武器屋無双〜どんな武器でも作れる【武器屋】の俺、勇者パーティーを追放されたのでやけに明るい最強ヒロインとパーティー組んで無双してしまった!?

水定ゆう

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6章

第64話 ホブゴブリン

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 俺とエクレアはゴブリン・シャーマンから話を聞き、対策を練ろうとしていた。
 すると俺達の間に強烈な悪意が流れた。

「何か来たね」
「そうだな。こっちに来ているのか」

 明らかに強烈な悪意が全身を駆け抜ける。
 俺とエクレアはコクコクと首を縦に振ると、お互いに剣を構えた。

「とりあえずこっちからだね」
「そうだな。裏手からは揺動だ。お前が仕留めろ、エクレア」
「わかってるよ。とりあえず、まずは景気付けに渾身のいっぱーつ!」

 エクレアは今いる場所に2つある脇道のうち、背後にある通称裏手の道を狙った。
 背後に細くて高密度の光の球体が出現する。《黄昏の陽射しサンライト・ライズ》を撃ち出す準備をした。

「おやめください。もしかしたら私たちの仲間かもしれません!」
「それは大丈夫だよ」
「何を根拠に!」
「根拠はある。とにかくやれ」
「もう撃っているよ!」

 エクレアは俺達が来た脇道目掛けて《黄昏の陽射し《サンライト・ライズ》》を撃ち出していた。
 あまりの寝ると光の加減に目を奪われ、脇道目掛けて放たれるや否や何かが転がってきた。

「魔石ゲット! ってことは結構倒したんじゃないかな?」
「そうだな。とりあえずこれで第一波は越えた」
「お2人は本当にお強い。一体どれだけの力を秘めているのでしょうか」

 ゴブリン・シャーマンは俺とエクレアに感嘆としていた。
 しかし俺からしてみればエクレアが化け物過ぎる。
 コミュ力お化けなだけじゃない。無尽蔵のパワーを秘めている。

「それじゃあ行くぞ」
「もっちろん。みんなはここで待っててね。よいしょ!」

 エクレアが《黄昏の陽射しサンライト・ライズ》を展開した。
 今回はいくつも出して、まるで立体の四角形を作り始める。
 光が繋がり熱の障壁が生み出されると、ゴブリンたちを閉じ込めた。

「これで大丈夫。何かあっても、私の光を越えることができないよ!」
「お前のこの技も凄いな」
「凄いかな? だって防御系だよ?」

 しかも消費魔力も多い技だ。
 しかしエクレアは平然とした顔をしている。
 俺は一線を画すエクレアの魔法に感嘆が呆れに変わった。

「それじゃあ行こっか。じゃあ倒すよ!」

 エクレアはもう一度光を展開した。
 今度は前面に押し出すような形で広げ、光通しが光の線で繋がると、バリアのように俺達を守っている。
 これで脇道を進むことで、前から襲って来たゴブリンを一網打尽にする作戦らしい。

「これで進めるね。それじゃあカイ君は私の後ろを付いて来て」
「仕方ないな」
「それじゃあ行ってみよう」

 エクレアは脇道に足を踏み出した。
 しかしその瞬間、さっきを感じたのか、光のトライアングルを押し出した。
 熱量のバリアが脇道の先に押し込まれ、大量の魔石が転がってくる。

「どうしたエクレア!」
「ちょっとマズいかも。カイ君、駆け抜けるよ」
「わかったが、説明しろ」
「説明は後だよ。後、一気に倒さないとダメだよ」

 俺はエクレアの冷や汗を見て眉根を寄せた。
 するとエレクアはもの凄いスピードで走り出すと、俺はエクレの後を続いた。
 脇道の奥が見えてくる。大量の魔石が転がる中、洞穴の通路に辿り着くと、ゴブリンの集団が石剣や石斧をエクレアと俺に振りかざしてきた。

「そういうことか!」

 俺はあまりに大量のゴブリン相手にムカついて剣を叩きつけた。
 とは言え集団線の真似事に過ぎない。
 俺とエクレアは剣を振り回し、的確にゴブリン達を倒していく。魔石に変わっても尚攻撃の手が緩まないのは、ゴブリンと言う種族の数の多さにあった。

「流石にお前が冷や汗を出して嫌悪する理由がわかった」
「そうだよね。だってこの有様だもん」

 そこには大量の魔石が転がっている。
 つまり仲間通しで同士討ちをしたわけだ。
 けれどどうしてそんな真似をしたのか。俺は心当たりがあった。

「これはアレだな。共食いと同じで、お互いに戦って強い奴が魔石を食う。それで強い奴だけを作り出す一種の荒業だ」
「どうしてそんな損な真似……損な真似!」
「1人ツッコミするな」
「ごめんごめん。でも、どうしてそんな倫理観にそぐわない真似をするのかな?」
「モンスターにそんな意識があると思うのか? こんな真似をするのはモンスターの性の1つ。問題なのは、これをやって生み出したのは何かだ。例えば超強力なモンスターだとしたら……」
「モンスターだとしたら何だ?」

 俺の背後に敵意が突き刺さる。
 喉の奥を引っ掻くような生々しい敵意はもはや悪意で俺の体を貫いて、俺は瞬時に剣を背後に振りかざした。
 するとビタッとタイミングよく剣が触れ合い、巨大な緑色の拳を受け止めた。
 しかし剣の刃先はボロボロになって、使い物にならなくなる。

「何だコイツは!」
「カイ君、大丈夫!」

 俺のみを案じてエクレア飛び出そうとした。
 しかし俺は自力で離脱すると、距離を取る。
 するとゴブリンの攻撃が止まった。拳圧などもなく、俺達を完全に試している。

「腑に落ちないな」
「ははっ。貴様ら下等な人間どもにこの俺様が破れるわけがないのだ」

 完全に死亡フラグを立てていた。
 しかし敵は図体がデカい。ソイツはゴブリンのようだが、只のノーマルゴブリンではない。
 コイツはホブゴブリン。強い役持ち種だ。
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