1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について

水定ゆう

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鉱石編

118.天然温泉はないですけど

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 意外に美味しかった。
 鍋を洗いながらルカはシルヴィアとライラックが最後まで食べきったのを思い出す。
 ソラはもう暗い。今日は満月ではないが、大きな月が浮かんでいる。後は眠るだけ。皆んなそんな流れでいるが、ここでダリアに頼んだ。

「ねえダリア。ちょっと頼みたいことがあるんだけどいいかな?」
「なんですか、ルカさん! 何でも言ってください。できることなら何でもしますよ!」
「お、おお。詰めるね。シルヴィもライもちょっと来て」

 ルカはダリアの詰め寄り方に驚いた。
 ムッと胸が詰まったような気持ちになるが、シルヴィアとライラックを呼びよせたことで、少しだけ緩和される。特殊なオーラはそのままなんだが……

「それで何よルカ」
「そうだよー。明日も早いんだし、そろそろ眠らないと」
「いや、私はいいけど二人は嫌でしょ。汗かいたままなんて」
「そうね。ちょっと気になるわ」
「私は全然オッケーだよ」

 如何やらライラックも同類らしい。
 シルヴィアは髪のべたつき加減を嫌な顔をしながらかき上げ、顰めた顔をする。
 その表情を見ただけで心情を察し、ルカは案内した。

「ちょっとどこに行くのよ」
「いいから付いて来て。すぐそこだから」

 ルカ達は川辺を上った。
 ごつごつとした丸っこい小さな石が転がっていた下流から、少し角ばる。中流にやって来た四人は、目の前に大きめの葉で作られた仕切りを見つける。
 真っ先に食いついたライは、もしかしてと思い叫んだ。

「待ってルカ。もしかしてあれって湯気だよね!」
「先にそっちに気が付くんだ。あはは、もしかして同郷だったりして……」
「そうなの? ってことはわかってるじゃんかー」

 ライラックは喜んだ。ルカの背中を叩き、いつもの飄々とした態度は何処へやら。
 シルヴィアもこの距離となると流石に気が付く。
 ライラックの反応もそうだが、湯気が大ヒントだ。

「ちょっと、もしかしてこれ作ってたの!」
「そうだよ。流石に汚れると思ってたから」
「と言うことは私の出番は……なるほどです」

 三人は気が付いた。仕切りの奥、そこには大きめの石で作られた囲いがある。
 その中には水が張ってあるが、冷たくない。
 むしろ温かく、湯気まで出ていた。

「温泉ですか!」
「うーん、ちょっと違うかな」
「違うってなによ、どう見ても温泉じゃない」
「水を温めただけだから、お風呂の方が近いかな。だからダリア、炎で温度調整お願いね」
「やっぱりそうだったんですね」

 空気をぶち壊して悪いが、温泉ではないので否定はしておく。
 シルヴィアとライラックは落胆するが、ミネラルを多く含んだ川の水だ。殺菌も済んでいるので、十分疲労回復にはなる。ただ地下水ではないだけで、何も悪いことはしていない。

「如何したの、皆んな入らないの?」
「いや、入るけどね。入るけど、そう聞くとちょっと風情が……」
「風情ならあるよ。上を見て、こんな場所でお風呂に入れるなんて、そうはないでしょ」

 ルカは空を見上げた。そこには綺麗な月が顔を出している。町中じゃ見られない光景だ。
 湯に浸かりながら、冷ややかな風に当てられ、ミネラルたっぷりなお湯の中。こんなこと貴重な体験でしかない。

「確かにいいわね」
「そうだねー。ポカポカで気持ちいいねー」

 ライラックは肩まで浸かっていた。
 シルヴィアは空を見上げて風情を楽しみ、ダリアは炎系の魔術を使ってお湯の温度を的確に調整している。

「ごめんねダリア。湯の温度任せちゃって」
「大丈夫です。それより、ルカさん。後でお背中流してもいいですか?」
「ん? ああ石鹸は支給されたもんね。ちょうどいい油の果実もあったから、オイルになるかも。後で塗ってあげるよ」
「いいんですか!」

 ダリアの顔色が赤くなる。すると湯の温度が上昇する。
 ルカは顔色を変えなかったが、シルヴィアな急激な温度の変化で顔を真っ赤にする。

「あ、熱い!」
「ふはぁー、気持ちいい」

 シルヴィアは飛びあがり、ライラックは口元まで浸かった。
 とは言え湯の温度は45℃を越えている。柔らかく冷ややかな風に当てられて、それぞれが体を洗い清めた。
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