生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう

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35話 盗賊頭領との死闘①

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 僕は盗賊のリーダー風の男と対峙してた。
 男の名前は、ガンレス。屈強な体格の持ち主だった。

「なかなかいい動きするじゃねえか、ガキが。どこから入って来やがった。って、上からだな」
「そうだよ。でも、最初は下からかな」
「下だと? まさか見張りの奴らも、全音蹴散らしたのか。大したもんだな」
「どうも、ありがと」

 僕は依然として、終始余裕の姿を見せる。
 それから縛られている少女に、ウインクをして、

「大丈夫だよ、すぐに助けてあげるから。でもその間、ちょっとだけ、変な音が聞こえるかもしれないんだ。我慢してね。目は、閉じてた方がいいよ」

 そう伝えると、少女は目を深く瞑る。
 それならそれでいい。僕は剣を構えて、自然な体勢になる。
 男の目は僕を睨む。
 仲間を殺されたことに、怒っているんだ。当たり前だよね。

「悪いが、こっちは全力でいかせてもらうぞ。ここまで負けたら、あいつらに詫びれねぇ」
「うん。僕も、それなりにやって、叩きのめすよ。覚悟してね。それじゃあ、始めよっか」

 沈黙が流れる。
 互いの殺気がぶつかり合って、先駆けになったのは、僕の方だった。

 地面を深く蹴り込む。床だからか、力が分散され、少し弾むも、それを利用して、懐に飛び込んだ。
 しかし、それを予期していたのか、対策を打つ。
 踏み込んだ僕の体を投げ飛ばそうとしたんだ。

「うわぁ!(なんてね)」

 ほくそ笑んでいた。
 何たって、僕は体重が軽くて、筋肉で少しカバーしているだけ。投げられるなんて、想定内。そこで投げられた際に、次を読んでおいて、僕の足はガンレスの顔を蹴り上げた。

「ぬはあっ!」
「甘いよ。僕、そんなんじゃ傷一つつかないから」

 こう言うのはハッタリにもなる。

 精巧に塗り固められた嘘は、時として真実に等しく、そしてまた遠い存在になる。
 結果として、相手は錯乱して、我を忘れて迷宮入り。かと思いきや、意外に冷静だった。

「チッ。なかなかやるな」
「そっちもね(かなり意外だけど)」

 僕としてもこれで折れないなら、想定内。だからこそ、次は全力で行く。
 お遊びはない。最初からなかったが、次からはガチの本気だ。

「殺気を乗せるけど、死なないでね」
「ふん。やってみろ」
「じゃあ、早速」

 剣を徐に構える。
 するとひたりと、指先が剣の刀身に触れて、何かを帯びたのでは? と、錯覚する。
 したがって、ガンレスは驚きあたふたしていた。

「な、何だその殺気は!」
「これが僕の、だよ」
「ちょっとだと。嘘を言うな」
「こんなこと、嘘言っても仕方ないでしょ」

 あからさまな脅し文句。
 
 その光景は、まるで強者が弱者を罵るような、まさにそれが相応しい。
 そんな中、僕は、殺気を飛ばしに飛ばしてガンレスを睨んだ。
 敵にさんは要らない。
 全力で、切る! ああ、無情。ただそれだけでいい。
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