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村亡編
443.ブルースターは行きたい
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ルカが去った後、シルヴィアは一人取り残された。
ルカに持ってもらっていた荷物は亜空間を通して一瞬で移動し、目の前から姿を消した。
何処に行ったのか。とっても不安になる。ルカは一度たりともシルヴィアに屋敷には来たことがないのだ。
「ほんと、もし荷物が無くなっていたら承知しないからね」
けれど同時に信じてもいた。
ルカなら完璧にこなしてくれると信じ、頼まれたことを全うする。
正直に言えば自分の中で答えは出ていない。それでもまずは一人、友達に話をしに向かう。
「確かこっちだったわよね」
シルヴィアは大量の荷物を抱えたまま、街の路地に入って行く。
人通りはかなり少ない。
けれどこの先には人が住んでいて、シルヴィアは知っていた。
「ニャー」
シルヴィアは猫の声を耳にした。
なんだろうと思いキョロキョロしてみると、塀の上に黒猫が居る。
「フェリス? ねえ、ブルースターはいる?」
「ニャ?」
フェリスは首を捻った。
如何言うこと? と訊きたそうにしている。
「ちょっと用があるのよ。ねえ、いるのよね?」
「ニャー? ニャ!」
フェリスが顔を上げた。首を伸ばし前を見ている。
シルヴィアも視線を合わせてみた。
すると教会の前にいつの間にかブルースターが出て来ていて、掃除をしようとしていた。
「やっぱりいたわね。ありがと、フェリス」
「ニャー?」
何故褒められるのか分かっていなかった。
けれどシルヴィアは黒猫のフェリスに「ありがと」と声を掛けた。
ブルースターの下に歩きよると、いつもの調子で話しかける。
「こんにちは、ブルースター」
「おや、シルヴィアさん。こんなところでどうなされたんですか?」
「どうもこうもないわよ。ルカからの言伝を預かって来たのよ」
「言伝? なにか重要なことでしょうか? 少し待っていてください、すぐに掃除を終わらせますから」
ブルースラーは急いで掃除を終わらせようとした。
しかしシルヴィアはそれほどのことでもないと分かり、「ああ、いいわよそのままで」と手を前に出した。
「用件って言っても大したことじゃないわ」
「そうなんですか?」
「ええ。ブルースターはエルフの森に興味はある?」
「唐突に不思議なことを言いますね。エルフの森ですか? もちろん興味はありますが、エルフの森など中々行き交うことができないはずではないですか?」
ブルースターはちゃんと食いついてくれた。
目をキラキラさせてはいるが、エルフ族の性質を分かっているからこそ諦めに立っていた。どのみち会えない。だから考えないのだ。
「まあそうよね」
「はい」
「でも今回は違うみたいよ。明日、ルカはエルフの森に行くみたい」
「えっ、ちょ、どういうことですか!? 詳しく説明をお願いしたいのですが」
ブルースターは突然のことで驚く。
目を余計にキラキラさせ始め、瞬きを高速で何度もし始めた。
如何してそんなことになるのか、いかんせん信じられないのだ。
「とは言ってもね、私もさっき唐突に言われたのよ」
「さっきとは?」
「本当にさっきよ。明日エルフの森に竜車に乗って行くみたい。来たいなら朝の七時、広場に集合だって。ほんと、急な誘いは止めて欲しいわよ」
「それはそうですが、なにか事情があるのではないでしょうか?」
ブルースターは箒を持ったまま考え始めた。
実際、エルフの森に一般人が立ち入れるはずもない。
なにか事情があるはず。けれどルカの接点を考えればブルースターはなんとなくの予想を付けた。
「勘が鋭いわね。ナタリー校長の代わりらしいわ」
「なるほど、ある程度は納得ができました。ルカさんはナタリー校長と仲が良いですからね」
「ほんと、こっちも意味が分からないわ」
エルフの森に行くだけではない。
如何してルカがナタリーと仲が良いのかもイマイチ不明。
けれど今更言っても仕方がないし、聞いても教えてくれないので忘れることにした。
それよりも気になるのはエルフの森についてだ。
「それでどうするのよ?」
「どうするもなにも、ご迷惑ではないのでしょうか?」
「そうよね。ルカは書状があるけど、私達まで行ったら怪訝な顔されるわよね」
「間違いないでしょうね。そうなると、警戒も余計に強くなってしまうかもしれません」
正直に言えば行きたい。だけど行ってはいけない気がする。
願望と世間体に板挟みになりながら、シルヴィアとブルースターは考える。
唇を噛みながら用意された選択肢を選び取るのは困難を極めたが、ここはブルースターも願望を手にした。
「私は行きたいですね。エルフの森は一度訪れてみたいものです。人間としても魔術師としても」
ブルースターは少しの沈黙の後で答えを決めた。
まさか願望を取るとは思わなかったが、愛くるしい子供の目をしていた。
その様子を一目見るとシルヴィアは安堵して、自分の迷いある考えを話す。
「そう。私はみんなと少し相談するわ」
「分かりました。しっかり考えてくださいね」
「分かっているわよ。それじゃあまたね」
「はい。大事な言伝、ご苦労様でした」
シルヴィアはブルースターに見送られる形で踵を返す。
手を軽く振りながら大量の荷物を抱えて帰路に着く。
