448 / 733
村亡編
444.シルヴィア達の家族会議1
しおりを挟む
夜も更ける頃。シルヴィアはライラックとダリアといつものように団欒を繰り広げていた。
いつも他愛のない話ばかりだった。それでも毎日が楽しく、いつも笑みが零れていた。
けれど今日は疲れ顔の方が目立つ。みんな朝からひっきりなしに買い物に出かけ、明日帰って来る両親と伯父さん達のために買い物に勤しんでいたからだ。
そのせいもあり、ライラックは寝落ちしそうになっていた。その様子をシルヴィアは日常風景の一部と捉え、いつも通りの日々に変換する。
「あっ、そうだ!」
シルヴィアはそんな空気の中、言葉を発した。
寝落ち思想だったライラックも目を擦りながら「どうしたのさー?」と合いの手を打つ。
「みんな今日は本当にありがとね。私の両親と伯父さん夫婦のために」
「そんなことないよー」
「そうですよ。いつもお世話になっているんです。出迎えの準備はしっかりしたいじゃないですか!」
「二人共……そうよね。ありがと」
シルヴィアは気にしていたのだ。
なにせ二人には関係の無い、シルヴィアを含むリューネラ家のことだからだ。
けれどシルヴィアの頼みを聴き、リューネラ家のために頑張ってくれた。
これ以上に嬉しいことはないのだが、ここまでのことを半分水に流すことを言ってみた。
「二人共、明日からなんだけど時間はある?」
「「はい?」」
ライラックもダリアも首を捻った。
それもそのはず、明日からの予定は既に決まっていた。
シルヴィアの両親が返って来る。伯父さん夫婦もやって来る。これ以上ない予定だった。
「シルヴィ、明日は忙しいでしょー?」
「そうですよ。明日からだけじゃなくて、数日間は忙しいです」
「そうよね。分かってたけど……実は、今日ルカに会ったのよ。それでこんな誘いを受けたの」
シルヴィアは一瞬口を噤んだ。
言ってもいいのだろうか? 自分の中で自問自答し、唇を噛みながらだったが、勇気を振り絞って言った。
「あのね、エルフの森に一緒に行かないかって誘われたのよ」
「「エルフの森?」」
「そうよね。そんな顔をするわよね。分かってたわ、信じられないもの。でも事実よ」
ライラックとダリアは信じられない顔をしていた。当然の反応だった。
シルヴィアも一切咎めることなく受け入れるが、事実だと強調した。
するとダリアは素直に自分の気持ちを吐露する。
「エルフの森ですか。行ってみたいですね」
「ダリアは行きたいのね」
「はい! エルフ族の森に行けるなんて機会、王族とは言え会談以外では滅多に合えませんから。それに私は立場的にもその機会は数少なく、おまけにエルフ族は多種族との交流を嫌う節があるので、なかなか難しいんですよ」
「そうなのね。より詳しく分かったわ」
ダリアはスカーレットの性を持っている王族。
しかし一番の末っ子。だから王族として表に出る機会は少ない。
エルフ族との会談はかなり重要な業務になるので、ダリアが公然で出ることはないのだ。
だからだろうか。ダリアは素直に「行きたい」と言い切った。
「ですのでエルフの方々と合法的に会えるなんて、本当に貴重な経験だと思いますよ」
「そうよね。そう何だけど……」
「明日は無理だよねー。だってシルヴィの家族が帰って来るんだもん」
「そうですよね。……諦めますか?」
明日は無理なのだ。タイミングが非常に悪い。
さっきまでのムードが一変、重たい空気に変化する。
「私も悩んでいるのよ。家族が長期休暇で帰って来るなんてこと滅多にないから」
「官僚だもんねー。仕方ないよー」
「でもこの機会を逃したら……ブルースターは行くって言ってたけど、どうしよう」
友達を取るか家族を取るか。究極の二択だった。
ルカ達とエルフの森に行った方が貴重な体験ではあるが面倒なことにもなる。
それを踏まえれば家でのんびり家族団欒の方が優先事項になった。
けれど魔術師としてシルヴィアは引けない場面だと感じる。ここは選択の余地など無いのだ。
「それでどうするのさー?」
「私は……行きたいわよ。エルフの森なんて、後学の役に立つに決まっているわ」
シルヴィアも自分の気持ちを吐露した。
正直にエルフの森に行きたいと言えばいいものの、少し気恥しくて後学の役に立つと付け加えてしまった。
「勉強熱心だねー」
「そんなことないわよ。こんなの適当な都合に過ぎないわ」
「それでいいんじゃないのー? 好奇心に夢を追うのは悪いことじゃないもんねー」
「ううっ」
その口振りをライラックは茶化した。
顔が真っ赤になり、恥ずかしそうに唇を噛む。
「そう言う貴女はどうするのよ!」
「私? うーん、家にいてもたくさん寝れないよねー。それじゃあ行こうかなー」
「どんな理由よ。もう……」
ライラックの理由は適当極まりなかった。
けれどこれで三人揃って行くことになった。
最近は遠出が多いが、今回も大変で楽しくなりそうだ。
「それじゃあ明日は早起きするわよ。いいわね!」
