1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について

水定ゆう

文字の大きさ
16 / 733
転入生編

16.永久を生きてきて

しおりを挟む
 時刻は数分前まで遡る——

 取り残されたルカは如何するべきか考えていた。
 しかしその足は止まらなかった。早く行かなくちゃと急がせる。
 しかしそんな逸る気持ちを収めたのは、

「ちょっと待ってよ」
「ニッカ……先生」
「先生はいいよ。気持ち悪いなー」

 ルカを呼び止めたのはニッカだった。
 だらけた表情と、袖の丈の合わない白衣。全く、だらしない。如何やら置いて行かれたみたいだ。

「なに、ニッカ」
「いやぁー楽しんでるかなぁーって」
「そう見える?」
「いんや」

 ニッカは気が付いていた。
 しかし教師として止めるでもなく、放任していた。
 それには理由がある。面倒だからだ。

「だったら」
「いいかいルカ。一つ忠告」
「な、なに?」

 嫌な予感。それは当たってしまった。

「あんまり面倒なことしない。私が怒られるから」
「ナタリーに?」
「親御さんに。今回は向こうが悪いみたいだけどさー」

 それでもよく見ていた。
 魔力の感知からだろうな。ニッカは、他人にはないとんでもない特殊能力が使えた。流石は今に生きる魔法使いの一人だ。

「というわけで、追いかける。なんか嫌な予感するからねぇー。ふはぁー」

 大きな欠伸。しかし気にも留めなかった。
 ニッカはこういう人物で、これこそがニッカ・レゾナンスなのだ。

「はい、行く。魔力を追えば追いつくでしょ」
「そうだね。こっちもこのままでいいとは思わないから」
「はいはーい。それじゃあ、行った行った」

 ルカはニッカに急かされるように、森に向かわされた。
 しかしニッカは一つ愕然とした。

「そう言えばさっきモンスターが……まぁいっか。気づいてるでしょ」

 ニッカはルカを過信しすぎていた。
 今のルカはオフ状態。つまり本気になってない。警戒もほとんど解いていて、警戒範囲も狭かった。
 そのせいもあり、ルカはまだ気づいていない。モンスターの存在を。
 だけど心配なんて無駄だ。だってルカだけなら・・・・・・対処は余裕だから・・・・・・・・


 ニッカのせいで遅れてしまった。
 ルカは早く追いつかないといけないと思い、仕方なく気配を辿る。すると嫌な予感がした。

「ん? この気配……なんで、二つあるんだ。しかもこの明らかにモンスターの気配……はい?」

 急に動かなくなった。
 数は二人。しかも感情的になってる。これじゃあモンスターと接敵するぞ。
 ルカは怪しく思った。

 数的には反対側。
 しかし如何にも心配で仕方ないので、二人の方を追いかけることにした。

「何だあれ。感情が爆発しそうになってる……」

 見ればモンスターと接敵したらしい。
 これはヤバいな。魔力の流れが発生している。だけど相手の方が強い。潜在的には負けてなにのにさ。
 ルカはあまりの危機に急いだ。

「よっと」

 糸が張り巡らされていた。
 これは何だ。魔力で練られた縫合魔糸か。なかなか珍しいうえに、強度も高かった。

「でも切られてる。ん?」

 その時アナウンスが流れた。
 如何やらブルホーンが逃げ出したらしい。それは危ないな。
 ブルホーンは淡い青色をした毛並みが特徴的なイノシシ。しかし魔力は豊富で並大抵の魔力には怯んだりしない。長くて白い強靭な牙を引っ提げる。

「これはブルホーン。って、なに、この魔力!?」

 急にルカを襲ったのは風の余波だった。
 それは先から感じる。

「《インサイト》!」

 ルカは視力を上げた。
 見えたのは女の子二人がブルホーンに襲われそうになっている瞬間だった。マズい。完全に怒ってる。やるしかないか。

 ルカは一歩足を下げた。
 それから一気に踏み込むと、ブルホーンの横っ腹に拳を食らわせた。

「えっ!?」

 シルヴィアが声を上げる。

「大丈夫?」

 ルカは優しく声を掛けた。
 今にも泣きだしそうな頼りない様子。しかしそれだけ怖いのは仕方がない。
 ルカはそう思った。

 ここで今に至る——


 ルカはブルホーンをぶちのめした。
 拳はそこまで痛くない。鍛えているからだ。しかしまだ安心はできない。

「あ、あの……」
「下がってて。ここは私がやるから」

 ルカは二人を下がらせる。
 しかしシルヴィアもライラックもそんなことはできなかった。けれど、

「二人は魔力を使って盤石じゃない。それにモンスターとそんなに戦ったことないでしょ」
「それは貴女でって……」
「私はあるから大丈夫。だからさ、少し見ててよ」
「ルカさん……」
「ルカでいいよ。ライ、シルヴィアをお願い」
「それはいいけど、ほんとに大丈夫?」
「うん。心配いらない、よっ!」

 起き上がったブルホーンは勢いをつけてルカに突進した。
 しかしルカは片手で止める。もちろん魔法も魔術の類も使ってない。単純に素手だった。

「素手で受け止めた!」
「ま、マジ?」

 ルカは平然とした顔でブルホーンを大木に叩きつけた。
 掌で押し出して軽い力加減で叩きのめす。

 スドーーーーーン!

 地面が揺れたようだった。
 鳥たちが空に逃げ延びる。すると魔力の反応が薄くなった。ブルホーンは完全にのしてしまった。

「終わったかな」

 ルカはブルホーンを一応鎮めた。
 しかしあまり戦うことが好きじゃないので、ルカは胸をホッと撫でおろした。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい

空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。 孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。 竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。 火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜? いやいや、ないでしょ……。 【お知らせ】2018/2/27 完結しました。 ◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛

タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】 田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。

勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~

楠ノ木雫
ファンタジー
 IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき…… ※他の投稿サイトにも掲載しています。

昭和生まれお局様は、異世界転生いたしましたとさ

蒼あかり
ファンタジー
局田舞子(つぼたまいこ)43歳、独身。 とある事故をきっかけに、彼女は異世界へと転生することになった。 どうしてこんなことになったのか、訳もわからぬままに彼女は異世界に一人放り込まれ、辛い日々を過ごしながら苦悩する毎日......。 など送ることもなく、なんとなく順応しながら、それなりの日々を送って行くのでありました。 そんな彼女の異世界生活と、ほんの少しのラブロマンスっぽい何かを織り交ぜながらすすむ、そんな彼女の生活を覗いてみませんか? 毎日投稿はできないと思います。気長に更新をお待ちください。

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

処理中です...