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12.優しい魔物のお願いよ
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トレント。
人間と樹木の性質を持つ魔物ことだ。
俺自身見たことはあるものの、このタイプのトレントに出会った経験はない。
「エルダートレントか」
「なんですか、それ?」
アクアスは首を傾げていた。
長く生きたトレントだけが、成ることができるとされていて、その中でも特に魔力が強く、知性に優れた種類だけがこの姿になるという。
極めて珍しいが、まさか実際に見ることになるなんてな。
「不思議なこともあるもんだ」
「私もです。まさか人間さんにまた会えるなんて」
「その言いかた、前にも会ったことがあるみたいな感じだな」
「はい。少し前まではこの辺りにある屋敷に住んでいた魔法使いさんと仲良くしていました。しかし少し前に姿を見せなくなってしまって。色々相談していたんですが……」
「そうか。それは……」
俺は言葉に詰まった。
昔住んでいたのは魔法使いだったのか。それは面白いな。じゃあ俺はそんな人の思い出を軽はずみな言動で、ぶち壊してしまったのか。
「悪いことしましたね」
「しっ!黙っとけ」
「あのー」
「な、なんだ。俺たちに何か用でもあるのか?」
エルダートレントは俺たちに話しかけた。
何の話か思いつつ、咄嗟的に聞いてしまった。
すると、
「お願いを聞いてもらえませんか?」
「俺たちにか。なんで」
「前に会った魔法使いさんが、もし私が来なくなったら、次に会った人に相談してみてよって言われたんです」
「はぁー。? それって俺たちかよ!」
「はい!」
エルダートレントは大きく返事をした。
しかしあれだな。
木が話しかけて来るのは、流石に話しづらい。
「なぁ、その姿はどうにかならないのか?」
「えっ!?」
「それに私たち土を集めなくちゃならないんです。そこのお屋敷の修理しなくちゃならないんだー」
「えっ、修理!」
「あっ!?」
アクアスの奴やりやがった。
せっかく黙っていればいい話を掘り起こすなんて……ため息が出てきた。
「実はな……」
「老朽化ですね。それならこれを使ってください」
エルダートレントはどこから取り出したのか、大量の土をバケツの中に詰めていた。
触ってみると少しネトネトしている。最高の粘土質じゃないか。
「これどうして」
「集めておいたんです。必ず何かの役に立つからって、言われていたんです」
「そうだったんだ。まさかな」
こうなることを見越していた。
そんな天性の未来視能力なんてあるのか?
俺は不思議とワクワクしていた。
「それとこの姿が駄目なんですね。でしたら」
エルダートレントはそういうと、魔力を集中させた。
魔法陣が地面に描かれて、包み込まれたエルダートレントの体は眩く発光。
気が付けばエルダートレントの体は、木の姿から人間に変わっていた。
「これでどうですか?」
「おいおい、マジかよ」
「凄い。それに綺麗な人……」
アクアスが見惚れてしまうほど、綺麗な女の人が立っていた。
しかも服も着ている。どこに隠していたんだよ。
俺は上から下まで眺めた。おっとっと、これはマズいな。
「えーっと、誰?」
「私です。トレントです。トレントのレンです!」
「名前在ったんだ」
「ありますよ。私は魔法使いさんに付けてもらったんですから!」
そんなに怒らなくてもいいだろう。
しかし名前を与えるなんて。とんでもない神経と精神力をしている。
俺は感服した。
「レンでいいんだな」
「はい。レンで大丈夫です」
エルダートレントのレンは大きく頷いた。
やっぱり可愛い。見惚れる俺の脇腹にアクアスが一発肘を入れた。
「痛ぁ!」
「何見てるんですか」
「いいだろ。俺だって男なんだ」
「だったら私を見てくださいよ!」
アクアスは何にキレてんだよ。
俺は顔を顰めるが、アクアスはプィっと首を振って、完全に俺から目を逸らす。
俺、何か悪いことしたのか。
「それで……」
「あぁ、何の話っだけ?」
「私のお願い聞いてくれますか?」
レンはそれ一点張りだった。
ここまで言うんだ。きっと相当の悩み何だろうが、果たして俺らで叶えられるのか?
