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聖夜編
385.男達の足音③
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三人の少年少女は静かに廊下を歩いていた。
音が聞こえてきたのはこの先だ。
確かこの先は壁だった。壁が端に寄っていて、風除けや日除けになってくれている。
そんな所が簡単に崩れるわけがない。誰かが人為的に力を加えたから崩れるんだ。
グレイは賢い頭で考えると、ミューイとカザリを後ろに引き連れ近付く。
「グレイ」
「なに?」
「本当に崩れたの?」
「それは分からないよ。でも、もしそうなら一大事だ」
まだ起きている子がいたら、年長者のグレイ達が怒られる。
その上、壁を崩したとなれば最悪だ。
ジルアには怒られる。ライザーはのほほんとしているだろうが、ゴライアスは激怒することだろう。
そうなる前に突き止めないとマズい。焦る気持ちを抑えつつ崩れたと思しき所に辿り着く。すると声が聴こえた。男達の荒々しい声だった。
「なんか簡単に侵入できたっすね」
「ああ、そうだな。だがここからだ」
小男とボスは荒々しい口調ではあるものの、小声で話していた。
これから子供を攫おうというのだ。
子供に起きられると暴れられて面倒なことになる。
男達はある程度の算段は立てていた。速やかに退散するのだ。
「それじゃあとっとと攫いに行きましょう。孤児なら攫ってもバレないっすよねー」
「ふん。俺達の痕跡を残すとバレるだろ。最悪殺してしまっても良い」
「良いんすか?」
「いつものことだ。行くぞ」
「うっす」
そんな会話を聴いていたグレイ達は廊下の隅に隠れて息を飲んでいた。
不法侵入者がいるだけじゃない。自分達を攫おうとしているのだ。
グレイは頭を使った。孤児を攫って変態な貴族に売ったり、その死体を魔術に使う不届き者もいるらしい。
口の中に滲んだ血が混じり吐き気を催す。
何て醜い連中なんだと怒りが込み上げて来るのだが、そこで動けなくなってしまった。
ミューイをカザリが震えながら服を掴んでいるのだ。
「何で掴んでいるの!」
「こ、怖い」
「怖いよ……あんな男の人達見たことないよ」
「くっ……何とかしないと」
グレイは血走った目で視線を配る。
男達がこっちに近付いてきていた。
(マズい、如何しよう……)
グレイは動けなかった。
しかしこうしていればバレたりしない。
自分達だけは助かると、呼吸が荒くなり肩を上げ下げする。
しかしそれだと他の子供達は……胸が苦しくなって、心臓の辺りを押さえていた。
「グレイ」
「ぐ、グレイ?」
ミューイとカザリが不安そうに声を掛けた。
しかしグレイには聴こえてこない。
ただ男達が近付いて来るのを黙って見ているしかないのだ。
苦しい、怖い。胸と脈拍を激しくノックする。
完全にグレイが動けないでいると、男達はピタリと足を止めた。丁度グレイ達のすぐ近くだ。
「ボス、如何したんすか?」
「誰か居るな」
「えっ!? ……ああ、確かに居るっすね。おい、出て来いよ!」
小男が怒鳴りつけた。荒々しい態度で、威圧を放っている。
グレイ達は息を飲んだ。
声が出せなくなり、震えてしまう。
一体如何したら良いのか。ここから出たら絶対にダメだ。
動いたら殺される。そう思ってジッとしていると、小男はナイフをチラつかせる。
「出て来ねぇとこうだぜ?」
小男はナイフを投げつけた。
壁に反対側の壁に突き刺さり、グレイ達は「ひいっ!」と声を上げた。
「やっぱガキじゃねえか!」
そのせいでバレてしまった。
グレイ達は脅しに屈服し、トボトボと廊下の隅から出て来る。
震える脚、鳥肌が絶えない腕。声も引き攣り、瞳孔がキョロキョロしていた。
「おいガキども。俺達の会話を聴いていたな?」
「……」
「答えろ、答えねえと……」
「キャッ!」
小男がナイフを投げつける。
カザリは悲鳴を上げた。全身が震えてしまい、その場に座り込んでしまった。
「や、やめろよ! 子供相手に」
「ガキだろうが何だろうが知ったことじゃねえんだよ!」
「そうだな。悪いがお前達には消えて貰うぞ」
「えっ? き、消える」
「意味分かんねえのかよ! とっとと消えて貰うぜ!」
小男はナイフを投げつけようとした。
グレイ達は震えてしまい、動けなくなってしまい、ナイフが当たるのを待つしかなかった。
目をギュッと瞑り、動かない体へと恐怖心を募らせる中、ナイフを投げようとした小男の指からナイフが震えた。
「死ねっ!」
こんな所で死にたくない。
震えながら生にしがみつき、恐怖心に支配されゆく心と鼓動を全身が受け止めた。
ミューイもカザリもそうだった。少年少女は動けないでいると、急に小男は「うわぁ!」と声を上げた。
「な、なんだよ!」
小男は苛立つと、指の間からナイフを落としてしまった。
カラン! と金属の刃が音を立てる。
如何やら何かが当たったようで、ナイフを落としていた。
小男は自分の指を見ながら叫ぶ。
「誰だ! そこに居るんだろ!」
グレイ達の背後に叫ぶ。
一体誰がいるのか。振り返って見てみた。
