146 / 733
ワインナリー編
146.夕食時に自己紹介
しおりを挟む
ルカとナタリーはナレハたちと一緒にご飯を食べることになった。
夕食に出てきたのはハンバーグのワイン煮込み。
ここは普通にお肉を柔らかくするだけでもよかったのに、ルカのことをよっぽど子供だと思ったんだろう。
(でもハンバーグは好きだからいいや)
ルカはじゅるりと下を鳴らした。
よだれが口の中に溢れるが、人前なので気づかれないようにする。
その隣にはナタリーが座り、向かいにはナレハがいる。
「今日の夕食は私が作りました。ルカさんがハンバーグが好きだと聞いていたので」
「ナタリーが教えたんだね」
「はい。私が誘った身ですから」
それを言うとナレハが起こりそうだとルカは心配した。
しかし案の定、不機嫌そうになる。
するとやって来たのは、ワイン作りに勤しんでいた2人だった。
「おや? もしかしてナタリーさん?」
「お久しぶりですね、メルロさん」
「うわぁ、名前覚えてくれていたんですね」
「はい。私は人の名前を覚えるのは得意ですからね。こう見えてもエルフですから」
ナタリーはエルフらしく、長寿を活かしていた。
1つ1つの時間の流れが遅く、それだからこそ長い時間の長い記憶なんて一瞬の儚いものになる。
それを知っているからこそ、ナタリーは記憶に留めておきたいと思った。
特にルカのことは全て覚えていると言っても過言ではない。
「こんにちはメルロさん。ルカと言います」
「君がうちの工房を見に来た子だね。どう? うちの工房、ちょっと古いけどいいところだろ」
「はい。新しいものを作っているのが特に好きでした」
「あははっ、お酒飲めるようになったら飲んで欲しいくらいだよ」
「ごめんなさい。まだ先です」
メルロは好青年だった。だけどどこかで裏があるんじゃないか。そんな見え方もある気がした。
しかしルカはまるで気にしていなかった。
むしろ気になるのはその隣の女性。
「おや? 貴女は見覚えがありませんね」
「最近は言ってきた子です。名前は……」
「ミヨンと言います。それ以上でもそれ以下でもありません」
そう言うと腰を下ろした。
指輪をしていないことから夫婦ではないらしい。
しかし独特なのは、ルカにも似た白い髪。だけど魂が入っているのか不安になるほど、白くて艶のある肌。それから生気のないような冷たい目をしていた。
「あの……」
「何か?」
「綺麗な目をしていますね」
ふと気になったルカは声を掛けてみた。
すると以外にも反応があった。突然のことで対応ができなかったのだろうか。
しかしすぐにいつもの表情に戻ってしまい、目の前の食事をし始める。
「ミヨンさん。お客様の手前です、やめてください」
「すみません……」
本当に人形のようだった。
だけど単に心が冷たいんじゃない。そう見えるように仕向けているんだ。
またはそんな家庭環境で育ったのだろうか。
しかしルカにはミヨンの動きが作られたものを自然体にしているようにしか見えなかった。
『ミヨンさんは変わっていますね』
『うん。何処となく覇気を感じない』
『何か裏があるのでしょうね。探ってみますか?』
『いいよ。こんなところに来てまで、人の素性を詮索したりはしたくない』
『ルカさんがそれを言いますか……』
『言えた義理じゃないけどね』
だからルカは手を合わせた。
ルカもミヨンのように食事を取ることにする。
「いただきます」
「『そうですね、考えても仕方ありません。そのうちボロを出させましょう』いただかせていただきます」
ナイフが柔らかいお肉を切る。口の中に運ぶと、ワインの豊潤さが薫った。
ハンバーグが美味しかった。
これをナレハが作ったなんてよくそんな時間があったものだ。
流石はダークエルフの器用さに驚かされるものの、ナレハの視線がずっとナタリーに向けられていることの方がやはり目を惹いてしまった。
夕食に出てきたのはハンバーグのワイン煮込み。
ここは普通にお肉を柔らかくするだけでもよかったのに、ルカのことをよっぽど子供だと思ったんだろう。
(でもハンバーグは好きだからいいや)
ルカはじゅるりと下を鳴らした。
よだれが口の中に溢れるが、人前なので気づかれないようにする。
その隣にはナタリーが座り、向かいにはナレハがいる。
「今日の夕食は私が作りました。ルカさんがハンバーグが好きだと聞いていたので」
「ナタリーが教えたんだね」
「はい。私が誘った身ですから」
それを言うとナレハが起こりそうだとルカは心配した。
しかし案の定、不機嫌そうになる。
するとやって来たのは、ワイン作りに勤しんでいた2人だった。
「おや? もしかしてナタリーさん?」
「お久しぶりですね、メルロさん」
「うわぁ、名前覚えてくれていたんですね」
「はい。私は人の名前を覚えるのは得意ですからね。こう見えてもエルフですから」
ナタリーはエルフらしく、長寿を活かしていた。
1つ1つの時間の流れが遅く、それだからこそ長い時間の長い記憶なんて一瞬の儚いものになる。
それを知っているからこそ、ナタリーは記憶に留めておきたいと思った。
特にルカのことは全て覚えていると言っても過言ではない。
「こんにちはメルロさん。ルカと言います」
