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第二章:ビーダの街と空白の星
■11 最初の村へ
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私ととルクスはステラさんの元を離れた。
ステラさんの管理する領地の森はかなり鬱蒼としていて初見だとマジで迷ってしまう。
おまけに所々に認識阻害の魔法や人を迷わせたり壁みたいに魔力が展開されていて、通れないところだってしばしばだ。
その上、魔力に秀でた人はステラさんの魔力とこの土地のもたらす効能にやられてすぐにダウンしてしまうのも特徴で、ここまで私が何事もなく過ごせているのも魔力が何たらかいまいちピンときてないからと、魔力操作が苦手だからである。
逆にルクスやステラさんは如何なのかというとこっちも難解で、二人はそもそも魔力に耐性があるのと、魔力をスイッチの切り替えみたいにオンオフ出来るから心配ないとのことだ。本当便利な人達ですね全く。
「ナナヤ、どうしましたか?」
「ううん。なんでもないよ。それより、もう少しで森を抜けるけど道はわかる?」
「問題ないですよ。私は竜ですから」
この「竜ですから」発言は毎回なんでだと思う。
人の姿でも地竜の姿でも関係なしな点がチートだ。
異世界転生系や転移、召喚系のラノベは色々あるけど、本人が強いとかそう言ったことではないケースらしい。
ぶっちゃけて言えば私は師匠と武器と仲間と加護が強いだけで、私自身はそんなに強くないと自覚している。
だから私はこの際全部頼りきりにすることにしていた。まあいいよね。そう言うの。ゆとりだし。
「おっ、森の外が見えてきた!」
ルクスの背になり通常スピードが比じゃないので振り回されないように気をつけながら視界に入ってきたのは森の外だった。
どうやら森の外は一本道とさらに森で、まるで別世界のように見える。って、あれ?道ないけど……
「えっ、な、なんで道ないの!」
「ナナヤしっかりと掴まっていてください」
「えっ、ちょっと、うわぁー!」
私は急速にスピードを上げたルクスの手綱を握った。
太腿をしっかりと締め、振り落とされないようにする。
ルクスは崖になっているところを思いっきり跳んだ。
そしてそのまま一瞬だけ飛竜の姿に戻ると、着地し翼を閉まって地竜に戻る。
その時の衝撃は凄まじく、舌を噛んでしまった。
「ぐへっ!」
「ナナヤ?」
「だ、大丈夫。気にしないで(危ねー舌噛み切りかけた)」
ルクスに揺られながら私は内心そう思う。
ルクスは私の体のことを心配してかなりゆっくり進んでくれているけど、ステラさん曰くそのスピードは何も付けていない素な状態の馬よりも断然早いとのこと。
だからか、自転車でもそんなに早く漕がない私はこのスピードに正直耐えきれなかった。
「少しペースを落としますか?」
「お願いできる?」
「はい」
ルクスは私の身を案じてか自分からスピードを落としてくれた。
私が貧弱なのもあるけど、ルクスのスピードってそんぞそこらの相手とは訳が違う。
普通にめっちゃペース落として走ってるつもりが私の経験にはない程速いので、もっと法定速度で走って欲しい。と心から願うのは私だけなのだが。この世界は飛行機とかそう言うのないから地の利を簡単に活かせる地竜は貴重なのだ。まあ竜の中では一番多いんだけどね。
「そう言えばナナヤ、一つ聞いても」
「なーに?」
「なぜ私に空を飛ばせないのです?空であれば私の敵はいないと言うのに」
ルクスは頭を少しこちらに向けて話しかけた。
飛竜の時よりも少し顔はシャープになっている。
そんなキリッとした彼女の問いには私はちゃんと回答を出した。
「うーん。だって空飛んだら早く着いちゃうでしょ?それに、地上を走らないと見えないものもあるんだよ」
「見えないものですか?」
「うん。村とか街とか、川とか山とか森の中とか。上からじゃ全部が全部見える訳じゃない。神様視点で見るより、実際に三次元的に見た方がいいってね」
「なるほど。理解しました」
「うん(まあ、織姫とかステラさんの言葉をそっくりそのまま借りただけなんですけどねー)」
そんなダサいことは黙っておくことにする。
そんなことはさておき、あれからそこそこ進んだのでそろそろ村が見えて来てもいいはずだ。
ステラさん曰く、この先には小さな村が二つあり、そこを経由して行った方が街までは早いらしい。
街に着いたらなにをしようか。まずはお金を稼ぐことだけど、そんなのは着いてからにして私はルクスを進めた。
「ん?ナナヤ」
「どうしてのルクス?」
「なにか見えてきましたよ」
「えっ、ホント?」
私は目を凝らしてみた。
うーん、わからん。人間の私じゃ竜種のルクスには視力でも当然及ばない。
私はルクスになにがあるのか尋ねてみた。
「人の集落ですね」
「人の集落?ってことはステラさんの言ってた村だ!ルクス、行ってみよう」
「わかりました。ギュギャァ!」
ルクスは吠えた。
竜特有の声音を上げている。甲高い。
それを合図にルクスは力強く走り出した。私も手綱をしっかりと握り込み、振り回されないように必死に堪える。
「うっ!(目にゴミが)」
「ナナヤ?」
「なんでもないよ。さぁ行こう!」
私は目を擦り、ルクスを進めた。
とりあえずこの世界の人でステラさん違いとなるとファーストコンタクトになる。
