1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について

水定ゆう

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フェンリル編

677.赤斜山がヤバい

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 私は冒険者ギルドの外に出た。
 とりあえず、あの違和感の原因を探ろう。
 ルカは幻島で感じた違和感の正体=魔力だと決め付け、赤斜山に行ってみることにした。

「それじゃあ、赤斜山に行ってみようかな」

 赤壱島に来た以上、外す訳には行かない場所。
 それが、赤斜山。赤壱島が誇る、最大規模のダンジョンだ。

「っと、人に気が付かれると面倒だね。《インビジブル》」

 ルカは今、この町で注目されている。
 変な噂が広まったせいで、正直これ以上絡まれるのは面倒だ。
 そこで姿を消すことにした。これで大抵の人には気が付かれない。

「これでよし。後は《サイレント》」

 ルカは姿だけではなく、音も消した。
 これで誰にも気が付かれることはない。
 安心して町の外に出ると、ルカは誰にも邪魔されなかった。



「来てみたはいいものの……」

 ルカは赤斜山にやって来た。
 緑豊か。地面が少しだけ赤みかかっている。
 土の成分と、含まれる精霊由来の魔力。それらの影響で、赤斜山は特に斜面が赤いのだ。

「酷い魔力だね」

 鼻を押さえたくなるくらい、気持ちの悪い魔力の乱れをしていた。
 もちろん、ルカにとっては大したことではない。
 けれどこれだけ魔力が乱れ、濃い濃度で充満すると、エグいことになる。

「まさか、これだけ乱れているなんて。コレ、魔術師が原因かな?」

 勝手に決めつけていた自分を見直す。
 もしかすると、別の角度からの死角かもしれない。
 それこそ、普通だ。あくまでも、一般的な思考だ。

「魔力が乱れたのは、土地が原因? それとも……」

 魔力が乱れたのは、土地が原因。そう考えるのが普通だ。
 大気中に存在する魔素に、土地の魔力が影響を与えている。
 そうなれば、一時的に乱れることはあるのだ。

 けれどルカはそれだけでは留まらない。
 それとも別の要因がまだ隠れているのかもしれないと睨んだ。

「モンスターが原因の可能性もあるよね」

 モンスターの中には、特に強大な力を持つ個体も居る。
 その魔力は、周囲の環境に影響を与えることもある。
 土地の環境、それこと魔素や魔力に歪みをもたらすことは普通だった。

「まさか、なにかした?」

 どんなモンスターが潜んでいるのかは分からない。
 けれど一つだけ言えることがある。
 それはごく一般的なモンスターとは違う。

 過去に魔物と呼ばれたモンスターとは異なる存在。
 それこそ、魔獣が該当するだろうか。
 土地に影響を与える程の強い魔獣が息を潜めているとなると、油断はできなかった。

「面白くなって来たね」

 ルカは笑みを浮かべていた。怯える所か楽しんでいる。
 早く遭ってみたいと思うのは、速攻で終わらせたいから。
 ニヤリとした笑みを浮かべ、早速冒険と探索を始めた……けど。

「ん?」

 その足はすぐさま止まった。否、止めざるを得なかった。
 遠くの方、男性の声が聞こえた。
 しかも複数人で、ルカは草むらの影に身を隠す。

「この声、もしかして……」

 ルカは気が付いていた。確か冒険者ギルドで見かけた冒険者の声だ。
 まだ確信は持てないが、ルカはある種の確信を、今までの経験則で持っている。
 多分間違いない。そう思って待っていると、案の定、複数人でパーティーを組んで、山道を歩いていた。

「うるせぇ、黙ってろ」

 何やら怒り心頭だった。
 イラついた声を上げると、仲間の冒険者に揶揄されている。

「どうしたんだよ、シルドン。なんか機嫌悪ぃぞ」
「そうだぜ。いつも怖い顔してる癖によ」
「全くだな。なぁなぁ、シルドンさんよ、教えてくださいよぉ」
「お前等、いい加減にしろよ」
「「「おぉ、怖っ」」」

 愉快な冒険者パーティーだった。
 話し声にだけ耳を澄ましてみたが、これはこれで面白い。
 冒険者ギルドで急いでいたのは、パーティーメンバーを待たせていただけ。
 それは悪いことをしたと、ルカは痛感する。

「これは放っておいてもいいかな?」

 単に冒険者としての活動なら、制限を掛けるのも悪い。
 ルカも大人で寛大な考えを持つと、迷惑を掛けるのは止めた。
 既にルカが迷惑を被ったから、嫌でも気持ちが分かるのだ。

「んじゃ、とっととモンスターを狩るぞ」
「もちろん生け捕りだな」
「うっしゃ。稼ぐぞ!」

 盾持ち冒険者達の会話が聞こえた。
 何やら嫌な予感がしてしまう。
 ルカは草むらの影から飛び出すのを止めた。

「いやいや、待った」

 ルカは草むらの陰に隠れ、自問自答していた。
 何故そんな意識が働くのか。
 それはルカが千年以上も生きている魔法使いだから。
 冒険者以上に、冒険の心得があるからに他ない。

「これ、尾行した方がいいんじゃないかな?」

 何故かルカは尾行する考えに至った。
 あまりにも逸脱した思考を抱くのには訳がある。
 忘れてはいけない。ここは今、密猟が盛んだ。

「そうだよね。うん、そうしよう」

 ルカは色々なことを考えた。
 冒険者達の後を追えば、自然とモンスターとも接敵する。
 それは何かと好都合で、ルカはニヤッと笑みを浮かべた。
 それが抑止力になれば、尚のことだからだ。

「あの冒険者達、絶対になにかするからね」

 ルカは盾持ち冒険者を始めとした冒険者達を怪しんでいた。
 正直、密猟者の可能性をぬぐい切れない。
 ここは頃合いを見て背後を取ろう。ルカは明らかに暗殺者の考えで、冒険者達を尾行することにした。
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