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村亡編
460.土が熱くて仕方ない
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各々がそれぞれでできることをする。
もちろん各自の魔術を使ってのことだった。
けれどそれではできる範囲に限りがある。
農場の中を軽く見回し、調査する場所を目で捉えると、ルカは靴の爪先で畑の土を蹴った。
コンコン!
すると土が乾燥しているせいか、簡単に罅が入った。
亀裂が生まれると、ルカは周りに誰も居ないことを確認する。
正直何をするべきかは分かっていた。
けれどそのためには一人で冷静になる必要がある。
欲しい情報、それがこの農場の畑を襲ったものと同じならば、やることは見えて来る。
「この畑の土はもともと乾燥してはいなかった。つまり、ここ最近になって乾燥してしまった。土壌の状態が一瞬にして変化するなんてこと、災害でもない限り起こるとは思えない」
あくまでも経験則や本を読み漁って得られた知識の範疇でしかない。
魔法がかつては存在し、魔術が台頭する現代で、あってもその常識は不安定。
魔素が大気中に存在している限り、あらゆる場所に魔素はある。それは例外なく、生物の中にも大気や地面、海。それから遠い宇宙の果てにだって存在している。
となれば常識的な範疇で物事を測ってはいけない。
だから取れる手段は全部使うのだ。
「この辺でいいかな」
畑の真ん中辺りまでルカは歩いた。
ここまでは見るも無残な惨状が広がる。
この畑の土は全部乾燥していて水分が抜けている。
そのせいで水分を多分に必要とするみずみずしい野菜の数々は、乾燥に耐えられなくなり自然と腐って萎れていた。
「それにしても酷過ぎる。だけどもし、その原因が魔術的ななにかなら……」
ルカはゴクリと喉を鳴らした。
唾が重たく喉を流れ落ちると、決してスムーズにはいかず、自然と首に手を回した。
意味も無く脈を測り冷静だと知ると、「やっぱりか」と溜息を零してしまった。
「どれどれ、まずは肌感から……ああ、思った以上に温かいかな」
腰を落とし、際どい体勢になった。
けれどルカは一切気にすることはなく、腕を伸ばして地面に触れる。
すると指先に乾いた土が微かに付着して、簡単に剥がれ落ちる。
相当水分を失っている様子で、それでいて内側から込み上げるように温かいのだ。
ルカは唇を噛んでみる。額に皺を寄せてしまった。
このままだと予想が当たってしまうのだ。
今度は頭を掻いてしまうと、「はぁ」と溜息を吐く。
「それじゃあ次は魔術かな」
これはもっと調査の幅を広げるべきだ。
ルカは予想が当たっていなければいいのにと思いつつも、情報のため少しでもつながってくれれば儲けものだとも思ってしまった。
あまりにも非情。それもこれも“哀しい”と言う感情を失っているから。
自分のことを嫌になることはないにしろ、逸脱している自分の胸をギュッと掴むと、魔術を使ってより明確にしてみる。
「《サーモグラフティ》」
ルカは熱を感知する魔術を使った。
自分自身を中心に、頭の中に頭上から見下ろした形で地図が広がる。
超音波が出るみたいに、魔力を流すことによって、円形の地図内に光の波状が迸る。
すると畑の温度を知ることができた。想定以上に熱かった。
「この土、温かい。だけど土と言うよりも、土壌。もっと言えば地面が温かい気もする。どうしてだろ?」
ルカは悩んでみた。それもそのはず異様な程温かくて、おまけに乾燥までしている。
それが畑の土だけならまだ分かる。冬場とは言え、場所によっては太陽との位置関係も変化する。
だから日照時間の線を疑っては見たものの、それなら表面が温かくなるはずだ。
けれど畑の土は表面ではなく、裏側が温かいのだ。
「うーん、となれば原因は……」
ルカはソッと目を閉じた。意識を集中させ、全身の魔力を一本の糸として束ねる。
深い深い深層心理の中、地面の中へと潜航する。
意識が沈み込んで、重力に逆らうこともできない不思議な感覚に陥る。
(私の読みが正しければ……)
ルカは推測を更に広げていた。
意識を集中させ、土地の魔力に干渉する。
まるで水の中で上下左右が分からなくなるようで、深い深い闇の中へと沈み行くと、急に熱を帯びた魔力がルカの精神を襲った。
全身を焼き尽くす感覚。精神が擦り切れそうになり、普通の魔術師ならこの時点で目を開けているはずだった。
けれどルカは目を開けることはなかった。この程度の魔力干渉で影響を受けているようでは千年前は生き残れなかった。
だからこそ達観した姿勢で臨み、意識が土地の魔力に触れようとする。
それが余りにも危険なことは承知の上で、ルカは不可解な魔力を辿った。
(やっぱりおかしいな。熱を帯びているのは炎の魔力。だけど魔素を直接消費してる。おまけに外部から奪われているような……)
ルカは嫌な予感がした。ドロドロとした邪悪な魔力を感じるからだ。
まるでこの土地の魔素に干渉し、粉々にするように魔力を流し続けている。
このまま続けば土地の魔素が無くなって、この土地は完全に死んでしまうだろう。
そんなことになれば、チャカチャ村に未来はない。ルカは流石にそこまでのことはさせられないと、少しだけ本気を出し、未然に対処することを決めた。
(このままにはしておけないかな)
となれば行動は即座に行う。
あくまでも応急処置で、このまま魔力を辿って情報も同時に集めることにした。
深い深い闇の果てで、ルカは何を垣間見るのか……。
もちろん各自の魔術を使ってのことだった。
けれどそれではできる範囲に限りがある。
農場の中を軽く見回し、調査する場所を目で捉えると、ルカは靴の爪先で畑の土を蹴った。
コンコン!
