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不思議・不可思議・摩訶不思議ネット
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それじゃあお休み、グレイスちゃん」
(ああ)
真心はベッドに入る。
夜ももう遅く、十一時を回っている。
瞼を閉じ、目を休めると、真心は眠りに疲れていたせいか、すぐにでもついた。
——
——
——
「さてと」
グレイスは真心から体を返して貰う。
透明になった真心をベッドに寝かせ、一人向かったのは、真心の部屋に置いてあるノートパソコン。
IPは教えて貰ったので、グレイスは素早くパソコンを立ち上げ、早速ネットにアクセスする。
「情報が出ていればいいんだが……」
カタカタカタカタ!
カタカタカタカタ!
パソコンのキーを打ち込む。
もちろんただのサイトには用が無い。
グレイスはアドレスを打ち込み、早速ログインをした。
するとパソコンのディスプレイに怪しい目が現れる。
ギョロッ
パソコンに映り込んだ目は、ギョロギョロ動く。
まるでグレイスの顔色を窺っている。
「いい加減消えろ」
グレイスは辛辣な言葉を浴びせた。
すると映り込んだ目は、諦めた様子で、パソコンのディスプレイから消える。
スッといなくなると、代わりに目当てのサイトに辿り着いた。
—“不思議・不可思議・摩訶不思議・ネット”—
そこに映し出されるのは、如何にも怪しいサイトだ。
個人で作ったようなホームページで、あまりにも胡散臭い。
それでもグレイスは構わず、サイトの検索ボックスに目をやる。
「“トウメイリザード”っと」
慣れた手付きで検索ボックスに打ち込むと、パットをクリック。
すると一瞬にして目当てのページに変わった。
そこには日本中、あちこちで目撃される、“トウメイリザード”の目撃情報が記載されていた。
「ここにあればいいんだが……」
グレイスはページをスクロールする。
その数はあまりにも多く、正直、一人で探すのは大変だ。
「もっと絞るべきか。“龍睡町”。これでどうだ?」
検索ボックスにスペースを開け、もう一つ項目を増やす。
これだけ絞れるキーワードを使えば、一瞬でページは縮まる。
そう思ったグレイスはマウスをクリックし、ページが更新されるのを待った。
すると、想像を超えたことになる。
「嘘だろ。三件しかない」
あまりにも絞り過ぎてしまった。
その結果、ページに表示されている情報はたったの三つだけ。
しかも投稿者は二人だけで、如何やら同じ人が二回目撃したらしい。
「これは確実だな。どれどれ……」
リンクをクリックし、下層ページをそれぞれ見てみた。
たったの三件だ。
スベテに目を通す余裕があるが、グレイスは絶句した。
「う、薄いな……」
愕然としてしまうのも無理は無かった。
開いてみると、そこには一文しか記載されていない。
—珍しいモンスター見つけた。トウメイリザードだって!
「薄すぎる。なんだ、このコメント」
グレイスは呆れてしまった。
確かに、トウメイリザードは、珍しいマヤカシだ。
なにせ相手は透明。見つけることさえ困難だからだ。
「まあいい。気を取り直して次だ」
—また見つけた! 手負いってことは、誰かにやられた?
グレイスは肩を落とす。
同じ人からの投稿で、あまりにも内容は薄い。
淡白を超え、味が一切しなかった。
「まあ、有用ではあるな」
けれどグレイスはコメントを汲み取る。
この書き込みを見るに、トウメイリザードは手負い。
つまり、グレイスが攻撃し、虫の息になっていたトウメイリザードで間違いない。
それだけでこのコメントには進展があったと安堵し、最後のコメントに懸ける。
「頼むぞ。最後くらいはもっと有用な。それこそ、場所さえ分かれば……」
場所が特定できれば、明日にでもすぐに行ける。
早く真心を解放してあげたい。
そんな優しさを自己満足が急かせると、別の投稿者のコメントを開く。
—本日、龍睡町の駅前の辻道で、トウメイリザードを目撃致しました。手負いの様でしたが、どなたかご存じありませんか? 幸い、トウメイリザードは目立った行動を取ってはいませんが、縁石などが消える事態が微かに起こっています。大きな事故になる前に、対処した方がいいかもしれませんね。
1:ミラクルトゥインクル
>それヤバくない? ってか、同じ奴じゃない?