「それら俺らになんとかできることなのか?」
「えーっと、多分」
「おいおい」
「とにかくです。私には野望があるんです」
野望。
響きだけで見ればカッコいいが、実際はどうか。
その野望と言う言葉の甘さにまんまと飲まれて、消えて言ったやつを見たことがある。
聞いた話では、冒険者の中にもそうやって命を落とした奴も少なくないらしい。全く、大層な話じゃないか。反吐が出る。
そんな話を聞いてしまった。
俺は変に首を傾げて、アクアスも興味深そうにしていると、レンはこんなことを言った。
「実はですね。私、ここに村を作りたいんです。人間と魔物が共存できる村をです!」
「「はい?」」
俺とアクアスは泡を吹かされた。
しかしレンはと言うと、大真面目な装いだった。
人間と樹木の性質を持つ魔物ことだ。
俺自身見たことはあるものの、このタイプのトレントに出会った経験はない。
「エルダートレントか」
「なんですか、それ?」
アクアスは首を傾げていた。
長く生きたトレントだけが、成ることができるとされていて、その中でも特に魔力が強く、知性に優れた種類だけがこの姿になるという。
極めて珍しいが、まさか実際に見ることになるなんてな。
「不思議なこともあるもんだ」
「私もです。まさか人間さんにまた会えるなんて」
「その言いかた、前にも会ったことがあるみたいな感じだな」
「はい。少し前まではこの辺りにある屋敷に住んでいた魔法使いさんと仲良くしていました。しかし少し前に姿を見せなくなってしまって。色々相談していたんですが……」
「そうか。それは……」
俺は言葉に詰まった。
昔住んでいたのは魔法使いだったのか。それは面白いな。じゃあ俺はそんな人の思い出を軽はずみな言動で、ぶち壊してしまったのか。
「悪いことしましたね」
「しっ!黙っとけ」
「あのー」
「な、なんだ。俺たちに何か用でもあるのか?」
エルダートレントは俺たちに話しかけた。
何の話か思いつつ、咄嗟的に聞いてしまった。
すると、
「お願いを聞いてもらえませんか?」
「俺たちにか。なんで」
「前に会った魔法使いさんが、もし私が来なくなったら、次に会った人に相談してみてよって言われたんです」
「はぁー。? それって俺たちかよ!」
「はい!」
エルダートレントは大きく返事をした。
しかしあれだな。
木が話しかけて来るのは、流石に話しづらい。
「なぁ、その姿はどうにかならないのか?」
「えっ!?」
「それに私たち土を集めなくちゃならないんです。そこのお屋敷の修理しなくちゃならないんだー」
「えっ、修理!」
「あっ!?」
アクアスの奴やりやがった。
せっかく黙っていればいい話を掘り起こすなんて……ため息が出てきた。
「実はな……」
「老朽化ですね。それならこれを使ってください」
エルダートレントはどこから取り出したのか、大量の土をバケツの中に詰めていた。
触ってみると少しネトネトしている。最高の粘土質じゃないか。
「これどうして」
「集めておいたんです。必ず何かの役に立つからって、言われていたんです」
「そうだったんだ。まさかな」
こうなることを見越していた。
そんな天性の未来視能力なんてあるのか?
俺は不思議とワクワクしていた。
「それとこの姿が駄目なんですね。でしたら」
エルダートレントはそういうと、魔力を集中させた。
魔法陣が地面に描かれて、包み込まれたエルダートレントの体は眩く発光。
気が付けばエルダートレントの体は、木の姿から人間に変わっていた。
「これでどうですか?」
「おいおい、マジかよ」
「凄い。それに綺麗な人……」
アクアスが見惚れてしまうほど、綺麗な女の人が立っていた。
しかも服も着ている。どこに隠していたんだよ。
俺は上から下まで眺めた。おっとっと、これはマズいな。
「えーっと、誰?」
「私です。トレントです。トレントのレンです!」
「名前在ったんだ」
「ありますよ。私は魔法使いさんに付けてもらったんですから!」
そんなに怒らなくてもいいだろう。
しかし名前を与えるなんて。とんでもない神経と精神力をしている。
俺は感服した。
「レンでいいんだな」
「はい。レンで大丈夫です」
エルダートレントのレンは大きく頷いた。
やっぱり可愛い。見惚れる俺の脇腹にアクアスが一発肘を入れた。
「痛ぁ!」
「何見てるんですか」
「いいだろ。俺だって男なんだ」
「だったら私を見てくださいよ!」
アクアスは何にキレてんだよ。
俺は顔を顰めるが、アクアスはプィっと首を振って、完全に俺から目を逸らす。
俺、何か悪いことしたのか。
「それで……」
「あぁ、何の話っだけ?」
「私のお願い聞いてくれますか?」
レンはそれ一点張りだった。
ここまで言うんだ。きっと相当の悩み何だろうが、果たして俺らで叶えられるのか?
「それら俺らになんとかできることなのか?」
「えーっと、多分」
「おいおい」
「とにかくです。私には野望があるんです」
野望。
響きだけで見ればカッコいいが、実際はどうか。
その野望と言う言葉の甘さにまんまと飲まれて、消えて言ったやつを見たことがある。
聞いた話では、冒険者の中にもそうやって命を落とした奴も少なくないらしい。全く、大層な話じゃないか。反吐が出る。
そんな話を聞いてしまった。
俺は変に首を傾げて、アクアスも興味深そうにしていると、レンはこんなことを言った。
「実はですね。私、ここに村を作りたいんです。人間と魔物が共存できる村をです!」
「「はい?」」
俺とアクアスは泡を吹かされた。
しかしレンはと言うと、大真面目な装いだった。
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