「はい!」
「いい返事よダリア。それに比べてライは……」
ダリアは笑みを浮かべて目をキラキラさせる。大変無垢な表情だ。
一方のライラックに視線を向ければ今にも寝オチ寸前だった。
「ふはぁー。了解」
「もう、眠たいんだったら先に寝たら……」
「そんな訳にはいかないよー。だってシルヴィの両親になんって説明するのー? 今しか時間は無いでしょー?」
「「あっ!」」
忘れてはいなかった。だけど突き付けられて唖然とする。
早速明日に備えて寝ようと思っていたのにやることが増えてしまった。
今からならまだ間に合うかもしれない。だけど如何すればと、シルヴィアとダリアはてんやわんやになる中、夜はドンドン更けていき、ライラックは自然と目を瞑ってしまう。
全くいつも通りだと言わんばかりの時間が今日も過ぎていく。
いつも他愛のない話ばかりだった。それでも毎日が楽しく、いつも笑みが零れていた。
けれど今日は疲れ顔の方が目立つ。みんな朝からひっきりなしに買い物に出かけ、明日帰って来る両親と伯父さん達のために買い物に勤しんでいたからだ。
そのせいもあり、ライラックは寝落ちしそうになっていた。その様子をシルヴィアは日常風景の一部と捉え、いつも通りの日々に変換する。
「あっ、そうだ!」
シルヴィアはそんな空気の中、言葉を発した。
寝落ち思想だったライラックも目を擦りながら「どうしたのさー?」と合いの手を打つ。
「みんな今日は本当にありがとね。私の両親と伯父さん夫婦のために」
「そんなことないよー」
「そうですよ。いつもお世話になっているんです。出迎えの準備はしっかりしたいじゃないですか!」
「二人共……そうよね。ありがと」
シルヴィアは気にしていたのだ。
なにせ二人には関係の無い、シルヴィアを含むリューネラ家のことだからだ。
けれどシルヴィアの頼みを聴き、リューネラ家のために頑張ってくれた。
これ以上に嬉しいことはないのだが、ここまでのことを半分水に流すことを言ってみた。
「二人共、明日からなんだけど時間はある?」
「「はい?」」
ライラックもダリアも首を捻った。
それもそのはず、明日からの予定は既に決まっていた。
シルヴィアの両親が返って来る。伯父さん夫婦もやって来る。これ以上ない予定だった。
「シルヴィ、明日は忙しいでしょー?」
「そうですよ。明日からだけじゃなくて、数日間は忙しいです」
「そうよね。分かってたけど……実は、今日ルカに会ったのよ。それでこんな誘いを受けたの」
シルヴィアは一瞬口を噤んだ。
言ってもいいのだろうか? 自分の中で自問自答し、唇を噛みながらだったが、勇気を振り絞って言った。
「あのね、エルフの森に一緒に行かないかって誘われたのよ」
「「エルフの森?」」
「そうよね。そんな顔をするわよね。分かってたわ、信じられないもの。でも事実よ」
ライラックとダリアは信じられない顔をしていた。当然の反応だった。
シルヴィアも一切咎めることなく受け入れるが、事実だと強調した。
するとダリアは素直に自分の気持ちを吐露する。
「エルフの森ですか。行ってみたいですね」
「ダリアは行きたいのね」
「はい! エルフ族の森に行けるなんて機会、王族とは言え会談以外では滅多に合えませんから。それに私は立場的にもその機会は数少なく、おまけにエルフ族は多種族との交流を嫌う節があるので、なかなか難しいんですよ」
「そうなのね。より詳しく分かったわ」
ダリアはスカーレットの性を持っている王族。
しかし一番の末っ子。だから王族として表に出る機会は少ない。
エルフ族との会談はかなり重要な業務になるので、ダリアが公然で出ることはないのだ。
だからだろうか。ダリアは素直に「行きたい」と言い切った。
「ですのでエルフの方々と合法的に会えるなんて、本当に貴重な経験だと思いますよ」
「そうよね。そう何だけど……」
「明日は無理だよねー。だってシルヴィの家族が帰って来るんだもん」
「そうですよね。……諦めますか?」
明日は無理なのだ。タイミングが非常に悪い。
さっきまでのムードが一変、重たい空気に変化する。
「私も悩んでいるのよ。家族が長期休暇で帰って来るなんてこと滅多にないから」
「官僚だもんねー。仕方ないよー」
「でもこの機会を逃したら……ブルースターは行くって言ってたけど、どうしよう」
友達を取るか家族を取るか。究極の二択だった。
ルカ達とエルフの森に行った方が貴重な体験ではあるが面倒なことにもなる。
それを踏まえれば家でのんびり家族団欒の方が優先事項になった。
けれど魔術師としてシルヴィアは引けない場面だと感じる。ここは選択の余地など無いのだ。
「それでどうするのさー?」
「私は……行きたいわよ。エルフの森なんて、後学の役に立つに決まっているわ」
シルヴィアも自分の気持ちを吐露した。
正直にエルフの森に行きたいと言えばいいものの、少し気恥しくて後学の役に立つと付け加えてしまった。
「勉強熱心だねー」
