1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について

水定ゆう

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雷鳥編

236.密猟者を見つけたので

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 ルカ達は密猟者を見つけた。
 細く、今にも落ちてしまいそうな崖沿いを足早に進むと、背中に猟銃を背負った男がいた。

 迷彩服を着て武装している。
 腰に皮ベルトには黒光りするナイフが刺さっており、腕にはゴム製の腕輪をしていた。

 ライトニングバードに遭遇した際、強力な電気や落雷で命を落とす危険性がある。
 その可能性は極めて高く、避雷針の効果を持った特殊な魔道具を使うことはよくあるそうだ。

 つまりあの腕輪には雷の直撃を避け、さらにゴムの持つ電気を受け付けない効果で体を守ろうということらしい。

 けれどそれだけで密猟者と判断して良いものなのか。もちろんOKだ。
 これだけ念入りな装備。間違いなく密猟者と見てもおかしくない。
 それにこの自然保護道は許可がなければ一般人は立ち入ってはいけない。
 もう確定している。アレは密猟者だ。

「というわけで捕まえるよ」
「ほい来たっ!」

 ライラックは指先から糸を出した。
 粘着性が高く、視認性も極端に低い。

 透明な糸のようで、光の加減と目を凝らさなければ見破ることができない。
 《粘着の糸》の視認性を《隠密の糸》で極端に削ったライラックの魔術だった。

「それじゃあ捕まえちゃうねー」
「頼むよ」

 ライラックは見張りをしている男を糸を使って早速拘束した。
 背後ががら空きになっていて、おまけに猟銃も方に掛けて構えていない。

 あまりに杜撰な見張りは、すんなり糸で絡め取られてしまった。

「後は引っ張るだけ!」

 ライラックは糸を引いた。
 すると複合された魔糸は見張りの男を絡め取る。
 キリキリと音を立てながら、服の上を擦れ、皮膚にめり込んだ。

「な、何だ!? がっ、痛い。痛い、糞っ! 糸かこれは。一体何処から、く、食い込んできて痛い! うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 容赦ないライラックの仕業に見張りの男は悲鳴を上げた。
 それもそのはずで、糸だと気付いたころには鳩尾辺りまで糸は食い込んでいた。
 さらには手袋を付けているとはいえ、両手の皮膚にめり込む始末で、男は痛みの余り悶絶している。

「後はこうして、こう!」

 ライラックは糸で拘束するとそのまま縛り上げてしまった。
 何処で糸を切ったのかは知らないが、見張りの男は完全に拘束されてしまった。
 両手足が関節を動かせないように固定され、地面に転がっている。

「とりあえず、これで1人だね」
「お疲れ様、ライ」

 ライラックは「えっへん」と自信あり気だった。
 ルカはライラックを褒め、密猟者の男を睨んだ。

「というわけで、どうしてこうなったかわかるよね?」
「糞がッ! 如何して俺がこんなところで……」
「罪を認めるんですね。その点だけは褒めてもいいです」

 密猟者の男はルカを睨んでいた。
 けれどルカの方が怖い顔をしている。

「それで、他の仲間は何処にいるんです?」
「教えるかよ、馬鹿が」

 密猟者の男はルカに舐めた態度を取った。
 自分の身柄を拘束されている弐に仲間を売らないのは偉いと思う。
 けれどルカが馬鹿にされたことを本人は気にしていないのに、1人だけ気にする人がいた。

「ルカさんは馬鹿じゃありません!」

 ダリアが剣を錬成して男の顔に突き付ける。
 一国の王女がすることではないが、ダリアは本気で怒っていた。

「お、おいおい……マジかよ?」
「本気ですよ。謝ってください」
「わ、悪かった。流石に命までは惜しい」
「わかればいいんです」

 完全に威圧してしまった。
 密猟者の男は漏らしていて、地面が少し濡れている。
 もちろんダリアは睨んではいない。全身から奮い立たされた剣士の気迫が威圧感として襲ったのだ。

「でもダリアの威圧でビビるってことは、そんなに強くなさそうだね」
「そうですね。おそらくはライトニングバードが高値で売れることを知って集まって来た命知らず達でしょう。取るに値しません」

 ブルースターの厳しい評価が下る。
 けれど数が多いとなれば面倒だ。
 ルカは言葉で教えてくれそうにないので、《メモリールート》を使って記憶を辿ることにした。

「ダリア、ちょっと避けて」
「はい、ルカさん。何をするんですか?」
「この男の記憶を読むの。流石にこれ以上は時間をかけてられない」

 今日中に雷山の頂上に辿り着く。それが最低ノルマだ。
 そこでここで道草を食っていても仕方ないので、ルカは人差し指を男に額に当てようとした。
 その時だった。壁の上の方からゴロンと転がるような音が聞こえた。
 鈍く重たい音だったので、空耳ではない。

「ねえルカ、今の音って」
「ちょっとヤバいかもね。全員、退避して」

 ルカ達はできるだけ壁沿いから離れた。
 気が付けば崖沿いに立っていて、目を凝らして上を見上げた。
 そこには数人の男の影。如何やら大岩を落とそうとしているようだ。

「ちょっと、あんなの落とされたら」
「ここで壊せばいいんだよ。ブルースター!」
「《星の銃》!」

 ブルースターは指を構えた。
 指先から撃ち出された光の弾丸は大岩を狙った。ブルースターの間違いない軌道上に大岩はあった。合ったのだが——

 バコーン!

 大岩が砕けた。
 しかし砕け散った破片が幾つも落ちてきて、崖沿いにいた私たちは忘れていた。
 全員同じ糸で繋がっていることに。多分誰かが避けようとしたのだが、その拍子に体が宙に浮いていた。

 何故か崖に落下していた。
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