生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう

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閑話 変態貴族の終わらせ方②

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 ヘンネル伯爵の豪邸。
 それはところどころに、金銀が散りばめられており、一見すると綺麗な装いを作り上げているようには見えますが、実際は、民衆を苦しめ、その肥やしを使って造り上げた、クズの住処でした。

「これがヘンネル邸。気色悪いですね」
「そうですよね。私も同感です」

 豪邸の警備を任されている、騎士は溜息混じりだった。
 私は、自らの爵位と名前を口にすると、すんなりと通してもらえた。

 そこで何食わぬ顔で豪邸の中に入るとともに、気配を飛ばしました。
 すると、

「腐敗の気配? これは、想像以上でしたね」
「お気をつけください」

 騎士の人にも心配されてしまいました。
 私がたった一歩、踏み込んだだけ。それなのに、ここまで悪寒にも似た、禍々しい気配を感じるのは、この家の主人が、相当黒いからでしょう。

「用心はしておきましょう」

 いざとなれば、先に殺し返す。
 その気概を持ったまま、私はヘンネル邸の中に足を踏み入れた。


 ヘンネル邸の中は、それはそれは強欲と豪遊の限りを尽くした造りで、壁には金粉が散りばめられ、私な口元を覆いそうになりました。

 メイド達にも覇気はなく、辛そうです。
 私は後で薬を調合してあげましょうと、固く誓い、その間も気配を飛ばして、探りを入れます。

 魔力避けはされていますが、この程度でしたら貫通します。
 私はそのまま気配を先に先行させ、そのままヘンネル伯爵の待つ部屋に向かいます。

 部屋は一番奥で、奥に行けば行くほど厳重になる。
 用心が過ぎる人ですね。

 しかしそれだけことを、自分からバラしているようなものではありませんか。
 私は、周りのメイドや騎士に目を配りながら、気配を先行させ続けると、不意に立ち止まってしまいます。

「この壁……」

 私は耳を当ててみました。
 それから少し魔法を使うことにして、状況を確認します。

「先にこっちですね」

 私は壁の中に手を添わせ、そのまま透過の魔法を使って、壁の中をすり抜けます。
 するとそこに広がっていたのは、小さな空間でした。

 薄暗くて悍ましい。
 血肉の臭いがします。

「酷い臭いですね。ですが、先にやっておきましょうか」

 私は地面に手を当て、穴を掘ります。
 後はと、述べることにしてから、私は壁をもう一度越えて、ヘンネル伯爵に会うことにしました。

 その前に、最寄りで待機している他の騎士や魔法使いに連絡を取り、集合を呼びかけました。
 これで準備は整いましたね。
 さて、

 私は滲んだ笑みを浮かべながら、部屋の前にいたメイドに一礼します。するとメイドの女性。エルフですね。

「お気をつけて」
「そうさせていただきます」

 こっそりと、聞こえない程度の声で、耳打ちをしてくれました。
 私は感謝を述べると、その足で部屋の中に進みます。
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