生贄にされた少年。故郷を離れてゆるりと暮らす。

水定ゆう

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48話 レイダー商会①

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 僕とリーファさんは、ある場所に来ていた。
 そこは〈マルシア〉の町で特に繁華街の一角であり、何よりも人通りが多いのが特徴で、物価が高かった。

 しかしそれだけ人通りが多いのは、商人にとって好都合であり、こうしている間も何人もの恰幅の良い人たちが、建物の中に入っていく。

 僕たちは通行の邪魔にならないよう、左右にはけていたが、時間も時間。
 このまま立ち尽くしていても仕方がないので、いざ建物中に入ることを決める。

「ここがヴェルティアさんのビル?」
「レイダー商会ですね。まさか、大きな土地に立派な屋敷があるかと思えば、至って平凡な形なんですね」
「平凡じゃないよ。マルシアの町中に、これだけのビルを造るのは、それだけ大変なことだよ」

 そもそも、ビルなんて言い方はこの町ではあまりしない。
 常に進化し続ける町の方が、こう言った縦長の建物は多い気がする。つまり、

「他国の文化を取り入れてるんだ。凄いことだよ」
「なるほど。ですが、かなり町中に溶け込んでいますよ?」
「それもそうだよ。でも、それだけだからこそ、色んな人たちがいるんじゃないかな?」

 こうしている間にも、町中にはさまざまな種族が行き交っている。
 それこそ、耳の長いエルフの冒険者。
 頭からネコの耳を生やした獣人。
 腕から薄いヒレを生やした半魚人のマーマン。

 この町は、無数で面白い。
 だからこそ、がいても、誰も何も言わないんだ。

「さあ、行こっか」
「そうですね。ここで立ち話をしていては、皆さんの迷惑ですからね」

 僕とリーファさんは、建物の中に入ることにした。
 常に開きっぱなしになった開けた入り口から、中に入ると、エントラスが広がっている。
 内扉になっていて、ガラス扉を押し開けた。

「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか?」
「ヴェルティアさんいますか? 冒険者ギルドから依頼を受けた冒険者なんですが」

 僕は依頼書を見せた。
 すると受け付けの女性は、依頼書を手に取り確認すると、「確かに、我が社の使っている魔力入りの朱印ですね。判もです」と、口にする。

 そんな仕掛けがしてあったんだ。
 僕は気がつかなかった。

 まだまだ修行が足りないなと落胆するものの、それより驚いたのは、女性が手にした不思議な板。

 薄い四角い板で、それに手をかざすと、

「社長、冒険者の方々がお越しですか。はい、わかりました」

 な、何だろうあれ。
 新しい魔導具かな? 多分、短い距離の間を三次元的に空間分析して、その間で《テレパシー》の魔法を使えるようにしているんだ。

 面白い。
 僕は素直に感心した。

「承認が取れましたので、社長室にご案内いたします」
「あっ、そこまでしていただかなくても」
「いえ、すぐですから」

 そう言うと受け付けの女性は、立ち上がり階段を目指した。
 それから急な階段がお目見えすると、

「社長室は四階です。では行きましょうか」
「「よ、四階?」」

 この階段を上るのか。
 僕はリーファさんと一緒に、骨が折れると思ったけど、訓練にはちょうどよさそうだった。
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