1000年ぶりに目覚めた「永久の魔女」が最強すぎるので、現代魔術じゃ話にもならない件について

水定ゆう

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炎の悪魔編

535.今度は兵士の人達ですか

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 ルカもなんだかんだ言いながら、エルフの子供達と遊んでいた。
 美味い具合に交流を深めて行くと、面白い魔術を披露する。

「はい、歩いて。それからジャンプ!」

 ルカは近くに落ちていた木の枝と葉っぱを組み合わせると、木偶人形を作りだした。
 糸を使わずに、念じるだけで動かす。
 ルカの指示通り、前にテクテク歩き、途中で止まって腕を突き上げジャンプする。
 葉っぱの頭が可愛く、こう見ていると愛着も湧く。

「これが《ウッド・ドール》だよ」
「可愛い~」
「これ欲しい。ねえお姉さん、この魔法教えて!」
「うん、これは感覚的なものだからね。さて、どうしようか?」

 ルカはそう言われると困ってしまった。
 この木偶人形を操る魔術、《ウッド・ドール》は得意不得意を通り越し、出来不出来に分けられる。

 例えばルカやライラック、ブルースターはできても、シルヴィアとダリアはできない。
 元々の感性や感覚的なものが重要視されるからだ。
 それも相まってか、あまり好まれてはいない。
 言ってしまえば、大道芸の一種。精々その程度の認識なのだが、ルカ自身はこの魔術を高く評価していた。

「ほぉ、そんな魔術まで使えるんだね」
「まあ、一応は……あっ、昨日の」

 ふと視線を逸らすと、そこには子供達に始め絡まれていた大人の姿があった。
 良く見なくてもルカは覚えているが、昨晩、共に戦ったエルフの兵の一人だ。
 今は武装を解除しているが、警戒は怠っていないらしい。
 それが雰囲気だけで伝わると、ルカは高評価した。

「疲れない?」
「ふふっ、疲れは慣れているよ。所で、君は昨晩、炎獣討伐に協力してくれた、森の外から来た人だね」
「まあ、一応は……ええっ、なに、急に?」

 すると突然頭を下げる。
 一体なんの真似か。前触れも無かったのでルカは驚く。
 と言うよりも、寧ろ険しい表情を見せるのだが、エルフの兵はルカに感謝した。

「昨晩はありがとう。君の魔法が無ければこの森は集落は無くなっていた筈だ」
「は、はぁ?」

 何を言いだすのかと思えばそんな話か。
 正直終わった話に口を出すのは野暮だ。
 なにせ何も変わらない。ルカは変えようとも思わない。
 だからだろうか。眉根を寄せ、面倒そうに言葉を運んだ。

「その件ならもういいよ。ディンネル……森長からも感謝されたから」
「森長から!? そうか、やはり君達は優秀な魔法使いなんだね」
「魔法使いって……私達は魔術師です。その辺は間違えないでください」

 ルカはバッサリ切り伏せた。
 正直、このまま勘違いされっぱなしだと色々困る。
 ルカは訂正をさせると、エルフの兵は驚いた。

「アレが魔術!? じゃあ、あの大雨を降らせた魔法も、魔術ってことかい?」
「《ウォーターフォール・レイン》のこと? あれくらいなら……あれ?」

 ルカはおかしな点に気が付いた。
 良く思いだしてみよう。昨晩、エルフの兵達は魔術も使っていた。
 本来、この森から出ていないエルフ達ならば、魔術ではなく魔法の方が主流の筈。
 古の物を使うのが普通なのだ。その実、エルフの子供達は“魔術”ではなく“魔法”と唱えていた。一体何故だ、ルカは頭を使った。

「あの、もしかして貴方は魔法を……」
「もちろん、唱えられないよ。だから俺は魔術を唱えるんだ」
「魔術を? エルフ族は、千年前、いや、それ以上前から続く魔法使いで……」
「それは一部のエルフだよ。この森だと、金銀姉妹くらいかな?」
「金銀姉妹……ゾーラとセレビュ?」
「うん。魔法を唱えられるのは、この森だと精々その二人くらいだよ。俺達のような、半端者は到底扱える代物じゃないんだよ」

 何だか悲しくなることを口にしていた。
 しかしその理由はよく分からない。
 単純に、“実力”が不足しているのだろうか? 否、魔力の強さは申し分ない。
 ともなれば、答えは必然的に見えてくる。

「もしかして、この森の外から?」
「そうだよ。このエルフの森は最近できたものなんだ。とは言え、君達人間からしてみれば随分と時間は経つ。けれど、この森にいるエルフ達はほとんどが移民で、多種多様なエルフ族の寄せ集めでしかないんだよ。だから、力もムラができてね。この森で育ってきた純粋なエルフの子供達と違って、魔法の才能も無いんだよ」

 エルフの兵は本音を吐露する。
 しかしそれは明らかな事実だ。
 魔法とは即ち天性の才能を環境と努力・そこに視線を掻い潜る、強烈な思念が引き金になる。そうでも無ければ魔法なんてとてもじゃないが扱えず、昇華させるなんて真似出来っこなかった。

「だからこそ、君達のような魔術師には興味があるんだよ」
「興味?」
「うん。炎獣を相手にあそこまで相手取れるなんてね、感服したんだ」
「感服、ね。要するに力が欲しいと?」
「ん……ズバリ突いて来るね。だけどその通りだよ」

 エルフの兵は本気の目をしていた。
 けれどルカ自身、そんな目をされても困ってしまう。
 生半可な実力じゃルカには到底及ばない。だからだろう、ルカが簡単に開仕えた魔術も、例えエルフであっても扱えるとは限らない。

「私は教えるのは上手くないですよ」
「それでも感覚で掴んでみせるさ」
「そうですか……それじゃあ少し教えてあげますよ。もっとも、あの魔術は上級ですけどね」

 ルカは口調を変えた。
 いつもの達観した姿勢から、上から目線の姿勢に変わる。
 まるで陰湿で威張り散らかす先生のようで、ギラリと光る眼を向けるのだった。
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