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炎の悪魔編
555.ワイバーン型の死闘1
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シルヴィアとダリアはワイバーン型と対峙していた。
結果、なにも良い案は出ないまま、先に仕掛けたのはワイバーン型。
長い尻尾を武器に、膠着状態を引っ繰り返す。
「ワイヤァァァァァ!」
全身を使って尻尾を振り回す。
ゴツゴツした尾の先は、炎が噴き出ている。
当たれば即死もあり得る。そう思うと、本当なら身が竦んでしまいそうだが、シルヴィアとダリアは冷静だった。
「「おっと!」」
小さく身を屈めると、前転をしながら懐に潜り込む。
上手く尻尾攻撃を回避すると、ワイバーン型を牽制。
懐に潜り込んだことでワイバーン型の動きは止まり、慣れない魔術を叩き込む。
「主を迎えるは水の窓。岩をも砕く水流をその手に、鮮烈な剣を生み出せ—《ウォーターソード》!」
シルヴィアの右手のひらから、水の剣が現れた。
その勢いは川の上流のようで、とてつもない激流。
触れれば岩くらいなら簡単に切断できてしまいそうだったが、《ウォーターソード》が触れた瞬間、ワイバーン型よりも先に、シルヴィアが音を上げた。
「これでどう……うわぁ!」
「シルヴィアさん!?」
シルヴィアの体が吹き飛ばされた。
本来ならば、切断できていた筈の一撃だ。
それがワイバーン型の体、岩の硬さに反射され、逆にシルヴィアの方が吹き飛んだ。
「嘘でしょ? 切れないってどう言うこと?」
シルヴィアは悪態を付いた。
当然、こんなこと想定していなかった。
少しくらいは削れてくれる。ほんの少しでも穴が開けば、内側に風を送り込んで爆発させられる。
少しの希望を見いだせたつもりだったが、一瞬にして砕け散った。
「シルヴィアさん、大丈夫ですか!」
「大丈夫よ、ダリア。だけど、こっちはマズそうね」
「はい。ですが私にはこれしかありません」
シルヴィアを心配して駆け寄ったダリア。
圧倒的な硬度を誇るワイバーン型相手に、得意の炎は使えない。
それならできる技は一つしかないと、いつも通り、《剣錬成》で自分に合った剣を生み出す。
「きっと先生ならこうする筈です」
ダリアは先生から教わったことを体現する。
ワイバーン型を視界に収めると、利き足を前に出して、一気に距離を詰める。
「速っ!?」
その動きはシルヴィアでは追えなかった。
ワイバーン型に詰め寄るダリアは、自分の体の柔らかさと、体重の軽さを利用して高速先頭に切り替える。
ゴツゴツとした引っ掛かりの多い体に足を掛け、そのまま足場として利用すると、ワイバーン型の背中の上に至る。
「ここなら防御できませんよね!」
ダリアは軽やかに宙を舞う。
体を反転させ、手にしていた剣を下に向ける。
その先にはワイバーン型の背中。翼が邪魔をして折り畳めず、防御することができない部分だ。ダリアはその隙を縫うかのように全体重を剣に乗せると、軽くても強烈な一撃に変えた。
「はーあ!」
空気を取り込み、灰の中をいっぱいにする。
少しでも重さに加えると、剣は真っ逆さまに落ちた。
このまま背中を貫くだけ、かと思いきや、当然ワイバーン型もバカではない。
「ワヤァァァァァァァァァァァァァァァ!」
けたたましい叫び後を上げた。
空気を震わせ、炎を揺らめかせるほどの強い振動が発生する。
シルヴィアとダリアは煽られると、簡単に吹き飛ばされてしまった。
「きゃっ!」
「ダリア!? 《ウィンドクッション》」
ダリアは地に足が付いていなかったせいか、体が浮き上がってしまう。
シルヴィアはいち早く気が付くと、地面に思いっきり手のひらを叩き付ける。
唱えてはいけない。けれど緊急事態だ。
そう思い、風の魔術を使うと、案の定炎がより一層強まる。
「きゃぁぁぁぁぁ……あれ?」
ポヨンとした感触が、ダリアの背中に触れた。
まるで高級ベッドに飛び込んだような感触。
不思議に思うダリアだったが、経験則でシルヴィアの魔術だと悟ると、すぐに立ち上がった。
「シルヴィアさん!」
「なんとか間に合ったわ……ねっ!?」
シルヴィアはワイバーン型の注意を惹いていた。
魔術を唱え終えた直後の隙を狙われ、懸命に攻撃を避ける。
けれど避けるだけで精一杯なのか、シルヴィアの動きはぎこちない。
「もうっ! 少しは遠慮しなさいよ」
