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フェンリル編
678.密猟者の後追って
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ルカは草むらの中に身を潜めていた。
それから獣道を歩いて来る冒険者達を確認する。
「来た」
ここからは声を出さないことにする。
おまけに気配も完全に殺す。
尾行のためには、存在感を消すことが大事だ。
「やっぱり……」
やって来たのは四人組の冒険者パーティー。
全員が漢で、妙に黒い格好をしている。
その中でも一番目立つのは、戦闘を歩く盾役の男性。
ルカを軽くあしらった、シルドンとか言う冒険者だ。何となく名前を憶えるだけの価値を見いだすと、ルカは目の前を通るのを待つ。
(今)
ルカはその最後尾に付いた。
もちろん気配は完全に殺している。
だから気が付く筈はないのだが、案の定、シルドン達はルカの存在に一ミリたりとも違和感を抱いていない。
(嘘でしょ? 本当に気が付かないんだ)
ルカはシルドン達冒険者パーティーの実力を計算した。
低くはないのだろうが、あまりにも注意が散漫。
千年間の経験肩見立てをするも、ルカが自分の強さの指標を間違っているので、正確な判断はできなかった。実際、シルドン達は相当な強者……なことを、ルカは知らない。
(まあいいか。それより会話の内容……)
ルカはシルドン達の会話に耳を澄ませる。
ここまでの道中でずっと喋っていたのは聞こえていた。
一体何の話題を話しているのか、冒険者の情報網を嗜める。
「なぁ、知ってるかシルドン」
「なんだ?」
「今日、町の方で騒ぎがあったらしいぜ。なんでも、ダウンツがやられたらしい」
「ダウンツが? なかなかやるな。一体誰がやったんだ?」
何やら聞きたくない話をしていた。
確かルカが倒した冒険者もダウンツだった気がする。
表情を顰めると、町での騒ぎが噂として広まり過ぎていた。
「さぁ? なんでも女だったらしいぜ」
「女? 同業か?」
「いや、観光客らしいぜ」
「観光客……不気味だな。相手をしたくないのは確かだ」
「だな」
ルカだって相手をしたくは無かった。
けれどあの状況、面倒なことに絡まれてしまった。
寧ろルカが被害者で、噂の終息を待つしかない。
「そんなことより今日も稼ぐぞ」
シルドンは興味が無いのか、話を変えた。
今日も稼ぐ。冒険者らしい発想だ。
冒険者ギルドでのやり取りも、その一環だとすれば、ルカも容易に目を瞑った。
そんな折、突然足を止めるので、ルカも止まった。
「おい、見ろよ。あのモンスター」
仲間の一人がポツリと呟いた。
全員が視線の先を共有すると、ルカも合わせて視線を移動させた。
すると目の前には小さな金色のリスの姿がある。
確か、ゴルドワイルじゃなかったかな?
「珍しいモンスターじゃね?」
「俺、初めて見たんだけど」
「マジか。あんな色のリスがいるのか」
確かにゴルドワイルは珍しいモンスターだ。
毛並みの色が金色に輝いているのは、溢れ出る魔力と太陽の陽射しを全身に受けているから。あれだけの輝きを放つ個体は、そう居ない。ルカでさえ珍しいとは思った。
けれど一つだけ、忘れてはいけない。
ゴルドワイルは貴重なモンスター。討伐や捕獲は以ての外だった。
「どうする?」
「放っておこうぜ。どうせ大した金にはならねぇよ」
それは大きな間違いだった。
ゴルドワイルはその貴重性から、貴族の間では高値で取引される。
とは言っても、相手はただのモンスター。高いとは言っても、少し色を付けたくらいだ。
「いや、捕まえるぞ」
「「「マジかよ!?」」」
シルドンの判断に、仲間達は驚いていた。
ゴルドワイルの価値を判っているのか、判っていないのか、
少なくとも、シルドンは誰よりも金に執着を持っていた。
「なんだっていい。赤壱島に来たのは、金になるからだ。少しでも稼ぐぞ」
「だよな。うし、やるぞ」
「そう来ないとな。あー、今日も美味い飯食って、女と遊ぶぞ」
「お前はいつもそれだな」
男性冒険者達はゲラゲラと笑っていた。
その声に気が付いたのか、ゴルドワイルは警戒する。
聞き耳を立てて、シルドン達の姿を補足……できなかった。
「おいおい、今の気が付かれたんじゃねぇか?」
「いや、この距離だろ。流石に無理だぜ」
「それに俺の盾は特注品だ。大抵のモンスターは気が付かねぇよ」
ゴルドワイルは貴重なモンスター。
それは元々数が少ない故に、生存本能から進化したため。
とにかく耳がよく、少しの音でも敏感に察知ができる。
けれどシルドンの背負っている盾には特殊な効果があるらしい。
モンスターの感覚器官で、察知されないようにできるという優れもの。
恐らくかなり高価だろうが、それでも余るだけの価値はある。
実際、ゴルドワイルの感覚器官は、魔力を伝って音を聞き分けるのだから、盾の効果で阻害ができたのだろう。
とは言え、感心しても居られない。
シルドン達冒険者パーティーが使用としていることは、れっきとした違法行為だ。
(まさか、密猟に手を染める訳じゃないよね?)
