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村亡編
449.竜と話せて嬉しい
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ルカ達は飛竜の引く荷車に乗り、エルフの森までひた走っていた。
飛竜はしっかりとした脚で地面を蹴ると、荷車に加えて五人分の重みすら無視していた。
流石の脚だ。ルカは荷車の縁に肘を置くと、ボーっと窓の外に広がる景色を眺めていた。
「ねえ、ルカ」
「ん?」
そんな中、シルヴィアがルカに話し掛けた。
ルカは窓の外の景色に視線をやると、声だけで反応する。
シルヴィアもシルヴィアで持って来た本を読みながら、気になっていたことを質問する。
ルカは耳だけは意識していたので、しっかりと聞き取ることができた。
「誰も御者台に乗ってないけど大丈夫なの? 誰かが手綱を引かないと危ないんじゃないの?」
「ああ、それね。確かに普通なら手綱を引いた方が良いよね」
「普通ならって、その言いぶりじゃ普通じゃないみたいよ」
「そもそも飛竜種が地竜種みたいに地に足を付けて地面を蹴っている時点で普通じゃないよ」
シルヴィアはずっと気にしていた。この竜車を引いているのはジュナイダー二代目で、誰も御者台に座って手綱を持っていない。
つまりは完全に竜の意思で引っ張られていた。
そこにルカ達人間が介入する隙は無く、不安が込み上げる。
このままどこか遠い別の場所に連れて行かれるんじゃないかと、胸の騒めきがシルヴィアの真面目な性格を焦らせる。
「ちょっと不安なのよね。飛竜にだけ任せていいの?」
「不安なんだ。それなら直接訊いてみればいいよ」
「訊いてみる?」
ルカはジュナイダー二代目に話し掛けてみた。
荷車から顔を出すと、楽しそうに走るジュナイダー二代目に訊ねた。
「ジュナ二。調子はどう?」
「うん。走るの楽しいよ~!」
「そっか。それじゃ私の友達が手綱を握らなくても大丈夫? って訊いてるけど」
「ん? 全然心配要らないよ~ むしろ僕に任せてよ。ちゃーんと送り迎えしてあげるからさ~」
ジュナイダー二代目はやけに楽しそうだった。
飛竜種なのに走るのも好きらしい。
けれどこれで安心感も得られた。ルカは荷車の中に戻ると、不安いっぱいのシルヴィアに伝える。
「大丈夫みたいだよ」
「大丈夫って、また動物と話せる魔術を使ったのね。それじゃあ私が信用できないじゃない!」
「動物と話せる魔術? そんなの使わなくても、ジュナ二は喋れるよ」
「はっ、なに言ってるのよ。自分の意思で走れておまけに人間の言葉が判るなんて、そんな凄い地竜なんてほとんどいないでしょ?」
シルヴィアはまだ疑問に思っていた。
けれど言葉の常々に間違っている部分もある。
ルカに顔を詰め寄ると、まだ閉じ切っていない扉の向こうから、ジュナイダー二代目の訂正が響いた。
「むっ! 僕は地竜じゃなくて飛竜だよ~。それに人間の言葉も判るし喋れるもん!」
「えっ!? 竜が喋った。おまけに説教された?」
シルヴィアは信じられない物を見る目をする。
魔術を使って話したことはあるが、こうしてモンスター自信が口を開くのは珍しい。
特に自分の口からフランクに話すなんて滅多に無いことで、シルヴィアは自分の目と耳を疑った。
「ちょっと待って。今喋ったわよね?」
「喋ったよ~。僕お話しするの大好きなんだ! ねえ、お姉さんのこと教えてよ」
「し、シルヴィアよ。シルヴィア・リューネラ。ルカと同じ学生で……」
「ってことはルカと友達なんだね! 僕はジュナイダー二代目。ルカからはジュナ二って呼ばれてるんだ~。ねえねえ、シルヴィアはどんな魔術を使うの? 魔法は使えるの? リューネラ家って確かナタリーが話してたやつだよね? 教えて教えて!」
シルヴィアは困っていた。顔を引き攣らせ、口をあんぐり開けたまま固まっている。
ジュナイダー二代目は子供のように「ねえねえ」と質問をし続ける。
流石にシルヴィアも何と返したら良いのか分からないハイペースに息を飲んでしまった。
「ねっ、話せるでしょ?」
「そうみたいね。しかも子供みたいね」
「ジュナ二はまだ子供の竜だからね」
「子供でこんなパワーがあるの? はぁ、つくづく竜って凄いわね。圧巻よ」
「やったぁ~!」
ジュナイダー二代目はシルヴィアに含みのあるほ、目言葉を贈られて素直に喜ぶ。
嬉しさの余り口から小さな火球が空に打ち上がるほどで、ガタンゴトンと荷車が飛竜のパワーに負けそうになる。
荷車に乗る全員が壁にもたれかかると、キョロキョロ辺りを見回してしまった。
「えっ、なになに? 竜が喋ったの!」
「ドラゴンさんとお話ができるんですか! 私もお話ししたいです」
「興味深いですね。私もいいですか」
ライラック達はジュナイダー二代目の声を聞いた。
それを受けて目を見開くと、狭い扉の前に躍り出る。
丁度シルヴィアを押しのけるような体勢になってしまい、シルヴィアは慌ててしまう。
「うあぁ、ちょっとみんな押さないで!」
シルヴィアはライラック達に押し潰された。
ルカは身を引いていたおかげで躱すことができた。
けれどこの騒ぎは凄いことになる。荷車の中はてんやわんやになってしまい、ジュナイダー二代目に興味津々。かくいうジュナイダー二代目も話をすることが大好きなのか、速度を落とすことなく、むしろ快調に走り抜ける。