本当に如何すればいいのか。シルヴィアは二分の一の選択肢に悩まされるのだった。
ルカに持ってもらっていた荷物は亜空間を通して一瞬で移動し、目の前から姿を消した。
何処に行ったのか。とっても不安になる。ルカは一度たりともシルヴィアに屋敷には来たことがないのだ。
「ほんと、もし荷物が無くなっていたら承知しないからね」
けれど同時に信じてもいた。
ルカなら完璧にこなしてくれると信じ、頼まれたことを全うする。
正直に言えば自分の中で答えは出ていない。それでもまずは一人、友達に話をしに向かう。
「確かこっちだったわよね」
シルヴィアは大量の荷物を抱えたまま、街の路地に入って行く。
人通りはかなり少ない。
けれどこの先には人が住んでいて、シルヴィアは知っていた。
「ニャー」
シルヴィアは猫の声を耳にした。
なんだろうと思いキョロキョロしてみると、塀の上に黒猫が居る。
「フェリス? ねえ、ブルースターはいる?」
「ニャ?」
フェリスは首を捻った。
如何言うこと? と訊きたそうにしている。
「ちょっと用があるのよ。ねえ、いるのよね?」
「ニャー? ニャ!」
フェリスが顔を上げた。首を伸ばし前を見ている。
シルヴィアも視線を合わせてみた。
すると教会の前にいつの間にかブルースターが出て来ていて、掃除をしようとしていた。
「やっぱりいたわね。ありがと、フェリス」
「ニャー?」
何故褒められるのか分かっていなかった。
けれどシルヴィアは黒猫のフェリスに「ありがと」と声を掛けた。
ブルースターの下に歩きよると、いつもの調子で話しかける。
「こんにちは、ブルースター」
「おや、シルヴィアさん。こんなところでどうなされたんですか?」
「どうもこうもないわよ。ルカからの言伝を預かって来たのよ」
「言伝? なにか重要なことでしょうか? 少し待っていてください、すぐに掃除を終わらせますから」
ブルースラーは急いで掃除を終わらせようとした。
しかしシルヴィアはそれほどのことでもないと分かり、「ああ、いいわよそのままで」と手を前に出した。
「用件って言っても大したことじゃないわ」
「そうなんですか?」
「ええ。ブルースターはエルフの森に興味はある?」
「唐突に不思議なことを言いますね。エルフの森ですか? もちろん興味はありますが、エルフの森など中々行き交うことができないはずではないですか?」
ブルースターはちゃんと食いついてくれた。
目をキラキラさせてはいるが、エルフ族の性質を分かっているからこそ諦めに立っていた。どのみち会えない。だから考えないのだ。
「まあそうよね」
「はい」
「でも今回は違うみたいよ。明日、ルカはエルフの森に行くみたい」
「えっ、ちょ、どういうことですか!? 詳しく説明をお願いしたいのですが」
ブルースターは突然のことで驚く。
目を余計にキラキラさせ始め、瞬きを高速で何度もし始めた。
如何してそんなことになるのか、いかんせん信じられないのだ。
「とは言ってもね、私もさっき唐突に言われたのよ」
「さっきとは?」
「本当にさっきよ。明日エルフの森に竜車に乗って行くみたい。来たいなら朝の七時、広場に集合だって。ほんと、急な誘いは止めて欲しいわよ」
「それはそうですが、なにか事情があるのではないでしょうか?」
ブルースターは箒を持ったまま考え始めた。
実際、エルフの森に一般人が立ち入れるはずもない。
なにか事情があるはず。けれどルカの接点を考えればブルースターはなんとなくの予想を付けた。
「勘が鋭いわね。ナタリー校長の代わりらしいわ」
「なるほど、ある程度は納得ができました。ルカさんはナタリー校長と仲が良いですからね」
「ほんと、こっちも意味が分からないわ」
エルフの森に行くだけではない。
如何してルカがナタリーと仲が良いのかもイマイチ不明。
けれど今更言っても仕方がないし、聞いても教えてくれないので忘れることにした。
それよりも気になるのはエルフの森についてだ。
「それでどうするのよ?」
「どうするもなにも、ご迷惑ではないのでしょうか?」
「そうよね。ルカは書状があるけど、私達まで行ったら怪訝な顔されるわよね」
「間違いないでしょうね。そうなると、警戒も余計に強くなってしまうかもしれません」
正直に言えば行きたい。だけど行ってはいけない気がする。
願望と世間体に板挟みになりながら、シルヴィアとブルースターは考える。
唇を噛みながら用意された選択肢を選び取るのは困難を極めたが、ここはブルースターも願望を手にした。
「私は行きたいですね。エルフの森は一度訪れてみたいものです。人間としても魔術師としても」
ブルースターは少しの沈黙の後で答えを決めた。
まさか願望を取るとは思わなかったが、愛くるしい子供の目をしていた。
その様子を一目見るとシルヴィアは安堵して、自分の迷いある考えを話す。
「そう。私はみんなと少し相談するわ」
「分かりました。しっかり考えてくださいね」
「分かっているわよ。それじゃあまたね」
「はい。大事な言伝、ご苦労様でした」
シルヴィアはブルースターに見送られる形で踵を返す。
手を軽く振りながら大量の荷物を抱えて帰路に着く。
本当に如何すればいいのか。シルヴィアは二分の一の選択肢に悩まされるのだった。
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