1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について

水定ゆう

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聖夜編

430.貰ったプレゼント

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 ガラガラガラガラ——

 特急竜車がリネアの手綱捌きの下、軽快に進み出した。
 遠くにホーリーの町が見える。
 結局ゆっくりはできなかったなと、遠くに消えて行くホーリーの町並みを見つめ、ルカは思ってしまった。

「それじゃあ皆さん帰りましょう!」
「もう帰ってますよね?」
「そうですね。それで皆さん、ホーリーの町は如何でしたか?」

 リネアの問いは漠然としていた。
 けれど改めて聞かれると、如何返したものだろう。
 本当のことを言うと色々と破綻するので、ルカは神妙な表情を浮かべつつ、当たり障りのない回答をした。

「疲れました。でもいい町でしたよ」
「そうね。ほんと、肩が重いわ」
「でもさー、ご飯は美味しかったよねー」
「そうですね。まさかあんなに美味しいものが食べられるなんて思いませんでした」
「ええ。ですが本当に疲れましたね」

 全員疲れ切っていた。それもそのはず、心労が絶えなかった。
 ルカ達は荷車に背を預けると、ボーっと天井を眺める。
 特に面白みも無い天井だが、ルカはふと思い出した。

「そう言えば、みんななにか貰った?」

 ルカは唐突に尋ねる。
 あまりにも脈絡が無いせいで全員眉根を寄せていた。
 特にシルヴィアは訝しむ表情を浮かべると、唇を尖らせ訊ねた。

「唐突ね。なに? ルカなにか隠しごとでもあるの?」
「そんなのは無いよ。それで、みんななにか貰った?」

 ルカはシルヴィアの問い掛けを突っぱねる。
 自分の意見を最優先に持って行くと、呆れてしまわれた。
 けれどダリアは包み隠さなかった。
 ポーチの中から何かを取り出す。

「そう言えば今朝枕元にコレが置いてありました!」

 ルカは剣の形をしたストラップを取り出す。
 銀色の短い剣に、炎が巻き付いたような装飾が施されていた。
 かなり精巧な具合で、剣と炎がダリアにピッタリマッチする。

「剣のストラップね。もしかして剥き出しだったの?」
「はい。ルカさん、コレのことですか?」
「多分そうだね。でもダリアは剣なんだ。似合ってるよ」
「ありがとうございます! それで、私以外は……」

 不安そうに視線を泳がせる。
 するとライラックとブルースターもポーチの中から何か取り出す。
 ライラックは二本の棒。ブルースターは星の形をした砂時計だった。

「あはは、私はコレだよー」
「ライ、ソレなによ?」
「これはね。棒針って言うんだよー。編み物に使う棒ー」
「な、なんでそんなものを持ってるのよ?」
「分かんない。でもさー、枕元に置いてあったよー?」

 ライラックは首を捻った。
 それ以上もそれ以下もない顔をしていて、本当に何故棒針なのか分からなかった。

「私も同じですね。枕元にコレが」
「でも綺麗な砂時計よね。私はコレよ」

 ブルースターの砂時計に触発されたのか、シルヴィアもポーチの中から取り出す。
 シルバーアクセサリーのようで、風が吹いたような独特な三本線が入るブレスレット。
 少し大きめのようで、腕に通すと手首にガツガツ当たっていた。

「大きすぎて使い難いのよね。なんだか即興で用意したみたい」
「そうですね。確かにシルヴィアさんの腕には合っていません」

 如何やらシルヴィアはお気に召さないらしい。
 けれどブレスレットを大事に握っていた。
 使えなくても風の模様が気に入ったのか、付けるのが勿体ない様子だ。

「みんな良かったね。それぞれに合ったもので」
「ん? そういうルカは如何したのよ?」
「えっ?」
「まさか貰ってない訳ないわよね? もしもそうならコレって……」

 シルヴィアはルカが用意したプレゼントだと怪しんでいる。
 それもそうだ。この状況で一人達観視しているのはルカだけなのだ。
 けれど怪しまれて悪いのだが、残念なことにルカが用意したものではない。
 現にルカもプレゼントを貰っていた。

「いや、私が用意したものじゃないよ。実際貰ってる」
「そうなの? それじゃあなにを……あっ、また」

 察せられてしまった。
 それもそのはずで、本当に何故かルカはいつもこれだった。
 手にしているのは腕時計。ベルトの部分がこってはいるが、何故かまたしても時計だった。

「懐中時計の次は腕時計で来たね。まさかプレゼントにまで時計が出て来るなんて……」

 ルカとしても思うところはある。
 自分宛てのプレゼントがこうも同じもので被るとなると、少々味気ないを通り越してつまらないと来た。
 けれど貰えたものに悪態を付くのも難儀だ。ここは穏便に心の中で留める。

「まあいいよ。腕時計は使えるからね」
「そうね。にしてもプレゼントのチョイスに腕時計と砂時計で被るなんてね」
「確かにね。もしかしてネタ切れかな?」
「そんなこと言っちゃダメですよ! 誰かは分かりませんが、サンタ・ク・ロースを頑張った私達に贈られたものかもしれませんよ!」

 ダリアは雰囲気を壊さないように努めた。
 けれどサンタ・ク・ロースも粋なことをしてくれた。
 ルカはドリアードに頼んでいたことが、帰る前に果たされ安堵する。

「全くそうだね。でも、本当に面白かったよ」
「そうね。後学のためにはなったわ」
「それだけじゃないよ。魂が解放されて、偽りを本物に変えられた。実に儚い話だよ」

 ルカはルカにしか分からないことを呟く。
 腕時計を眺めつつ、荷車の縁に肘を立てる。
 茫然と過ぎ去るホーリーの町にさよならをしつつ、次会う時はドリアードと面と向かえることを密かに願うのだった。
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