ルカは「本当凄いな」と龍種という存在に記憶を彼方に飛ばすのだった。
飛竜はしっかりとした脚で地面を蹴ると、荷車に加えて五人分の重みすら無視していた。
流石の脚だ。ルカは荷車の縁に肘を置くと、ボーっと窓の外に広がる景色を眺めていた。
「ねえ、ルカ」
「ん?」
そんな中、シルヴィアがルカに話し掛けた。
ルカは窓の外の景色に視線をやると、声だけで反応する。
シルヴィアもシルヴィアで持って来た本を読みながら、気になっていたことを質問する。
ルカは耳だけは意識していたので、しっかりと聞き取ることができた。
「誰も御者台に乗ってないけど大丈夫なの? 誰かが手綱を引かないと危ないんじゃないの?」
「ああ、それね。確かに普通なら手綱を引いた方が良いよね」
「普通ならって、その言いぶりじゃ普通じゃないみたいよ」
「そもそも飛竜種が地竜種みたいに地に足を付けて地面を蹴っている時点で普通じゃないよ」
シルヴィアはずっと気にしていた。この竜車を引いているのはジュナイダー二代目で、誰も御者台に座って手綱を持っていない。
つまりは完全に竜の意思で引っ張られていた。
そこにルカ達人間が介入する隙は無く、不安が込み上げる。
このままどこか遠い別の場所に連れて行かれるんじゃないかと、胸の騒めきがシルヴィアの真面目な性格を焦らせる。
「ちょっと不安なのよね。飛竜にだけ任せていいの?」
「不安なんだ。それなら直接訊いてみればいいよ」
「訊いてみる?」
ルカはジュナイダー二代目に話し掛けてみた。
荷車から顔を出すと、楽しそうに走るジュナイダー二代目に訊ねた。
「ジュナ二。調子はどう?」
「うん。走るの楽しいよ~!」
「そっか。それじゃ私の友達が手綱を握らなくても大丈夫? って訊いてるけど」
「ん? 全然心配要らないよ~ むしろ僕に任せてよ。ちゃーんと送り迎えしてあげるからさ~」
ジュナイダー二代目はやけに楽しそうだった。
飛竜種なのに走るのも好きらしい。
けれどこれで安心感も得られた。ルカは荷車の中に戻ると、不安いっぱいのシルヴィアに伝える。
「大丈夫みたいだよ」
「大丈夫って、また動物と話せる魔術を使ったのね。それじゃあ私が信用できないじゃない!」
「動物と話せる魔術? そんなの使わなくても、ジュナ二は喋れるよ」
「はっ、なに言ってるのよ。自分の意思で走れておまけに人間の言葉が判るなんて、そんな凄い地竜なんてほとんどいないでしょ?」
シルヴィアはまだ疑問に思っていた。
けれど言葉の常々に間違っている部分もある。
ルカに顔を詰め寄ると、まだ閉じ切っていない扉の向こうから、ジュナイダー二代目の訂正が響いた。
「むっ! 僕は地竜じゃなくて飛竜だよ~。それに人間の言葉も判るし喋れるもん!」
「えっ!? 竜が喋った。おまけに説教された?」
シルヴィアは信じられない物を見る目をする。
魔術を使って話したことはあるが、こうしてモンスター自信が口を開くのは珍しい。
特に自分の口からフランクに話すなんて滅多に無いことで、シルヴィアは自分の目と耳を疑った。
「ちょっと待って。今喋ったわよね?」
「喋ったよ~。僕お話しするの大好きなんだ! ねえ、お姉さんのこと教えてよ」
「し、シルヴィアよ。シルヴィア・リューネラ。ルカと同じ学生で……」
「ってことはルカと友達なんだね! 僕はジュナイダー二代目。ルカからはジュナ二って呼ばれてるんだ~。ねえねえ、シルヴィアはどんな魔術を使うの? 魔法は使えるの? リューネラ家って確かナタリーが話してたやつだよね? 教えて教えて!」
シルヴィアは困っていた。顔を引き攣らせ、口をあんぐり開けたまま固まっている。
ジュナイダー二代目は子供のように「ねえねえ」と質問をし続ける。
流石にシルヴィアも何と返したら良いのか分からないハイペースに息を飲んでしまった。
「ねっ、話せるでしょ?」
「そうみたいね。しかも子供みたいね」
「ジュナ二はまだ子供の竜だからね」
「子供でこんなパワーがあるの? はぁ、つくづく竜って凄いわね。圧巻よ」
「やったぁ~!」
ジュナイダー二代目はシルヴィアに含みのあるほ、目言葉を贈られて素直に喜ぶ。
嬉しさの余り口から小さな火球が空に打ち上がるほどで、ガタンゴトンと荷車が飛竜のパワーに負けそうになる。
荷車に乗る全員が壁にもたれかかると、キョロキョロ辺りを見回してしまった。
「えっ、なになに? 竜が喋ったの!」
「ドラゴンさんとお話ができるんですか! 私もお話ししたいです」
「興味深いですね。私もいいですか」
ライラック達はジュナイダー二代目の声を聞いた。
それを受けて目を見開くと、狭い扉の前に躍り出る。
丁度シルヴィアを押しのけるような体勢になってしまい、シルヴィアは慌ててしまう。
「うあぁ、ちょっとみんな押さないで!」
シルヴィアはライラック達に押し潰された。
ルカは身を引いていたおかげで躱すことができた。
けれどこの騒ぎは凄いことになる。荷車の中はてんやわんやになってしまい、ジュナイダー二代目に興味津々。かくいうジュナイダー二代目も話をすることが大好きなのか、速度を落とすことなく、むしろ快調に走り抜ける。
ルカは「本当凄いな」と龍種という存在に記憶を彼方に飛ばすのだった。
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