1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について

水定ゆう

文字の大きさ
376 / 733
聖夜編

372.本番前の打ち合わせ

しおりを挟む
 深夜になる少し前。
 時計の針も二十二時を回り、ルカ達はサンタ・ク・ロースの下を訪れていた。

 リネアには一言伝えてあったので何も気にすることはなかったが、問題は道中だった。
 ただでさえ夜間の出歩きは目立つ。
 一応お祭りと言うこともあり、多少は人気もあるのだが、夜も更けるごとにドンドン人の数も減り、冬の寒さも相まって、二十三時に頃には人も居なくなるはずだ。

 そんな丁度ギリギリの時間帯。
 ルカ達は人目を避けながら、森を目指した。
 普段から薄気味悪くて立ち入りが固く禁止されている聖怪の森。
 そこに向かっているのだがら、職務質問されないように、普通の町の人の目すら憚んだ。

「さっきから大変過ぎるわね」

 シルヴィアが愚痴を零す。
 当然だ。建物の壁を利用して、人との接触を極端に避けていた。
 これからルカ達がやろうとしていることは、完全に不法侵入。しかも子供の夢を著しく守らないといけない作業だ。
 その予行練習がてらなため、とっても神経を使った。

「仕方ないよ。サンタ・ク・ロースから言われているでしょ?」
「それはそうだけど……こんなの息が詰まるわ」

 確かにライラックも黙る始末だ。
 楽しさよりも緊張の方が先行している。
 ルカは感覚的に悟るも、できることは特にない。

「まあ私たちのやろうとしていることは、一歩間違えれば犯罪だからね。片足は既に突っ込んでいるけど」
「それって……」
「でもこの町の市長が許可を出しているんだよ。それを前提にすれば、何も怖くないでしょ?」
「はい。私達は許可を出されているんですよね!」
「そう言うこと。だから気にしない方が良いよ」

 ルカは無理やり、何の解決にもなっていないが説得する。
 シルヴィアもブルースターも分かり切っていることを聴かされて苦言を呈しそうになるが、結局自分達にも剥き出しにできる武器が無いので、眉根を寄せる程度にして黙る。

「それじゃあもう少し続けようか」
「仕方ないわね。にしてもこの先行き止まりよ? 如何するの」

 確かに目の前は壁。路地になっているので、曲ることはできるがこの先は大通り。
 できれば人目に触れないのが要望に上がっているので、ルカは考えた。
 そこで普段通り行う。

「音を消して進もう。《サイレント》」

 ルカは全員に消音の魔術を施す。
 勿論その上に重ね掛けを行う。

「姿も消すよ。《インビジブル》」

 ルカ達全員の姿は一時的に見えなくなった。
 シルヴィアとブルースターは強力な魔術二つの重ね掛けに唖然。

「これができるなら、最初からすればよかったんじゃないの?」
「そうですね。それにしてもルカさんの魔術は……《インビジブル》?」
「ブルースター気が付いたね」

 流石はブルースター。考えがいい。
 シルヴィアは少し遅れて頭を使うと、「もしかして?」と首を捻る。

「この魔術って、他のものに触ったらダメ系の奴じゃないの?」
「そうだよ。ダメ系の奴」
「それじゃあ壁とかに触ったり、接触したら……」
「簡単に解けちゃうよ。例外として、自分から触れる分には大丈夫だから、お互い距離を取って、触れないようにして進むよ。《サイレント》だって、ある一定数値以上のデシベルを出したら解除されちゃうからね」

 ルカの的確な説明を受け、全員コクコク首を縦に振る。
 如何やら理解してくれたようで、ルカ達は目の前の壁を各々の魔術で突破する。

 ルカとシルヴィアの二人は空を飛ぶ。
 ライラックは指先から丈夫な糸を出してよじ登り、その後をダリアとブルースターがよじ登る。

 いつもなら炎を使ったり、オーロラの翼を使うけど、今回は使えない。
 そのため少しテンポは悪いが、全員で町の中、まずは離れた森に向かった。
 そこまでは建物の壁を巧みに使い、途中人に見られそうになりながらも、何とかぶつからないようにして掻い潜るのだった。

