑ってしまう。
アダバナは首を捻って、眉間に皺を寄せると、最後の箱を開いた。
「開けますね。多分コレが最後で……んッ!?」
「これは、面白いですね」
「面白いというよりも……資料にはやはり何処にも書かれていませんよ」
「そうですね。この状態にしてしまうとは、サティウスさんもやりますね」
感心している場合なのだろうか?
アダバナ達は想像以上に凄いものを目にしている。
それもその筈、デトロメキシアンをこの形状に落とし込んでしまうとは、流石に研究者として優秀過ぎる。
「これって、えっと、その……」
「アダバナさん、すぐにしまってください。摂取してはいけませんよ」
「は、はい!」
カモミールに促され、急いで箱の中に仕舞った。
少しでも空中に散布されれば命は無い。
細心を超え、精神が擦り切れる思いだった。
「あのカモミールさん、これって?」
「どうやら見えてきましたね」
「見えて来た、ですか?」
「はい。犯人の目的です。この事実を知っていたとなれば……いえ、知らなかったからこそ、この薬を求めていたんでしょうね」
カモミールには事件の全容の部分が、輪郭として捉え切れていた。
アダバナも犯人の目的は大まかに定まると、窃盗は失敗したと悟る。
つまり犯人は狙いの薬品を盗めてはいない。これは重要な手掛かりだ。
「知らなかったから、ですか?」
「はい。恐らく、犯人はこの薬のことを知っていた。だからこそ、サティウスさんを襲ったんです。ですが失敗に終わってしまった。子供騙しにも程がある、サティウスさんの仕掛けのおかげですね」
サティウスの仕掛けた子供騙しの策略が嵌った。
おかげで被害を最小限に留めることが出来たのだ。
代わりにサティウスは病院のベッドの上だが、それでもサティウスにとってはこれが最善だったのだろう。
「本当、この薬が盗まれていたらと思うと……」
「お、恐ろしい、です、よね?」
「「はい」」
本当に盗まれていなくて正解だ。
恐ろしいテロが起きずに済んだのだと、サティウスの功績を讃える。
とは言え、何故サティウスが研究・検証していると知っていたのだろうか?
(もしかして、本当にの四人……じゃなかった、三人の中に犯人がいる?)
シャムシエルは完全に除外されていた。
アダバナの頭の中に浮かぶ三人の容疑者。
犯人候補ではあるが、もう一つ、後一つだけ決定的な証拠が欲しくて、決め手に欠けもどかしかった。
「開けてみましょうか?」
「ですね。アダバナさん、開けて貰えますか!?」
「わ、私がですか、な、な、な、なんで、なんで、なんで、なんでぇぇぇぇぇ!!!」
黒い箱を手にしているアダバナ。
開けるとは思っていたものの、アダバナが開けるのは違う。
上蓋に触れると、指が震えてしまった。
「あ、あ、あ、あ、開けますよ?」
「気を付けてください、アダバナさん」
「は、はいッ!?」
既に緊張状態だ。
精神を取り留める細い糸が切れそうになる。
不安が助長させられると、アダバナはユックリと上蓋を開けた。
「えっと……えいっ!」
上蓋を開けたアダバナは、中身を確認した。
するとまた箱が入っている。マトリョーシカかな?