するとそこには少年が一人居た。グレイ達はその少年にとても見覚えがあり自然と助かった喜びから声を上げていた。
音が聞こえてきたのはこの先だ。
確かこの先は壁だった。壁が端に寄っていて、風除けや日除けになってくれている。
そんな所が簡単に崩れるわけがない。誰かが人為的に力を加えたから崩れるんだ。
グレイは賢い頭で考えると、ミューイとカザリを後ろに引き連れ近付く。
「グレイ」
「なに?」
「本当に崩れたの?」
「それは分からないよ。でも、もしそうなら一大事だ」
まだ起きている子がいたら、年長者のグレイ達が怒られる。
その上、壁を崩したとなれば最悪だ。
ジルアには怒られる。ライザーはのほほんとしているだろうが、ゴライアスは激怒することだろう。
そうなる前に突き止めないとマズい。焦る気持ちを抑えつつ崩れたと思しき所に辿り着く。すると声が聴こえた。男達の荒々しい声だった。
「なんか簡単に侵入できたっすね」
「ああ、そうだな。だがここからだ」
小男とボスは荒々しい口調ではあるものの、小声で話していた。
これから子供を攫おうというのだ。
子供に起きられると暴れられて面倒なことになる。
男達はある程度の算段は立てていた。速やかに退散するのだ。
「それじゃあとっとと攫いに行きましょう。孤児なら攫ってもバレないっすよねー」
「ふん。俺達の痕跡を残すとバレるだろ。最悪殺してしまっても良い」
「良いんすか?」
「いつものことだ。行くぞ」
「うっす」
そんな会話を聴いていたグレイ達は廊下の隅に隠れて息を飲んでいた。
不法侵入者がいるだけじゃない。自分達を攫おうとしているのだ。
グレイは頭を使った。孤児を攫って変態な貴族に売ったり、その死体を魔術に使う不届き者もいるらしい。
口の中に滲んだ血が混じり吐き気を催す。
何て醜い連中なんだと怒りが込み上げて来るのだが、そこで動けなくなってしまった。
ミューイをカザリが震えながら服を掴んでいるのだ。
「何で掴んでいるの!」
「こ、怖い」
「怖いよ……あんな男の人達見たことないよ」
「くっ……何とかしないと」
グレイは血走った目で視線を配る。
男達がこっちに近付いてきていた。
(マズい、如何しよう……)
グレイは動けなかった。
しかしこうしていればバレたりしない。
自分達だけは助かると、呼吸が荒くなり肩を上げ下げする。
しかしそれだと他の子供達は……胸が苦しくなって、心臓の辺りを押さえていた。
「グレイ」
「ぐ、グレイ?」
ミューイとカザリが不安そうに声を掛けた。
しかしグレイには聴こえてこない。
ただ男達が近付いて来るのを黙って見ているしかないのだ。
苦しい、怖い。胸と脈拍を激しくノックする。
完全にグレイが動けないでいると、男達はピタリと足を止めた。丁度グレイ達のすぐ近くだ。
「ボス、如何したんすか?」
「誰か居るな」
「えっ!? ……ああ、確かに居るっすね。おい、出て来いよ!」
小男が怒鳴りつけた。荒々しい態度で、威圧を放っている。
グレイ達は息を飲んだ。
声が出せなくなり、震えてしまう。
一体如何したら良いのか。ここから出たら絶対にダメだ。
動いたら殺される。そう思ってジッとしていると、小男はナイフをチラつかせる。
「出て来ねぇとこうだぜ?」
小男はナイフを投げつけた。
壁に反対側の壁に突き刺さり、グレイ達は「ひいっ!」と声を上げた。
「やっぱガキじゃねえか!」
そのせいでバレてしまった。
グレイ達は脅しに屈服し、トボトボと廊下の隅から出て来る。
震える脚、鳥肌が絶えない腕。声も引き攣り、瞳孔がキョロキョロしていた。
「おいガキども。俺達の会話を聴いていたな?」
「……」
「答えろ、答えねえと……」
「キャッ!」
小男がナイフを投げつける。
カザリは悲鳴を上げた。全身が震えてしまい、その場に座り込んでしまった。
「や、やめろよ! 子供相手に」
「ガキだろうが何だろうが知ったことじゃねえんだよ!」
「そうだな。悪いがお前達には消えて貰うぞ」
「えっ? き、消える」
「意味分かんねえのかよ! とっとと消えて貰うぜ!」
小男はナイフを投げつけようとした。
グレイ達は震えてしまい、動けなくなってしまい、ナイフが当たるのを待つしかなかった。
目をギュッと瞑り、動かない体へと恐怖心を募らせる中、ナイフを投げようとした小男の指からナイフが震えた。
「死ねっ!」
こんな所で死にたくない。
震えながら生にしがみつき、恐怖心に支配されゆく心と鼓動を全身が受け止めた。
ミューイもカザリもそうだった。少年少女は動けないでいると、急に小男は「うわぁ!」と声を上げた。
「な、なんだよ!」
小男は苛立つと、指の間からナイフを落としてしまった。
カラン! と金属の刃が音を立てる。
如何やら何かが当たったようで、ナイフを落としていた。
小男は自分の指を見ながら叫ぶ。
「誰だ! そこに居るんだろ!」
グレイ達の背後に叫ぶ。
一体誰がいるのか。振り返って見てみた。
するとそこには少年が一人居た。グレイ達はその少年にとても見覚えがあり自然と助かった喜びから声を上げていた。
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