1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について

水定ゆう

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雷鳥編

240.旧雷山トンネル

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 暗がりの続くでこぼこ道を歩いていた。
 ダリアの炎のおかげで足下が照らされ何とか歩けていたのだが、徐々に傾斜が付いていることに気が付いていた。

 ルカ達が目指しているのは山頂なので傾斜があるのはもちろん良いことだ。
 けれどここまで一切傾斜らしきものが付くことはなく、ルカ達はほぼ平坦を歩かされていた。

「ようやく山登りになって来たね」
「でもこれじゃただのハイキングよ」
「ハイキングって程楽じゃないけどねー」

 足元は依然として悪いままな上に景色も変わらない。
 ハイキングに近い難易度ではあるが、それでもこれをハイキングとは呼びたくない。
 ルカ達は傾斜を進み、気が付くと道幅が若干狭まっていることに気が付いた。
 狭まるということは何かる証拠なので、油断し出てはいけないと気を引き締める。

「みんな、そろそろ何かあると思うよ」
「何かって何よ」

 シルヴィアがもっともなことを口にした。
 しかしルカは回答札を持っていない。
この先に何が待っているかはまだ未知で、行ってみないことには欲しい答えも手に入らない。

「わからないから行くんだよ。でも、確実に何かあると思うよ」
「何かあるって……そう言えば調べてわかったことだけど、この山って昔トンネルが……」

ルカ達は立ち止まった。
 シルヴィアが言いかけていたことが本当だったからだ。

「あったね、トンネル」
「本当だ、空洞が壁に空いてるね」

 目の前には大きな穴が崖沿いの壁に空いていた。
 あまりに綺麗な円形で、若干人工的に整備された跡がみられる。
 地面に目を凝らしてみるとセメントで固めたようで、しかも魔力でコーティングまで施されていた。

 つまりこれは自然の産物などではない。
 人工的にあくまでも意図的に掘って作られた、いわゆるトンネルで間違いなかった。

 しかもトンネルの上の方には鉄板で何か書かれている。
 どうやらこのトンネルの名前らしいが、かなり古く苔まで生えている。
 文字が凹凸になっているので読めなくはないが、暗がりのせいもあってかはっきりとは読めない。

「旧雷山トンネル」

 シルヴィアがぽつりと口にした。
 如何やら正解らしく、シルヴィア調べによればこの山にあるトンネルはこれしかないらしい。

 それじゃあ如何して旧と呼ばれているのか疑問が浮上する。
 けれど呆けているシルヴィアに聞いてもいいか迷ったので、ルカは何も口にしないことにした。

 それよりもトンネルがあるということはラッキーだ。
 上に登るための手段が昔から存在していたことになり、仮説は証明されたことになる。
 これで何もなければ上まで溺れるだろうが、いかんせん古い代物のためか油断はできない。
 ルカ達は入る前に一回確認しておくことにした。

「とりあえずだけど、トンネルの中にはモンスターが潜んでいる可能性がかなり高いから油断しないようにね」
「それからトンネル自体を腐食させる攻撃は控えた方がいいでしょうね。私の《オーロラウィング》やシルヴィアさんの風を使った魔術はかなり危険です」

 ブルースターが指摘したのはトンネルの経年劣化だ。
 流石に古くなったトンネル内で風を爆発させたり魔力自体を飽和させるのは当然危険で、できれば炎も使ってほしくない。
 貴重な酸素が減って呼吸困難になる恐れもあるからと、ルカはダリアに伝えた。
 一瞬しょぼくれたダリアだったが、剣のことを褒めると嬉しそうに胸を叩いた。

「任せてください、私が前衛に立って皆さんを守ってみせます」
「頼もしいね。ってことだから、ライラックもしっかり戦うんだよ?」
「わかっているよー。モンスター相手なら全力で屠ってもいいんでしょー?」

 ライラックが屠るとは思えない。
 もっと狡猾にもっと慎重に後ろに回り込んだ蛇が獲物をじっくり食らう方が適してる。
 そう思ったルカだが、そんなことを言っていられない気配をトンネルの奥から感じ取っていた。多分こればかりは距離が離れすぎているので、ルカにしか気づけていない。

「如何したのよ、ルカ?」
「怖い顔していますよ。大丈夫ですか、ルカさん」

 心配したシルヴィアとダリアがルカに尋ねる。
 トンネルの奥を睨みつけたまま首が動かなくなっていたからだ。

 ルカは自分の体が如何なっていたのか気が付いていた。
 けれど首を一切動かすことはなかったが、ぽつりと不安をあおるようなことを口にした。

「確実にいるね、ドラゴン」
「「「えっ!?」」」

 4人は驚いた。
 突然ルカが口にした言葉はシルヴィアたち全員の意識と思考を刺激して、計り知れない重しを乗せる。

「ド、ドドド、ドラゴン? それってあの竜のことよね?」
「それ以外ないよ。他に何がいるの?」
「ちょっと待ってよ。ドラゴンなんて、もっと魔力の反応がる良くてもいいのに……」
「それはトンネルのせいだよ。魔力でコーティングされているせいでドラゴンの気配を感じ取れていないんだ。これは強敵を相手にすることになるかもね。全力で逃げよう」

 流石のルカでもドラゴンを相手にするのは嫌だった。
 図体の大きいトカゲ。そういうイメージしかないものの、とにかく戦うのが面倒くさい。
 本気を出せば一瞬で片付くが、シルヴィア達を配慮した結果だ。
 さてどうしたものかと悩む一行は、しばしトンネル前で固まったまま動かなくなってしまった。

「でもさー、行かないとダメなんだよね?」
「そうだね。行かないと始まらない」

 その緊迫した状況を壊したのじゃライラックだった。
 その後にルカも続き、トンネルを指さす。

「どのみち行かないとダメなら行くしかないでしょ? 今回は他の選択肢はないし、肝心のドラゴンも私の勘違いや遭遇したら逃げればいい。いやなことからは全力かつ最短距離で回避する。それで行こう」

 ルカは強引な提案を伝えた。
 けれどルカが言うからこそ信憑性が出て来るのだろう。
 シルヴィア達もトンネルを睨みつけ、重く枷の付いたままトンネルの中に踏み入れた。
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