1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について

水定ゆう

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悪魔教会編

207.ルカとブルースターの合流

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 ルカは走っていた。
 屋根の上に上り黒い特殊な糸で縫われたコートを身に纏っている。
 昼間に屋根の上を黒服の学生が走っていたら、何かとは思うだろうがこの町ではそこまで不思議でもない。

「とは言っても、こんなに黒い格好だと、変な目で見られる気が……」
「その可能性もありますね」

 ルカが屋根の上を駆けていると、真下の路地から声が聞こえてきた。
 そこにいたのは同じコートを羽織ったブルースターだ。

「ブルースター。そっちは片付いたの?」
「もちろんです。でなけば、こんなところを呑気に走ってはいられませんよ」
「まあ確かに。変な質問してごめん」
「いいえ。それよりシルヴィアさん達は?」

 残念ながら合流は果たせていない。
 それどころか連絡すらままならず、現状困っていた。

「《テレパシー》が届かないけど、なにかあったのかな?」
「もしかしたら皆さんやられて……」
「それはないよ」

 ブルースターの不安を一発で否定するルカ。
 それだけ3人の実力を知っていて高く評価しているからこそ言えるのだ

「少なくともライはブルースター並みだよ。手も抜かないし、多分余裕で捕縛しているよ」
「余裕で捕縛ですか?」
「ライの魔術は糸だよ。しかもただの糸じゃない。どんな形状どんな性質にだって変化できる糸だからね」
「それは相当練度が高いのでしょうね」
「だろうね。でも、シルヴィやダリアもなかなかだよ」
「確かに3人とも頼りになる方達ですものね。すみません。不安になってしまって」
「いいよ。むしろ不安になれる方がいい。それだけ周りの状況を冷静に分析できるのは、頭が冷やされている人じゃないとダメだからね」

 要は余裕がないと頭を回すことができない。
 だからこそ、冷静に物事を見極められるブルースターは今だって迷いの色がなかった。
 声では不安を語ってはいたが、その表情や中でも目の奥では何も心配していない。
 流石にルカはブルースターの肝の据わり方にも目を見張った。

「それはそうと、2人しかいないけど大丈夫?」
「何が大丈夫なんですか?」
「これから敵の本拠地に向かうよ。やっぱり幹部に話を聞いたのは間違っていなかったよ」
「それはそうですね。私の方も教えていただきましたよ」

 2人は幹部を倒した。この町の警備隊こと警察組織に身柄を拘束させると、そのついでに聞いておいた。
 2人を弁明する代わりに教祖が待っているのはこの間ルカとライラックが向かったあの牢獄のさらに最深部にあるらしい。
 とは言え普通に階段からは向かうことができないとのことだ。

「中央の教会から入るんじゃなくて、その近くのマンホールから入るなんてね」
「ですが油断はできませんよ。嘘と言う可能性もあります」
「それならそれでいいよ。壁ごとぶっ壊せばいいんだから」

 正直それが一番速かった。
 けれどブルースターは否定してくれるでもなく賛同してくれたので、ルカは少々眉根を寄せる。
 眉間のしわは期待していた応えとは違ったがためにできてしまったのだが、ブルースターは気が付いてくれない。

「とりあえず教会に入ってみましょう。何かあるかもしれません」
「そうだね。どのみち攻撃されるかもしれない」

 ただでマンホールに侵入できるとは思っていない。
 そこでルカとブルースターの足は、まずは強化に向かっていた。
 建物の屋根をひた走り最短距離を維持する。
 それから教会の近くまでやって来ると、何か異変を感じた。

「ブルースター、何か感じない?」
「少し空気が澱んでいますね。何かあったのでしょうか?」
「そうでもないとこんなことにはならないでしょ。もしかしたら囚われている人達に何かあったのかも!」

 正直救助は後回しにする予定だった。
 しかしこの澱んだ空気と魔力に引き寄せられるみたいに、ルカとブルースターは教会の中に無断で侵入した。
 すると澱んだ空気は血が混じったみたいに重たくてどんよりしている。
 さらに言えばあまりに静かすぎて讃美歌を歌う声すら聞こえてこない。

「酷い。あまりに酷い」
「相当濃い濃度の魔力ですね」
「しかも悪い方にぶっちぎっているニオイだね」

 魔力は無味無臭だ。しかし魔力を感知できる人からしてみれば、この魔力の流れは非常に最低だった。
 澱んだ魔力の流れは教会の中で滞留していて、血のニオイが余計に空気をどんよりさせていた。

「ブルースター。少し回り道してみ良いかな?」
「もちろん構いませんよ。先にこちらを片付けましょうか」
「そうだね。とりあえず、何がいるかぐらいは確認してもいいかも」

 ルカとブルースターは教会の奥を目指した。
 魔力の流れから考えると、おそらく凶悪な何かが潜んでいるはずだ。
 待ち伏せされているかもしれない。そう思って近づいてみると、明らかにヤバい雰囲気が立ち込めていた。
 その中央にはそこまで大きくはない四足歩行のモンスター。
 ルカとブルースターは立ち止まって見ていると、モンスターは何か咥えていた。それは人間の腕だった。
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