すると土が乾燥しているせいか、簡単に罅が入った。
亀裂が生まれると、ルカは周りに誰も居ないことを確認する。
正直何をするべきかは分かっていた。
けれどそのためには一人で冷静になる必要がある。
欲しい情報、それがこの農場の畑を襲ったものと同じならば、やることは見えて来る。
「この畑の土はもともと乾燥してはいなかった。つまり、ここ最近になって乾燥してしまった。土壌の状態が一瞬にして変化するなんてこと、災害でもない限り起こるとは思えない」
あくまでも経験則や本を読み漁って得られた知識の範疇でしかない。
魔法がかつては存在し、魔術が台頭する現代で、あってもその常識は不安定。
魔素が大気中に存在している限り、あらゆる場所に魔素はある。それは例外なく、生物の中にも大気や地面、海。それから遠い宇宙の果てにだって存在している。
となれば常識的な範疇で物事を測ってはいけない。
だから取れる手段は全部使うのだ。
「この辺でいいかな」
畑の真ん中辺りまでルカは歩いた。
ここまでは見るも無残な惨状が広がる。
この畑の土は全部乾燥していて水分が抜けている。
そのせいで水分を多分に必要とするみずみずしい野菜の数々は、乾燥に耐えられなくなり自然と腐って萎れていた。
「それにしても酷過ぎる。だけどもし、その原因が魔術的ななにかなら……」
ルカはゴクリと喉を鳴らした。
唾が重たく喉を流れ落ちると、決してスムーズにはいかず、自然と首に手を回した。
意味も無く脈を測り冷静だと知ると、「やっぱりか」と溜息を零してしまった。
「どれどれ、まずは肌感から……ああ、思った以上に温かいかな」
腰を落とし、際どい体勢になった。
けれどルカは一切気にすることはなく、腕を伸ばして地面に触れる。
すると指先に乾いた土が微かに付着して、簡単に剥がれ落ちる。
相当水分を失っている様子で、それでいて内側から込み上げるように温かいのだ。
ルカは唇を噛んでみる。額に皺を寄せてしまった。
このままだと予想が当たってしまうのだ。
今度は頭を掻いてしまうと、「はぁ」と溜息を吐く。
「それじゃあ次は魔術かな」
これはもっと調査の幅を広げるべきだ。
ルカは予想が当たっていなければいいのにと思いつつも、情報のため少しでもつながってくれれば儲けものだとも思ってしまった。
あまりにも非情。それもこれも“哀しい”と言う感情を失っているから。
自分のことを嫌になることはないにしろ、逸脱している自分の胸をギュッと掴むと、魔術を使ってより明確にしてみる。
「《サーモグラフティ》」
ルカは熱を感知する魔術を使った。
自分自身を中心に、頭の中に頭上から見下ろした形で地図が広がる。
超音波が出るみたいに、魔力を流すことによって、円形の地図内に光の波状が迸る。
すると畑の温度を知ることができた。想定以上に熱かった。
「この土、温かい。だけど土と言うよりも、土壌。もっと言えば地面が温かい気もする。どうしてだろ?」
ルカは悩んでみた。それもそのはず異様な程温かくて、おまけに乾燥までしている。
それが畑の土だけならまだ分かる。冬場とは言え、場所によっては太陽との位置関係も変化する。
だから日照時間の線を疑っては見たものの、それなら表面が温かくなるはずだ。
けれど畑の土は表面ではなく、裏側が温かいのだ。
「うーん、となれば原因は……」
ルカはソッと目を閉じた。意識を集中させ、全身の魔力を一本の糸として束ねる。
深い深い深層心理の中、地面の中へと潜航する。
意識が沈み込んで、重力に逆らうこともできない不思議な感覚に陥る。
(私の読みが正しければ……)
ルカは推測を更に広げていた。
意識を集中させ、土地の魔力に干渉する。
まるで水の中で上下左右が分からなくなるようで、深い深い闇の中へと沈み行くと、急に熱を帯びた魔力がルカの精神を襲った。
全身を焼き尽くす感覚。精神が擦り切れそうになり、普通の魔術師ならこの時点で目を開けているはずだった。
けれどルカは目を開けることはなかった。この程度の魔力干渉で影響を受けているようでは千年前は生き残れなかった。
だからこそ達観した姿勢で臨み、意識が土地の魔力に触れようとする。
それが余りにも危険なことは承知の上で、ルカは不可解な魔力を辿った。
(やっぱりおかしいな。熱を帯びているのは炎の魔力。だけど魔素を直接消費してる。おまけに外部から奪われているような……)
ルカは嫌な予感がした。ドロドロとした邪悪な魔力を感じるからだ。
まるでこの土地の魔素に干渉し、粉々にするように魔力を流し続けている。
このまま続けば土地の魔素が無くなって、この土地は完全に死んでしまうだろう。
そんなことになれば、チャカチャ村に未来はない。ルカは流石にそこまでのことはさせられないと、少しだけ本気を出し、未然に対処することを決めた。
(このままにはしておけないかな)
となれば行動は即座に行う。
あくまでも応急処置で、このまま魔力を辿って情報も同時に集めることにした。
深い深い闇の果てで、ルカは何を垣間見るのか……。
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