239 / 733
雷鳥編
238.ドリルハゲタカ
しおりを挟む
ソイツはいた。
鋭く尖った嘴をして、黒い羽をはためかせて急加速して迫っていた。
目の前に現れた鳥の嘴はドリルのように鋭く、全てを貫くためにできている。
それだけじゃない。頭の毛はなく、無駄な空気抵抗を生まないで、敵を嘴で貫き啄むためのあった。
如何やらルカ達は面倒な相手に出くわしてしまった。
「ル、ルカさん!」
「ちょっと、如何してこんなところに居るのよ。って、居る方が当たり前よね」
ダリアとシルヴィアが叫んだ。
ルカは表情一つ変えないながらも、面倒だなと素直に思う。
あのモンスターは鋼のように硬いドリル上の嘴を持っていて、魔法すら反射してしまう。
魔術なんてあのモンスター相手には通用しない。
もちろん遠距離攻撃限定だった。
「ドリルハゲタカ。確かに面倒な相手だし、転落して落ちている手前環境相性は最悪。だけど……ねっ!」
ルカはみんなの代わりに戦うことにする。
空中で体を制御して、《スカイウォーク》を発動した。
「とりあえず私が倒すから、みんなは先に降りていて」
「ちょっと、1人でやるの!」
「まあ見ててよ。魔術で相手してみるから」
ルカは手をパンと合わせた。
手のひらの中で風を集めて指先に集中する。
イメージするのは風を纏った刃だ。けれどそれだけでは足りない。
もっと、もっと強いイメージを膨らませるためルカは別の要素を足した。
「ここに残り二つの要素。一つは全てを断ち切る絶対的な炎。そしてもう一つは全てを狭間に落とし込む力の本流」
風で形成した刃に炎を纏わせて酸素を爆発させる。
轟々と音を立てながら、バチバチと火花が散った。
けれど何かが違う。
ここにはルカの得意な魔法が魔術として混ぜられている。
「爆発で時空間に歪みを起こす。これが私の《ディストーション・ブレード》!」
ちょっと決め顔でルカは言ってみた。
右腕に集めた風の刃がオレンジ色に変わり、今では赤紫色に変わっていた。
火花が雷のようになり、空間を切り裂く。
「はい、お終い」
ルカが右腕を振り下ろすと、トリルハゲタカは危険を感じ取り、嘴をドリルのようにした。
このまま向かってくるようで、ルカは「面白い」と不敵な笑みを浮かべる。
ドリルハゲタカが体を窄めて一本の槍状になった時、嘴のドリルは真価を発揮する。
全ての魔魔法を貫く一撃に変わり、魔法使いの命を奪う。
致命傷を与えられ再起不能になった魔法使いをルカは何人も知っている。
まさしく並みの魔法使いでは相手取ることもできない強敵だった。
が、こんなことで折れてはいけない。
ルカは逆にひしゃげるぐらい折る気でいた。
「負けないよ。だって私の時空魔法をそのドリルじゃ破れない」
振り下ろした刃は空間に歪みを生んだ。
大きな裂け目を生み、ドリルハゲタカは飲み込まれた。
嘴は飲み込まれ、開いた裂け目から脱出することが叶わない。
「ふぅ。ドリルハゲタカは近接で倒せるんだよね」
いつも以上にくたびれた。
ルカでも慣れない魔術を魔法のように構築するのはかなり大変な様子で、額から汗が零れる。
けれどそれ以上でもそれ以下でもなく、ルカの取ってはベストな形で新しい必殺技を会得できたと満足した。
「シルヴィたちは大丈夫かな? 無事に降りられたらいいけど……まあいいよね」
ルカは心配することを止めた。
シルヴィアたちはルカが思う以上に強い。
《スカイウォーク》でゆっくり崖の下に降りる際、急に亜空間から話したそうな声が聞こえた。
『重力ヲ操ル気ハナイカ?』
「バルトラ? それもいいけど、私ができることだからね。借りなくても大丈夫かな」
『ツマラナイ』
「つまらない? 珍しいことを言うね」
『オ前ノ亜空間ハ居心地ガ良イ。ダガツマラナイ』
つまり外に出たいようだ。
そうすれば力を貸してくれるらしいけれど、バルトラをそのまま外に出すのはあまりに危険。
しかも肉体はこちら側の世界には存在しない。
今あるのは魂だけで、肉体を与える必要があった。
「本当で力を貸してくれるんだよね?」
『問題無イ。悪魔ノ契約ハ命ノ契約』
「だろうね。命を懸ける気はないけど、ちょっと面白いかも」
ルカは少し考えてから表情を緩めた。
するとバルトラは『期待シテイル』と言い残し、亜空間の中に消えた。
何がしたかったのかわからないが、そうこうしていると地面が見える。
どうやらシルヴィア達も無事に降りられたらしく、ルカの姿を確認し安心していた。
「あっ、やっと降りてきた」
「ルカさん、ドリルハゲタカは!」
「もちろん倒したよ。それより凄いね。まさか下からでも上に登れるようになっているとは……もしかして昔からこの山はこの道を使っていたのかな?」
ルカが崖下に降り、周りを見回すと気がかりなものがあった。
最近は点検されていないものの、昔使われていたであろうロープや楔が落ちている。
