1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について

水定ゆう

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雷鳥編

271.黒雲の向こう側

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 その頃、ルカ達は下山していた。
 先導するのはエシュナで、緩やかな道順コースを選び下りていた。

「この辺の雪は滑りやすい」

注意しろということのようだ。
 ルカ達はエシュナの指示のもとゆっくり進んだ。

 実際登山は下山の方が危険ともいう。
 下り坂の方が膝への負担も大きく、転倒の可能性も飛躍的に高まるのだ。

 よく高い山に登る時の方が注目フィーチャーされがちではあるが、下山も注目してあげて欲しかった。
 けれどそう上手くは行かない。
 ドラマ性を持たるのならば尚更だ。

「それにしてもルカ、如何してあんなことをお願いしたのよ?」
「そうだよー。如何せなら麓まで連れて行って・・・・・・・・・貰えば良かった・・・・・・・のに・・

 シルヴィアとライラックがそんなことを口にした。
 しかしそれだけ雷鳥に迷惑が掛かると思ったのだ。
 ルカなりの配慮だったのだが、如何やら伝わっていなかった。

「でも良かったわね。あの雲を突き抜けて」
「楽しかったねー。ねえダリア、ブルースター」

 ライラックは頭の上で腕を組んでいた。
 ダリアとブルースターも感激な様子で、不意に空を見上げた。

「貴重な体験でした。来た甲斐がありましたね」
「雷鳥の背と言うものがアレほど良いとは思ってもみませんでしたね」

 ダリアとブルースターも顔色が良かった。
 空を見上げ、遠くに映る雲の向こう側を見ている気分だった。

※ ※ ※ ※ ※ ※ ※

「頼みがあるんだけど良いかな?」

 ルカは手を挙げて頼みごとをした。
 雷鳥はルカの姿に気が付くと、体の向きを変えた。

「ハイ、ナンデショウカ?」

 雷鳥は丁寧な返事をしてくれた。
 その広い心と胸に飛び込むつもりで、何気なく頼んだ。

「背中に乗せてくれないかな? あの雲の向こう、上空一万メートルの世界に行ってみたいんだ」

 ルカはベタなことを頼んだ。
 しかも要望が高いところではなく、上空一万メートル。
 何か意味があるわけでもなく、単純に高いところを見たかった。

「カマイマセン」
「やった。みんなは如何する?」

 ルカはシルヴィア達に尋ねた。
 もちろんエシュナとミヨンも誘ったが、捉えた密猟者を見張る必要があったので止めた。

「遠慮する」
「高いところは嫌いじゃないけど、今日は無理」

 エシュナとミヨンの意を汲み取り、ルカはシルヴィア達だけ誘った。
 ルカやシルヴィアは慣れていたが、ライラックは少し楽しみな様子で、ダリアは不安だった。

「何か面白そうだねー」
「ちょっとだけ不安です。そんな高いところに行っても大丈夫でしょうか?」

 確かにここよりもより一層空気は薄いはずだ。
 標高は三千メートルだが、この場所はもともと高く、雷山の高さは優に五千メートルはあった。
 それを考えると倍の高さにまで上がるんだ。気圧の影響は心配されたが、その辺りは問題なかった。

「このコートを着ていれば大丈夫だよ」

 ルカ達の羽織るコートには安全装置が組み込まれていた。
 どれだけ高いところから落ちようが死にはしないし、酸素が薄くても海中や宇宙空間でなければ最低限の呼吸はできる。
 後は魔術も掛けておけばこれ以上の不安材料は無かった。

「はいダリア。これで行けるね」
「あ、ありがとうございますルカさん!」

 ダリアは一番満足そうな笑みを浮かべていた。
 頭を撫でられて自然と目の色が赤く染まりそうになった。

「それじゃあお願いするよ」
「ワカリマシタ。ソレデハイキマショウカ」

 雷鳥の背中に乗せて貰った。
 取っても柔らかい毛並みには静電気が溜まっていて、ちょっぴりビリビリした。

 けれどルカ達はコートのおかげで痺れずに済んだ。
 それからエシュナとミヨンが見守る中、ルカ達は雷鳥の背に乗って、雲を突き抜けることにした。

「イキマス」

 雷鳥は翼をはためかせた。
 強烈な突風が起こり、雷がバリバリと鳴り響いた。

「うわぁ凄い凄い!」
「ちょっとライ、あまり動かないで。うわぁ!」
「下噛むから喋らないの」

 ルカはシルヴィアが舌を噛みそうになったので注意した。
 それから瞬く間に雷鳥は雷山を離れ、高く高く飛び立った。

「シッカリツカマッテクダサイ」
「乗り物案内みたい」

 ルカはペラペラ喋っていた。
 しかし風圧でシルヴィア達は喋ることが出来ず、グッと奥歯を噛んでいた。

「凄いな」
「アナタハシャベレルノデスネ」

 雷鳥は尋ねた。
 ルカは平気な顔をしていて、風圧を正面から受けても何ともなかった。
 水分が飛ぶ訳でもなく、表情は朗らかだった。

「まあ慣れているから」
「ナレテイル?」
「うん。昔友達に誘われて宇宙まで行ったんだ。それに比べたらこのくらい余裕だよ」

 ルカが言っていることは本当だった。
 月の魔法使いや流星の魔法使いと共に宇宙に行ったのは今でも凄い体験だった。

「オカシナコトヲイイマスネ」
「本当にね。あの時は凄いことをやったと思ったよ」

 そろそろ戻ってくるころじゃないだろうか。
 雲に突っ込んだ雷鳥は雷鳴を起こし、雷を操作していた。
 流石は雷鳥と思い雲を突っ切ると、その先に待っていた景色は素晴らしかった。
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