1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について

水定ゆう

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鉱石編

119.ダリアと手合わせしてみます

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  次の日の朝。いつもよりも寝覚めは悪い。当然だ。ベッドの上で慣れ親しんでしまえば、不安定な場所では深い眠りには早々なれない。
 しかし目覚めると時刻は4時。気が付けば、シルヴィアとライアックは眠っていた。
 気持ちの良さような寝顔だ。

「よく寝てるね。って、ダリアがいない?」

 キョロキョロ周りを確認した。気が付けばダリアの姿がない。
 女王陛下から頼まれたのに、行方不明にでもなられたら大変だ。この森を焼き払われるかもしれないと、最悪の状況を思いつく。
 そこでルカは探しに出ることにした。意識を集中して魔力を探ると、川辺の方にいるらしい。

「……こっちから気配がしたんだけど」

 ルカは足場の悪い中、川辺の方にやって来る。
 耳を澄ますと、カンッ! と少し鈍いが高くもある音が聞こえた。何か、木製の何かを叩く音。ルカは聞こえたほうに歩き出す。視界の先に小さな影が見えた。ダリアだ。
 手には木刀を持っている。修練に励んでいるらしい。真面目だ。

「あれは、ダリア? 凄いな。真面目に言われたことをしてるよ」

 朝から励んでいた。木刀が水に触れるか触れないかで、跳ね上がる。
 足の運びもいい。水面に浮かぶ葉っぱを軽快にステップを踏んで近づいた。
 僕との切っ先が触れるか触れないかで、持ち上がる。

「ふぅ。こんなところでしょうか?」
「いい動きだね。ダリア、センスあるよ」

 パチパチパチパチ!

 ルカは拍手を送りながら、ダリアの元に近づく。
 白いタオルで顔を拭き、汗を拭きとった。
 ダリアはルカの存在に気が付くと、表情を緩めた。緊張した顔は似合わない。

「ルカさん。見ていたんですか?」
「うん。途中からだけど」
「恥ずかしいです。お見苦しいところを見せてしまって……」

 ダリアは俯いた。しかしルカは「そんなことないよ」と返答し、不意に思いついた。
 手には木刀が握られる。
 それから少しだけ殺気を送り付け、ダリアの意識を覚醒させる。

「はぁっ!」

 カーン!

 木刀と木刀がかち合う。鋭い音が響き、空気を震わす。
 木製とは思えない軋む音に驚きを隠せないが、ルカの威圧の方にダリアはビビっていた。
 自然と手に力が入る。
 手汗が炎に変わり木刀が燃えそうになるが、それよりも速くルカは木刀を引き、胴を薙ぎ打った。
 ダリアも意識的に把握はしたが、木刀が間に合わなかった。

「くっ!」
「はい、私の勝ち」

 コンッ!

 軽い音がダリアの頭を叩く。目を瞑っていたダリアはさっきまで胴にあったはずの木刀が、自分の頭の上の置いてあったことに驚きを隠せない。

 何が起こったのか。まるでわからない。

 それより難しいのは、あの腕の動き。ルカは一歩も動いていない。完全に殺気と軽い腕の伸ばしと引きだけでダリアを圧倒して見せた。まだ本気ではない。ダリアは力の違いを見せつけられる。
 先生と慕う彼女にも匹敵するのではないか。

「強いですね、ルカさん。剣も魔術を私は適う気がしません」
「別に敵わなくてもいいと思うよ。重要なのは、ここなんだから」

 ルカは胸を叩いた。
 ダリアは奥歯を噛む。悔しい。こんなに歯が立たないなんてと思うと、悔しくて仕方ない。
 しかしルカはその思いを汲み取り、頭に手を置く。
 優しく撫でた。優しく、ダリアの心を落ちつける。

「大丈夫、ダリアは強くなれる。自分らしく強くなればいいんだよ」
「ルカさん……もう一度手合わせ願えますか?」
「うん、いいよ。今日はとことん付き合ってあげる」

 ルカも乗り気だった。
 それから二人はシルヴィアたちが起きるまで果てしなく木刀を振り回した。
 最後はルカがダリアの木刀を叩き折り、水辺に沈んだのが結末だ。
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