1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について

水定ゆう

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フェンリル編

659.赤壱島へ行こう2

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 ルカは森の中を歩いていた。
 とりあえず斜面を下り、目指すは町。
 一体どんな風に変わったのか、ルカは楽しみにしていた。

「ん?」

 そんな中、ルカの目の前を男性の集団が歩いて来た。
 全員武装している。物騒なことだ。
 確かにこの森にならモンスターが生息しているだろう。
 けれどそれにしては重装備で、ルカは関わり合いになりたくないと悟る。

「無視かな」

 ルカはスルーすることを決める。
 一旦《インビジブル》を発動。
 姿を完全に隠し、気配も全て殺し切ると、足音さえ失わせる。

(これでよし)

 ルカは上手い具合に視界に入る前に姿を消せた。
 おかげか、男性達の目には映らない。
 下手に警戒されなくて済む。

「この間はやられたが、今回こそ叩くぞ」
「だな」
「今日こそとっちめてやるぜ!」
「明日には俺達も大金持ちだ! ヒャッハー!」

 あまりにも愉快な人達だった。
 如何やら特定のモンスターでも探しているらしい。
 モンスターが金になるのか、はたまたモンスター自体に討伐報酬が掛かっているのか。
 どちらかだろうが、ルカには関係がない。

(今の会話は……)

 とは言え気にはなってしまうのが人間だ。自分の持っている情報と照らし合わせる。
 けれど随所に違和感はあるものの、気にしないことにして、ルカは武装した男性達の隣を過ぎ去る。
 その瞬間、ルカは普遍的にだが、男性達の武器に異様さを感じる。

(あの武器は、対魔獣用っていうか……)

 何か足りない気がする。
 恐らくは魔獣よりも強敵を相手にするための武器を用意する予定だったのだろう。
 けれど今の技術ではそれは不可能。
 ルカは残念に思うと、目をソッと伏せた。

(まあ、いいかな)

 ルカが気に掛ける問題ではなかった。
 何せ密猟者というにはあまりにもしっかりとしている。
 むしろ真逆のようで、ルカはスタスタと森の中を歩き出す。

(そろそろ森を抜けるかな)

 木々が少なくなり、光が差し込んでくれる。
 如何やら森から抜けられるらしい。
 中途半端に整備された一本道を進んでいくと、森の出入り口に辿り着く。

「この辺で一回解こうかな」

 ルカは《インビジブル》を始めとした魔術を解いた。
 姿を現わすと、森の中から出て来る。
 目の前には整備された道に加えて、人の波。
 怪しまれないように観光客を装いつつ、人混みに溶け込んだ。

「人の流れ的にこっちだよね?」

 道を間違えていなければ左に行けば町がある。
 一体どんな町なのか、背の高い人達に目の前を塞がれる。
 そのせいで上手く見えなかったが、肩口から石柱が窺える。

「アレは……」

 石柱があると言うことは人の手が入っている。
 おまけに手入れが行き届いており、何度も補修を重ねた跡も薄っすらと残っている。
 間違いなく人の生活圏から程近い。
 ルカの想像は概ね当たり、如何やら石柱の正体は門の一部らしい。

「ここが、町」

 あまりにも淡白な感想が出た。
 けれど驚いているから許して欲しい。
 瞬きをするしかなく、ルカは放心する。

「おお、結構人が行き来を繰り返してる」

 思っていた以上に栄えていた。
 ルカと同じような観光客に町の商人、何故か武装した人達(所謂冒険者)の姿もある。
 交流が盛んとは思っていたルカだが、これだけ多種多様、ましてや種族も関係無いのは面白かった。

「とは言え検問も無いと……」

 これだけ人の行き交いが激しい町だ。
 検問所が本来なら設置され、身分証や持ち物のチェックなど、面倒な手続きを踏み必要がある。
 そうでもしなければ町の安全は保たれない筈なのに、何故か検問所の一つもない。
 あまりにも杜撰。そう思うのは早計で、検問所は無いものの、随所に魔術の痕跡がある。

「まあ、なにか秘密があるんだろうね。私には関係ない。さてと、まずは情報収集だ」

 ルカは意気揚々と町に入ろうとした。
 簡潔な関所を潜り、行き交う一般人に紛れる。
 完全に気配は殺している。ルカはキョロリと視線を配った。

(ん?)

 するとルカの視界に男性が一人留まる。
 何故か関所の門の柱に背中を預けて立ち尽くしている。
 明らかに怪しい動き。おまけに周りの人には見えていないらしい。

 《インビジブル》を掛けているのだろうか?
 それとも着ているのはフード付きのマント。透明マントの可能性もある。
 透明マントは貴重な代物だが、着用すれば完全に周囲から消えることができる便利なもので、ルカでさえ二十着程しか持っていない。

(怪しい人物でも監視しているのかな?)

 これだけ人の行き交いが激しいのだ。一人や二人、監視を置くのは定石。
 とは言えルカの前では全て丸見え。
 とりあえず邪魔にならないよう、下手に警戒されないように慎むと決める。

(まあいっか。気にしない)

 そう思ってルカは見ないふりをした。
 視線を前に戻し、スタスタと町の中に入る。
 かと思えば、それは妨げられてしまった。

「はっ?」
「君、ちょっといいかい?」

 突然腕を取ったのは男性。ルカがスルーした人だ。
 何かしてしまったのだろうか? 抜き打ちにしてはピンポイント。
 怪しい素振りはそこまで見せなかった筈だが、面倒なことに絡まれたと思い、ルカは落胆した。
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