バレなければ犯罪にはならない。確かにそうかもしれないが、今はルカの視界の中。
まだ引き返せるので、ルカも手を出すことは無い。
けれど本気で密猟をする気なのか。些か疑問だったが、そのまさかだった。冒険者たちは、本来捕獲が禁止されている、ゴルドワイルを獲物にした。
「よし。逃げられないように周りを囲むぞ」
「だな。ついでに木も伐っておくか」
「逃げす訳にも行かないよな。よっしゃ、今日も稼ぐぞ!」
本気で密猟に手を染める気らしい。
ルカは顔色を顰めると、冒険者達の背後から滲み出る、厭らしい欲に項垂れた。
(ちょっと待った。嘘でしょ?)
ルカはマジかと思った。ゴルドワイル一匹に対して、これだけ目の色を変えるなんて。
よっぽどお金が必要なのか、ルカは怪しんだ。
けれどここでゴルドワイルに手を出させるわけにもいかない。
面倒だが、この目で見てしまった以上、止める責任があった。
「流石に見過ごすとなると、私も罪に問われるかもしれないからね。それだけは阻止しないと」
ここで動かなかったらマズい。ルカはそう思って体が動いていた。
シルドン達、冒険者パーティーがモンスターを捕まえようとする中、ルカは悪態を付く。
突然目の前に現れると、驚いた冒険者達は、慄いてしまった。
「お、お前、ギルドで見かけたガキか!?」
「そんなのはどうでもいいよ。それより、止めて貰えるかな?」
「「「はぁ?」」」
シルドンはルカのことを、薄っすらとだが覚えていた。
けれどそんなことは如何だっていい。
密猟働いて、私に迷惑を掛けるのなら、全力で叩きのめすと、ルカは威圧する。
「私に面倒を被るのはさ」
ルカはその瞬間、得体のしれない殺気を放つ。
目の前の男性冒険者パーティー。
その全員を委縮させると、ルカを前に、一歩も動けなくなっていた。
それから獣道を歩いて来る冒険者達を確認する。
「来た」
ここからは声を出さないことにする。
おまけに気配も完全に殺す。
尾行のためには、存在感を消すことが大事だ。
「やっぱり……」
やって来たのは四人組の冒険者パーティー。
全員が漢で、妙に黒い格好をしている。
その中でも一番目立つのは、戦闘を歩く盾役の男性。
ルカを軽くあしらった、シルドンとか言う冒険者だ。何となく名前を憶えるだけの価値を見いだすと、ルカは目の前を通るのを待つ。
(今)
ルカはその最後尾に付いた。
もちろん気配は完全に殺している。
だから気が付く筈はないのだが、案の定、シルドン達はルカの存在に一ミリたりとも違和感を抱いていない。
(嘘でしょ? 本当に気が付かないんだ)
ルカはシルドン達冒険者パーティーの実力を計算した。
低くはないのだろうが、あまりにも注意が散漫。
千年間の経験肩見立てをするも、ルカが自分の強さの指標を間違っているので、正確な判断はできなかった。実際、シルドン達は相当な強者……なことを、ルカは知らない。
(まあいいか。それより会話の内容……)
ルカはシルドン達の会話に耳を澄ませる。
ここまでの道中でずっと喋っていたのは聞こえていた。
一体何の話題を話しているのか、冒険者の情報網を嗜める。
「なぁ、知ってるかシルドン」
「なんだ?」
「今日、町の方で騒ぎがあったらしいぜ。なんでも、ダウンツがやられたらしい」
「ダウンツが? なかなかやるな。一体誰がやったんだ?」
何やら聞きたくない話をしていた。
確かルカが倒した冒険者もダウンツだった気がする。
表情を顰めると、町での騒ぎが噂として広まり過ぎていた。
「さぁ? なんでも女だったらしいぜ」
「女? 同業か?」
「いや、観光客らしいぜ」
「観光客……不気味だな。相手をしたくないのは確かだ」
「だな」
ルカだって相手をしたくは無かった。
けれどあの状況、面倒なことに絡まれてしまった。
寧ろルカが被害者で、噂の終息を待つしかない。
「そんなことより今日も稼ぐぞ」
シルドンは興味が無いのか、話を変えた。
今日も稼ぐ。冒険者らしい発想だ。
冒険者ギルドでのやり取りも、その一環だとすれば、ルカも容易に目を瞑った。
そんな折、突然足を止めるので、ルカも止まった。
「おい、見ろよ。あのモンスター」
仲間の一人がポツリと呟いた。
全員が視線の先を共有すると、ルカも合わせて視線を移動させた。
すると目の前には小さな金色のリスの姿がある。
確か、ゴルドワイルじゃなかったかな?