2:ヤタノカガミ
>トウメイリザード……ああ
「これだ」
明らかに有用なコメントが残っていた。
しかも場所まで細かく書かれている。
グレイスは確信を持った。明日にでも解決する。
「よかったな、真心」
「うーん」
「よく寝ているな。ふぅ、私も眠ろうか」
グレイスはサイトからログアウトする。
欲しかった情報は無事に手に入った。
これなら早急に方が付く。否、付けなければならない。
このままだと、真心以外にも被害が出る。
グレイスは知っていた。トウメイリザードは恐ろしいマヤカシ。
その被害は年間を通しても多々あり、陰を招く存在であるのだと。
(ああ)
真心はベッドに入る。
夜ももう遅く、十一時を回っている。
瞼を閉じ、目を休めると、真心は眠りに疲れていたせいか、すぐにでもついた。
——
——
——
「さてと」
グレイスは真心から体を返して貰う。
透明になった真心をベッドに寝かせ、一人向かったのは、真心の部屋に置いてあるノートパソコン。
IPは教えて貰ったので、グレイスは素早くパソコンを立ち上げ、早速ネットにアクセスする。
「情報が出ていればいいんだが……」
カタカタカタカタ!
カタカタカタカタ!
パソコンのキーを打ち込む。
もちろんただのサイトには用が無い。
グレイスはアドレスを打ち込み、早速ログインをした。
するとパソコンのディスプレイに怪しい目が現れる。
ギョロッ
パソコンに映り込んだ目は、ギョロギョロ動く。
まるでグレイスの顔色を窺っている。
「いい加減消えろ」
グレイスは辛辣な言葉を浴びせた。
すると映り込んだ目は、諦めた様子で、パソコンのディスプレイから消える。
スッといなくなると、代わりに目当てのサイトに辿り着いた。
—“不思議・不可思議・摩訶不思議・ネット”—
そこに映し出されるのは、如何にも怪しいサイトだ。
個人で作ったようなホームページで、あまりにも胡散臭い。
それでもグレイスは構わず、サイトの検索ボックスに目をやる。
「“トウメイリザード”っと」
慣れた手付きで検索ボックスに打ち込むと、パットをクリック。
すると一瞬にして目当てのページに変わった。
そこには日本中、あちこちで目撃される、“トウメイリザード”の目撃情報が記載されていた。
「ここにあればいいんだが……」
グレイスはページをスクロールする。
その数はあまりにも多く、正直、一人で探すのは大変だ。
「もっと絞るべきか。“龍睡町”。これでどうだ?」
検索ボックスにスペースを開け、もう一つ項目を増やす。
これだけ絞れるキーワードを使えば、一瞬でページは縮まる。
そう思ったグレイスはマウスをクリックし、ページが更新されるのを待った。
すると、想像を超えたことになる。
「嘘だろ。三件しかない」
あまりにも絞り過ぎてしまった。
その結果、ページに表示されている情報はたったの三つだけ。
しかも投稿者は二人だけで、如何やら同じ人が二回目撃したらしい。
「これは確実だな。どれどれ……」
リンクをクリックし、下層ページをそれぞれ見てみた。
たったの三件だ。
スベテに目を通す余裕があるが、グレイスは絶句した。
「う、薄いな……」
愕然としてしまうのも無理は無かった。
開いてみると、そこには一文しか記載されていない。
—珍しいモンスター見つけた。トウメイリザードだって!
「薄すぎる。なんだ、このコメント」
グレイスは呆れてしまった。
確かに、トウメイリザードは、珍しいマヤカシだ。
なにせ相手は透明。見つけることさえ困難だからだ。
「まあいい。気を取り直して次だ」
—また見つけた! 手負いってことは、誰かにやられた?
グレイスは肩を落とす。
同じ人からの投稿で、あまりにも内容は薄い。
淡白を超え、味が一切しなかった。
「まあ、有用ではあるな」
けれどグレイスはコメントを汲み取る。
この書き込みを見るに、トウメイリザードは手負い。
つまり、グレイスが攻撃し、虫の息になっていたトウメイリザードで間違いない。
それだけでこのコメントには進展があったと安堵し、最後のコメントに懸ける。
「頼むぞ。最後くらいはもっと有用な。それこそ、場所さえ分かれば……」
場所が特定できれば、明日にでもすぐに行ける。
早く真心を解放してあげたい。
そんな優しさを自己満足が急かせると、別の投稿者のコメントを開く。
—本日、龍睡町の駅前の辻道で、トウメイリザードを目撃致しました。手負いの様でしたが、どなたかご存じありませんか? 幸い、トウメイリザードは目立った行動を取ってはいませんが、縁石などが消える事態が微かに起こっています。大きな事故になる前に、対処した方がいいかもしれませんね。
1:ミラクルトゥインクル
>それヤバくない? ってか、同じ奴じゃない?
2:ヤタノカガミ
>トウメイリザード……ああ
「これだ」
明らかに有用なコメントが残っていた。
しかも場所まで細かく書かれている。
グレイスは確信を持った。明日にでも解決する。
「よかったな、真心」
「うーん」
「よく寝ているな。ふぅ、私も眠ろうか」
グレイスはサイトからログアウトする。
欲しかった情報は無事に手に入った。
これなら早急に方が付く。否、付けなければならない。
このままだと、真心以外にも被害が出る。
グレイスは知っていた。トウメイリザードは恐ろしいマヤカシ。
その被害は年間を通しても多々あり、陰を招く存在であるのだと。
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