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雷鳥編
261.兎の治療
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「「「ううっ……」」」
密猟者達は糸でぐるぐる巻きにされていた。
頬に冷たい感覚があった。
真っ白な雪の絨毯が着実に体温を奪い、戦意を完膚なきまでに消失させた。
「ふぅ。これで一安心だねー」
「そうね。でも……」
「流石にやりすぎだよ」
「ん?」
ライラックがやっていることは学生とは思えないような行為だった。
倒した密猟者の指を一本一本糸で拘束し、さらには体温を確実に奪うために雪山の山頂にもかかわらずコートを引き剥がしていた。
流石にやりすぎだとルカも思ったが、ライラックの目付きが怖くなった。
「何言ってるのかな? これぐらいやるでしょ」
「やらないわよ。こんなことしたら死んじゃうでしょ?」
「ん?」
ライラックは完全に分かっていなかった。
いいや、分かっているけれどあえて分からないふりをしているように見えた。
ライラックの狂気に当てられ、ダリアとブルースターは表情を引き攣らせた一方で、ルカとシルヴィアだけは冷静だった。
「人間体温を失ったら死ぬんだよ?」
「そんなの知ってるってー」
「だったら止めておきなさい。流石に犯罪者相手にもやり過ぎよ」
「えー」
ルカとシルヴィアはライラックを咎めた。
するとコートだけは乱雑に掛け、「これでいいでしょー」と不満げな反応だった。
とは言えコートは全くかかっていなかった。
そこでダリアに頼んで火を出してもらった。
「ダリア、火を出して」
「分かりました!」
ルカからの頼みごとにダリアは大喜びした。
すぐさま火を出すと、焚き火を用意した。
とは言え炎でない辺り、ルカも相当キテいた。
「あったけえ……」
「良かったねー。私ならこんなことしてあげないよー?」
「こ、怖いこと言わないでよね。絶対に敵に回したくないわ」
「大丈夫だよ。シルヴィたちの敵になったりしないからさー」
ライラックは口角を上げて笑みを浮かべていた。
不気味に思ったことは絶対に言えないとシルヴィアは押し黙っていた。
「さてと、そんなことより早くしないと」
「ルカ、これから何をするの?」
シルヴィアは密猟者と戦って満足したのか、三つほど見えていないものがあった。
ルカは言葉ではなく行動で示し、シルヴィアの視線を誘導させた。
そこには白い兎が倒れていて、体を引き摺っていた。
「スノールホワイトラヴィ!」
シルヴィアも大きな声を上げた。
ルカが傍まで寄ると、早速治療を始めることにした。
「流石に人間がやったことだからね。……とはいえ、無視はしたくないけどね」
ルカは回復魔術を使った。
両手から柔らかい光の粒子が迸り、脚を怪我した兎を治してあげた。
「嘘でしょ。あっという間に傷口が塞がっていくわ!」
「こんな丁寧な回復魔術を見たことがありません。やっぱりルカさんは凄いです」
「このくらい慣れれば誰だってできるよ」
「いやいやできないって」
回復魔術に特化した人ならできるはずだ。
千年前にもそんな人はいた。
クリアのように防御系の結界魔法に長けた魔法使いやパレットのように色に特化した魔法使いもまた懐かしく感じた。
「はい、お終い」
「早っ!」
ルカの回復魔術は魔法の要素も入っていた。
そのおかげで魔力の通りも良く、細胞を活性化させてふさふさの新しい毛まで生え揃っていた。
「キュンキュン!」
兎はビー玉のような無垢な瞳でルカの顔を見た。
抱き抱えていたが、走り回りたいだろうと思い、ルカはすぐに地面に降ろした。
「はい。好きに走り回っていいよ」
「キュンキュン!」
地面に降ろすと、一瞬自分の脚を見た。しかし動くことが分かり、毛繕いをすると、最初の一歩を踏み出した。
兎はルカの周りを駆け回った。
助けて貰ったことに感謝しているようで、元気そうで何よりだった。
「良かったわね。凄い人気者よ」
「そうみたいだね。あはは、目が回るんだけど」
兎はずっと回っていた。
よっぽど懐かれたのか、ルカは蟀谷を掻いていた。
「ほら、好きな所に行くといいよ」
「キュンキュン!」
兎はルカの言いたいことを理解したようだ。
飛び跳ねながら振り返り、急斜面の下り坂を見つめた。
兎は躊躇いなく駆け出した。ピョンピョン跳んでいて可愛かった。
「待たねー」
ルカ達は何処かへと消えていく兎に手を振った。
白い毛玉が白い絨毯の上に足跡を残していった。
多分すぐに消えてなくなるだろうと思い、少しだけシルヴィアは悲しんだ。
「行っちゃったわね」
「そうだね。でもとりあえず一つ目は達成かな。後は……」
ルカはシルヴィア達のよりも先に事を考えていた。
問題はここからの二つだ。
ルカは声色を変えて、重低音かつ威圧するような声を掛けた。
「それで、いつまでそこに隠れているつもりかな?」
ルカは雪の向こうを睨みつけた。
シルヴィア達はポカンとしていた。
しかしルカは未だに隠れてこちらの様子を見ている傍観者を無視できなかった。
これが二つ目の気がかりだった。
密猟者達は糸でぐるぐる巻きにされていた。
頬に冷たい感覚があった。
真っ白な雪の絨毯が着実に体温を奪い、戦意を完膚なきまでに消失させた。
「ふぅ。これで一安心だねー」
「そうね。でも……」
「流石にやりすぎだよ」
「ん?」
ライラックがやっていることは学生とは思えないような行為だった。
倒した密猟者の指を一本一本糸で拘束し、さらには体温を確実に奪うために雪山の山頂にもかかわらずコートを引き剥がしていた。
流石にやりすぎだとルカも思ったが、ライラックの目付きが怖くなった。
「何言ってるのかな? これぐらいやるでしょ」
「やらないわよ。こんなことしたら死んじゃうでしょ?」
「ん?」
ライラックは完全に分かっていなかった。
いいや、分かっているけれどあえて分からないふりをしているように見えた。
ライラックの狂気に当てられ、ダリアとブルースターは表情を引き攣らせた一方で、ルカとシルヴィアだけは冷静だった。
「人間体温を失ったら死ぬんだよ?」
「そんなの知ってるってー」
「だったら止めておきなさい。流石に犯罪者相手にもやり過ぎよ」
「えー」
ルカとシルヴィアはライラックを咎めた。
するとコートだけは乱雑に掛け、「これでいいでしょー」と不満げな反応だった。
とは言えコートは全くかかっていなかった。
そこでダリアに頼んで火を出してもらった。
「ダリア、火を出して」
「分かりました!」
ルカからの頼みごとにダリアは大喜びした。
すぐさま火を出すと、焚き火を用意した。
とは言え炎でない辺り、ルカも相当キテいた。
「あったけえ……」
「良かったねー。私ならこんなことしてあげないよー?」
「こ、怖いこと言わないでよね。絶対に敵に回したくないわ」
「大丈夫だよ。シルヴィたちの敵になったりしないからさー」
ライラックは口角を上げて笑みを浮かべていた。
不気味に思ったことは絶対に言えないとシルヴィアは押し黙っていた。
「さてと、そんなことより早くしないと」
「ルカ、これから何をするの?」
シルヴィアは密猟者と戦って満足したのか、三つほど見えていないものがあった。
ルカは言葉ではなく行動で示し、シルヴィアの視線を誘導させた。
そこには白い兎が倒れていて、体を引き摺っていた。
「スノールホワイトラヴィ!」
シルヴィアも大きな声を上げた。
ルカが傍まで寄ると、早速治療を始めることにした。
「流石に人間がやったことだからね。……とはいえ、無視はしたくないけどね」
ルカは回復魔術を使った。
両手から柔らかい光の粒子が迸り、脚を怪我した兎を治してあげた。
「嘘でしょ。あっという間に傷口が塞がっていくわ!」
「こんな丁寧な回復魔術を見たことがありません。やっぱりルカさんは凄いです」
「このくらい慣れれば誰だってできるよ」
「いやいやできないって」
回復魔術に特化した人ならできるはずだ。
千年前にもそんな人はいた。
クリアのように防御系の結界魔法に長けた魔法使いやパレットのように色に特化した魔法使いもまた懐かしく感じた。
「はい、お終い」
「早っ!」
ルカの回復魔術は魔法の要素も入っていた。
そのおかげで魔力の通りも良く、細胞を活性化させてふさふさの新しい毛まで生え揃っていた。
「キュンキュン!」
兎はビー玉のような無垢な瞳でルカの顔を見た。
抱き抱えていたが、走り回りたいだろうと思い、ルカはすぐに地面に降ろした。
「はい。好きに走り回っていいよ」
「キュンキュン!」
地面に降ろすと、一瞬自分の脚を見た。しかし動くことが分かり、毛繕いをすると、最初の一歩を踏み出した。
兎はルカの周りを駆け回った。
助けて貰ったことに感謝しているようで、元気そうで何よりだった。
「良かったわね。凄い人気者よ」
「そうみたいだね。あはは、目が回るんだけど」
兎はずっと回っていた。
よっぽど懐かれたのか、ルカは蟀谷を掻いていた。
「ほら、好きな所に行くといいよ」
「キュンキュン!」
兎はルカの言いたいことを理解したようだ。
飛び跳ねながら振り返り、急斜面の下り坂を見つめた。
兎は躊躇いなく駆け出した。ピョンピョン跳んでいて可愛かった。
「待たねー」
ルカ達は何処かへと消えていく兎に手を振った。
白い毛玉が白い絨毯の上に足跡を残していった。
多分すぐに消えてなくなるだろうと思い、少しだけシルヴィアは悲しんだ。
「行っちゃったわね」
「そうだね。でもとりあえず一つ目は達成かな。後は……」
ルカはシルヴィア達のよりも先に事を考えていた。
問題はここからの二つだ。
ルカは声色を変えて、重低音かつ威圧するような声を掛けた。
「それで、いつまでそこに隠れているつもりかな?」
ルカは雪の向こうを睨みつけた。
シルヴィア達はポカンとしていた。
しかしルカは未だに隠れてこちらの様子を見ている傍観者を無視できなかった。
これが二つ目の気がかりだった。
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