生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう

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34話 一人電撃戦②

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 僕は天井から下に降りた。
 その際、悟られないように空気を完全に同化する。

「ん? 見張りはどうした?」
「少し怪しい姿があったんだ。下の様子はどうだ?」

 少し声を野太くする。
 さっきの男の人も、こんな感じだった気がする。

 すると、そこにいた男。
 おそらくこの盗賊たちのリーダーは、椅子に座り、少女を縄で縛り付け、見張りをしていた。

 右手には、鋭い銀色ナイフ。
 手には赤い宝石のついた指輪。それからナイフの持ち手は、金色の装飾が施してある。

 頭にはバンダナを巻いていて、褐色も良かった。
 筋肉が迸る。

(このリーダー風の人、かなりできるね。あの子、早く助けてあげないと。可哀想に)

 両手足を縛られ、口にはタオルを巻かれていた。
 頭がびしょ濡れで、何かされた後だった。
 服も引き裂かれているが、多分あれは木の枝で引っ掛けたんだろう。足先も泥がついている。乱暴にされた証だ。

「下の様子は特に問題ないな。それより、外の様子が騒がしいが?」
「気にするな。何もない。それより……」
「なんだ」

 ここから少し、賭けに出る。
 単なる推測と、口の動きから読み取るだけだ。そう、はったりだ。

「なぁ、本当にこれでいいんだよな」
「ああ。あの依頼人の話だと、後はこのガキを連れて行けばいいそうだ」
「それで金が出るってわけだな」
「ああそうだ。しかし、こんなガキを欲しがるなんて、とんだ頭の貴族様だな。何を考えてるのか、わからない」

 ここまでの内容は、全部理解した。
 そこで僕は、

「そっか。じゃあ、もういいよ」
「なに!?」

 僕はローブを脱ぎ捨てて、男の顔に当てると、お腹に飛び膝蹴りを食らわす。
 あまりに突然のことに驚き、さらには視界を奪われていたので、表情はわからないが、苦しんでいる様子だ。

「まだだよ」

 さらに、ローブを顔に覆い尽くして、同時に左腕を後ろ手に回して、捻った。
 男の体が軋み出す。
 だけど僕は気にせずに、肩を外すと、それからナイフを聞こえるように、耳元に突き立てる。

「どうする? 僕の勝ちみたいだけど」
「お、お前は何者だ!」
「僕は冒険者。この子を助けにきたんだよ」

 かなり向上、かなりの軽快さで僕の口は回っていた。
 しかし音を聞きつけたのか、下の階から仲間がやってくる。

「どうした、ガンレス!」
「お、おいお前は誰だ!」

 やって来た盗賊の仲間たちも、僕のしている行為を見て、流石に目を見開く。
 だけど僕はこのままの調子で続ける。そう、取り引きの権利はこっちにある。

「はい、動かないでね。動いたら、この人……殺すかもよ?」
「「くっ!」」

 その時、僕の瞳はきっと狂喜乱舞していた。
 それこそ、あの忌々しい血族の、村人の、に変わっているのかもしれない。

 ああ、無情にたぎる。
 苦しみは快感に。快楽は、熱情に。僕を構成する全ての細胞が、僕を突き動かして、暴化させる。

 でもそこで切り替える。
 こんなことはよくない。そう思った矢先、力が抜けた。すると、

「うわぁ!」

 男が動き出した。
 持ってかれる。だったら!

 スッ、スパッ!ーー

 軽くベルトから二本のナイフを取り出す。
 それらを投げつけると、男たちの喉元にちょうど当たり、絶命した。

 バタン!ーー

 かなり重たい、鈍器のような音を立てて床に崩れ落ちる。
 しかしその頃には、僕に対して激しい怒りの眼を向けていて、

「よくもやったな、ガキが!」
「これヤバい?」

 こうなったら、単純なバトルになる。
 頭を悩ませて、それを悟ると、僕も剣を抜いて、構えてみたはみたんだけどねー。
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