1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について

水定ゆう

文字の大きさ
207 / 733
悪魔教会編

206.ブルースターとカメレオン

しおりを挟む
 ブルースターも教会幹部の男と戦っていた。
 しかし男の姿はない。当然だ。男はカメレオンの獣人で、姿を景色に溶け込ませることができた。

「ケッケッケッ! どうだぁー? 俺の姿が、見えねえだろー」
「確かに見えませんね。ですが大丈夫ですよ」
「強がり言ってさー。俺を見つけられるのかー?」

 確かに男の言う通り、ブルースターには男の姿が見えていない。
 真下やその場から全く動かず、周囲を観察している。
 しかし事情に冷静なことは変わらず、直立のまま動かなかった。

「おいおいー、どうして動かないんだー?」
「さぁ、どうしてでしょうか?」
「強がりは弱い奴が吐く言葉だぜー」

 しかしブルールターが攻撃を浴びた形跡はない。
 カメレオン男も攻撃手段が乏しかった。
 本来隠密や闇討ちが得意なカメレオン男がまともにやり合っても、ブルースターに勝てる見込みはない。自分でも薄っすらと理解していた。

「まあ俺にもー、攻撃の手段はないんだけどなー」
「どうせしょうか? 私にはそうは思いませんよ」
「それはどうもー」
「何せ相手は幹部です。隠密や闇討ちが得意なだけで、幹部になれるとは思いません」
「良い線してるねー。でも俺はそんなに強くねえよー」

 自分の弱さを武器にする。
 それが男の狙いだった。カメレオン男は自分の弱さをひけらかすことで、ブルースターの油断を誘おうとしていた。
 しかしブルースターも馬鹿ではない。そんなこと百も承知だ。
 そのせいもあり本来得意なはずの距離攻撃、《星の銃》を使うことができなかった。

「闇雲には撃てない。その隙を突かれる」

 しかし一発でも当たればブルースターの勝ち。
 いつでも撃てる状態ではある。けれど撃つまでの間がカメレオン男のもう1つの目的だった。

「ケッケッケッ! 攻撃してこないのかー? 撃って来いよーブルースターさんよー」
「挑発には乗りませんよ」
「おいおい、挑発じゃないぜー」
「いいえ、安い挑発です。私の攻撃の隙を窺っているのがバレバレです」

 ブルースターは軽く論破する。しかしカメレオン男は論破されてもまるで姿勢を崩さない。
 それから少しだけ考えてから奥の手を使うことにした。

「だったらよー、これでも食らっときなー!」

 男はブルースターの前に姿を現した。
 しかしその姿が七色に発光している。とてつもなく眩しくて、直視してはいけない。
 人間の目が濃い色に引き寄せられてしまい、見てはいけないのに見てしまう。
 閃光弾と同じ効果を発揮して、視界を奪ってしまった。

「これが奥の手!」
「何てなー。まだ甘いぜー」

 しかしカメレオン男は背後に忍び寄っていた。
 目の前にいるのはカメレオン男が作り出した虚像だった。

「俺の《ドッペルゲンガー》に引っかかったなー。これで終わりだー」

 男はナイフを突き出して、ブルースターの背中を狙う。
 ギザギザの刃がギラリと光った。
 背後が無防備となっているブルースターなど容易い。男はそう思ったのだろう。そこで奥の手をこうもあっさり使ってしまった。しかしそれこそがブルースターの狙いでもあった。

「なるほど、《ドッペルゲンガー》ですか……ですがそれは既に経験済みです」

 ブルースターは左手を背後に回して《星の銃》を撃った。
 星の光を持ったブルースターの攻撃はカメレオン男では避けることができない。
 しかし何とか初弾だけでもかわそうと渾身の力で体を逸らすと、ナイフの軌道が変わってしまった。隙を狙って一撃はブルースターにかわされてしまう。

「しまったぁー! だーが、お前の攻撃も外れたなー」
「私は別に《星の銃》で倒そうとは思っていませんよ」
「なに!?」

 ブルースターはカメレオン男が消える前に腕を掴んだ。
 それから体を落として背負い投げをする。
 カメレオン男は急に体が宙に舞い、受け身も取ることができず全身に痛みが走った。

「うがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 発狂が飛んだ。カメレオン男は骨までは折れてなかったが全身に痛みが残っている。
 肉離れしたのではない。普通に叩きつけられていたかったんだ。
 カメレオン男はかなりのやせ型。筋肉が付いていないから、カメレオン男は悲鳴を上げた。

「痛てえ、痛てえよー」
「すみませんね。流石に次消えられたら厄介でした」
「そんなのいいんだよー、痛てえんだよー」
「少しは筋肉をつけるべきですね。隠密戦法はかなりの腕ですが、もう少し魔法攻撃を高めればいいかもしれませんよ?」
「うるせえよー。しかも《星の銃》を囮に使うなんて聞いてねえよー」
「すみません。今思いつきました」
「そんなの勝てねえよー」

 ブルースターは微笑んでいた。
 この人は確かに本気で私を殺しに来た。しかし終わってみれば子供のような人だった。
 ブルースターの目にはそう見えていた。
 それから体を縛り上げたブルースターは「すみません」と口にした。
 それから向かったのは敵の本拠地である。

「皆さんは大丈夫でしょうか?」

 ルカは大丈夫だろうが、シルヴィアたちが心配だった。
 しかし気にしても仕方ない。信じて進むしか道はない。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい

空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。 孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。 竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。 火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜? いやいや、ないでしょ……。 【お知らせ】2018/2/27 完結しました。 ◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛

タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】 田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。

勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~

楠ノ木雫
ファンタジー
 IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき…… ※他の投稿サイトにも掲載しています。

昭和生まれお局様は、異世界転生いたしましたとさ

蒼あかり
ファンタジー
局田舞子(つぼたまいこ)43歳、独身。 とある事故をきっかけに、彼女は異世界へと転生することになった。 どうしてこんなことになったのか、訳もわからぬままに彼女は異世界に一人放り込まれ、辛い日々を過ごしながら苦悩する毎日......。 など送ることもなく、なんとなく順応しながら、それなりの日々を送って行くのでありました。 そんな彼女の異世界生活と、ほんの少しのラブロマンスっぽい何かを織り交ぜながらすすむ、そんな彼女の生活を覗いてみませんか? 毎日投稿はできないと思います。気長に更新をお待ちください。

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

処理中です...