当然シルヴィアの不満な声が、ワイバーン型に聞こえる訳もない。
仮に聞いて貰えたとしても、シルヴィアに手を抜く意味はない。
全力で腕を振るい、尻尾を叩き付け、尖った顔を突き出してくる。
一回でも当たってしまえば立ち上がれなくなるかもしれない。
そんな危機的状況で、シルヴィアは汗を流した。
「《剣錬成》!」
ダリアはシルヴィアが避け続ける姿を見ていた。
もちろん、ただ見ていたわけじゃない。
存在感を極力消し、手には新しい剣を握る。
背後を取れた今なら、ワイバーン型に致命傷を与えることも難しくなかった。
「魔眼は使えません。だとしても、経験と勘で……そこです!」
ダリアは魔眼を遣えば、ワイバーン型に勘付かれると確信していた。
そのせいか、研ぎ澄ますのは剣士としての勘。
もはや心眼で覗き見るような域で剣を振るうと、ワイバーン型の弱点、リングの位置を推測し切り掛かる。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
腹から声を出し、ワイバーン型の動きを鈍らせる。
案の定、ワイバーン型は釣られてしまう。
一瞬だけシルヴィアを視界から外すと、目の前にはダリアが居た。
確実に攻撃は入る。シルヴィアもダリアも確信するが、その瞬間、ワイバーンは翼をはためかせる。
「ワイヤラララァァァァァァァァァァ!」
その瞬間、とてつもない風が起こった。
炎を煽り、酸素を分け与える。
するとシルヴィアとダリアは風圧で動けなくなり、攻撃は中断されてしまう。
「うっ、これじゃあ攻撃が……はっ!?」
ダリアは剣を顔の前にあてがっていた。
そのせいだろうか? ワイバーン型の腕が目の前にあることを気付けなかった。
判断が一瞬遅れる。命取りにもなり兼ねない大事な局面の油断。
それが招いたのは、ダリアに死を過らせるものだった。
「私は……負けません!」
ダリアも全力で足搔いて見せた。
振り抜かれた拳が、右から左に流れる。
強い衝撃が全身を推そうと、ダリアは受け身を取ることで手一杯で、そのまま地面に叩き付けられた。
「がっ!?」
「ダリア、ちょっとダリア、しっかりして!」
ダリアはうつ伏せで地面に横たわる。
駆け寄ったシルヴィアは必死に声を掛けた。
呼吸はある、脈もある。怪我は……意外に少ない。
無事を確かめ胸を撫でるが、完全にワイバーン型に主導権を握られ、危機的状況はより一層強まった。
結果、なにも良い案は出ないまま、先に仕掛けたのはワイバーン型。
長い尻尾を武器に、膠着状態を引っ繰り返す。
「ワイヤァァァァァ!」
全身を使って尻尾を振り回す。
ゴツゴツした尾の先は、炎が噴き出ている。
当たれば即死もあり得る。そう思うと、本当なら身が竦んでしまいそうだが、シルヴィアとダリアは冷静だった。
「「おっと!」」
小さく身を屈めると、前転をしながら懐に潜り込む。
上手く尻尾攻撃を回避すると、ワイバーン型を牽制。
懐に潜り込んだことでワイバーン型の動きは止まり、慣れない魔術を叩き込む。
「主を迎えるは水の窓。岩をも砕く水流をその手に、鮮烈な剣を生み出せ—《ウォーターソード》!」
シルヴィアの右手のひらから、水の剣が現れた。
その勢いは川の上流のようで、とてつもない激流。
触れれば岩くらいなら簡単に切断できてしまいそうだったが、《ウォーターソード》が触れた瞬間、ワイバーン型よりも先に、シルヴィアが音を上げた。
「これでどう……うわぁ!」
「シルヴィアさん!?」
シルヴィアの体が吹き飛ばされた。
本来ならば、切断できていた筈の一撃だ。
それがワイバーン型の体、岩の硬さに反射され、逆にシルヴィアの方が吹き飛んだ。
「嘘でしょ? 切れないってどう言うこと?」
シルヴィアは悪態を付いた。
当然、こんなこと想定していなかった。
少しくらいは削れてくれる。ほんの少しでも穴が開けば、内側に風を送り込んで爆発させられる。
少しの希望を見いだせたつもりだったが、一瞬にして砕け散った。
「シルヴィアさん、大丈夫ですか!」
「大丈夫よ、ダリア。だけど、こっちはマズそうね」
「はい。ですが私にはこれしかありません」
シルヴィアを心配して駆け寄ったダリア。
圧倒的な硬度を誇るワイバーン型相手に、得意の炎は使えない。
それならできる技は一つしかないと、いつも通り、《剣錬成》で自分に合った剣を生み出す。
「きっと先生ならこうする筈です」
ダリアは先生から教わったことを体現する。