「ふぅ。疲れた」

 シルヴィアが吐息を漏らす。
 何とか町の外に出ると、ここからは魔術を解除しても良い。
 後は聖怪の森に向かうだけ。ルカ達はもう一踏ん張りと、歩を進めた。

「うわぁ、とっても暗いんだけど」

 シルヴィアはたじろいだ。
 それもそのはずようやく見えてきたと思ったら案の定、目印なんてものは無く、ただの暗闇が影の様に虚ろに揺蕩う。

「シルヴィア、もしかしてビビってる?」

 ライラックはシルヴィアを茶化した。
 ニヤニヤした笑みを浮かべられたので、シルヴィアは負けじと反発する。

「ビビってないわよ! ただ、ちょっとだけ……」
「不気味ですよね。何か出るんじゃ……」
「ダリア、そんなこと言わないで」

 シルヴィアがいつもの口調でダリアを怒る。
 ちょっと珍しかったが、ルカも囃し立てた。

「もしかしてお化けが怖いの?」
「そ、そんな訳……ねぇ?」

 シルヴィアの反応が妙にそれっぽくて、ルカは如何したら良いのか分からなくなる。
 しかしブルースターが肩を叩いて一言。

「大丈夫ですよ。私が付いていますから」

 とっても頼もしかった。
 流石はプラネット家だと、稀ではあるが名前を頼りにしてしまった。
 もちろんルカは幽霊なんて一切怖くないのだが・・・
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい

空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。 孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。 竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。 火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜? いやいや、ないでしょ……。 【お知らせ】2018/2/27 完結しました。 ◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。

好きな人に『その気持ちが迷惑だ』と言われたので、姿を消します【完結済み】

皇 翼
恋愛
「正直、貴女のその気持ちは迷惑なのですよ……この場だから言いますが、既に想い人が居るんです。諦めて頂けませんか?」 「っ――――!!」 「賢い貴女の事だ。地位も身分も財力も何もかもが貴女にとっては高嶺の花だと元々分かっていたのでしょう?そんな感情を持っているだけ時間が無駄だと思いませんか?」 クロエの気持ちなどお構いなしに、言葉は続けられる。既に想い人がいる。気持ちが迷惑。諦めろ。時間の無駄。彼は止まらず話し続ける。彼が口を開く度に、まるで弾丸のように心を抉っていった。 ****** ・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。

悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます

綾月百花   
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛

タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】 田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。

勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~

楠ノ木雫
ファンタジー
 IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき…… ※他の投稿サイトにも掲載しています。

【完結】モブ令嬢のわたしが、なぜか公爵閣下に目をつけられています

きゅちゃん
ファンタジー
男爵家の三女エリーゼは、前世の記憶を持つ元社畜OL。社交界デビューの夜、壁際でひとりジュースを飲んでいたところを、王国随一の権力者・ヴァルナ公爵カイルにスカウトされる。魔法省の研究員として採用されたエリーゼは、三年間誰も気づかなかった計算の誤りを着任三日で発見。着々と存在感を示していく。一方、公爵の婚約候補と噂されるクロード侯爵令嬢セラフィーヌは、エリーゼを目障りに思い妨害を仕掛けてくるが...

昭和生まれお局様は、異世界転生いたしましたとさ

蒼あかり
ファンタジー
局田舞子(つぼたまいこ)43歳、独身。 とある事故をきっかけに、彼女は異世界へと転生することになった。 どうしてこんなことになったのか、訳もわからぬままに彼女は異世界に一人放り込まれ、辛い日々を過ごしながら苦悩する毎日......。 など送ることもなく、なんとなく順応しながら、それなりの日々を送って行くのでありました。 そんな彼女の異世界生活と、ほんの少しのラブロマンスっぽい何かを織り交ぜながらすすむ、そんな彼女の生活を覗いてみませんか? 毎日投稿はできないと思います。気長に更新をお待ちください。

処理中です...