「君がうちの工房を見に来た子だね。どう? うちの工房、ちょっと古いけどいいところだろ」
「はい。新しいものを作っているのが特に好きでした」
「あははっ、お酒飲めるようになったら飲んで欲しいくらいだよ」
「ごめんなさい。まだ先です」
メルロは好青年だった。だけどどこかで裏があるんじゃないか。そんな見え方もある気がした。
しかしルカはまるで気にしていなかった。
むしろ気になるのはその隣の女性。
「おや? 貴女は見覚えがありませんね」
「最近は言ってきた子です。名前は……」
「ミヨンと言います。それ以上でもそれ以下でもありません」
そう言うと腰を下ろした。
指輪をしていないことから夫婦ではないらしい。
しかし独特なのは、ルカにも似た白い髪。だけど魂が入っているのか不安になるほど、白くて艶のある肌。それから生気のないような冷たい目をしていた。
「あの……」
「何か?」
「綺麗な目をしていますね」
ふと気になったルカは声を掛けてみた。
すると以外にも反応があった。突然のことで対応ができなかったのだろうか。
しかしすぐにいつもの表情に戻ってしまい、目の前の食事をし始める。
「ミヨンさん。お客様の手前です、やめてください」
「すみません……」
本当に人形のようだった。
だけど単に心が冷たいんじゃない。そう見えるように仕向けているんだ。
またはそんな家庭環境で育ったのだろうか。
しかしルカにはミヨンの動きが作られたものを自然体にしているようにしか見えなかった。
『ミヨンさんは変わっていますね』
『うん。何処となく覇気を感じない』
『何か裏があるのでしょうね。探ってみますか?』
『いいよ。こんなところに来てまで、人の素性を詮索したりはしたくない』
『ルカさんがそれを言いますか……』
『言えた義理じゃないけどね』
だからルカは手を合わせた。
ルカもミヨンのように食事を取ることにする。
「いただきます」
「『そうですね、考えても仕方ありません。そのうちボロを出させましょう』いただかせていただきます」
ナイフが柔らかいお肉を切る。口の中に運ぶと、ワインの豊潤さが薫った。
ハンバーグが美味しかった。
これをナレハが作ったなんてよくそんな時間があったものだ。
流石はダークエルフの器用さに驚かされるものの、ナレハの視線がずっとナタリーに向けられていることの方がやはり目を惹いてしまった。
10
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい
空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。
孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。
竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。
火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜?
いやいや、ないでしょ……。
【お知らせ】2018/2/27 完結しました。
◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛
タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】
田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。
勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~
楠ノ木雫
ファンタジー
IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき……
※他の投稿サイトにも掲載しています。
昭和生まれお局様は、異世界転生いたしましたとさ
蒼あかり
ファンタジー
局田舞子(つぼたまいこ)43歳、独身。
とある事故をきっかけに、彼女は異世界へと転生することになった。
どうしてこんなことになったのか、訳もわからぬままに彼女は異世界に一人放り込まれ、辛い日々を過ごしながら苦悩する毎日......。
など送ることもなく、なんとなく順応しながら、それなりの日々を送って行くのでありました。
そんな彼女の異世界生活と、ほんの少しのラブロマンスっぽい何かを織り交ぜながらすすむ、そんな彼女の生活を覗いてみませんか?
毎日投稿はできないと思います。気長に更新をお待ちください。
今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。
転生貴族のスローライフ
マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた
しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった
これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である
*基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる