1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について

水定ゆう

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フェンリル編

698.冒険者ギルドに戻って来たが・・・

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「なんとか無事に辿り着いたね」
「デスネ」

 ルカとフェンリルは、何とか冒険者ギルドに辿り着いた。
 ここまでの道のりは長かった。
 周囲の視線を一手に集めてしまうと、人の波が押し寄せ、時間が掛かってしまった。

「とは言え辿り着きはしたんだ。よしとしようか」

 ルカは辿り着けただけで御の字。
 そう思うと、扉を開ける。
 とりあえず冒険者ギルドに避難することにしたが、そこはまた新たな地獄だった。

「さてと、密猟者の情報は……おお」

 冒険者ギルドの中は地獄だった。
 何が地獄なのか。一言で言えば、蒸し返していた。

 まるで人気の雑貨屋で、沢山の人達が行き交う。
 一人一人から発せられる熱が凄まじく、実際に蒸し暑い。
 忙しさが目に見えていて、特に受付嬢を始めとしたギルド職員は顔色が死んでいる。
 それだけではなく、冒険者まで巻き込まれている。馬車馬のようで、てんやわんやな状況だった。

「コレコソイキジゴクデスネ」
「まぁ、そうだね」

 生きている地獄がそこに広がる。
 フェンリルに言われてしまえばもうお終い。
 手遅れな状態で、密猟者の存在を放置した冒険者ギルドの末路だ。

「とりあえず、状況を訊いてみようか」

 そう言うと、ルカは受付嬢に声を掛けに行く。
 この地獄の中でそんな真似出来る勇気は他にはない。
 明らかに空気を呼んでいなかったが、空気を読み続けていても仕方が無い。

「この書類はこっち、これはこっち、それからそれから……」
「レジェ、大変そうだね」
「は、はいっ!? あっ、ルカさん。

レジェはルカの顔を見て驚く。
 飛び上がりそうになる中、ルカは気にしないで声を掛けた。

「凄い人だね。どういうこと?」
「それが、密猟に関する聞き込みをし続けていたら、沢山出て来てしまって」
「出て来た? おかしいね。まるで冒険者に関係して・・・・・・・・いる人達だけが・・・・・・・知らなかった・・・・・・、みたいな口振りだね」

 レジェの口振りがおかしかった。
 ルカは素早く反応すると、レジェはその通りと言いたそう。

「そうなんです。ルカさんに密猟者の実態を教えていただいた後、冒険者総出で情報を搔き集めていたら、沢山の被害報告が分かったんです」
「だろうね」

 生き地獄を形成しているのはまさにそれだ。
 どれだけの数の密猟が行われていたのか、可視化されている。

「しかもですね、冒険者の中には密猟に加担している方も多くて」
「ああ、私もさっき、シルドンって言う冒険者パーティーが、密猟に関与している瞬間を目撃したよ」
「えっ!?」
「まぁ、倒したけどね。ダンジョンの中で手足を縛って放置しているから、後で助けに向かわせた方がいいね。一応報告はしておくよ」

 ルカの言い分に、レジェは驚いていた。
 シルドン達はパーティーを組み、故意に密猟を繰り返していた。
 それをルカがボコボコにして止めた。信じがたい事実ではあるが、信じるしかない。

「そうですか、シルドンさん達が……」
「事実だからね。とりあえず、報告はしたよ」

 シルドン達に対する評価は失望だろう。
 それでもそれが報いだ。今までのようなことは二度とできない。
 このまま地の底に消えようが、恨み節を叩かれようが、ルカの敵ではない。

「これもまた、報告書に書くの?」
「はい……」
「あはは、大変そうだね」

 笑い話ではない。寧ろしてはいけないし、したら目の前の書類の山から逃げられる訳でもない。
 ルカはそれが分かっていながらレジェに問い掛けた。
 するとレジェはレジェで、ある種の答えを見つけている。

「報告してくださって、ありがとうございました」

 ペコリとお辞儀をすると、早速報告書を簡潔にまとめる。
 それから冒険者の派遣を手広く行う。
 あまりにもスピーディーな作業に、ルカは若干引く。

「なんだか本当に大変そうだね」
「そうなんです。と、言いたい所ですが、これも仕事の内です。頑張らせていただきます」

 レジェは本当に疲れ切っている。
 ただでさえ、大忙しの受付嬢業だ。
 他の受付嬢達も地獄の園に落ちた顔をしている。
 それでも仕事だからと割り切る姿が、何とも痛ましい。……と、流石にルカでも思った。

「そう、無理はしない方がいいよ」
「はい……所で」

 ルカはレジェのことを励ました。
 本当は、疲れをとる魔術の一つでも掛けてあげる優しさがあれば、もっとよかったに違いない。
 けれどそこまでの配慮は、ルカには出来ない。何せ、根本の部分が違うので、辛さが分からない。
 寧ろレジェの方から、話の矛先を変える判断をする。流石は受付嬢。伊達に冒険者ギルドで働いてはいないと、ルカは見染めた。

「そちらのワンちゃんは……」
「ワフッ!」

 フェンリルは犬の鳴き真似をする。
 凄く不愉快に思ったのか、少しオオカミらしい。

「えっと、ルカさんのペットですか?」
「違うよ」
「では、使い魔でしょうか?」
「それもまぁ……ねぇ?」

 レジェは色々と勘違いをしている。
 もちろん、そう見てくれるのは嬉しい。
 けれど訂正しておかなければ、後でフェンリルが何をしでかすか分からない。
 ルカには一切被害が出ないのだが……

「後、この子は犬じゃないよ。オオカミ」
「ああ、オオカミ……オオカミですか!?」

 ルカはオオカミであることを明かした。
 間違ってはいない。括りとしては何も違わない。
 レジェも飲み込みがいいのか、それともポカンとしているのか、頭の中で処理する時間が生まれた。

「レジェ、余計な注目を集めないで欲しいな」
「すみません。ですが冒険者ギルドにオオカミがいるとなると……」
「まぁ、だろうね」

 案の定、冒険者ギルドでも注目を浴びた。
 気が付けば集まっていた冒険者達は、半ば強制的な書類整理・情報収集を止めている。
 手には武器を持つと、勝ち目がまるで見えないルカではなく、その傍らに佇むフェンリルのことを見ていた。
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