ちょっと緊張するなー。
私は唇を噛み締めて、ルクスと共に向かった。
ステラさんの管理する領地の森はかなり鬱蒼としていて初見だとマジで迷ってしまう。
おまけに所々に認識阻害の魔法や人を迷わせたり壁みたいに魔力が展開されていて、通れないところだってしばしばだ。
その上、魔力に秀でた人はステラさんの魔力とこの土地のもたらす効能にやられてすぐにダウンしてしまうのも特徴で、ここまで私が何事もなく過ごせているのも魔力が何たらかいまいちピンときてないからと、魔力操作が苦手だからである。
逆にルクスやステラさんは如何なのかというとこっちも難解で、二人はそもそも魔力に耐性があるのと、魔力をスイッチの切り替えみたいにオンオフ出来るから心配ないとのことだ。本当便利な人達ですね全く。
「ナナヤ、どうしましたか?」
「ううん。なんでもないよ。それより、もう少しで森を抜けるけど道はわかる?」
「問題ないですよ。私は竜ですから」
この「竜ですから」発言は毎回なんでだと思う。
人の姿でも地竜の姿でも関係なしな点がチートだ。
異世界転生系や転移、召喚系のラノベは色々あるけど、本人が強いとかそう言ったことではないケースらしい。
ぶっちゃけて言えば私は師匠と武器と仲間と加護が強いだけで、私自身はそんなに強くないと自覚している。
だから私はこの際全部頼りきりにすることにしていた。まあいいよね。そう言うの。ゆとりだし。
「おっ、森の外が見えてきた!」
ルクスの背になり通常スピードが比じゃないので振り回されないように気をつけながら視界に入ってきたのは森の外だった。
どうやら森の外は一本道とさらに森で、まるで別世界のように見える。って、あれ?道ないけど……
「えっ、な、なんで道ないの!」
「ナナヤしっかりと掴まっていてください」
「えっ、ちょっと、うわぁー!」
私は急速にスピードを上げたルクスの手綱を握った。
太腿をしっかりと締め、振り落とされないようにする。
ルクスは崖になっているところを思いっきり跳んだ。
そしてそのまま一瞬だけ飛竜の姿に戻ると、着地し翼を閉まって地竜に戻る。
その時の衝撃は凄まじく、舌を噛んでしまった。
「ぐへっ!」
「ナナヤ?」
「だ、大丈夫。気にしないで(危ねー舌噛み切りかけた)」
ルクスに揺られながら私は内心そう思う。
ルクスは私の体のことを心配してかなりゆっくり進んでくれているけど、ステラさん曰くそのスピードは何も付けていない素な状態の馬よりも断然早いとのこと。
だからか、自転車でもそんなに早く漕がない私はこのスピードに正直耐えきれなかった。
「少しペースを落としますか?」
「お願いできる?」
「はい」
ルクスは私の身を案じてか自分からスピードを落としてくれた。
私が貧弱なのもあるけど、ルクスのスピードってそんぞそこらの相手とは訳が違う。
普通にめっちゃペース落として走ってるつもりが私の経験にはない程速いので、もっと法定速度で走って欲しい。と心から願うのは私だけなのだが。この世界は飛行機とかそう言うのないから地の利を簡単に活かせる地竜は貴重なのだ。まあ竜の中では一番多いんだけどね。
「そう言えばナナヤ、一つ聞いても」
「なーに?」
「なぜ私に空を飛ばせないのです?空であれば私の敵はいないと言うのに」
ルクスは頭を少しこちらに向けて話しかけた。
飛竜の時よりも少し顔はシャープになっている。
そんなキリッとした彼女の問いには私はちゃんと回答を出した。
「うーん。だって空飛んだら早く着いちゃうでしょ?それに、地上を走らないと見えないものもあるんだよ」
「見えないものですか?」
「うん。村とか街とか、川とか山とか森の中とか。上からじゃ全部が全部見える訳じゃない。神様視点で見るより、実際に三次元的に見た方がいいってね」
「なるほど。理解しました」
「うん(まあ、織姫とかステラさんの言葉をそっくりそのまま借りただけなんですけどねー)」
そんなダサいことは黙っておくことにする。
そんなことはさておき、あれからそこそこ進んだのでそろそろ村が見えて来てもいいはずだ。
ステラさん曰く、この先には小さな村が二つあり、そこを経由して行った方が街までは早いらしい。
街に着いたらなにをしようか。まずはお金を稼ぐことだけど、そんなのは着いてからにして私はルクスを進めた。
「ん?ナナヤ」
「どうしてのルクス?」
「なにか見えてきましたよ」
「えっ、ホント?」
私は目を凝らしてみた。
うーん、わからん。人間の私じゃ竜種のルクスには視力でも当然及ばない。
私はルクスになにがあるのか尋ねてみた。
「人の集落ですね」
「人の集落?ってことはステラさんの言ってた村だ!ルクス、行ってみよう」
「わかりました。ギュギャァ!」
ルクスは吠えた。
竜特有の声音を上げている。甲高い。
それを合図にルクスは力強く走り出した。私も手綱をしっかりと握り込み、振り回されないように必死に堪える。
「うっ!(目にゴミが)」
「ナナヤ?」
「なんでもないよ。さぁ行こう!」
私は目を擦り、ルクスを進めた。
とりあえずこの世界の人でステラさん違いとなるとファーストコンタクトになる。
ちょっと緊張するなー。
私は唇を噛み締めて、ルクスと共に向かった。
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