錆び付いて金属がボロボロになっていたが、直近五十年ぐらいだとルカは推測した。
「何だ、結構最近までこのルートは使われていたんだね。もしかして、上から落ちる人が多かったから同時に使われなくなったとか?」
「ルカって時々怖いこと言うわね。それに五十年って最近かしら?」
「最近だよ。それに五十年の根拠はある」
「根拠って何ですか? もしかして、この硬貨でしょうか?」
ダリアが拾ったのは銀色の硬貨だった。
硬貨とは言ってもお金としての価値はない。むしろ記念メダルのようなもので、シルヴィアは納得した。
むしろ飛びついた。
「それって今から四十五年前に配られたペイルアベントの限定メダルよね!」
「ペイルアベント?」
知らないワードが飛び出した。
けれど聞く程でもなさそうなのでスルーすると、わかっていないルカ達にシルヴィアは短く語った。
ペイルアベントは人の名前で、有名な魔術師らしい。
けれどその名前に聞き覚えが若干あるルカは首を捻ってしまっていた。
鋭く尖った嘴をして、黒い羽をはためかせて急加速して迫っていた。
目の前に現れた鳥の嘴はドリルのように鋭く、全てを貫くためにできている。
それだけじゃない。頭の毛はなく、無駄な空気抵抗を生まないで、敵を嘴で貫き啄むためのあった。
如何やらルカ達は面倒な相手に出くわしてしまった。
「ル、ルカさん!」
「ちょっと、如何してこんなところに居るのよ。って、居る方が当たり前よね」
ダリアとシルヴィアが叫んだ。
ルカは表情一つ変えないながらも、面倒だなと素直に思う。
あのモンスターは鋼のように硬いドリル上の嘴を持っていて、魔法すら反射してしまう。
魔術なんてあのモンスター相手には通用しない。
もちろん遠距離攻撃限定だった。
「ドリルハゲタカ。確かに面倒な相手だし、転落して落ちている手前環境相性は最悪。だけど……ねっ!」
ルカはみんなの代わりに戦うことにする。
空中で体を制御して、《スカイウォーク》を発動した。
「とりあえず私が倒すから、みんなは先に降りていて」
「ちょっと、1人でやるの!」
「まあ見ててよ。魔術で相手してみるから」
ルカは手をパンと合わせた。
手のひらの中で風を集めて指先に集中する。
イメージするのは風を纏った刃だ。けれどそれだけでは足りない。
もっと、もっと強いイメージを膨らませるためルカは別の要素を足した。
「ここに残り二つの要素。一つは全てを断ち切る絶対的な炎。そしてもう一つは全てを狭間に落とし込む力の本流」
風で形成した刃に炎を纏わせて酸素を爆発させる。
轟々と音を立てながら、バチバチと火花が散った。
けれど何かが違う。
ここにはルカの得意な魔法が魔術として混ぜられている。
「爆発で時空間に歪みを起こす。これが私の《ディストーション・ブレード》!」
ちょっと決め顔でルカは言ってみた。
右腕に集めた風の刃がオレンジ色に変わり、今では赤紫色に変わっていた。
火花が雷のようになり、空間を切り裂く。
「はい、お終い」
ルカが右腕を振り下ろすと、トリルハゲタカは危険を感じ取り、嘴をドリルのようにした。
このまま向かってくるようで、ルカは「面白い」と不敵な笑みを浮かべる。
ドリルハゲタカが体を窄めて一本の槍状になった時、嘴のドリルは真価を発揮する。
全ての魔魔法を貫く一撃に変わり、魔法使いの命を奪う。
致命傷を与えられ再起不能になった魔法使いをルカは何人も知っている。
まさしく並みの魔法使いでは相手取ることもできない強敵だった。
が、こんなことで折れてはいけない。
ルカは逆にひしゃげるぐらい折る気でいた。
「負けないよ。だって私の時空魔法をそのドリルじゃ破れない」
振り下ろした刃は空間に歪みを生んだ。
大きな裂け目を生み、ドリルハゲタカは飲み込まれた。
嘴は飲み込まれ、開いた裂け目から脱出することが叶わない。
「ふぅ。ドリルハゲタカは近接で倒せるんだよね」
いつも以上にくたびれた。
ルカでも慣れない魔術を魔法のように構築するのはかなり大変な様子で、額から汗が零れる。
けれどそれ以上でもそれ以下でもなく、ルカの取ってはベストな形で新しい必殺技を会得できたと満足した。
「シルヴィたちは大丈夫かな? 無事に降りられたらいいけど……まあいいよね」
ルカは心配することを止めた。
シルヴィアたちはルカが思う以上に強い。
《スカイウォーク》でゆっくり崖の下に降りる際、急に亜空間から話したそうな声が聞こえた。
『重力ヲ操ル気ハナイカ?』
「バルトラ? それもいいけど、私ができることだからね。借りなくても大丈夫かな」
『ツマラナイ』
「つまらない? 珍しいことを言うね」
『オ前ノ亜空間ハ居心地ガ良イ。ダガツマラナイ』
つまり外に出たいようだ。
そうすれば力を貸してくれるらしいけれど、バルトラをそのまま外に出すのはあまりに危険。
しかも肉体はこちら側の世界には存在しない。
