1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について

水定ゆう

文字の大きさ
315 / 733
聖夜編

313.サンタ・ク・ロースは臆病な魔法使い

しおりを挟む
 ルカはドアノブに手を掛けた。
 ゆっくり開けてみると、中で待っていたのはベッドに横たわるお爺さんだった。

「やっぱり」
「ふぉっふぉっ。よく来たの、ナタリーの生徒達よ」

 お爺さんはルカ達を歓迎してくれた様子だ。
 だけど内側には強烈な魔力が秘めていた。
 とてつもない魔術師だとシルヴィア達も直感したが、お爺さんはルカ達に軽く自己紹介するためベッドから起き上がろうとした。

「それじゃあの、軽く自己紹介がてら。儂はの……おー、痛たたたたぁ」

 腰が悲鳴を上げていた。
 途中まで腰を起こした途端に悲鳴を上げたのだ。
 よっぽど腰を悪くしているようで、立ち上がることも難しそうだった。

「だ、大丈夫ですか!」
「う、うむ。平気じゃよ。すまんの若い魔術師に卵よ……ん? その顔、何処かで見覚えが」

 ダリアは優しいのですぐさま駆け寄った。
 すると顔を見て何かピンときた様子だが、ダリアは無理やりにでも誤魔化した。

「私は会ったことありませんよ。きっと誰かと勘違いしているんです」
「そうじゃとは思うが……はて? 誰じゃったかな」
「そんなことより腰は大丈夫ですか?」
「う、うむ。今のところは少し落ち着いた。すまんが向こうからお茶を取って来てもらえんか? 使っていない器もたくさんあるからの」

 ダリアはお爺さんに言われて正直にお茶を淹れに言った。
 心配になったシルヴィアも尽きそうと、寝室の中は少しだけ広くなった。

「さてと。まずはここに居る魔術師の卵たちに儂に付いて話しておこうかの」
「そうですね。貴方は一体何者ですか?」

 ブルースターが正直に尋ねた。
 するとお爺さんはニヤついた笑みを浮かべた。待ってましたといわんばかりな様子で、ルカは眉根を寄せた。

「ふぉっふぉっ。そんなに儂が気になるか」
「えっ? 自分から聞いてほしそうにしてたよねー?」
「むっ! お主は空気が読めんのか?」
「読まない、読めない、読みたくなーい。私は自由なんだぁー。ってことでさ、どうぞ?」

 ライラックは陽気に振舞った。
 主導権を与えないようにする行為でルカはナイスだと思った。

「むっ。儂はサンタ・ク・ロース。魔法使いじゃ」
「「魔法使い?」」

 ブルースターとライラックが首を捻ると、サンタ・ク・ロースは今度こそと思った。
 けれど二人は顔を見合わせた。お互いに相槌を入れた。

「「知ってますよ」」
「はぁっ!?」

 サンタ・ク・ロースは意外そうだった。口をあんぐりと開け、入れ歯が取れそうになった。
 その様子を見ていたルカはクスッと笑みを浮かべた。最高の展開だった。

「だってナタリー校長の知り合いってことは長寿ってことでしょ?」
「そうですね。恐らく長寿になる体質、もしくは特異的な固有魔法でしょうか? どちらにせよ、これだけの力量を備えているのは魔術師ではありえません」
「〈ミスト〉の人達よりもつよそうだもんね」

 二人とも観察眼が鋭かった。
 確かに最高峰の魔術師でもあり、その実力の一端を見た二人ならば、目の前に居るお爺さんの実力をある程度推測することは可能だった。
 つまるところ魔法使いという選択肢しか残らず、御爺さんは肝心の手鼻をへし折られてしまった。

「むっ。そう来たか」
「残念でしたね。サンタさん」
「お主も何か言わんか! 儂のせっかくの鉄板ネタを潰し酔って」
「カリカリすると人望得られなくなりますよ? そんな相手に誰かを従わせることなんてできませんよ」

 もっと寛容に慣れと遠回しで言った。
 別に魔法使いだからと言って、魔術師達をいびって良い訳がなかった。

「むっ。時代が追い付いておらんわ」
「置いてかれているんだよ」

 ルカは酷いことを言った。だけど魔法使いは魔術師の尊敬であって、他者を見下してもいいわけが無かった。
 そんなノリが通用する相手などこの世に存在しないのだ。

「じゃが儂は本当に優れた魔法使いなんじゃよ。実際助けてやったじゃろ!」
「そうなった原因は誰のせいかな?」
「むっ……それを言われると頭が上がらんわい」

 だけどブルースターだけは助けて貰ったので驚いていた。
 いまいち如何やったのか分からないので、流石に未だ半信半疑ではあったが。

「そうだったんですか?」
「いかにも。儂の魔法があってこそ、ヘルボロスの薬指を葬ることができたのじゃ」
「へぇー。それじゃあ私達が居なかったら危なかったね」
「むっ……そうじゃな。それは、時間の問題でそうじゃな……」

 確かに問いたいところを突かれてしまった。
 言い返す手段が無くなり、完全に主導権をルカ達に持って行かれてしまった。

 この立場の無い状況にサンタ・ク・ロースは不快感に苛まれた。
 このままでは立場が無いと思い、苦肉の策で思いついた。
 ニヤニヤした笑みを浮かべて、ルカのことを凝視していた。

「お主こそ、本当は……」
「はい、それ以上は無しね」

 ルカは笑顔の圧力をサンタ・ク・ロースに向けた。
 流石に老体には堪えたのか、筋肉が相当弱まり、入れ歯が外れてしまったのでした。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい

空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。 孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。 竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。 火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜? いやいや、ないでしょ……。 【お知らせ】2018/2/27 完結しました。 ◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛

タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】 田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。

勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~

楠ノ木雫
ファンタジー
 IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき…… ※他の投稿サイトにも掲載しています。

昭和生まれお局様は、異世界転生いたしましたとさ

蒼あかり
ファンタジー
局田舞子(つぼたまいこ)43歳、独身。 とある事故をきっかけに、彼女は異世界へと転生することになった。 どうしてこんなことになったのか、訳もわからぬままに彼女は異世界に一人放り込まれ、辛い日々を過ごしながら苦悩する毎日......。 など送ることもなく、なんとなく順応しながら、それなりの日々を送って行くのでありました。 そんな彼女の異世界生活と、ほんの少しのラブロマンスっぽい何かを織り交ぜながらすすむ、そんな彼女の生活を覗いてみませんか? 毎日投稿はできないと思います。気長に更新をお待ちください。

今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので

sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。 早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。 なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。 ※魔法と剣の世界です。 ※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

処理中です...