次の蓋をユックリと開けると、また更に箱が入っている。
「箱、箱、箱……ですね」
「サティウスさんは慎重かつ真面目な人ですからね」
「はい。ですけどこれは……」
カモミールとシャウワは違和感を覚えた。
確かにサティウスは慎重かつ真面目な性格をしている。
そのため、二重箱や三重箱を使うのは、デトロメキシアンの危険性を分かっているからこそだろう。
「あ、あの……」
「どうしましたか、アダバナさん?」
余計な詮索かもしれない。恐る恐るアダバナは声を出す。
か細くなった声には不安があり、カモミールは耳を傾けた。
「この箱、試験管が丁度一本入るサイズですよね?」
「そうですね。試験管一本分です」
「でも、箱がドンドン小さくなっていて、薬品って液体じゃないんですか?」
デトロメキシアンを含んだ薬品を、どのような形で押収したのかは分からない。
けれどはこのサイズ感を見るに、試験管には入っていない。
可能性を考えると、“液体”ではないのかもしれない。
「そうですね。液体ではないとすると、固体でしょうか?」
「待ってください。確か資料によると……」
「シャウワの言う通りです」
アダバナの分からない次元で会話が進行される。
デトロメキシアンを含んだ薬品。その毒性は気化してこそ本領を発揮する。
まさしく魔術兵器であり、気化させる場合、液体の方が好都合だ。
「デトロメキシアンを含んだ薬品であれば、液体であることが自然です。ですが仮にソレが固形化していた場合は?」
「待ってください。そんなこと、資料には何処にも……」
如何やら研究資料には一切の記載が無いらしい。
サティウスが書き忘れるような真似、果たしてあるのだろうか?
そうでないとすれば、まだ研究資料は作成段階である可能性が高い。
現に高価な紙ではなく、比較的に安価な紙にインクが載っていた。
「書かれていませんね」
「書かれていないんですか!?」
「そうですね。実際、この目で確認してみましょうか?」
細心の注意を払い、箱の蓋を一つ一つ開いた。
箱はドンドン小さくなっていき、少なくとも試験管は入らない。
ましてや小瓶さえ納まるか怪しいサイズにまで縮小していた。
「あの、このサイズだと、瓶すら入りませんよね?」
完全に手の中に納まってしまうサイズだった。
もはや中身が無いのではないだろうかと、疑ってしまう。
アダバナは首を捻って、眉間に皺を寄せると、最後の箱を開いた。
「開けますね。多分コレが最後で……んッ!?」
「これは、面白いですね」
「面白いというよりも……資料にはやはり何処にも書かれていませんよ」
「そうですね。この状態にしてしまうとは、サティウスさんもやりますね」
感心している場合なのだろうか?
アダバナ達は想像以上に凄いものを目にしている。
それもその筈、デトロメキシアンをこの形状に落とし込んでしまうとは、流石に研究者として優秀過ぎる。
「これって、えっと、その……」
「アダバナさん、すぐにしまってください。摂取してはいけませんよ」
「は、はい!」
カモミールに促され、急いで箱の中に仕舞った。
少しでも空中に散布されれば命は無い。
細心を超え、精神が擦り切れる思いだった。
「あのカモミールさん、これって?」
「どうやら見えてきましたね」
「見えて来た、ですか?」
「はい。犯人の目的です。この事実を知っていたとなれば……いえ、知らなかったからこそ、この薬を求めていたんでしょうね」
カモミールには事件の全容の部分が、輪郭として捉え切れていた。
アダバナも犯人の目的は大まかに定まると、窃盗は失敗したと悟る。
つまり犯人は狙いの薬品を盗めてはいない。これは重要な手掛かりだ。
「知らなかったから、ですか?」
「はい。恐らく、犯人はこの薬のことを知っていた。だからこそ、サティウスさんを襲ったんです。ですが失敗に終わってしまった。子供騙しにも程がある、サティウスさんの仕掛けのおかげですね」
サティウスの仕掛けた子供騙しの策略が嵌った。
おかげで被害を最小限に留めることが出来たのだ。
代わりにサティウスは病院のベッドの上だが、それでもサティウスにとってはこれが最善だったのだろう。
「本当、この薬が盗まれていたらと思うと……」
「お、恐ろしい、です、よね?」
「「はい」」
本当に盗まれていなくて正解だ。
恐ろしいテロが起きずに済んだのだと、サティウスの功績を讃える。
とは言え、何故サティウスが研究・検証していると知っていたのだろうか?
(もしかして、本当にの四人……じゃなかった、三人の中に犯人がいる?)
シャムシエルは完全に除外されていた。
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