「珍しいモンスターじゃね?」
「俺、初めて見たんだけど」
「マジか。あんな色のリスがいるのか」
確かにゴルドワイルは珍しいモンスターだ。
毛並みの色が金色に輝いているのは、溢れ出る魔力と太陽の陽射しを全身に受けているから。あれだけの輝きを放つ個体は、そう居ない。ルカでさえ珍しいとは思った。
けれど一つだけ、忘れてはいけない。
ゴルドワイルは貴重なモンスター。討伐や捕獲は以ての外だった。
「どうする?」
「放っておこうぜ。どうせ大した金にはならねぇよ」
それは大きな間違いだった。
ゴルドワイルはその貴重性から、貴族の間では高値で取引される。
とは言っても、相手はただのモンスター。高いとは言っても、少し色を付けたくらいだ。
「いや、捕まえるぞ」
「「「マジかよ!?」」」
シルドンの判断に、仲間達は驚いていた。
ゴルドワイルの価値を判っているのか、判っていないのか、
少なくとも、シルドンは誰よりも金に執着を持っていた。
「なんだっていい。赤壱島に来たのは、金になるからだ。少しでも稼ぐぞ」
「だよな。うし、やるぞ」
「そう来ないとな。あー、今日も美味い飯食って、女と遊ぶぞ」
「お前はいつもそれだな」
男性冒険者達はゲラゲラと笑っていた。
その声に気が付いたのか、ゴルドワイルは警戒する。
聞き耳を立てて、シルドン達の姿を補足……できなかった。
「おいおい、今の気が付かれたんじゃねぇか?」
「いや、この距離だろ。流石に無理だぜ」
「それに俺の盾は特注品だ。大抵のモンスターは気が付かねぇよ」
ゴルドワイルは貴重なモンスター。
それは元々数が少ない故に、生存本能から進化したため。
とにかく耳がよく、少しの音でも敏感に察知ができる。
けれどシルドンの背負っている盾には特殊な効果があるらしい。
モンスターの感覚器官で、察知されないようにできるという優れもの。
恐らくかなり高価だろうが、それでも余るだけの価値はある。
実際、ゴルドワイルの感覚器官は、魔力を伝って音を聞き分けるのだから、盾の効果で阻害ができたのだろう。
とは言え、感心しても居られない。
シルドン達冒険者パーティーが使用としていることは、れっきとした違法行為だ。
(まさか、密猟に手を染める訳じゃないよね?)
バレなければ犯罪にはならない。確かにそうかもしれないが、今はルカの視界の中。
まだ引き返せるので、ルカも手を出すことは無い。
けれど本気で密猟をする気なのか。些か疑問だったが、そのまさかだった。冒険者たちは、本来捕獲が禁止されている、ゴルドワイルを獲物にした。
「よし。逃げられないように周りを囲むぞ」
「だな。ついでに木も伐っておくか」
「逃げす訳にも行かないよな。よっしゃ、今日も稼ぐぞ!」
本気で密猟に手を染める気らしい。
ルカは顔色を顰めると、冒険者達の背後から滲み出る、厭らしい欲に項垂れた。
(ちょっと待った。嘘でしょ?)
ルカはマジかと思った。ゴルドワイル一匹に対して、これだけ目の色を変えるなんて。
よっぽどお金が必要なのか、ルカは怪しんだ。
けれどここでゴルドワイルに手を出させるわけにもいかない。
面倒だが、この目で見てしまった以上、止める責任があった。
「流石に見過ごすとなると、私も罪に問われるかもしれないからね。それだけは阻止しないと」
ここで動かなかったらマズい。ルカはそう思って体が動いていた。
シルドン達、冒険者パーティーがモンスターを捕まえようとする中、ルカは悪態を付く。
突然目の前に現れると、驚いた冒険者達は、慄いてしまった。
「お、お前、ギルドで見かけたガキか!?」
「そんなのはどうでもいいよ。それより、止めて貰えるかな?」
「「「はぁ?」」」
シルドンはルカのことを、薄っすらとだが覚えていた。
けれどそんなことは如何だっていい。
密猟働いて、私に迷惑を掛けるのなら、全力で叩きのめすと、ルカは威圧する。
「私に面倒を被るのはさ」
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