1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について

水定ゆう

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魔術運動会編1

88.シルヴィアの風③

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 ボーフィーが放ったのは、風を纏った弾丸。
 否、それを凌駕する暴風の弾丸だった。

「そんなもの、もう一度散らしてあげるわよ!」
「やれるものならやってみるんだぁな」
「言われなくても、《スキャッター・ウィ……!」

 間に合わなかった。
 それを間一髪のところで、先に気づいたんだ。
 そのおかげか、シルヴィアは理性よりも先に本能が働いていた。

「うわぁ!」

 急いで屋根を転がった。
 落ちかけたが、何とか攻撃を躱す。
 しかし攻撃を躱したところの屋根瓦がなくなり、向こうの建物の外壁が破壊されていた。とんでもない威力だ。

「まさか俺様の攻撃を躱すとはなぁ」
「ええ。ちょっと、危なかったわ」
「だったらこれで如何だぁ? 三連」

 今度は三発同時に発射された。
 しかし、シルヴィアは躱すことに専念し、無限に避け続ける。しかし向こうの弾数は、シルヴィアの戦意を削ぎにかかる。

「はぁはぁ。一体こんな強力な魔術が何発撃てるのよ!」
「無限だなぁ」
「そんなわけないでしょ。必ず弾切れはあるわ」

 シルヴィアは往生際が悪かった。
 しかしその目は冷静に分析している。
 シルヴィアはルカのような天性の才はないにしても、至れるだけの別の才があった。そのことに気づけるかは、自分次第だ。

(あの男が使っているのは、人差し指。それにさっきから暴風しか使ってこない。もしかして……)

 そこで一つ核心に至りました。
 しかし何か別の魔術があるかもしれないと思うと、前には出られない。
 そこでシルヴィアは囮を使うことにした。

「主を迎えるは火の窓。偽りを焼く、業火となれ—《イン・トゥー・ファイア》!」

 シルヴィアは魔術を使った。
 この炎は普通の炎ではない。水を掛けられても、一発じゃ消えない。二度の炎だ。
 しかしボーフィーがやったのは、まさかの行為だった。

「また炎かぁ。それで俺の風を止められるかぁ?」

 風が舞った。激しく舞った。瓦屋根が飛んでいく。
 バラバラになって、散っていく瓦を見ながら気が付いた。
 ボーフィーは風の魔術しか使ってこない。いや、使えないんだ。
 そこに気づけたシルヴィアは指を折る作戦を変えることにした。最悪のことを考慮して考えていた策だったが、危険を冒す必要は無くなった。

「見えた、勝機への風向き」
「勝利への風向きだぁ? そんなものあるわけがねぇだろぉー」

 執拗に指先から風を凝縮して撃ち込んでくる。
 下手をしたら死にかねない。軽く体を貫通してしまうという恐怖に打ち勝つため、ここで逃げるわけにはいかなかった。
 それに後は準備だけだ。そのタイミングを見るしかない。

「おいおい、逃げてるんじゃあ俺には勝てないぜぇ? さっきの発言は、負け惜しみかぁー?」
「そんなわけないでしょ。それに暴風しか使えない人に言われたくないわ」
「俺は暴風を極めた、暴風の魔術師だぁ。嬢ちゃんみたいな、半人前とは違う。この一発に全て賭けてんだぁよ」
「賭けるなら、三発も撃たないでよ」
「だったらお望み通り、一発で仕留めてやるよぉ。この町を全部飲み込むほどの、暴雨を思い知らせてやるんだぁ」

 そう言いながら今度は魔力を溜め始めた。
 防御が薄い。今なら踏み込める。そう悟ったものの、何故か近づくことができなかった。
 余波となって風が巻き起こり、シルヴィアは右足を削られた。

「うわぁ! い、痛い……」
「そこでおとなしくしているんだぁ。この町の最後だぁ」

 動けなかった。
 その場でよろけてしまい、立ち上がるだけで辛い。
 皮がむけ、奥の血管が剥き出しになる。風が敵になって、全身に針が刺さったみたいに、痛みが込み上げてくる。そんなシルヴィアは最後の力を振りしぼっていた。冷汗混じりで立ち上がり、無謀に手を広げた。その動きに、何ら警戒もしていない様子だった。
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