ワイバーン型を視界に収めると、利き足を前に出して、一気に距離を詰める。
「速っ!?」
その動きはシルヴィアでは追えなかった。
ワイバーン型に詰め寄るダリアは、自分の体の柔らかさと、体重の軽さを利用して高速先頭に切り替える。
ゴツゴツとした引っ掛かりの多い体に足を掛け、そのまま足場として利用すると、ワイバーン型の背中の上に至る。
「ここなら防御できませんよね!」
ダリアは軽やかに宙を舞う。
体を反転させ、手にしていた剣を下に向ける。
その先にはワイバーン型の背中。翼が邪魔をして折り畳めず、防御することができない部分だ。ダリアはその隙を縫うかのように全体重を剣に乗せると、軽くても強烈な一撃に変えた。
「はーあ!」
空気を取り込み、灰の中をいっぱいにする。
少しでも重さに加えると、剣は真っ逆さまに落ちた。
このまま背中を貫くだけ、かと思いきや、当然ワイバーン型もバカではない。
「ワヤァァァァァァァァァァァァァァァ!」
けたたましい叫び後を上げた。
空気を震わせ、炎を揺らめかせるほどの強い振動が発生する。
シルヴィアとダリアは煽られると、簡単に吹き飛ばされてしまった。
「きゃっ!」
「ダリア!? 《ウィンドクッション》」
ダリアは地に足が付いていなかったせいか、体が浮き上がってしまう。
シルヴィアはいち早く気が付くと、地面に思いっきり手のひらを叩き付ける。
唱えてはいけない。けれど緊急事態だ。
そう思い、風の魔術を使うと、案の定炎がより一層強まる。
「きゃぁぁぁぁぁ……あれ?」
ポヨンとした感触が、ダリアの背中に触れた。
まるで高級ベッドに飛び込んだような感触。
不思議に思うダリアだったが、経験則でシルヴィアの魔術だと悟ると、すぐに立ち上がった。
「シルヴィアさん!」
「なんとか間に合ったわ……ねっ!?」
シルヴィアはワイバーン型の注意を惹いていた。
魔術を唱え終えた直後の隙を狙われ、懸命に攻撃を避ける。
けれど避けるだけで精一杯なのか、シルヴィアの動きはぎこちない。
「もうっ! 少しは遠慮しなさいよ」
当然シルヴィアの不満な声が、ワイバーン型に聞こえる訳もない。
仮に聞いて貰えたとしても、シルヴィアに手を抜く意味はない。
全力で腕を振るい、尻尾を叩き付け、尖った顔を突き出してくる。
一回でも当たってしまえば立ち上がれなくなるかもしれない。
そんな危機的状況で、シルヴィアは汗を流した。
「《剣錬成》!」
ダリアはシルヴィアが避け続ける姿を見ていた。
もちろん、ただ見ていたわけじゃない。
存在感を極力消し、手には新しい剣を握る。
背後を取れた今なら、ワイバーン型に致命傷を与えることも難しくなかった。
「魔眼は使えません。だとしても、経験と勘で……そこです!」
ダリアは魔眼を遣えば、ワイバーン型に勘付かれると確信していた。
そのせいか、研ぎ澄ますのは剣士としての勘。
もはや心眼で覗き見るような域で剣を振るうと、ワイバーン型の弱点、リングの位置を推測し切り掛かる。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
腹から声を出し、ワイバーン型の動きを鈍らせる。
案の定、ワイバーン型は釣られてしまう。
一瞬だけシルヴィアを視界から外すと、目の前にはダリアが居た。
確実に攻撃は入る。シルヴィアもダリアも確信するが、その瞬間、ワイバーンは翼をはためかせる。
「ワイヤラララァァァァァァァァァァ!」
その瞬間、とてつもない風が起こった。
炎を煽り、酸素を分け与える。
するとシルヴィアとダリアは風圧で動けなくなり、攻撃は中断されてしまう。
「うっ、これじゃあ攻撃が……はっ!?」
ダリアは剣を顔の前にあてがっていた。
そのせいだろうか? ワイバーン型の腕が目の前にあることを気付けなかった。
判断が一瞬遅れる。命取りにもなり兼ねない大事な局面の油断。
それが招いたのは、ダリアに死を過らせるものだった。
「私は……負けません!」
ダリアも全力で足搔いて見せた。
振り抜かれた拳が、右から左に流れる。
強い衝撃が全身を推そうと、ダリアは受け身を取ることで手一杯で、そのまま地面に叩き付けられた。
「がっ!?」
「ダリア、ちょっとダリア、しっかりして!」
ダリアはうつ伏せで地面に横たわる。
駆け寄ったシルヴィアは必死に声を掛けた。
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