「そんなことないわよ。こんなの適当な都合に過ぎないわ」
「それでいいんじゃないのー? 好奇心に夢を追うのは悪いことじゃないもんねー」
「ううっ」
その口振りをライラックは茶化した。
顔が真っ赤になり、恥ずかしそうに唇を噛む。
「そう言う貴女はどうするのよ!」
「私? うーん、家にいてもたくさん寝れないよねー。それじゃあ行こうかなー」
「どんな理由よ。もう……」
ライラックの理由は適当極まりなかった。
けれどこれで三人揃って行くことになった。
最近は遠出が多いが、今回も大変で楽しくなりそうだ。
「それじゃあ明日は早起きするわよ。いいわね!」
「はい!」
「いい返事よダリア。それに比べてライは……」
ダリアは笑みを浮かべて目をキラキラさせる。大変無垢な表情だ。
一方のライラックに視線を向ければ今にも寝オチ寸前だった。
「ふはぁー。了解」
「もう、眠たいんだったら先に寝たら……」
「そんな訳にはいかないよー。だってシルヴィの両親になんって説明するのー? 今しか時間は無いでしょー?」
「「あっ!」」
忘れてはいなかった。だけど突き付けられて唖然とする。
早速明日に備えて寝ようと思っていたのにやることが増えてしまった。
今からならまだ間に合うかもしれない。だけど如何すればと、シルヴィアとダリアはてんやわんやになる中、夜はドンドン更けていき、ライラックは自然と目を瞑ってしまう。
全くいつも通りだと言わんばかりの時間が今日も過ぎていく。
1
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
ずっとヤモリだと思ってた俺の相棒は実は最強の竜らしい
空色蜻蛉
ファンタジー
選ばれし竜の痣(竜紋)を持つ竜騎士が国の威信を掛けて戦う世界。
孤児の少年アサヒは、同じ孤児の仲間を集めて窃盗を繰り返して貧しい生活をしていた。
竜騎士なんて貧民の自分には関係の無いことだと思っていたアサヒに、ある日、転機が訪れる。
火傷の跡だと思っていたものが竜紋で、壁に住んでたヤモリが俺の竜?
いやいや、ないでしょ……。
【お知らせ】2018/2/27 完結しました。
◇空色蜻蛉の作品一覧はhttps://kakuyomu.jp/users/25tonbo/news/1177354054882823862をご覧ください。
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛
タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】
田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。
勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~
楠ノ木雫
ファンタジー
IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき……
※他の投稿サイトにも掲載しています。
昭和生まれお局様は、異世界転生いたしましたとさ
蒼あかり
ファンタジー
局田舞子(つぼたまいこ)43歳、独身。
とある事故をきっかけに、彼女は異世界へと転生することになった。
どうしてこんなことになったのか、訳もわからぬままに彼女は異世界に一人放り込まれ、辛い日々を過ごしながら苦悩する毎日......。
など送ることもなく、なんとなく順応しながら、それなりの日々を送って行くのでありました。
そんな彼女の異世界生活と、ほんの少しのラブロマンスっぽい何かを織り交ぜながらすすむ、そんな彼女の生活を覗いてみませんか?
毎日投稿はできないと思います。気長に更新をお待ちください。
今さら言われても・・・私は趣味に生きてますので
sherry
ファンタジー
ある日森に置き去りにされた少女はひょんな事から自分が前世の記憶を持ち、この世界に生まれ変わったことを思い出す。
早々に今世の家族に見切りをつけた少女は色んな出会いもあり、周りに呆れられながらも成長していく。
なのに・・・今更そんなこと言われても・・・出来ればそのまま放置しといてくれません?私は私で気楽にやってますので。
※魔法と剣の世界です。
※所々ご都合設定かもしれません。初ジャンルなので、暖かく見守っていただけたら幸いです。
転生貴族のスローライフ
マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた
しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった
これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である
*基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる