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フェンリル編
695.町に戻ろうと思います
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「さてと、とりあえず、私は町に戻ることにするよ」
ルカはポツリと呟いた。
密猟者の存在は、実際にルカ自身の目で把握した。
現状、状況としてはよくない。ゴードやリュマミール達に、真実を伝える必要がある。
「モドル、デスカ?」
それに反応したのはフェンリルだった。
意外に思ったのか、それとも名残惜しいのか。
どちらにせよ、フェンリルはルカのことをジッと見る。
「そうだよ。ここにいても、なにも始まらないからね」
今できることは、最低限したつもりだ。
これ以上は、ルカにも勝手にできることは無い。
今の所、密猟者の動向を窺う。これが最善だった。
「行動を起こさないと、なにも始まらない。けれど行動を起こすには、状況を把握しきれていない。一部の密猟者だけを執拗に追って捕まえても、結局は根本解決にはならないんだよ」
今、赤斜山を中心とした森や山。
その他周辺のダンジョンに潜んでいる密猟者を捕まえることは出来る。
けれどそれでは根本的な解決にはならない。
何より問題なのは、一部の密猟者を強引に捕まえて、その結果、他の密猟者達を刺激することだ。
特に恐れれているのは、過激な態度を取ることではない。
寧ろ真逆で、ほとぼりが冷めるまでの間、姿を隠されることだ。
そんなことになっても、ルカの春休みは終わってしまう。
その後の動向を掴んでも、手を出すことは難しい。
「だからこそ、今は情報と事実の擦り合わせが大事なんだよ」
そこでゴードやリュマミールとの情報共有がしたかった。
少しでもいい。密猟者や密猟に関係する情報が集まれば、一網打尽にするチャンスになる。
「ダカラ、イチドマチニモドルノデスネ」
「うん。とは言え、私がここまでのことをする必要は無いけどね」
ルカにしてみれば、ただ島の所有者だからと理由。これ一つに尽きる。
とは言え、島の所有者が、島で起きている問題を放置はできない。
後でナタリーを通じて、面倒なことになっても困る。
最初はそう思っていたが、今は少し違った。
もはや乗り掛かった船状態。
ルカは引き返すことができず、仕方が無いので密猟者を捕まえる。
どうせなら根本も含め、地獄の底に叩き落としてやる。そんな思惑を抱いていた。
「ってことで、私は戻ることにするよ」
「ソウデスカ」
「フェンリルはこの後どうするの?」
ルカはフェンリルにそう言った。
少し寂しそうな態度を取ったのは気のせいだろうか?
ルカはフェンリルの動きを観察しつつ、如何するのか訊ねる。
「ワタシハ……」
フェンリルは悩む素振りを見せた。
けれど一体何を悩んでいるのか。
フェンリル自体はこの森を彷徨いつつも、着実に存在感を露わにしている。
密猟者達に襲われないよう、事態が解決するまで隠れていればいい。
それが一番ありきたりで、何よりも平穏。
迷う必要は無いのだが、何故かフェンリルはルカのことをジッと見ていた。
「……オネガイガアリマス」
「お願い?」
あまりにも唐突だった。
ルカは首を捻ってしまうが、フェンリルの目が泳ぐことなくルカを見つめている。
何か含みがありそうだ。ここは正眼に構える。
「ワタシモマチニツレテイッテクダサイ」
フェンリルは不思議なことを言った。
人間の言葉がかなり上手いが、それでもたどたどしい面がある。
頭の中で丁寧に訳したルカは、「ん?」と喉を鳴らす。
「はっ?」
「オネガイシマス、ワタシモマチニ」
フェンリルは深々と頭を下げていた。
一体何が起きているのか。あの気高いフェンリルが、ただでさえ恐れ多く敬語を使っている。おまけにルカ相手に懇願すると、頬を掻いて動揺した。
「急になにを言い出すのかな?」
ルカはそれでも姿勢は崩さなかった。
一体フェンリルにどんな思惑があるのか、ルカは慎重に見極める。
実際、フェンリルは人間相手に恨みを抱いている。
それが完全に消えたわけではない。数分前にも憎悪が膨らんでいたので確かだろう。
そんな危険な状態の幻獣を町に連れて行くのは危険極まりない。
下手なことをする以前に、無関係の人間達を襲う可能性もある。
ルカが抑止力になっている……とまでは気が付いていないが、ルカの想像では最悪を常に見ていた。
「町に連れて行って欲しい? そう言ったの?」
「ハイ」
「その心は?」
ルカは念のため、殺気を放ってフェンリルを威圧する。
町に行って、一体何をするのか。その真実を見極める。
その必要があるとフェンリルのことを威圧したのだが、曲げる気は無いらしい。
「キョウミガアルノデス。アナタノマワリニ」
「えっ?」
思っていた言葉と違っていた。
町に興味がある、もしくは、町の人間達に恨みを抱いている。
そのどちらかだと思い込んでいたルカの意表を突いて来た。
フェンリルの目当ては、町には無かった。
町はあくまでも過程や通過点に過ぎない。
おまけになっていて、本当の所はルカに興味を抱いている。
不思議な話で、ルカは改めて訊ねた。
「私に興味がるの?」
「ハイ」
「町には?」
「アナタイジョウデハアリマセン」
ルカは困ってしまった。
普通ならば恐怖を感じる所だろうが、ルカにはそれもない。
全てを超越してしまっているせいか、フェンリルの言葉を受け流そうとする。
「オネガイシマス」
それでもフェンリルの態度は変わらない。
決して崩れる様子がない。
これは如何するべきなのか? ルカは腕組をする程悩まされた。
ルカはポツリと呟いた。
密猟者の存在は、実際にルカ自身の目で把握した。
現状、状況としてはよくない。ゴードやリュマミール達に、真実を伝える必要がある。
「モドル、デスカ?」
それに反応したのはフェンリルだった。
意外に思ったのか、それとも名残惜しいのか。
どちらにせよ、フェンリルはルカのことをジッと見る。
「そうだよ。ここにいても、なにも始まらないからね」
今できることは、最低限したつもりだ。
これ以上は、ルカにも勝手にできることは無い。
今の所、密猟者の動向を窺う。これが最善だった。
「行動を起こさないと、なにも始まらない。けれど行動を起こすには、状況を把握しきれていない。一部の密猟者だけを執拗に追って捕まえても、結局は根本解決にはならないんだよ」
今、赤斜山を中心とした森や山。
その他周辺のダンジョンに潜んでいる密猟者を捕まえることは出来る。
けれどそれでは根本的な解決にはならない。
何より問題なのは、一部の密猟者を強引に捕まえて、その結果、他の密猟者達を刺激することだ。
特に恐れれているのは、過激な態度を取ることではない。
寧ろ真逆で、ほとぼりが冷めるまでの間、姿を隠されることだ。
そんなことになっても、ルカの春休みは終わってしまう。
その後の動向を掴んでも、手を出すことは難しい。
「だからこそ、今は情報と事実の擦り合わせが大事なんだよ」
そこでゴードやリュマミールとの情報共有がしたかった。
少しでもいい。密猟者や密猟に関係する情報が集まれば、一網打尽にするチャンスになる。
「ダカラ、イチドマチニモドルノデスネ」
「うん。とは言え、私がここまでのことをする必要は無いけどね」
ルカにしてみれば、ただ島の所有者だからと理由。これ一つに尽きる。
とは言え、島の所有者が、島で起きている問題を放置はできない。
後でナタリーを通じて、面倒なことになっても困る。
最初はそう思っていたが、今は少し違った。
もはや乗り掛かった船状態。
ルカは引き返すことができず、仕方が無いので密猟者を捕まえる。
どうせなら根本も含め、地獄の底に叩き落としてやる。そんな思惑を抱いていた。
「ってことで、私は戻ることにするよ」
「ソウデスカ」
「フェンリルはこの後どうするの?」
ルカはフェンリルにそう言った。
少し寂しそうな態度を取ったのは気のせいだろうか?
ルカはフェンリルの動きを観察しつつ、如何するのか訊ねる。
「ワタシハ……」
フェンリルは悩む素振りを見せた。
けれど一体何を悩んでいるのか。
フェンリル自体はこの森を彷徨いつつも、着実に存在感を露わにしている。
密猟者達に襲われないよう、事態が解決するまで隠れていればいい。
それが一番ありきたりで、何よりも平穏。
迷う必要は無いのだが、何故かフェンリルはルカのことをジッと見ていた。
「……オネガイガアリマス」
「お願い?」
あまりにも唐突だった。
ルカは首を捻ってしまうが、フェンリルの目が泳ぐことなくルカを見つめている。
何か含みがありそうだ。ここは正眼に構える。
「ワタシモマチニツレテイッテクダサイ」
フェンリルは不思議なことを言った。
人間の言葉がかなり上手いが、それでもたどたどしい面がある。
頭の中で丁寧に訳したルカは、「ん?」と喉を鳴らす。
「はっ?」
「オネガイシマス、ワタシモマチニ」
フェンリルは深々と頭を下げていた。
一体何が起きているのか。あの気高いフェンリルが、ただでさえ恐れ多く敬語を使っている。おまけにルカ相手に懇願すると、頬を掻いて動揺した。
「急になにを言い出すのかな?」
ルカはそれでも姿勢は崩さなかった。
一体フェンリルにどんな思惑があるのか、ルカは慎重に見極める。
実際、フェンリルは人間相手に恨みを抱いている。
それが完全に消えたわけではない。数分前にも憎悪が膨らんでいたので確かだろう。
そんな危険な状態の幻獣を町に連れて行くのは危険極まりない。
下手なことをする以前に、無関係の人間達を襲う可能性もある。
ルカが抑止力になっている……とまでは気が付いていないが、ルカの想像では最悪を常に見ていた。
「町に連れて行って欲しい? そう言ったの?」
「ハイ」
「その心は?」
ルカは念のため、殺気を放ってフェンリルを威圧する。
町に行って、一体何をするのか。その真実を見極める。
その必要があるとフェンリルのことを威圧したのだが、曲げる気は無いらしい。
「キョウミガアルノデス。アナタノマワリニ」
「えっ?」
思っていた言葉と違っていた。
町に興味がある、もしくは、町の人間達に恨みを抱いている。
そのどちらかだと思い込んでいたルカの意表を突いて来た。
フェンリルの目当ては、町には無かった。
町はあくまでも過程や通過点に過ぎない。
おまけになっていて、本当の所はルカに興味を抱いている。
不思議な話で、ルカは改めて訊ねた。
「私に興味がるの?」
「ハイ」
「町には?」
「アナタイジョウデハアリマセン」
ルカは困ってしまった。
普通ならば恐怖を感じる所だろうが、ルカにはそれもない。
全てを超越してしまっているせいか、フェンリルの言葉を受け流そうとする。
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それでもフェンリルの態度は変わらない。
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