今あるのは魂だけで、肉体を与える必要があった。
「本当で力を貸してくれるんだよね?」
『問題無イ。悪魔ノ契約ハ命ノ契約』
「だろうね。命を懸ける気はないけど、ちょっと面白いかも」
ルカは少し考えてから表情を緩めた。
するとバルトラは『期待シテイル』と言い残し、亜空間の中に消えた。
何がしたかったのかわからないが、そうこうしていると地面が見える。
どうやらシルヴィア達も無事に降りられたらしく、ルカの姿を確認し安心していた。
「あっ、やっと降りてきた」
「ルカさん、ドリルハゲタカは!」
「もちろん倒したよ。それより凄いね。まさか下からでも上に登れるようになっているとは……もしかして昔からこの山はこの道を使っていたのかな?」
ルカが崖下に降り、周りを見回すと気がかりなものがあった。
最近は点検されていないものの、昔使われていたであろうロープや楔が落ちている。
錆び付いて金属がボロボロになっていたが、直近五十年ぐらいだとルカは推測した。
「何だ、結構最近までこのルートは使われていたんだね。もしかして、上から落ちる人が多かったから同時に使われなくなったとか?」
「ルカって時々怖いこと言うわね。それに五十年って最近かしら?」
「最近だよ。それに五十年の根拠はある」
「根拠って何ですか? もしかして、この硬貨でしょうか?」
ダリアが拾ったのは銀色の硬貨だった。
硬貨とは言ってもお金としての価値はない。むしろ記念メダルのようなもので、シルヴィアは納得した。
むしろ飛びついた。
「それって今から四十五年前に配られたペイルアベントの限定メダルよね!」
「ペイルアベント?」
知らないワードが飛び出した。
けれど聞く程でもなさそうなのでスルーすると、わかっていないルカ達にシルヴィアは短く語った。
ペイルアベントは人の名前で、有名な魔術師らしい。
けれどその名前に聞き覚えが若干あるルカは首を捻ってしまっていた。
0
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい
空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。
孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。
竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。
火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜?
いやいや、ないでしょ……。
【お知らせ】2018/2/27 完結しました。
◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛
タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】
田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。
勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~
楠ノ木雫
ファンタジー
IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき……
※他の投稿サイトにも掲載しています。
昭和生まれお局様は、異世界転生いたしましたとさ
蒼あかり
ファンタジー
局田舞子(つぼたまいこ)43歳、独身。
とある事故をきっかけに、彼女は異世界へと転生することになった。
どうしてこんなことになったのか、訳もわからぬままに彼女は異世界に一人放り込まれ、辛い日々を過ごしながら苦悩する毎日......。
など送ることもなく、なんとなく順応しながら、それなりの日々を送って行くのでありました。
そんな彼女の異世界生活と、ほんの少しのラブロマンスっぽい何かを織り交ぜながらすすむ、そんな彼女の生活を覗いてみませんか?
毎日投稿はできないと思います。気長に更新をお待ちください。
今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。
転生貴族のスローライフ
マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた
しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった
これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である
*基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる